中国当局、株買い支えに70兆円前後を使い果たしまた12兆円をあらたに投入の構え、それでも下落は | 日本のお姉さん

中国当局、株買い支えに70兆円前後を使い果たしまた12兆円をあらたに投入の構え、それでも下落は

1840年に至って・・・英国の大砲は中国皇帝の権威を破壊し、天朝帝国をして地上世界と接触せしめたのである。他の世界と完全に隔絶していることが、かつて中国を保つ主要な条件であった。だが、このような隔絶情況が英国によって強引に打ち砕かれたことで、次に必然的に起こったのは解体の過程だった。それはまさしく、密封された棺の中で注意深く保存されてきたミイラが、ひとたび外気に触れると解体するのと同じだった。

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)9月2日(水曜日)
通算第4644号

中国当局、株買い支えに70兆円前後を使い果たした
また12兆円をあらたに投入の構え、それでも下落は避けられないだろう
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中国から資本流失がとまらない。
外貨準備高は1014年上半期に3兆9930億ドルと発表されたが、その後、保有する米国債をつぎつぎと売却し、15年2月時点でトップの座から滑り落ち、ふたたび日本が一位に返り咲いた。

六月から始まった上海株暴落が直接のきっかけとなって外貨が流失し始め、公式発表がないが、外貨準備が激減していると推測される。
このため、中国は人民元売りに規制をかけて、自由化に逆行。こうなるとIMFのSDRメンバー入りは向こう数年考えにくいこととなった。

人民元売り規制とは為替予約を抑制させ、予約する場合は20%を「危険準備金」として預託するという、信じられない措置を講じるのだ。
為替予約をするな、と言っているようなものである。

他方、株式市場への当局の介入は凄まじい。
1400銘柄の取引停止、空売りの実質的禁止措置、加えて企業CEOには自社株の売却禁止。そしておよそ70兆円を投入して、株価維持作戦、つまり売りが出たら「官」が買うという、聞いたこともない荒っぽい方法を選択して、暴落を防ぐ。

しかし、向こう一年くらいで、株式は大幅な下落を繰り返し、ピーク5100台だった株価の半値を軽々と破り、1600ポイントくらいまで下がり続けるだろう。実際に2009年に上海株式は71%下落したことがある。

それを見越しているからこそ、中国より欧米、そして日本で株が下がるのである。

日本株は、米国、マレーシアなどと比較すると相対的に対中輸出依存度が低い日本企業の投資リスク分散があって、せいぜい4%程度の悪影響しかないはずなのに、中国関連株は20%前後もの下落をみている。

これは東京市場を主導するのが、もはや野村證券ではなく、ウォール街だからである。かれらは日本経済の先行きなんぞどうでもよく、目先10秒先、1分先の勝負をかけて、先物予約を高く売り、欧米市場の反応を見て、また安く買うという、コンピュータによる巧妙な手法を用いているため、理論値以上の株安を、上海ではなく、東京市場が演じている。
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◆書評 ◇しょひょう

松陰も西郷も水戸学に激甚な影響を受けて奔った
幕末日本を激震に導いた水戸学の根幹に何があったのか?
西尾幹二『維新の源流としての水戸学』(徳間書店)
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GHQ焚書図書開封シリーズ第十一巻は「水戸学」である。このシリーズの目的は米占領軍の日本人洗脳工作の一環として行われた重要文献の焚書本を探し当て、時代的背景の考察や、諸作の根源的なエネルギーに光を当てる地道な作業だが、この文脈から、本巻は水戸学へアプローチする。
しかし過去のシリーズとはやや趣を異にして、これは「水戸学の入門書」を兼ねる、西尾幹二氏の解説書になっている。
徳川御三家でありながら、尊皇攘夷思想の源流となって幕末維新を思想的に領導し、結果的に徳川幕府を倒すことになった、その歴史のアイロニーを秘めるのも水戸学である。
「幕府は水戸学という爆弾を抱えた政権だった」(165p)。
吉田松陰は水戸へ遊学し、会沢正志齋のもとに足繁く通った。松陰は水戸学を通じて、日本史を発見し、先師・山鹿素行をこえる何ものかを身につけた。兵法、孫子、孔孟と松陰がそれまでに学んだことに重ねてかれは万世一系の日本の歴史に開眼する。
西郷隆盛は水戸学の巨匠・藤田東湖に学び、また横井小楠は、藤田を絶賛した。維新回転の原動力は、こうして水戸学の学者・論客と志士たちの交流を通して始まり、桜田門外の変へまっしぐらに突き進んでいく。
吉田松陰の斬首は「長州をして反徳川に走らせる決定打」となった。西郷は命を捨てても国に尽くす信念をえた。
その水戸学である。
前期、中期、後期とわかれる水戸学はそれぞれの時代で中味が異なっている。
前期水戸学の大きなテーマは「南朝の是認」であり、北畠親房の「神皇正統記」と同じく南朝が正統とみる。しかしながら前期水戸学は「天皇のご存在をものすごく尊重しておきながら、神話は排するという点でどこかシナ的です」。
水戸光圀は、ほかにも独自の解釈で『大日本史』の編纂を命じた。

後期水戸学には国学の風が流れ込む。
その前に中期水戸学は藤田幽谷が引き継ぎ、この古着屋の息子が水戸藩では大学者となった。身分差別を超越した、新しいシステムが水戸では作動していた。幽谷の異例の出世に嫉妬した反対派の暗躍が敗退し、後年の天狗党の悲劇に繋がる。
そして「後期水戸学」の特色は国際環境の変化によって「歴史をもっと違う見方で見るようになってくる。欧米という先進世界と戦わなければならない状態になって」、国防が重視されるという特徴が濃厚にでてくるのである。
それでいて水戸学には儒学を基礎として仏教を排斥するとマイナスの要素があった。
「非常に早い時期から「脱神話世界」を掲げたのが儒教の歴史観」(107p)だったから、初期水戸学は「脱神話」であるのに、後期水戸学は「神話的歴史観に近づいていく。思想が変わってきた」わけで「『古事記』『日本書紀』を認め、日本のありかたを単純な合理主義では考えなくなっていく」のである。
そこで西尾氏は藤田東湖の父親、藤田幽谷の再評価を試みる。
それも国際的パースペクティブから「モーツアルトと同時代人」であり、かれは十八にして藩主に見いだされたうえ、藩校を率いた大学者、立原翠軒と対立していく。これがやがて天狗党の乱という血なまぐさい事件へつながり、凄絶な内ゲバの結果、尊皇攘夷の魁となった水戸藩から人材が払底してしまうのだ。
藤田幽谷は家康を神君とは認めず、『当時の儒学者の「多くは支那と日本との国体を判別する力に乏しかった」がために立原は、幽谷との対決の道に陥った。
幽谷の息子の藤田東湖は「なんと十年かけて『弘道館記述義』」を完成されているが、これは『儒教と神道が一つになっていることがわかります。しかも、この『弘道館記述義』は、GHQの焚書図書の対象とはならず、翻訳まででた。
したがって奇妙なことに「国学のひとたちは儒仏思想を排斥しましたが、水戸学は仏教を排斥したものの、儒教は排斥するどころか、依存しています」(280p)。
かくして西尾幹二氏の水戸学入門はきわめて分かりやすく、その思想の中枢と時代の変遷を活写している。
最後に西尾氏は、「戦争体験者の歴史観、戦争観には失望してきた」として、大岡昇平、司馬遼太郎にならべて山本七平への批判を加えている。
ページを開いたら止まらず、一気に読んでしまった。
樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1288回】
――「市店雜踏、穢臭衝鼻、覺頭痛??」(岡29)
岡千仞『觀光紀游』(岡千仞 明治二十五年)


なぜ岡は自らの考えを「迂疏」としたのか。取るに足らないものと諧謔したかったのだろう。はて「迂疏」はウソに通じないか。ところで李鴻章の考えを伝えてくれた友人に向って、岡は『荘氏』(應帝王 第七)に納められた
「混沌七竅」の寓話を持ち出した。

遠い、遠い上古の時代、南海の支配者である?(しゅく)と北海の覇者である忽(こつ)とが宇宙のど真ん中に座す混沌帝を尋ねるや、思いがけずに大歓待を受ける。感激した?と忽が考え付いたお礼は、ノッペラボーな混沌帝に人間に歓喜をもたらす「七竅」(美しいものを見る目、妙なる音楽を聴く耳、香華を感じる鼻、絶妙な味を愉しむ口――「竅」は「あな」)を鑿ってやった。1日1竅。7日がすぎるとノッペラボーの混沌帝もやっと人間の姿(人並み)に変わったが、その時、混沌帝は虚しい屍に化していた、というのだ。

これが「混沌七竅」だが、「?忽(つかのま)」の命しかない人間世界に交われば、神もまた?忽のうちに命を失うことを指しているのだろう。岡は「中土、蓋し東西帝の力を借り混沌に七竅を鑿るが如し」と。「東西帝」は?と忽のこと。地上の中央に君臨してきた中華帝国であっても、弱肉強食のままに行動する西欧帝国主義列強の侵略を受けることで、混沌帝のように骸となる運命に陥った。

列強が「中土」に対して進めていることは、?と忽が混沌帝に「七竅」を鑿ったと同じことではないか。西欧列強の逞しき野心の赴くがままに“手籠め”にされ続けるなら、清朝は早晩滅びざるをえない――おそらく岡は、こう言いたかったに違いない。

岡が話し終ると、友人は「大笑」した。岡も笑ったのか。それは記されていないが、友人の「大笑」は呵呵大笑で形容される腹の底からの笑いではなかったはず。強いていうなら、苦々しい笑いといえるだろう。

ところで清末の中国について岡が引用した「混沌七竅」に近い見解を示すのが、かのマルクスである。彼は『中国革命とヨーロッパ革命』で次のように説いた。

「1840年に至って・・・英国の大砲は中国皇帝の権威を破壊し、天朝帝国をして地上世界と接触せしめたのである。他の世界と完全に隔絶していることが、かつて中国を保つ主要な条件であった。だが、このような隔絶情況が英国によって強引に打ち砕かれたことで、次に必然的に起こったのは解体の過程だった。それはまさしく、密封された棺の中で注意深く保存されてきたミイラが、ひとたび外気に触れると解体するのと同じだった」

これを岡風に読み替えれば、「英国の大砲」は?と忽であり、「天朝帝国」が混沌帝ということになるだろうか。だから「他の世界と完全に隔絶していることが」、混沌帝の権威の裏付けであった。だが、そのような「隔絶情況」は英国という?と忽の登場によって「強引に打ち砕かれ」、「次に必然的に起こったのは解体の過程」、つまり中華帝国である混沌帝の屍への道だ。かくして「密封された棺の中で注意深く保存されてきたミイラが、ひとたび外気に触れると解体するのと同じ」ように、清朝は崩壊への道を辿ることになる。

じつはアヘン戦争はアヘンを巡って行われたというよりは、産業革命で大量生産されることになったマンチェスターの綿製品の販路を求めての戦争だったと看做すべきだろう。

当時の清朝は、広州の13社の特許商社(広州十三行)を介した管理貿易を行ない、民間による対外交渉を禁じた閉鎖体制を執っていた。
この閉鎖体制を打ち破り、市場の対外開放を求め、イギリスは戦争を仕掛けたわけだ。

戦勝国イギリスは上海・寧波・福州・泉州・広州の中国南部沿海主要5港を対外開放されると共に、対中貿易前進基地として香港島の割譲に成功した。
ここで中華帝国たる清朝の根幹を揺るがす大問題が発生する。

まさに中華帝国の「解体の過程」が、必然的に起ってしまったからなのだ。

読者の声
(読者の声1)貴誌前号投書欄で安保法制反対デモを批判したものがあり、「「主催者発表」で12万人、警視庁の推定で3万人が集まった。この数字の開き、意図的です」云々とありました。
参加者の一部から、「なんだ、まるでコミケじゃね?」とかいう言葉があったと、ネットのニュースで見ました。たぶん若い人でしょう。
コミケというのは「コミックマーケット」の略で、アニメとか漫画の同人誌即売会なのですが、元々おたく集まりだったところから始まった、アニメのお祭りだと思えば、大まかに言えば間違っていないと思います。
8月16日ごろにコミケがあったようなので、そこでなんかやっていた人たちを見て、ノリノリで、あるいは物見遊山で参加した人も少なからずいたようです。
「お祭りを楽しんでいるような」というご感想はもっともだと思います。
(NS生、千葉)

(宮崎正弘のコメント)安保改訂の条文も読まないで「アンポ反対」と叫んでいたのが、西部遭、唐牛健太郎らの諸氏でした。70年アンポ前の全共闘やノンセクトラジカル、そして「べ平連」は一種風俗でした。組織に属することをいやがる、それでいて世の中を騒がせたいスノビズムが混在していた。
「ベ平連」の偽善をいち早く見ぬいて運動から抜け出したのが開高健でした。
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歴史戦 日露戦争勝利! 愛国者はあつまろう!
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「ポーツマス条約110周年 日露戦争の意義を考える国民の集い」
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――九月三日、北京で抗日戦争勝利(?)の軍事パレード
ファシズムの軍国主義国家(中国)が「反ファシズム」とは笑止千万
――中国、韓国の「反日」、出鱈目な歴史観。日本は座したままで良いのでしょうか?


とき 9月5日(土曜日)午後2時(一時半開場)
ところ 千代田区永田町「星陵会館」 二階大ホール
http://www.seiryokai.org/kaikan/map.html
資料代 千円
どなたでも「予約なし」でご参加いただけます。

<プログラム>
開会の辞 加瀬英明、来賓挨拶 西村真悟
「日露戦争の歴史的意義を問う」 前防衛大学授 平間洋一
「満蒙とは何だったのか」 近現代史家 宮脇淳子
ほかに藤岡信勝、馬渕睦夫、福井雄三、水島総の各氏ら。
主催 ポーツマス条約110周年 国民の集い実行委員会
宮崎正弘のロングセラー
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『アジアインフラ投資銀行の凄惨な末路』(PHP研究所、999円)
『日本が在日米軍を買収し、第七艦隊を吸収・合併する日』(ビジネス社)
『中国、韓国は自滅し、アジアの時代がやってくる!』(海竜社、1080円)
『中国大破綻 ついに失われる20年に突入する』(PHP研究所、1404円)
『日本と世界を動かす悪の「孫子」』(ビジネス社。1188円)
『吉田松陰が復活する』(並木書房、定価1620円)
『中国・韓国を“本気で”見捨て始めた世界』(徳間書店 1080円)
『台湾烈々 世界一の親日国家がヤバイ』(ビジネス社、1188円)
『「中国の時代」は終わった』(海竜社、定価1080円)
『中国共産党、三年以内に崩壊する!?』(海竜社、1080円)
『中国バブル崩壊が始まった』(海竜社、1080円)
『中国 大嘘つき国家の犯罪』(文芸社文庫、713円)

<宮崎正弘の対談シリーズ>
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宮崎正弘 v 渡邊哲也『激動する世界経済!』(ワック、994円)
宮崎正弘 v 室谷克実『日本に惨敗し ついに終わる中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 小川榮太郎『保守の原点』(海竜社。1620円)
宮崎正弘 v 室谷克実『仲良く自滅する中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 川口マーン惠美『なぜ中国人とドイツ人は馬が合うのか?』(ワック)
宮崎正弘 v 石平『2015年 中国の真実』(ワック、シリーズ第五弾)
(石平さんとの第六弾は、十月中旬発売予定です。ご期待下さい)
宮崎正弘 v 大竹慎一『中国崩壊で日本はこうなる』(1512円。徳間書店)
宮崎正弘 v 西部遭『日米安保五十年』(海竜社)
宮崎正弘 v 黄文雄『世界が知らない中国人の野蛮』(徳間書店)
宮崎正弘 v 佐藤優『猛毒国家に囲まれた日本』(海竜社)
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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