プーチンのシリアへの賭けは、オバマの敗北に終わりそうである。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)10月21日(水曜日)
通算第4691号 <前日発行>
プーチンはシリアで大きな賭けにでた
決断鈍いオバマ政権は結局、ロシアと組むしか選択肢はなくなってきた
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オバマ政権の優柔不断、決断ののろさと政策の間違いの連続により、シリア情勢が混沌としている。
大量の難民を抱え込む欧州も対米不満が高ぶってきた。
どうするのか。
欧米はシリア問題の解決でロシアと共同歩調をとらざるをえないのではないか、と全米週刊誌トップの『タイム』(15年10月26日号)が分析した。
第一にプーチンは原油価格暴落の影響でロシア経済がマイナス2・2%に落ち込み、国防費捻出をどうするか、議会から強く迫られる筈だった。シリア爆撃で、この議会の動きはぴたりと止に、プーチの経済失策への責任は問われていない。
第二にアフガニスタンへの軍事介入の敗北以来、じつに35年ぶりにロシアは軍事行動にでたが、プーチンの人気は下がらず、ロシア政局が奇妙にも安定した。
第三にシリアからの大量の難民がEU諸国を脅かし、ロシア介入への期待が欧州でも高まった。
第四に国連に十年ぶりに搭乗したプーチンは「ISを征討するためにロシアは西側と協力する用意があり、ロシアを含めた国連軍もしくは多国籍軍の結成で対応を」(プランA)を呼びかけた。欧米諸国は、この対応を迫られるかたちとなった。
第五にプーチンは同時にプランBを提示し、「ロシアと協力しなければISを征討できないという確信を西側に抱かせる」ために、ロシアは軍事行動にでた。
第六にロシアは九月30日からIS空爆直前に、ウクライナ東部に展開していた武装勢力の撤退を開始した。
しかしロシア国内でのプーチン支持率は変わらなかった。
第七にシリア問題の解決にはロシアと米国は組まざるを得ず、米国はウクライナ問題での対ロ制裁解除を迫られることを意味するが、オバマは、この方向にない。
第八に、そうはいうものの最終的にオバマ政権はプーチンとの妥協を模索し、目の前のシリア問題解決に乗り出すことになるだろう。つまりプーチンのシリアへの賭けは、オバマの敗北に終わりそうである。
以上が『TIME』の分析である。
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樋泉克夫の知道中国シリーズ ♪
【知道中国 1310回】
――「市店雜踏、穢臭衝鼻、覺頭痛??」(岡51)
岡千仞『觀光紀游』(岡千仞 明治二十五年)
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戦国四公子とは、孟嘗君・平原君・春申君・信陵君を指し、四賢・四豪とも呼ぶ。賈誼の『過秦論』には「此の時に當り斉に孟嘗有り、趙に平原有り、楚に春申有り、魏に信陵有り、皆智にして忠信、寛厚にして人を愛し、賢を尊んで士を重んず」とある。彼らは天下義侠の賢士を招き、常に数千人の食客を置いていたことで知られる。
岡が「四公子を軽んじるなかれ。今の世に四公子がいたとしたら、台湾のみならず福州までも侵されるようなことがあろうはずもなかろうに」と説くと、友人は「西洋人は奢侈で傲慢に過ぎる」と話題を転じて来た。そこで岡は、
――「賢を厚く遇し士を周辺に置いておく」ということは、いわば「中土大官」が欧米の賢人で「學術技藝」に優れた者を厚遇で迎え、彼らから優れた点を学び取ることである。かりに彼らが傲慢であったなら、「中人」は自分で学ぶだけだ。いわば自力更生である。「中土大官」は厚遇をもって彼らに対すれば、彼らもまた「禮讓」をもって「中人」に接してくれる。ならば、傲慢がどうのこうのと文句を言うこともなかろうに。
東洋との貿易の利権を手にしたことから豊かになり王侯のように振る舞っている彼らには、「東洋士人」が僅かな収入でも汲々として倦まず働くことが判らない。自らの豊かさを衒うことなく誇る。これが彼らの生き方というものだ。(1月11日)――
翌日、別の友人がやって来て、時局問題を論じ教育制度整備の緊要性を説く。そこで岡は、
――まさに現在の急務であればこそ、地方に「郷校」を創設し実学を教育する一方、陸海軍兵学校を建設し「火器航海諸學(せんそうがく)」を講ずるべきだ。それすら怠っているわけだから、なには差し置いても早急に着手しなければならない。「絶大急務」とは「國是」を一変し、科挙を廃し、文武制度を改革し、「千年の陋習」を徹底して洗い流し、「天下の元氣」を振起させることだ。(1月12日)――
これを聞いた友人は「まさに我が言わんとするところと同じです」と。
翌(13)日、来訪した友人の話を聞きながら考える。
――「中土人(ちゅうごくじん)」は科挙以外に学問はないものと見做している。師匠は師匠で、そういう考えで弟子を教育し、父兄は父兄で、そういう考えで子弟に求める。国の制度として科挙に合格しなければ身を立て名をなす方途がないのだから、そうであったとしても致し方がない。
だが、かりに試験問題に操船法・航路図解読法・操艦訓練・陸兵操練・兵要地誌作成・国防・海防などの問題が出題されたら、どう回答するのか。兵書を学ばない限り答案は書けないだろう。これら問題への回答は、すべて洋書からの翻訳書に書かれている。だが、これら学問は科挙試験には役立たない。現在、必要とするものは実学を説く『格物入門』『地理全書』『瀛環志畧』『萬國公法』などだ。西洋を学ぶ洋務が急務であればこそ、実学の習得は1日として疎かにはできない。(1月13日)――
翌(14日)、大内義英が来訪し詳細不明だが、1月7日に李氏朝鮮の王宮で日本側駐屯兵と「中兵」の間で戦闘があったらしい、と。要領を得ないので、岡は早速、岸田吟香が経営する書肆兼薬舗の楽善堂に駆けつけた。そこで消息通から告げられたことは、?逓信局の落成を記念し日朝両国官吏が各国公使を招いて開いた宴席に暴徒が乱入し、朝鮮側重臣を刺殺。?李王は王城を守護すべく我が竹添公使に出兵を依頼。?「中兵」と暴徒は既に王城に侵攻しており、日本側が出兵しても防衛不可。?竹添公使は李王に撤兵を告げ、王は王城から脱出――かくて「回帰不能点」に向って、日清関係は歩み始めるのか。
《QED》
(ひいずみかつお氏は愛知大学教授。華僑、京劇研究の第一人者)
読者の声 どくしゃのこえ
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(読者の声1)米国においてのベトナム人による、「韓国軍ベトナム女性大強姦事件」の大謝罪要求の意味するところ大きいでしょう。
安倍外交の成果か、はたまた 米国の嫌がらせか。韓国の化けの皮が剥がれていきます。韓国を訪問したローマ教皇は「(韓国人に向かって)民族的悔い改め必要だ」と説教の中で述べられました。
小沢一郎さんが絶好調の時、韓国で「日本人は劣っている。君たちの”血”を注入しなければならない」と大学で発言しました。これは 「助平」にとっては強姦の薦めに聞こえた事でしょう。占領期に「第三国人」の悪行は白日の下に明らかにされなければなりません。日本共産党はその時「第三国人」と共闘し、米国の手先となり日本人を支配しようとしたようです。志位書記長は、改めて米国の下に在日と連帯して日本を支配しよう として夢見ているのでしょうか。
定年を迎え時間のある「おっさん」達は立ち上がりましょう。女子供にだけ任せてはいられない。
<【ワシントン=青木伸行 産経新聞在米ベトナム人の団体が15日、ワシントンで記者会見し、ベトナム戦争当時、韓国軍兵士から性的暴行を受けた というベトナム人女性らが、訪米中の朴槿恵(パク・クネ)大統領に謝罪を求めた。>
(MOMO 岡山県)
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(読者の声2)平間洋一先生をお招きしての勉強会の御案内です。
第十五回「日出処」から「日英同盟と日米安保-同盟外交史から学ぶ日本の進路」
日出処からを立ち上げて3年、今回の講師は平間洋一先生をお迎えしての勉強会です。
一世紀も昔の日英同盟と現在の日米同盟の間には、驚くほど多くの類似点があります。講演では二つの同盟を対比しつつ同盟政策の利点や欠点、価値と継続の困難さ、同盟国選択の重要性などを考えて頂くヒントを申し上げたいと思います。ふるってご参加下さい。
平間先生に、わかりやすく日英同盟を解説していただきます。
是非ご友人や、近現代史を学びたい方々Facebook上での招待に関わらず、どなたでも参加してください。誇りある日本のために。
記
とき 11月21日(土) 開場18:10
開始18:30~20:40(途中休憩・質疑応答あり)
ところ 東京ウイメンズプラザ 1階 視聴覚室A
https://www.google.co.jp/maps?q=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B6&ie=UTF8&ll=35.663712,139.709787&spn=0.006808,0.008551&fb=1&gl=jp&hq=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B6&hnear=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B6&cid=0,0,3475619214798922235&t=m&z=17&iwloc=A&brcurrent=3,0x60188ca12970f365:0xcdf71e3f089d26e0,0
会費 1,000円
講師 平間洋一先生
講師略歴:1933年:横須賀生まれ。防衛大学校電気工学科卒、大阪外国語大学仏文科研修(2年)、法学博士(慶應義塾大学)、海上自衛官(護衛艦ちとせ艦長、第31護衛隊司令、海上幕僚監部調査部、練習艦隊主席幕僚、防衛研究所戦史部などを経て1988年に海将補で退官)、~1999年防衛大学校教授、~2003年筑波・常磐大学非常勤講師。軍事史学会顧問、太平洋学会理事、戦略研究学会理事、呉海事歴史科学館諮問委員長。
著書:「第一次世界大戦と日本海軍」(慶応義塾大学出版)「日露戦争が変えた世界史」(芙蓉書房出版)「第二大戦と日独伊三国同盟」「イズムから見た日本の戦争」(錦正社)「日英同盟」(KADOKAWAソフィア文庫)など多数。
お申込みはこちらです。
http://www.hiizurutokorokara.com/study.html
普段私共の開催している勉強会には、20代30代の方々が参加するようになり、少しずつではありますが、参加者の年齢層が下に広がり始めました。ご参加頂いている諸先輩方に加えて、やはり若い世代により良いテーマの会、諸先輩方との交流の場を提供して、一緒に多くを学んで行きたいという思いがMAXも私も強くあり、イデオロギーや国籍に関わらず、
草の根で日本のこれからを考える場として広げて行きたいと考えております。
(日出処から)
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(読者の声3)読者としてひとこと。所謂「南京虐殺事件」の世界遺産登録で騒いでいますが其れでは通州事件の登録で戦いましょう。
加えて詐欺師孫文を資材を擲ち支援した我が国の梅谷庄吉始めアジヤ主義者の宮崎滔天や頭山満等志士もすべて世界遺産に登録運動を興しましょう。
半島に対しては日韓併合条約の登録運動をすべきです。
(愛知県の一庶民)
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(読者の声4)「とびっきりの講演会」のお知らせ
記
!)演題 「日本の政治を鑑みる」
!)講師 衆議院議員・元国務大臣 亀井静香 先生
!)日時 平成27年11月17日(火)
!)定員 先着90名(要予約)
!)会場 神奈川県民サポートセンター3F 304号会議室(JR横浜駅西口徒歩3分ヨドバシカメラ裏手)
!)問い合わせ先 045-263-0055
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(読者の声5)「国防を語らずして、日本を語るなかれ! ――第27回 軍事評論家・佐藤守の国防講座」のご案内です。
軍事評論家としてブログなどで活躍中の当会顧問・佐藤守が「国防」を熱く語る連続シリーズの第二十七回目です。
東日本豪雨での鬼怒川氾濫に対する常総市の避難指示の遅れは、平素からの“危機管理”意識の希薄さに起因する「人災」とも言うべきものです。
もしも平和憲法で戦争が防止できるのなら、憲法第1条に「我が国は、国民の豊かな生活を守るため、一切の台風、気候変動などの災害を排除する」と書けば済むことでしょう!しかし、現実には自然災害というものが憲法などとは全く関係なくこの日本列島を襲うことは、誰にでもわかることです。(戦争も全く同じですが・・・)
戦闘機パイロットは、一旦上空に飛び上がると、あらゆる事態を一人で始末せねばなりません。そのためには常に「万一」のことを考えて飛行します。これが“軍事”の常識です。
どんなに科学技術が発展しても、常総水害のようなことは起きるのです。それではどうすればよいのでしょうか?
「人災」の最大の悲劇である《戦争》を学べば、「天災」についてもある程度の予測と回避は可能になります。平和憲法のもとに一切の“軍事”を排除してしまった戦後日本の最大の欠陥は、そんな危機管理能力をどこでも教えていないということです。
今回の国防講座では、空自戦闘機パイロットとして3800時間にわたって日本の空を飛んできた佐藤顧問が、自らの体験をもとに「危機管理」のあるべき姿について分かりやすく解説いたします。
脱線転覆を交え、大人気の佐藤節が唸ります。どうぞご期待下さい。
記
演 題:軍事常識なき“危機管理”の危うさ
日 時:平成27年11月14日(土)
12:30開場、13:00開演(15:30終了予定)
場 所:靖国会館 2階 偕行の間
講 師:佐藤 守(軍事評論家、日本兵法研究会顧問、元南西航空混成団司令・空将)
参加費:1,000円(会員は500円、高校生以下無料)
お申込:MAIL i nfo@heiho-ken.sakura.ne.jp
FAX 03-3389-6278(件名「国防講座」にてご連絡ください。事前申込みがなくても当日受付けます)
(日本兵法研究会 会長 家村和幸)
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