新しいパワーゲームの主役プレイヤーとしてロシアが急浮上し、最小投資で最大効果を狙っている
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)10月13日(火曜日)
通算第4681号
中東を舞台のグレートゲーム。ロシア参戦で地殻変動
チェチェン紛争の教訓を生かし、欧米の優柔不断の隙を衝いた
******************
プーチンが大いに得点を稼いだ。
シリア内戦の慢性的泥沼の下、ISISの跳梁跋扈ですっかり見通しを失っていたのは米英欧だった。
空爆を続けても、ISISの力は衰えず、アラブ諸国も空爆に加わってはいるが、イラク政府軍も反アサド軍も、その戦力はあまりにも弱体だった。
ましてISISは住民を楯に、かれらの居住区に身を潜めているので空爆は限定される。
ロシアが参戦してきたのは満を持してのことか、タイミングを巧妙に計っていたのか、たとえロシア空軍機が反アサド政府軍の拠点を空爆したにせよ、西側の抗議は弱く、かつて討議された「飛行禁止区域」のことも沙汰止みとなった。
ここで注目するべきは、ロシアの軍事行動は西側との協議を重ねていない、単独行動が殆どであり、プーチンのウクライナ制裁への意趣返しとも取れることである。
第一にロシアは、ロシア国内にいるスンニ派1400万住民の大半がプーチンのシリア空爆を支持したことである。
チェチェンの極左暴力的テロリストにおびえていたスンニ派穏健派が、露西亜国内では多数派であり、地上戦への参戦にもこれという反対は露西亜国内に起きてはいない。
プーチンは過去の軍事作戦の失敗を教訓として、泥沼化を避けていることも明白だ。
第二にゴラン高原のオーストリア軍撤退の折や、シリア化学兵器問題でのロシアの仲介が問題解決に手柄となったように、プーチンが狙ったのは「最小の介入で最大の政治効果」をあげることにあった。
もともと海軍基地をのぞいて、陸上戦闘部隊に50名規模の軍事顧問団をシリアにおいていると推測されたが、ロシア軍は想像をこえる規模でシリアに存在していたのだ。
第三に米国の作戦のまずさと失態ぶり。せっかく育てたイラク政府軍はまったくの体たらくで、42億ドルもの予算を注ぎ込んで最新兵器をあたえたのに、それをみすみすISISにろかくされるという失態。
シリアの反政府軍の訓練もなにも効果が上がらない。オバマ政権のイラクテコ入れ失敗である。
(ついでに言えば22日に開かれるヒラリー・クリントン前国務長官に対する議会公聴会は、この武器問題が取り上げられるという。
つまりリビア大使暗殺事件で明らかになりつつあるのは、リビア反政府ゲリラに供与していた武器を米国はシリアに秘密裏に輸送していた(らしい)。
これがヒラリー版「イラン・コントラ事件」に発展すれば、彼女の大統領選挙予備選は致命的になる)
▲アフガン惨敗の教訓からロシアは軍事戦略が賢くなった
第四にロシアにとって、自国の安全保障に直結する問題であることだ。
ISISの兵力は7000名とも2万人とも見積もられるが、チェチェンを筆頭に北カフカスならびに中央アジア諸国からテログループへの参加が主力であり、ロシアにとって、このISISの主力を叩くことは自国の安全保障に直結する。
第五にロシアにとっての経済的利益とはシリアを経由してのガス輸送がレバノン、キプロス、イスラエルに向けて行われており、海軍基地を租借して戦略的拠点を確保、強化することは有益である。
ロシア介入により石油とガスの価格は上昇するとみられる。
むろん、ロシアは1979年のアフガニスタン介入失敗を巨大な教訓としており、ベトナム戦争で米国が泥沼に陥った愚を繰り返しはしないだろう。
撤退をつねに視野に入れ、しかしシリア国内においてもスンニ派居住区を空爆目標とはせずにいるのは、スンニ派の内外の支持を得ようとしているからだ。
こうした中東をめぐる地政学、つまり新しいパワーゲームの主役プレイヤーとしてロシアが急浮上し、最小投資で最大効果を狙っている。
国際政治の複雑系が、このうえに被さるので俄かに次の予測はしにくいが、とりわけ産油国との関係である。
▲産油国首脳のプーチン詣では何を意味するのか?
サウジアラビアはアサド政権支援、しかしトルコはアサド反対、これらの国々が脅威視するイランがアサド体制死守を掲げて兵力を派遣しており、中東の政治地図はまさに魑魅魍魎の世界だ。
ロシアの本格的軍事介入によって、あきらかにグレートゲームの様相が変わった。
サウジ皇太子が頻度激しくモスクワを往復しているのは、その表れであり、軍事戦略にまるで理解のないオバマを見限ってのことではないのか。
というのも、10月7日にソチで63歳の誕生日を迎えたプーチン大統領は、ホッケーに興じたと西側メディアも伝えたが、ひそかにサウジアラビア国防相(サルマン皇太子が兼任)がソチまで飛んでいるのだ。
前後してアブダビの皇太子もロシアを訪問し、プーチンと面談している。
以前にも指摘したがウクライナ問題で執拗な制裁をつづける米国にほとほと嫌気をしめしているドイツ、フランス。日和見主義に陥った英国。
米国外交の失敗のツケはこれから傷口の拡大となりそうである。
またサウジとの関係を強めるロシアという異様な構図をよみとくと、原油減産にサウジが踏み切れば、原油高騰となりロシア経済の再生が日程にのぼってくる。
すでに米国ではシェールガス開発のベンチャー企業の多くが倒産となり、サウジの思惑は半分達成されている。
そのうえ、急速に問題となっているのはシェールガスの採掘には三倍の水を注入する技術的必要があるが、米国内のシェールガス鉱区の位置は海から遠く、水不足に直面し始めた。
♪
(読者の声1)【ユネスコによる所謂南京事件の歴史遺産登録と我が国対応】
10月10日に報道されたユネスコによる所謂南京事件の歴史記憶遺産登録は中国の愛国教育政策を体現させたものであることは明らかです。
トウ小平が進めてきた改革開放政策が1989年の天安門事件をもたらす結果となったことに危機感を抱いたトウを含む中国指導部がアヘン戦争以来の対外関係を屈辱の歴史としてそれへの復讐心を養成することによって共産党支配による国内の団結と対外政策への利用のために策定されたものがこの'愛国教育'政策です。
これは江沢民政権により開始され今日も国内統治と対外政策の有力な手段となっていることは最近翻訳された米国の中国専門家マイケル・ピルズベリー博士著書「100年マラソン」≪邦訳名:CHINA2049秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」≫の通りでしょう。
ここで所謂南京事件のユネスコ登録についてもこうした中国の長期戦略の一貫としてとらえなければなりません。そうした長期戦略の上で中国は所謂南京事件をユネスコに登録させるに至ったと考えなければ、中国を過小評価する過ちを犯すことになります。
ユネスコが誕生して半世紀以上になりますが、ユネスコの遺産登録におかしなものがでてきたことに注目すべきです。
明治の我が国近代化の遺跡である軍艦島や八幡製鉄所などが遺産登録され、我が国は歓迎ムードに包まれましたが、これに韓国が戦時中の徴用を「強制連行」として記録に入れるように主張しました。
又、ソ連による戦後のシベリア抑留が今回、所謂南京事件と同様に登録されました。
シベリア抑留は決して忘れてはならない出来事です。然し、これが所謂南京事件と同時に登録されたことは中国の長期戦略にうまくのせられているのではないか。
中国はロシアとの間に長い国境線を持つ関係上、日本国民に対ソ=対ロ悪感情が再燃することは好ましいことなのです。
そもそもこうした方向に各国が走り、ユネスコがそれを登録していけば、友好と平和は必ず脅かされます。第1次大戦中の巷間言われる「オスマントルコ帝國によるアルメニア人虐殺」、ソ連による「カチンの森の虐殺」ポルポト政権によるカンボジャの大量虐殺、そして、アメリカによる広島、長崎原爆投下をはじめとする無差別爆撃などなど絶えることがなくなります。
過去の歴史の判断を国連の一下部組織に委ね、揚句は平和を脅かす空気を醸成させることなど、本来国連にあってはならないことです。
ユネスコの歴史遺産で思い浮かぶのはエジプトの古代遺跡やインドネシアのボロブドール遺跡であり、アスワンハイダム建設でエジプトの遺跡が水没するとのことで、我が国もユネスコに多額の資金を提供し、遺産の移設を助けました。
ボロブドール遺跡についてもユネスコを通じて多額の援助をしていると聞きます。
こうしたことへのユネスコの関与は肯定でき、援助の理由も分かりますが、所謂南京事件の歴史記憶遺産登録などへのユネスコの関与は平和を目的とする国連の精神に反します。
しかし、最近のユネスコの登録は国連本来の目的から乖離し、それも今回極まっています。
所謂南京事件ににつては多くの研究者の努力によりその真実があかされてきております。こうした努力を世界への発信も始まっています。
それも大いに大切ですが、今回の登録問題は国連、そしてユネスコ自体を改革する必要を生じせしめました。
安倍首相は「国連改革」を提唱しておられますが、それは単に日本の常任理事国への昇格だけであってはなりません。
パーキンソンの法則の通り自己肥大している国連自体の改革を実現させるものでなければ国連はユネスコに見られるように、有害無益なものになるでしょう。
又今回の事態に鑑み、外務省、特に国連外交に関わる責任者の処分、ユネスコへの分担金の停止も行うべきでしょう。(SSA生)
(宮崎正弘のコメント)ユネスコへの拠金を停止するのではなく、左翼のたまり場ですから、活動をおわらせるために、一切の拠金を中止するのが良いと思います。
♪
(読者の声2)ユネスコに厳重抗議 「南京大虐殺文書」記憶遺産登録決定は恥ずべき暴挙である。再審査、取り消しを勧告する(「史実を世界に発信する会」)。
「南京大虐殺」なるものは、戦時謀略宣伝にすぎないということを当会では再三にわたって明らかにする文書を英文で発表し、ウェブサイトに掲載してきた。
書籍6点、論文/主張等20点以上に昇る。
http://hassin.org
なかでも、胡錦濤主席が平成20年5月来日の折に、南京事件研究グループ「南京事件の真実を検証する会」(会長:加瀬英明)が提出した公開質問状が重要なものである。
南京事件が成立するために決定的な重要ポイント5点につき、成り立ち得ないことを説明し、反論を求めたものである。
中文の公開質問状を、駐日中国大使館に送付すると同時に、ウェブサイトに、中・英・日文の公開質問状を掲載し、またこれをNewsletter により、内外に発信した。下記のとおりである。
中文:http://www.sdh-fact.com/CL02_3/18_S1.pdf
英文:http://www.sdh-fact.com/CL02_3/17_S1.pdf
日文:http://hassin.org/01/wp-content/uploads/19_S1.pdf
胡錦濤主席、またそれに代わった習近平主席からもこれに対する返答は来ていない。
返答できるはずがないと我々は考えているものであるが、ユネスコは最低限、これに対する回答を中国政府に求め、その結果に基づいて登録の可否を決めるべきである。
一方的な主張と客観性を書く証拠文書に基づいて「記憶遺産」に登録するなどということは、道義的にも学問的にも認められるものではない。
再考を強く要求するものである。
平成27年10月12日 「史実を世界に発信する会」
(英文で世界の4000のアドレスに発信しました)
平成27年(2015)10月13日(火曜日)
通算第4681号
中東を舞台のグレートゲーム。ロシア参戦で地殻変動
チェチェン紛争の教訓を生かし、欧米の優柔不断の隙を衝いた
******************
プーチンが大いに得点を稼いだ。
シリア内戦の慢性的泥沼の下、ISISの跳梁跋扈ですっかり見通しを失っていたのは米英欧だった。
空爆を続けても、ISISの力は衰えず、アラブ諸国も空爆に加わってはいるが、イラク政府軍も反アサド軍も、その戦力はあまりにも弱体だった。
ましてISISは住民を楯に、かれらの居住区に身を潜めているので空爆は限定される。
ロシアが参戦してきたのは満を持してのことか、タイミングを巧妙に計っていたのか、たとえロシア空軍機が反アサド政府軍の拠点を空爆したにせよ、西側の抗議は弱く、かつて討議された「飛行禁止区域」のことも沙汰止みとなった。
ここで注目するべきは、ロシアの軍事行動は西側との協議を重ねていない、単独行動が殆どであり、プーチンのウクライナ制裁への意趣返しとも取れることである。
第一にロシアは、ロシア国内にいるスンニ派1400万住民の大半がプーチンのシリア空爆を支持したことである。
チェチェンの極左暴力的テロリストにおびえていたスンニ派穏健派が、露西亜国内では多数派であり、地上戦への参戦にもこれという反対は露西亜国内に起きてはいない。
プーチンは過去の軍事作戦の失敗を教訓として、泥沼化を避けていることも明白だ。
第二にゴラン高原のオーストリア軍撤退の折や、シリア化学兵器問題でのロシアの仲介が問題解決に手柄となったように、プーチンが狙ったのは「最小の介入で最大の政治効果」をあげることにあった。
もともと海軍基地をのぞいて、陸上戦闘部隊に50名規模の軍事顧問団をシリアにおいていると推測されたが、ロシア軍は想像をこえる規模でシリアに存在していたのだ。
第三に米国の作戦のまずさと失態ぶり。せっかく育てたイラク政府軍はまったくの体たらくで、42億ドルもの予算を注ぎ込んで最新兵器をあたえたのに、それをみすみすISISにろかくされるという失態。
シリアの反政府軍の訓練もなにも効果が上がらない。オバマ政権のイラクテコ入れ失敗である。
(ついでに言えば22日に開かれるヒラリー・クリントン前国務長官に対する議会公聴会は、この武器問題が取り上げられるという。
つまりリビア大使暗殺事件で明らかになりつつあるのは、リビア反政府ゲリラに供与していた武器を米国はシリアに秘密裏に輸送していた(らしい)。
これがヒラリー版「イラン・コントラ事件」に発展すれば、彼女の大統領選挙予備選は致命的になる)
▲アフガン惨敗の教訓からロシアは軍事戦略が賢くなった
第四にロシアにとって、自国の安全保障に直結する問題であることだ。
ISISの兵力は7000名とも2万人とも見積もられるが、チェチェンを筆頭に北カフカスならびに中央アジア諸国からテログループへの参加が主力であり、ロシアにとって、このISISの主力を叩くことは自国の安全保障に直結する。
第五にロシアにとっての経済的利益とはシリアを経由してのガス輸送がレバノン、キプロス、イスラエルに向けて行われており、海軍基地を租借して戦略的拠点を確保、強化することは有益である。
ロシア介入により石油とガスの価格は上昇するとみられる。
むろん、ロシアは1979年のアフガニスタン介入失敗を巨大な教訓としており、ベトナム戦争で米国が泥沼に陥った愚を繰り返しはしないだろう。
撤退をつねに視野に入れ、しかしシリア国内においてもスンニ派居住区を空爆目標とはせずにいるのは、スンニ派の内外の支持を得ようとしているからだ。
こうした中東をめぐる地政学、つまり新しいパワーゲームの主役プレイヤーとしてロシアが急浮上し、最小投資で最大効果を狙っている。
国際政治の複雑系が、このうえに被さるので俄かに次の予測はしにくいが、とりわけ産油国との関係である。
▲産油国首脳のプーチン詣では何を意味するのか?
サウジアラビアはアサド政権支援、しかしトルコはアサド反対、これらの国々が脅威視するイランがアサド体制死守を掲げて兵力を派遣しており、中東の政治地図はまさに魑魅魍魎の世界だ。
ロシアの本格的軍事介入によって、あきらかにグレートゲームの様相が変わった。
サウジ皇太子が頻度激しくモスクワを往復しているのは、その表れであり、軍事戦略にまるで理解のないオバマを見限ってのことではないのか。
というのも、10月7日にソチで63歳の誕生日を迎えたプーチン大統領は、ホッケーに興じたと西側メディアも伝えたが、ひそかにサウジアラビア国防相(サルマン皇太子が兼任)がソチまで飛んでいるのだ。
前後してアブダビの皇太子もロシアを訪問し、プーチンと面談している。
以前にも指摘したがウクライナ問題で執拗な制裁をつづける米国にほとほと嫌気をしめしているドイツ、フランス。日和見主義に陥った英国。
米国外交の失敗のツケはこれから傷口の拡大となりそうである。
またサウジとの関係を強めるロシアという異様な構図をよみとくと、原油減産にサウジが踏み切れば、原油高騰となりロシア経済の再生が日程にのぼってくる。
すでに米国ではシェールガス開発のベンチャー企業の多くが倒産となり、サウジの思惑は半分達成されている。
そのうえ、急速に問題となっているのはシェールガスの採掘には三倍の水を注入する技術的必要があるが、米国内のシェールガス鉱区の位置は海から遠く、水不足に直面し始めた。
♪
(読者の声1)【ユネスコによる所謂南京事件の歴史遺産登録と我が国対応】
10月10日に報道されたユネスコによる所謂南京事件の歴史記憶遺産登録は中国の愛国教育政策を体現させたものであることは明らかです。
トウ小平が進めてきた改革開放政策が1989年の天安門事件をもたらす結果となったことに危機感を抱いたトウを含む中国指導部がアヘン戦争以来の対外関係を屈辱の歴史としてそれへの復讐心を養成することによって共産党支配による国内の団結と対外政策への利用のために策定されたものがこの'愛国教育'政策です。
これは江沢民政権により開始され今日も国内統治と対外政策の有力な手段となっていることは最近翻訳された米国の中国専門家マイケル・ピルズベリー博士著書「100年マラソン」≪邦訳名:CHINA2049秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」≫の通りでしょう。
ここで所謂南京事件のユネスコ登録についてもこうした中国の長期戦略の一貫としてとらえなければなりません。そうした長期戦略の上で中国は所謂南京事件をユネスコに登録させるに至ったと考えなければ、中国を過小評価する過ちを犯すことになります。
ユネスコが誕生して半世紀以上になりますが、ユネスコの遺産登録におかしなものがでてきたことに注目すべきです。
明治の我が国近代化の遺跡である軍艦島や八幡製鉄所などが遺産登録され、我が国は歓迎ムードに包まれましたが、これに韓国が戦時中の徴用を「強制連行」として記録に入れるように主張しました。
又、ソ連による戦後のシベリア抑留が今回、所謂南京事件と同様に登録されました。
シベリア抑留は決して忘れてはならない出来事です。然し、これが所謂南京事件と同時に登録されたことは中国の長期戦略にうまくのせられているのではないか。
中国はロシアとの間に長い国境線を持つ関係上、日本国民に対ソ=対ロ悪感情が再燃することは好ましいことなのです。
そもそもこうした方向に各国が走り、ユネスコがそれを登録していけば、友好と平和は必ず脅かされます。第1次大戦中の巷間言われる「オスマントルコ帝國によるアルメニア人虐殺」、ソ連による「カチンの森の虐殺」ポルポト政権によるカンボジャの大量虐殺、そして、アメリカによる広島、長崎原爆投下をはじめとする無差別爆撃などなど絶えることがなくなります。
過去の歴史の判断を国連の一下部組織に委ね、揚句は平和を脅かす空気を醸成させることなど、本来国連にあってはならないことです。
ユネスコの歴史遺産で思い浮かぶのはエジプトの古代遺跡やインドネシアのボロブドール遺跡であり、アスワンハイダム建設でエジプトの遺跡が水没するとのことで、我が国もユネスコに多額の資金を提供し、遺産の移設を助けました。
ボロブドール遺跡についてもユネスコを通じて多額の援助をしていると聞きます。
こうしたことへのユネスコの関与は肯定でき、援助の理由も分かりますが、所謂南京事件の歴史記憶遺産登録などへのユネスコの関与は平和を目的とする国連の精神に反します。
しかし、最近のユネスコの登録は国連本来の目的から乖離し、それも今回極まっています。
所謂南京事件ににつては多くの研究者の努力によりその真実があかされてきております。こうした努力を世界への発信も始まっています。
それも大いに大切ですが、今回の登録問題は国連、そしてユネスコ自体を改革する必要を生じせしめました。
安倍首相は「国連改革」を提唱しておられますが、それは単に日本の常任理事国への昇格だけであってはなりません。
パーキンソンの法則の通り自己肥大している国連自体の改革を実現させるものでなければ国連はユネスコに見られるように、有害無益なものになるでしょう。
又今回の事態に鑑み、外務省、特に国連外交に関わる責任者の処分、ユネスコへの分担金の停止も行うべきでしょう。(SSA生)
(宮崎正弘のコメント)ユネスコへの拠金を停止するのではなく、左翼のたまり場ですから、活動をおわらせるために、一切の拠金を中止するのが良いと思います。
♪
(読者の声2)ユネスコに厳重抗議 「南京大虐殺文書」記憶遺産登録決定は恥ずべき暴挙である。再審査、取り消しを勧告する(「史実を世界に発信する会」)。
「南京大虐殺」なるものは、戦時謀略宣伝にすぎないということを当会では再三にわたって明らかにする文書を英文で発表し、ウェブサイトに掲載してきた。
書籍6点、論文/主張等20点以上に昇る。
http://hassin.org
なかでも、胡錦濤主席が平成20年5月来日の折に、南京事件研究グループ「南京事件の真実を検証する会」(会長:加瀬英明)が提出した公開質問状が重要なものである。
南京事件が成立するために決定的な重要ポイント5点につき、成り立ち得ないことを説明し、反論を求めたものである。
中文の公開質問状を、駐日中国大使館に送付すると同時に、ウェブサイトに、中・英・日文の公開質問状を掲載し、またこれをNewsletter により、内外に発信した。下記のとおりである。
中文:http://www.sdh-fact.com/CL02_3/18_S1.pdf
英文:http://www.sdh-fact.com/CL02_3/17_S1.pdf
日文:http://hassin.org/01/wp-content/uploads/19_S1.pdf
胡錦濤主席、またそれに代わった習近平主席からもこれに対する返答は来ていない。
返答できるはずがないと我々は考えているものであるが、ユネスコは最低限、これに対する回答を中国政府に求め、その結果に基づいて登録の可否を決めるべきである。
一方的な主張と客観性を書く証拠文書に基づいて「記憶遺産」に登録するなどということは、道義的にも学問的にも認められるものではない。
再考を強く要求するものである。
平成27年10月12日 「史実を世界に発信する会」
(英文で世界の4000のアドレスに発信しました)