嘘に嘘を重ねて膨らませてきた結果、何が本当なのか中国自身わからない
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)9月3日(木曜日)
通算第4645号
嘘に嘘を重ねて膨らませてきた結果、何が本当なのか中国自身わからない
「世界一の外貨準備高」、じつは空っぽなのだ
*******************
小誌が屡々指摘してきたことだが、「世界一」の外貨準備高を誇る中国の化けの皮が剥がれた。
「ある、ある」と豪語してきた世界一のドル資産が、一夜にしてバラックホールに吸い込まれたかのように消える。おこりうるシナリオである。
なんでもあり、の中国だから、史上空前の詐欺行為が行われているとすれば、至極可能性の高いことになる。
かねてより、CIA筋の調査で中国から流れ出した外貨が3兆800億ドルとされ、2015年6月末の中国の外貨準備が3兆6500億ドルだから、差し引きすると、中国の外貨準備の中味は、5700億ドルでしかない。
これは単純な引き算で、もっと複雑な要素がからむが、要するに中国は嘘に嘘を重ねて膨らませてきた結果、何が本当なのか中国自身、わからない状態、これを「新常態」と言い換えているかのようである。
第一にもっとも重要な外貨準備指標は「経常収支」であり、この数字をみると、中国の2015年三月まで一年間の統計は2148億ドル。
ところが外貨準備は同期間に2632億ドル減少している。
膨大な外貨が流失しているから、こういう数字の齟齬がおこると考えられるだろう。
そこで嘘の上塗り、つまり架空の数字をつくりかえ、粉飾のうえに粉飾をおこなう。
そもそも「GDP世界第二位」というのは真っ赤な嘘である。
GDPのなかで、「投資」が締める割合が48%、こういうことはどう考えてもあり得ない。
シルクロード構想は財源が450億ドルである。
ベネズエラに投資した額は450億ドル前後、アンゴラへの海底油田への投資は焦げ付いたという情報があり、リビアでは100本のプロジェクトが灰燼に帰した。
以下、スリランカ、ジンバブエ、スーダン、ブラジル等々。
世界中で中国が展開した世紀のプロジェクトの惨状である。
豪、カナダ、ニュージーランドなどには鉄鉱石鉱区を買収し、開発していたが、鉄鋼不況に遭遇し、開発を中断した。
このあおりで豪ドル、カナダドル、NZドルが下落した。
にもかかわらず、たとえば中国の2013年末の海外直接投資残高は6605億ドルだったが、15年3月には9858億ドルと急激な増加が見られる。
2015年3月末の対外債務残高は直接投資が2兆7515億ドル、証券が9676億ドル。合計3兆7191億ドル。
さて冒頭に述べたように中国の外貨準備が3兆6500億ドルとすれば、差し引きは、マイナス691億ドルである。
マイナスである。
この実態がごまかせたのは中国へ外国からの直接投資と証券投資だった。
それが、上海株式暴落と、人民元切り下げ、不動産バブル壊滅を目撃して、一斉に海外へ引き揚げを始めたわけだ。
「外貨準備高」というのは貿易ならびに貿易外収支を合算しての対外経常収支の黒字の累積である。
だから日本の外貨準備は2015年七月末で1兆2700億ドル、この殆どが米国債で保有しているため、金利収入で着実に増え続ける。
ところが中国の「外貨準備」と称するものの統計は外貨資産と海外からの借り入れを「短期外貨資産」に参入しているフシが濃厚なのである。
お得意の誤魔化し、要するに借入金を「収入」欄に記載しているのである。
日本の対外純資産に対しての外貨準備高比率は16%だが、中国のそれは59%(数字はいずれも武者陵司氏(JBプレス、9月2日)。
つまり史上空前のネズミ講のからくりが、数字から推測できる。
どう考えても次は人民元の大暴落だろう。
◎□ ▽○ ◎
♪
(読者の声1)貴誌4644号に西尾幹二氏の『維新の源流としての水戸学』(徳間書店)の書評があります。
書評対象の本を読んでいませんが、いつもながらの流麗な書評です。
ご指摘の通り「後期水戸学」の特色は国際環境の変化によって「歴史をもっと違う見方で見るようになってくる。
欧米という先進世界と戦わなければならない状態になって」、国防が重視されるという特徴が濃厚にでてきています。
西尾氏は当然著書の中にかかれていると思いますが、後期水戸学が南朝を正統としたうえで、南朝を吸収した後の北朝系の皇室を是認し、後醍醐天皇以降の時代をも大日本史に記載することを可能としたのは、論賛削除という破天荒な企てです。
Wikipediaの立原 翠軒(たちはら すいけん、延享元年6月7日(1744年7月16日) - 文政6年3月4日(1823年4月14日))の項によると高橋担室が『大日本史』の論賛を削除すべきである旨を上書し、藤田幽谷もこれに同調したとのことです。
宮崎さんは書評で、
「吉田松陰は水戸へ遊学し、会沢正志齋のもとに足繁く通った。松陰は水戸学を通じて、日本史を発見し、先師・山鹿素行をこえる何ものかを身につけた」
と書かれましたが、
「先師・山鹿素行をこえる何ものか」ではなく、認識の幅を拡大したということでしょう。
「したがって奇妙なことに国学のひとたちは儒仏思想を排斥しましたが、水戸学は仏教を排斥したものの、儒教は排斥するどころか、依存しています」とありますが、松陰も読んだ『中朝事実』の内容を考えれば、素行の方が遙かに先にいっていたことを松陰も理解していたことと思います。
『中朝事実』の講読を乃木将軍が創められた素行会が毎月明治神宮会館第一研修室で行っています。
9月26日の素行先生の御命日には、新宿区牛込弁天町の宗参寺にて午後1時からのご法要後に、神知章の結論部分という非常に重要なところの講読があります。
(ST生、千葉)
♪
(読者の声2)「『史実を世界に発信する会たより』No.9のご案内」です。
『史実を世界に発信する会たより』Vol. 9(8月5日発効)のPDF版をご案内いたします。
終戦70年の阿部談話をめぐり、あいも変わらず『侵略』を認めろ、『謝罪をせよ』という主張が、マスコミを中心にまかり通っています。
日本が戦勝国であったら、70周年ということで、大々的に記念式典を行い、70年を振り返る談話をだすというのは納得できます。世界の常識のというものでしょう。しかし敗戦70周年だからといって、なんでわざわざ談話を発表しなければいけないのだ、と言いたくなります。
70年ということで、むしろ行うべきことは今こそあの戦争を客観的な視野のもとで振り返る機会ではないかと思います。
黄文雄氏は「中国は日本に感謝し、靖国に参拝せよ」という論文を『歴史通』3月特別号に発表しましたが、その中で、「台湾人は幸い、東京裁判史観に染まることがなかった。だから日本の戦争が。まさしくアジアのレコンキスタであり、それによって欧米植民地勢力が駆逐された史実を率直に受け止め」と書いています。
同じく東京裁判に影響されていないアメリカ第の31代大統領フーバがその大著『Freedom Betrayed』(裏切られた自由)の中で、「日本との戦争の全ては、戦争に入りたいという狂人(ルーズベルト)の欲望であった」と書いています。
このような「率直な」歴史観を回復する機会として終戦70年を捉えるべきではないかと考える次第です。
今後共皆様のご支援よろしくお願い致します。
No. 9: http://www.sdh-fact.com/CL/tayoriNo.9.pdf
会員、支援金申込書: http://www.sdh-fact.com/CL/shien.pdf
(「史実を世界に発信する会」事務局長 茂木弘道)
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(読者の声3)支那事変を理解する方法を工夫してみました。以下に記します。
題して、「支那事変 鮎の友釣り論」
中共が天皇陛下への謝罪を要求し中共の対日敵対が明確になった。
そこで、日本人の対応としては、支那事変の因果関係を正確に分析し、中共の被害者偽装を許さないことがポイントである。
しかし支那事変は欧亜にまたがる世界規模の大戦略、国際的な多くの重大事件、そしてスターリンの情報隠蔽や偽情報の数々がありわかりにくい。
このため、日本の愛国者でも支那事変の因果関係を正しく理解できる人は少ない。
そこで日本人は南京事件のように力を合わせて研究し、成果を同胞に広く周知し若い世代に継承することが望まれる。
支那事変は途中で満洲狙いの米国が迷い込んできたが、戦争の因果関係の本筋はソ連の独ソ戦を控えた極東工作と見ると分かり易い。
私はすでにこの歴史観による支那事変の因果関係をアパ論文やユーチューブ講座などで広報してきたが、今回はソ連の支那事変工作を鮎の友釣りを例に説明してみたい。
鮎の友釣りは、空針2本の仕掛けを作り、1つの針には囮の鮎を背掛けし、もう1本は空針のまま川の流れに入れる。
この囮鮎に対して縄張りを守ろうとする野鮎が体当たりすると、2本目の針に引っかかるという仕組みだ。
素人には2匹が釣れたように見えるが1匹は囮、1匹は犠牲者の鮎である。
そこで支那事変を見ると、囮の鮎は蒋介石だ。
彼の上海日本人居留民攻撃に対して、反撃し空針に引っかかって大損害を出したのが日本だ。
日本はその後必死に講和を提案して針を外そうとしたが釣師が囮を操作して針を外させない。
この悪魔の釣師がソ連のスターリンだった。
中共の毛沢東はスターリンの助手で、囮用の蒋介石を西安事件で張学良を使って捕らえた。
こんな見立てでどうだろうか。
支那事変の分析では、日本は日中戦争という表現を止めることだ。
日本が戦ったのは蒋介石だから、日本・蒋介石戦争、あるいは日本・国民党戦争というのが正しい。
中共にとって対日戦争は戦後の国共内戦に備えて国民党軍を弱体化させるのが狙いだったから、当然高みの見物を決め込んでおり、ほとんど戦争をしていない。
そして支那を中国(世界の中心)と呼ぶのは止めよう。
自動的に日本は東夷に成り下がる。
聖徳太子の日本支那対等の教えに反する。
また中共の使う「抗日」表現は対日表現に改める。
これは本来は排日だったが、ソ連KGBの専門家が蒋介石を指導し、抗日に変えさせた。
それは抵抗には正当性という意味があるからである。
共産主義の宣伝はここまで細かく用語を分析して選んで使っている。
スターリンは秘密の工作を誤魔化すために偽情報を出した。
その一つが「西安事件では毛沢東が捕らえた蒋介石を殺そうとしたがスターリンが止めたので地団駄を踏み、真っ赤になって怒った」という説である。
一見まことしやかだが、蒋介石を生かして使う戦略ははじめから決まっていた。
そして狡猾な毛沢東が左翼の神と恐れられたスターリンに反抗する姿勢を示すなどやるわけがない。
そして米人エドガー・スノーによるとこの話は宋慶齢からの伝聞という。
何の根拠もないのだ。
宋慶齢は宋家三姉妹の長姉で孫文の未亡人でありスターリン直系の共産主義者だ。
この情報の目的は、スターリンが西安事件の首謀者であったことを隠すためである。
ちなみに当時のソ連タス通信は、西安事件をあろうことか日本の陰謀と発表している。
世界の人々を欺し混乱させる謀略工作だ。
なお支那事変における宋慶齢の役割としては、南京の宋美齢にスターリンの蒋介石釈放条件を伝えた可能性がある。
これを受けて宋美齢が西安に飛び、監禁中の夫に伝え、この条件を蒋介石が呑んで釈放された可能性がある。
周恩来も監禁中の蒋介石を訪れているが、こちらは降伏しないとモスクワの長男蒋経国ともども人民裁判にかけて惨殺処刑すると脅したのではないか。
西安事件の前兆として、事件の半年前の1936年6月頃スノーが延安を訪ねた時、彼は周恩来から「蒋介石の対日攻撃の始まりが彼の没落の始まりになる」という意見を聞いている。
そこでメモすると周恩来は、蒋介石を警戒させるので、オフレコを依頼した。
このためスノーはこの史実を20年後の1957年に「中共雑記」で公表している。
ソ連の支那工作では、ボロディンらが有名だが、彼等は独ソ戦争の動向がはっきりするとモスクワに召喚され皆処刑されてしまった。
スターリン一流の口封じである。
1991年のソ連崩壊後、スターリンの援蒋行為として、3億ドル(当時)に上る巨額の軍事借款や飛行機一千機、軍事要員4千名に上る厖大な軍事援助が明らかになった。
また支那事変に従軍した多数のソ連空軍操縦士の回想録が出版された。
こうしてみると支那事変は明らかにソ連の蒋介石を使った対日戦争であった。
中共は対日戦勝利と言うが、戦ったのは国民党である。
中共はソ連の助手として、重慶で蒋介石を監視していた。
蒋介石は日本軍に形式的に勝利したが、重要なヤルタ会談やポツダム会議には用済みで呼ばれず、1949年には国共内戦に敗退して支那を奪われてしまった。
所詮、スターリンの囮鮎だったのである。
このように支那事変は複雑でわかりにくい。
鮎の友釣り論が理解の参考になれば幸いである。
(東海子)
♪
(読者の声4)今から数年前に米国のある有名大学が、数十年にわたって証券市場に影響があるような事件と株価の相関関係を調べた結果を発表しました。
はっきりと原因となった事件が特定できる場合は、株価の変動は、3日か4日でおさまっているのに対して、原因不明の株価上昇や下降はかなり長く続いていたそうです。
8月24日以来一週間以上株価の大きな揺れが続いています。後者のケースであることが明確です。
中国経済の低迷は貿易額等から半年くらい前から明確だったので、それが原因ではありえません。
外人株主がほとんどいない上海市場の影響が海外であるはずがありません。
あったとしても、陸続きの韓国くらいのはずです。
(ST生、千葉)
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本日、北京で抗日軍事パレード 中国の反日悪態は醜悪になった
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歴史戦 日露戦争勝利! 愛国者はあつまろう!
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「ポーツマス条約110周年 日露戦争の意義を考える国民の集い」
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――九月三日、北京で抗日戦争勝利(?)の軍事パレード
ファシズムの軍国主義国家(中国)が「反ファシズム」とは笑止千万
――中国、韓国の「反日」、出鱈目な歴史観。日本は座したままで良いのでしょうか?
記
とき 9月5日(土曜日)午後2時(一時半開場)
ところ 千代田区永田町「星陵会館」 二階大ホール
http://www.seiryokai.org/kaikan/map.html
資料代 千円
どなたでも「予約なし」でご参加いただけます。
<プログラム>
開会の辞 加瀬英明、来賓挨拶 西村真悟
「日露戦争の歴史的意義を問う」 前防衛大学授 平間洋一
「満蒙とは何だったのか」 近現代史家 宮脇淳子
ほかに藤岡信勝、馬渕睦夫、福井雄三、水島総の各氏ら。
主催 「ポーツマス条約110周年 国民の集い」実行委員会
どなたでも「予約なし」でご参加いただけます。
宮崎正弘の新刊案内 http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
宮崎正弘のロングセラー
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『アジアインフラ投資銀行の凄惨な末路』(PHP研究所、999円)
『日本が在日米軍を買収し、第七艦隊を吸収・合併する日』(ビジネス社)
『中国、韓国は自滅し、アジアの時代がやってくる!』(海竜社、1080円)
『中国大破綻 ついに失われる20年に突入する』(PHP研究所、1404円)
『日本と世界を動かす悪の「孫子」』(ビジネス社。1188円)
『吉田松陰が復活する』(並木書房、定価1620円)
『中国・韓国を“本気で”見捨て始めた世界』(徳間書店 1080円)
『台湾烈々 世界一の親日国家がヤバイ』(ビジネス社、1188円)
『「中国の時代」は終わった』(海竜社、定価1080円)
『中国共産党、三年以内に崩壊する!?』(海竜社、1080円)
『中国バブル崩壊が始まった』(海竜社、1080円)
『中国 大嘘つき国家の犯罪』(文芸社文庫、713円)
<宮崎正弘の対談シリーズ>
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宮崎正弘 v 渡邊哲也『激動する世界経済!』(ワック、994円)
宮崎正弘 v 室谷克実『日本に惨敗し ついに終わる中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 小川榮太郎『保守の原点』(海竜社。1620円)
宮崎正弘 v 室谷克実『仲良く自滅する中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 川口マーン惠美『なぜ中国人とドイツ人は馬が合うのか?』(ワック)
宮崎正弘 v 石平『2015年 中国の真実』(ワック、シリーズ第五弾)
(石平さんとの第六弾は、十月中旬発売予定です。ご期待下さい)
宮崎正弘 v 大竹慎一『中国崩壊で日本はこうなる』(1512円。徳間書店)
宮崎正弘 v 西部遭『日米安保五十年』(海竜社)
宮崎正弘 v 黄文雄『世界が知らない中国人の野蛮』(徳間書店)
宮崎正弘 v 佐藤優『猛毒国家に囲まれた日本』(海竜社)
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
(C)有限会社宮崎正弘事務所 2015 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示
平成27年(2015)9月3日(木曜日)
通算第4645号
嘘に嘘を重ねて膨らませてきた結果、何が本当なのか中国自身わからない
「世界一の外貨準備高」、じつは空っぽなのだ
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小誌が屡々指摘してきたことだが、「世界一」の外貨準備高を誇る中国の化けの皮が剥がれた。
「ある、ある」と豪語してきた世界一のドル資産が、一夜にしてバラックホールに吸い込まれたかのように消える。おこりうるシナリオである。
なんでもあり、の中国だから、史上空前の詐欺行為が行われているとすれば、至極可能性の高いことになる。
かねてより、CIA筋の調査で中国から流れ出した外貨が3兆800億ドルとされ、2015年6月末の中国の外貨準備が3兆6500億ドルだから、差し引きすると、中国の外貨準備の中味は、5700億ドルでしかない。
これは単純な引き算で、もっと複雑な要素がからむが、要するに中国は嘘に嘘を重ねて膨らませてきた結果、何が本当なのか中国自身、わからない状態、これを「新常態」と言い換えているかのようである。
第一にもっとも重要な外貨準備指標は「経常収支」であり、この数字をみると、中国の2015年三月まで一年間の統計は2148億ドル。
ところが外貨準備は同期間に2632億ドル減少している。
膨大な外貨が流失しているから、こういう数字の齟齬がおこると考えられるだろう。
そこで嘘の上塗り、つまり架空の数字をつくりかえ、粉飾のうえに粉飾をおこなう。
そもそも「GDP世界第二位」というのは真っ赤な嘘である。
GDPのなかで、「投資」が締める割合が48%、こういうことはどう考えてもあり得ない。
シルクロード構想は財源が450億ドルである。
ベネズエラに投資した額は450億ドル前後、アンゴラへの海底油田への投資は焦げ付いたという情報があり、リビアでは100本のプロジェクトが灰燼に帰した。
以下、スリランカ、ジンバブエ、スーダン、ブラジル等々。
世界中で中国が展開した世紀のプロジェクトの惨状である。
豪、カナダ、ニュージーランドなどには鉄鉱石鉱区を買収し、開発していたが、鉄鋼不況に遭遇し、開発を中断した。
このあおりで豪ドル、カナダドル、NZドルが下落した。
にもかかわらず、たとえば中国の2013年末の海外直接投資残高は6605億ドルだったが、15年3月には9858億ドルと急激な増加が見られる。
2015年3月末の対外債務残高は直接投資が2兆7515億ドル、証券が9676億ドル。合計3兆7191億ドル。
さて冒頭に述べたように中国の外貨準備が3兆6500億ドルとすれば、差し引きは、マイナス691億ドルである。
マイナスである。
この実態がごまかせたのは中国へ外国からの直接投資と証券投資だった。
それが、上海株式暴落と、人民元切り下げ、不動産バブル壊滅を目撃して、一斉に海外へ引き揚げを始めたわけだ。
「外貨準備高」というのは貿易ならびに貿易外収支を合算しての対外経常収支の黒字の累積である。
だから日本の外貨準備は2015年七月末で1兆2700億ドル、この殆どが米国債で保有しているため、金利収入で着実に増え続ける。
ところが中国の「外貨準備」と称するものの統計は外貨資産と海外からの借り入れを「短期外貨資産」に参入しているフシが濃厚なのである。
お得意の誤魔化し、要するに借入金を「収入」欄に記載しているのである。
日本の対外純資産に対しての外貨準備高比率は16%だが、中国のそれは59%(数字はいずれも武者陵司氏(JBプレス、9月2日)。
つまり史上空前のネズミ講のからくりが、数字から推測できる。
どう考えても次は人民元の大暴落だろう。
◎□ ▽○ ◎
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(読者の声1)貴誌4644号に西尾幹二氏の『維新の源流としての水戸学』(徳間書店)の書評があります。
書評対象の本を読んでいませんが、いつもながらの流麗な書評です。
ご指摘の通り「後期水戸学」の特色は国際環境の変化によって「歴史をもっと違う見方で見るようになってくる。
欧米という先進世界と戦わなければならない状態になって」、国防が重視されるという特徴が濃厚にでてきています。
西尾氏は当然著書の中にかかれていると思いますが、後期水戸学が南朝を正統としたうえで、南朝を吸収した後の北朝系の皇室を是認し、後醍醐天皇以降の時代をも大日本史に記載することを可能としたのは、論賛削除という破天荒な企てです。
Wikipediaの立原 翠軒(たちはら すいけん、延享元年6月7日(1744年7月16日) - 文政6年3月4日(1823年4月14日))の項によると高橋担室が『大日本史』の論賛を削除すべきである旨を上書し、藤田幽谷もこれに同調したとのことです。
宮崎さんは書評で、
「吉田松陰は水戸へ遊学し、会沢正志齋のもとに足繁く通った。松陰は水戸学を通じて、日本史を発見し、先師・山鹿素行をこえる何ものかを身につけた」
と書かれましたが、
「先師・山鹿素行をこえる何ものか」ではなく、認識の幅を拡大したということでしょう。
「したがって奇妙なことに国学のひとたちは儒仏思想を排斥しましたが、水戸学は仏教を排斥したものの、儒教は排斥するどころか、依存しています」とありますが、松陰も読んだ『中朝事実』の内容を考えれば、素行の方が遙かに先にいっていたことを松陰も理解していたことと思います。
『中朝事実』の講読を乃木将軍が創められた素行会が毎月明治神宮会館第一研修室で行っています。
9月26日の素行先生の御命日には、新宿区牛込弁天町の宗参寺にて午後1時からのご法要後に、神知章の結論部分という非常に重要なところの講読があります。
(ST生、千葉)
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(読者の声2)「『史実を世界に発信する会たより』No.9のご案内」です。
『史実を世界に発信する会たより』Vol. 9(8月5日発効)のPDF版をご案内いたします。
終戦70年の阿部談話をめぐり、あいも変わらず『侵略』を認めろ、『謝罪をせよ』という主張が、マスコミを中心にまかり通っています。
日本が戦勝国であったら、70周年ということで、大々的に記念式典を行い、70年を振り返る談話をだすというのは納得できます。世界の常識のというものでしょう。しかし敗戦70周年だからといって、なんでわざわざ談話を発表しなければいけないのだ、と言いたくなります。
70年ということで、むしろ行うべきことは今こそあの戦争を客観的な視野のもとで振り返る機会ではないかと思います。
黄文雄氏は「中国は日本に感謝し、靖国に参拝せよ」という論文を『歴史通』3月特別号に発表しましたが、その中で、「台湾人は幸い、東京裁判史観に染まることがなかった。だから日本の戦争が。まさしくアジアのレコンキスタであり、それによって欧米植民地勢力が駆逐された史実を率直に受け止め」と書いています。
同じく東京裁判に影響されていないアメリカ第の31代大統領フーバがその大著『Freedom Betrayed』(裏切られた自由)の中で、「日本との戦争の全ては、戦争に入りたいという狂人(ルーズベルト)の欲望であった」と書いています。
このような「率直な」歴史観を回復する機会として終戦70年を捉えるべきではないかと考える次第です。
今後共皆様のご支援よろしくお願い致します。
No. 9: http://www.sdh-fact.com/CL/tayoriNo.9.pdf
会員、支援金申込書: http://www.sdh-fact.com/CL/shien.pdf
(「史実を世界に発信する会」事務局長 茂木弘道)
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(読者の声3)支那事変を理解する方法を工夫してみました。以下に記します。
題して、「支那事変 鮎の友釣り論」
中共が天皇陛下への謝罪を要求し中共の対日敵対が明確になった。
そこで、日本人の対応としては、支那事変の因果関係を正確に分析し、中共の被害者偽装を許さないことがポイントである。
しかし支那事変は欧亜にまたがる世界規模の大戦略、国際的な多くの重大事件、そしてスターリンの情報隠蔽や偽情報の数々がありわかりにくい。
このため、日本の愛国者でも支那事変の因果関係を正しく理解できる人は少ない。
そこで日本人は南京事件のように力を合わせて研究し、成果を同胞に広く周知し若い世代に継承することが望まれる。
支那事変は途中で満洲狙いの米国が迷い込んできたが、戦争の因果関係の本筋はソ連の独ソ戦を控えた極東工作と見ると分かり易い。
私はすでにこの歴史観による支那事変の因果関係をアパ論文やユーチューブ講座などで広報してきたが、今回はソ連の支那事変工作を鮎の友釣りを例に説明してみたい。
鮎の友釣りは、空針2本の仕掛けを作り、1つの針には囮の鮎を背掛けし、もう1本は空針のまま川の流れに入れる。
この囮鮎に対して縄張りを守ろうとする野鮎が体当たりすると、2本目の針に引っかかるという仕組みだ。
素人には2匹が釣れたように見えるが1匹は囮、1匹は犠牲者の鮎である。
そこで支那事変を見ると、囮の鮎は蒋介石だ。
彼の上海日本人居留民攻撃に対して、反撃し空針に引っかかって大損害を出したのが日本だ。
日本はその後必死に講和を提案して針を外そうとしたが釣師が囮を操作して針を外させない。
この悪魔の釣師がソ連のスターリンだった。
中共の毛沢東はスターリンの助手で、囮用の蒋介石を西安事件で張学良を使って捕らえた。
こんな見立てでどうだろうか。
支那事変の分析では、日本は日中戦争という表現を止めることだ。
日本が戦ったのは蒋介石だから、日本・蒋介石戦争、あるいは日本・国民党戦争というのが正しい。
中共にとって対日戦争は戦後の国共内戦に備えて国民党軍を弱体化させるのが狙いだったから、当然高みの見物を決め込んでおり、ほとんど戦争をしていない。
そして支那を中国(世界の中心)と呼ぶのは止めよう。
自動的に日本は東夷に成り下がる。
聖徳太子の日本支那対等の教えに反する。
また中共の使う「抗日」表現は対日表現に改める。
これは本来は排日だったが、ソ連KGBの専門家が蒋介石を指導し、抗日に変えさせた。
それは抵抗には正当性という意味があるからである。
共産主義の宣伝はここまで細かく用語を分析して選んで使っている。
スターリンは秘密の工作を誤魔化すために偽情報を出した。
その一つが「西安事件では毛沢東が捕らえた蒋介石を殺そうとしたがスターリンが止めたので地団駄を踏み、真っ赤になって怒った」という説である。
一見まことしやかだが、蒋介石を生かして使う戦略ははじめから決まっていた。
そして狡猾な毛沢東が左翼の神と恐れられたスターリンに反抗する姿勢を示すなどやるわけがない。
そして米人エドガー・スノーによるとこの話は宋慶齢からの伝聞という。
何の根拠もないのだ。
宋慶齢は宋家三姉妹の長姉で孫文の未亡人でありスターリン直系の共産主義者だ。
この情報の目的は、スターリンが西安事件の首謀者であったことを隠すためである。
ちなみに当時のソ連タス通信は、西安事件をあろうことか日本の陰謀と発表している。
世界の人々を欺し混乱させる謀略工作だ。
なお支那事変における宋慶齢の役割としては、南京の宋美齢にスターリンの蒋介石釈放条件を伝えた可能性がある。
これを受けて宋美齢が西安に飛び、監禁中の夫に伝え、この条件を蒋介石が呑んで釈放された可能性がある。
周恩来も監禁中の蒋介石を訪れているが、こちらは降伏しないとモスクワの長男蒋経国ともども人民裁判にかけて惨殺処刑すると脅したのではないか。
西安事件の前兆として、事件の半年前の1936年6月頃スノーが延安を訪ねた時、彼は周恩来から「蒋介石の対日攻撃の始まりが彼の没落の始まりになる」という意見を聞いている。
そこでメモすると周恩来は、蒋介石を警戒させるので、オフレコを依頼した。
このためスノーはこの史実を20年後の1957年に「中共雑記」で公表している。
ソ連の支那工作では、ボロディンらが有名だが、彼等は独ソ戦争の動向がはっきりするとモスクワに召喚され皆処刑されてしまった。
スターリン一流の口封じである。
1991年のソ連崩壊後、スターリンの援蒋行為として、3億ドル(当時)に上る巨額の軍事借款や飛行機一千機、軍事要員4千名に上る厖大な軍事援助が明らかになった。
また支那事変に従軍した多数のソ連空軍操縦士の回想録が出版された。
こうしてみると支那事変は明らかにソ連の蒋介石を使った対日戦争であった。
中共は対日戦勝利と言うが、戦ったのは国民党である。
中共はソ連の助手として、重慶で蒋介石を監視していた。
蒋介石は日本軍に形式的に勝利したが、重要なヤルタ会談やポツダム会議には用済みで呼ばれず、1949年には国共内戦に敗退して支那を奪われてしまった。
所詮、スターリンの囮鮎だったのである。
このように支那事変は複雑でわかりにくい。
鮎の友釣り論が理解の参考になれば幸いである。
(東海子)
♪
(読者の声4)今から数年前に米国のある有名大学が、数十年にわたって証券市場に影響があるような事件と株価の相関関係を調べた結果を発表しました。
はっきりと原因となった事件が特定できる場合は、株価の変動は、3日か4日でおさまっているのに対して、原因不明の株価上昇や下降はかなり長く続いていたそうです。
8月24日以来一週間以上株価の大きな揺れが続いています。後者のケースであることが明確です。
中国経済の低迷は貿易額等から半年くらい前から明確だったので、それが原因ではありえません。
外人株主がほとんどいない上海市場の影響が海外であるはずがありません。
あったとしても、陸続きの韓国くらいのはずです。
(ST生、千葉)
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本日、北京で抗日軍事パレード 中国の反日悪態は醜悪になった
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歴史戦 日露戦争勝利! 愛国者はあつまろう!
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「ポーツマス条約110周年 日露戦争の意義を考える国民の集い」
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――九月三日、北京で抗日戦争勝利(?)の軍事パレード
ファシズムの軍国主義国家(中国)が「反ファシズム」とは笑止千万
――中国、韓国の「反日」、出鱈目な歴史観。日本は座したままで良いのでしょうか?
記
とき 9月5日(土曜日)午後2時(一時半開場)
ところ 千代田区永田町「星陵会館」 二階大ホール
http://www.seiryokai.org/kaikan/map.html
資料代 千円
どなたでも「予約なし」でご参加いただけます。
<プログラム>
開会の辞 加瀬英明、来賓挨拶 西村真悟
「日露戦争の歴史的意義を問う」 前防衛大学授 平間洋一
「満蒙とは何だったのか」 近現代史家 宮脇淳子
ほかに藤岡信勝、馬渕睦夫、福井雄三、水島総の各氏ら。
主催 「ポーツマス条約110周年 国民の集い」実行委員会
どなたでも「予約なし」でご参加いただけます。
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