習近平が選ぶ道は、国際化か、あるいは独裁かの2つに1つです。 | 日本のお姉さん

習近平が選ぶ道は、国際化か、あるいは独裁かの2つに1つです。

黄文雄の歴史から読み解くアジアの未来

2015年9月30日号(第47号)

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【新刊のお知らせ】黄文雄と石平の対談本、発売たちまち大重版決定!

『これから始まる中国の本当の悪夢』

http://www.amazon.co.jp/dp/4198640114

習近平政権はこれから最悪の事態に陥る!

止まらない株式暴落、そして天津大爆発をはじめ、各地で社会不安が拡大している。

習近平政権は混乱収集のために株価操作から言論弾圧まであらゆる手段を講じているが、これまで以上のなりふり構わぬ締め付けに、政権分裂、そして国内大乱へと向かっていく!

AIIBの瓦解、反日の激化、軍部の暴走、泥沼化する権力闘争の行方など、動乱が始まった中国の未来を、中国が最も恐れる2人が完全分析!

発売たちまち重版決定!

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☆【中国】米中首脳会談で、毛沢東になることを宣言した習近平

◎中国・習氏訪米:会談前スピーチ「ウィンウィンの戦略を」
http://mainichi.jp/select/news/20150926k0000m030118000c.html

9月25日、習近平が訪米しました。マスメディアでさんざん報道されていたので、ご存知とは思いますが、今回の訪問は中国側のパフォーマンス的要素が強く、米国は本気で外交を進めるような状況ではなかったようです。同日に訪米したローマ法王を重視するなど、米国は態度で嫌中を示していました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150926-00000028-mai-int&pos=3

会談の内容を見ても、双方がいかにすれ違っているかわかります。サイバー攻撃についてアメリカが苦言を呈すれば、中国は関与をあっさり否定した上で、共に攻撃と戦おうとしらっと言ってのける。人民元切り下げにおける市場介入について、アメリカが注意を喚起すれば、今改革の最中だと言い訳する。

南沙諸島の不法建設について公正を求めれば、アメリカだけは特別に中国領に入れてやってもいいと恩着せがましく言う。まったく相手の意見を聞かず、自分の言い分だけを押し付ける身勝手な発言ばかりで、これでは会談とは言えません。会談後の共同記者会見では、両者とも非常に硬い表情で、首脳会談は失敗に終わったことを如実に示していました。
http://www.sankei.com/world/news/150926/wor1509260046-n1.html

そもそも、サイバー攻撃については、関与が疑われる中国企業25社をアメリカが名指しで制裁しているにも関わらず、会談で習近平は中国企業の関与をしらっと否定しています。これでは、さすがのアメリカも習近平を歓待する気にはなれません。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150928-00000003-asahi-int

訪米中の食事は、意外に質素だったことも報道されており、報道では国内で腐敗撲滅運動をしている習近平がアメリカで贅沢な食事をしていては体裁が悪いという理由がつけれらていましたが、アメリカ側も歓待する気のない相手を豪華にもてなさずに済んでホッとしていたかもしれません。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150926-00000040-mai-int&pos=1

双方の信頼関係がないままに外交が進められるわけがありません。習近平は、訪米というパフォーマンスによって、中国はアメリカと対等に渡り合う大国なんだという威厳を自国民に見せつけるのが目的だったのでしょう。

そして国内で絶対的権力を振りかざし、訪米を理由に目障りな人権擁護弁護士らを拉致、監禁しても、誰も異議を唱えさせない独裁体制を実現したのです。世界でも著名な人権派弁護士の高智晟氏は、2006年に国家政権転覆扇動罪という名目で逮捕され、さんざん拷問を受けてボロ布同然の状態になってやっと釈放されたにもかかわらず、今回の習近平の訪米を理由に再び拉致されてしまいました。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201509/2015092700217&g=int

オバマ大統領も、アメリカが習近平の権威誇示の道具として利用されるばかりでは面目がありません。この機会に、人権問題や台湾関係法を持ち出し、中国にチクチクと釘を指していました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150926-00000003-ftaiwan-cn

いくら旅客機を300機も買っても、アメリカや世論のヒンシュクを拭うことはできなかったようです。カネにものを言わせようとする態度は、今、世界中でヒンシュクを買っている中国人とまったく同じです。飛行機の中で騒ぎ飲み物をこぼしたことで、乗務員にマナーの悪さを注意された中国人は、お金を床に投げ捨て吐き捨てるように言いました。「これでいいだろ」。自分勝手な態度、相手を尊重できない心の貧しさ、お金さえあれば天下も取れるという勘違い。その大親分が習近平です。今回の訪米でそれが証明されました。

週末、銀座の歩行者天国を歩くと、大型バスで乗り付けた中国人観光客でいっぱいです。彼らは道端に座り、大声で話し、路上でタバコを吸っています。歩行者天国の入り口付近で、バスから降りた団体がぞろぞろと信号を無視して渡っていると、トラックが向こうから突っ込んできて危ないところでした。

たまたまそこを通りかかった、日本で働くビジネスマン風のスーツを着た中国人男性が、彼らに向かって、「信号無視するな。日本では信号は守るものなんだ。危ないじゃないか!!」と、叫びました。

おそらく彼は、世界でマナーが悪いと中国人を悪く言われるのも嫌だけれど、それを地でいく同胞にも腹が立つのじゃないかと思いました。国と国との外交でも、こうしたマナーの悪さが出てしまった今回の訪米、習近平の一人芝居はいつまで続くのでしょうか。

習近平が最高権力者になってすでに2年以上が過ぎましたが、今のところ何をやっても裏目に出ています。彼は台湾の馬英九総統とよく似ています。トップに立った時点では、まだ政界では新米であったため、長老たちと対立する宿命でした。厳しい政界での戦いでは、先手を打つ必要があったのです。

それにしても、習近平の時代錯誤はやりすぎでしょう。9月3日の軍事パレードがその象徴です。毛沢東気取りのスターリン主義で、政治闘争に勝てるとでも思っているのでしょうか。

中国の歴史は、春秋戦国時代、六朝時代、五代十国時代のような国家の時代もあれば、秦、漢、隋、唐、元、明、清のような「天下」の時代もありました。そして、中国人にとっては天下一国主義が理想です。

戦後、中華人民共和国を樹立したものの、それを「一つ」の統一国家としてまとめる唯一の方法は、共産党一党によるプロレタリア独裁でした。しかし、独裁による権力の一極集中では、計画経済による経済統制にならざるをえないため、自由な経済活動は阻害され、結局は経済が壊滅的になるという、遠心力が働くのです。

毛沢東による人民公社、大躍進政策などによる失敗は、その好例でしょう。

とはいえ、多党制や三権分立を導入してしまうと、必ず国が分裂してしまうので、一党独裁体制を崩すことは死んでもできません。
これが中国の政治経済学の原理言論であり、根本的な矛盾、中国が抱えるジレンマなのです。

そのため、毛沢東以後は社会主義市場経済という、一部では自由経済を認めながらも、その一方で政治力で経済を統制するという形をとってきました。

しかしそれは、アクセルとブレーキを一緒に踏むようなもので、そもそも矛盾を抱えた体制でり、長く続くはずがありません。

中国経済の衰退が明らかになったいま、習近平が選ぶ道は、政治・経済の自由化・国際化か、あるいは政治・経済の独裁・統制かの2つに1つです。

前者を選べば、共産党一党独裁を終わらせるしかありません。そのかわり、民主主義と経済発展、国際協調の可能性が広がります。後者を選べば、毛沢東時代のような恐怖政治と経済の著しい停滞、そして対外強硬姿勢が始まります。

このところの中国政府の株暴落に対する露骨な介入、国内での言論や人権への弾圧、対外的な軍事的冒険主義を見ていると、習近平政権は明らかに後者の道を選んでいますが、今回の米中首脳会談は、そのことがよりはっきりと明示された一件であったと思います。

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