毒舌!医療と生物をやさしく読み解く入門
毒舌!医療と生物をやさしく読み解く入門
No.516/2015/8/24
http://www.unlimit517.co.jp/melmaga.htm
「元気にやっていますか?」 医療再構築人・田畑です。
経験をするのも貴重な事だし、その話を聞くのも得難い体験。そう痛感する。
だが、例え、それが「戦争」だとしても、その人の判断迄、正答とは言えぬ。
何だかなぁ~・・・
2人死亡。5人重軽傷。その代償は余りに大きかったのか。想像に難くない。
S県N町の川で獣害対策用の「電気柵」を設置した人。その人が自殺を選択。
それも、当の「電気柵」で、感電した状態で発見される。悲痛な結末を辿る。
彼を・・・
追い詰めた物は「電気柵」。それの何処に問題があったのか?検証をしたい。
先ず、「電気柵」とは如何な物か。この辺りでは「鹿や猪から作物を守る為、
半数以上の人が設置」。件の家では「川岸の斜面になる紫陽花の花壇の保護」
問題点とは・・・
───────────────────────────────────
●「市販品」ではなく、部品を組み合わせて「自作した物」だった。
●100ボルトの家庭用コンセントを電源にしていた。
●電圧を440ボルトまで上げる変圧器が接続されていた。
●短い間隔で電気を流す「パルス」タイプではなく、継続して電気を流す物。
●普段は「夜間だけ通電」。この日(午後4時半)は「切り忘れた」可能性有。
●設置する義務のある「感電注意」の表示が見え難かった可能性有。
●事故後、「電気柵」の一部が壊れ、電線が水に漬かっていた。
───────────────────────────────────
*事故後も「漏電」していた可能性が高い。
*濡れた状態で100ボルトの電気に接すると「ショック死」する可能性有。
*2009年、H県で発生した「感電死事故」を受けて、30ボルト以上の
電源を用いる「電気柵」(今回の物は対象内)には漏電した時、瞬間的に
電気を遮断する機器(漏電遮断器)の設置が義務付けられている。
───────────────────────────────────
早速、北海道で調査した処・・・
───────────────────────────────────
全道179市町村中137市町村(約76.5%)から回答有
───────────────────────────────────
■137市町村に、獣害対策や放牧管理用の「電気柵」9756ヵ所
───────────────────────────────────
■その内31市町村(約22.6%)958ヵ所(約0.98%)
→ 安全対策の不備 →「危険を知らせる表示無し」931ヵ所
→「漏電遮断器無し」 212ヵ所
→「電圧を制御する装置無し」 1ヵ所
───────────────────────────────────
*但し、S市の様な家庭用コンセントから直接繋ぐ「自作」は未発見。
*「表示」については、経年劣化や風雨で、看板が破損、紛失多し。
───────────────────────────────────
それでは、安全、安心な「電気柵」とは・・・
───────────────────────────────────
★事故を起こした「電気柵」は、電気事業法に定める「正規の電気柵」とは
全く異なる違法で、危険な物。本来は「電気柵」と呼べる代物でない。
───────────────────────────────────
「正規の電気柵」とは・・・
───────────────────────────────────
☆動物を「感電死」させる事が目的ではない。
☆高電圧の「電気ショック(パルス電流)」を瞬間的に与えて、怖がって、
近付かない様に、学習させる物 = 『安全に感電させるシステム』
───────────────────────────────────
*「パルス電流」を発生させる電源装置(電牧器) → 交流100V
→ 乾電池、太陽電池の直流
───────────────────────────────────
原理は同じ・・・
───────────────────────────────────
【乾電池直流12Vの場合】
───────────────────────────────────
元の電源の電圧 → 昇電圧回路(インバーター回路) 数百ボルト↑
→ コンデンサー(蓄電器)に蓄電
→ 特殊な半導体素子を使った高電圧回路に流す
→ 出力側に「約1万ボルトの高い電圧」発生
→ 回路 → 「電気柵」に繋がっている(高圧電流) → 動物
→ 動物に与えられる電気エネルギー(電力量)はコンデンサーの容量分
→ 極微量 → 3千~1万分の1秒という短時間で「放電」完了
→ 動物や人間はショックを感じるが身体への影響は殆ど無し(静電気程)
→ 高電圧回路=トリガーという回路
→ 1~1.5秒毎にしか放電出来ない様に制御される
→ 人間が手を触れても、驚いて手を離し、続けて感電しない様配慮
───────────────────────────────────
【交流100Vの場合】
───────────────────────────────────
内部で、交流を直流に変えているだけ
→「電気柵」に流れるのは安全な『パルス電流』
→ 電気用品安全法に基づく「PSEマーク」「漏電防止装置」義務付け
→ 万が一のトラブルに備えた方策 = 「感電事故」の可能性は0近い
→ 市販されている「電気柵」を、取扱説明書を遵守して使用する。
───────────────────────────────────
「電気柵」というのは・・・
長い時間を掛けて、確立されて来た。「野生動物対策」には欠かせない技術。
自殺した方には申し訳ないが、今回の様な「違法」「危険」な使用方法禁物。
物は「電気」丈に、一歩間違えると「感電死」の可能性は充分に考えられる。
「野生動物対策」としては・・・
有効な為、国の補助も有。其れを利用し、これ迄、道内の農地で設置された
「電気柵」は、2008年度に延長75キロ、2011年度1137キロに、
急増。2014年度までの総延長は計4135キロにもなっている程である。
農地以外でも・・・
札幌のB小学校では、裏山からの羆侵入を防ぐ「電気柵」を約400m設置。
「電気牧柵きけん」と書かれた黄色い看板を設け、児童に触らない様に指導。
これによって、先生、児童達に『安心感』が増したとの事。利用価値は拡大。
この「電気柵」・・・
設置は「電気事業法」などで専用の変圧器を使用する等、安全な方法を規定。
処が、設置に「届出義務無し」。例えば、鹿用を200メートル張る場合は、
7~8万円と「安価」で規定を厳守すれば、更に「安全」「簡単」設置可能。
故に・・・
補助を受けずに、自腹で設置する可能性も高い。その場合は自己責任の為に、
「安全」をケチり、「お金」を優先する可能性高。今回の件も含め、それを、
防ぐ為にも「届出義務」を必須にした方が良い。設置後の補助も考慮すべし。
二度と・・・
悲劇を繰り返さない為にも肝要。利便性などだけじゃなく、未然に防ぐ事も、
国の重要な役割である。しかし、こういう事故を起こしてしまうと、近隣と、
関係が深い田舎町だけに、その「呪縛」から逃れるのが難しいのだろうねぇ。
故に・・・
事前に、事故を防止するしか無い。必要な物を「安全」に使う。特に昨今は、
世知辛くなり、個人だけじゃなく、企業も「安全」より「お金」を優先する
姿勢が増えて来ました。余裕が無いからこそ、「命」の尊さを学ぶべきでは。
~ここまで、読んでいただき、誠に、有り難う御座います~
より良い医療と生物を考える研究会 主宰
発行者:【医療・再構築人】田畑 拓也
HP: http://www.unlimit517.co.jp/melmaga.htm
(無料レポート「元MRが語る・医療と生物の信じられない実態2」配布中)
◎毒舌!医療と生物をやさしく読み解く入門 のバックナンバーはこちら
⇒ http://archive.mag2.com/0000132773/index.html
No.516/2015/8/24
http://www.unlimit517.co.jp/melmaga.htm
「元気にやっていますか?」 医療再構築人・田畑です。
経験をするのも貴重な事だし、その話を聞くのも得難い体験。そう痛感する。
だが、例え、それが「戦争」だとしても、その人の判断迄、正答とは言えぬ。
何だかなぁ~・・・
2人死亡。5人重軽傷。その代償は余りに大きかったのか。想像に難くない。
S県N町の川で獣害対策用の「電気柵」を設置した人。その人が自殺を選択。
それも、当の「電気柵」で、感電した状態で発見される。悲痛な結末を辿る。
彼を・・・
追い詰めた物は「電気柵」。それの何処に問題があったのか?検証をしたい。
先ず、「電気柵」とは如何な物か。この辺りでは「鹿や猪から作物を守る為、
半数以上の人が設置」。件の家では「川岸の斜面になる紫陽花の花壇の保護」
問題点とは・・・
───────────────────────────────────
●「市販品」ではなく、部品を組み合わせて「自作した物」だった。
●100ボルトの家庭用コンセントを電源にしていた。
●電圧を440ボルトまで上げる変圧器が接続されていた。
●短い間隔で電気を流す「パルス」タイプではなく、継続して電気を流す物。
●普段は「夜間だけ通電」。この日(午後4時半)は「切り忘れた」可能性有。
●設置する義務のある「感電注意」の表示が見え難かった可能性有。
●事故後、「電気柵」の一部が壊れ、電線が水に漬かっていた。
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*事故後も「漏電」していた可能性が高い。
*濡れた状態で100ボルトの電気に接すると「ショック死」する可能性有。
*2009年、H県で発生した「感電死事故」を受けて、30ボルト以上の
電源を用いる「電気柵」(今回の物は対象内)には漏電した時、瞬間的に
電気を遮断する機器(漏電遮断器)の設置が義務付けられている。
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早速、北海道で調査した処・・・
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全道179市町村中137市町村(約76.5%)から回答有
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■137市町村に、獣害対策や放牧管理用の「電気柵」9756ヵ所
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■その内31市町村(約22.6%)958ヵ所(約0.98%)
→ 安全対策の不備 →「危険を知らせる表示無し」931ヵ所
→「漏電遮断器無し」 212ヵ所
→「電圧を制御する装置無し」 1ヵ所
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*但し、S市の様な家庭用コンセントから直接繋ぐ「自作」は未発見。
*「表示」については、経年劣化や風雨で、看板が破損、紛失多し。
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それでは、安全、安心な「電気柵」とは・・・
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★事故を起こした「電気柵」は、電気事業法に定める「正規の電気柵」とは
全く異なる違法で、危険な物。本来は「電気柵」と呼べる代物でない。
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「正規の電気柵」とは・・・
───────────────────────────────────
☆動物を「感電死」させる事が目的ではない。
☆高電圧の「電気ショック(パルス電流)」を瞬間的に与えて、怖がって、
近付かない様に、学習させる物 = 『安全に感電させるシステム』
───────────────────────────────────
*「パルス電流」を発生させる電源装置(電牧器) → 交流100V
→ 乾電池、太陽電池の直流
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原理は同じ・・・
───────────────────────────────────
【乾電池直流12Vの場合】
───────────────────────────────────
元の電源の電圧 → 昇電圧回路(インバーター回路) 数百ボルト↑
→ コンデンサー(蓄電器)に蓄電
→ 特殊な半導体素子を使った高電圧回路に流す
→ 出力側に「約1万ボルトの高い電圧」発生
→ 回路 → 「電気柵」に繋がっている(高圧電流) → 動物
→ 動物に与えられる電気エネルギー(電力量)はコンデンサーの容量分
→ 極微量 → 3千~1万分の1秒という短時間で「放電」完了
→ 動物や人間はショックを感じるが身体への影響は殆ど無し(静電気程)
→ 高電圧回路=トリガーという回路
→ 1~1.5秒毎にしか放電出来ない様に制御される
→ 人間が手を触れても、驚いて手を離し、続けて感電しない様配慮
───────────────────────────────────
【交流100Vの場合】
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内部で、交流を直流に変えているだけ
→「電気柵」に流れるのは安全な『パルス電流』
→ 電気用品安全法に基づく「PSEマーク」「漏電防止装置」義務付け
→ 万が一のトラブルに備えた方策 = 「感電事故」の可能性は0近い
→ 市販されている「電気柵」を、取扱説明書を遵守して使用する。
───────────────────────────────────
「電気柵」というのは・・・
長い時間を掛けて、確立されて来た。「野生動物対策」には欠かせない技術。
自殺した方には申し訳ないが、今回の様な「違法」「危険」な使用方法禁物。
物は「電気」丈に、一歩間違えると「感電死」の可能性は充分に考えられる。
「野生動物対策」としては・・・
有効な為、国の補助も有。其れを利用し、これ迄、道内の農地で設置された
「電気柵」は、2008年度に延長75キロ、2011年度1137キロに、
急増。2014年度までの総延長は計4135キロにもなっている程である。
農地以外でも・・・
札幌のB小学校では、裏山からの羆侵入を防ぐ「電気柵」を約400m設置。
「電気牧柵きけん」と書かれた黄色い看板を設け、児童に触らない様に指導。
これによって、先生、児童達に『安心感』が増したとの事。利用価値は拡大。
この「電気柵」・・・
設置は「電気事業法」などで専用の変圧器を使用する等、安全な方法を規定。
処が、設置に「届出義務無し」。例えば、鹿用を200メートル張る場合は、
7~8万円と「安価」で規定を厳守すれば、更に「安全」「簡単」設置可能。
故に・・・
補助を受けずに、自腹で設置する可能性も高い。その場合は自己責任の為に、
「安全」をケチり、「お金」を優先する可能性高。今回の件も含め、それを、
防ぐ為にも「届出義務」を必須にした方が良い。設置後の補助も考慮すべし。
二度と・・・
悲劇を繰り返さない為にも肝要。利便性などだけじゃなく、未然に防ぐ事も、
国の重要な役割である。しかし、こういう事故を起こしてしまうと、近隣と、
関係が深い田舎町だけに、その「呪縛」から逃れるのが難しいのだろうねぇ。
故に・・・
事前に、事故を防止するしか無い。必要な物を「安全」に使う。特に昨今は、
世知辛くなり、個人だけじゃなく、企業も「安全」より「お金」を優先する
姿勢が増えて来ました。余裕が無いからこそ、「命」の尊さを学ぶべきでは。
~ここまで、読んでいただき、誠に、有り難う御座います~
より良い医療と生物を考える研究会 主宰
発行者:【医療・再構築人】田畑 拓也
HP: http://www.unlimit517.co.jp/melmaga.htm
(無料レポート「元MRが語る・医療と生物の信じられない実態2」配布中)
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