新種のウイルスが首都圏で流行の兆し。乳児がかかると重症化も
新種のウイルスが首都圏で流行の兆し。乳児がかかると重症化も
2015年7月24日2015年7月23日 10
今年は手足口病が流行していますが、その症状とよく似た新種のウイルスの感染が多数報告されているのだそうです。生後3か月未満の乳児が罹患すると重症化することが多いというヒトパレコウイルスの情報と対策を、小児科医の宮田大揮先生がメルマガ『何でも相談こどもクリニック~新たなスタイル~』に記してくださっています。
手足口病の顔をした注意しなければならない新種のウイルス!
今年は6月以降、ヒトパレコウイルスの感染が、首都圏を中心に各地で多数報告されています。このウイルスは、エンテロやポリオと同じウイルス科で、感染しても普通の風邪と見分けがつきにくいのですが、生後3か月未満の乳児が感染すると重症化することが多く、早期の治療と判断が重要です。
ヒトパレコウイルスにはいくつかの型があります。多くの場合は、39~40度の発熱とともに軽い呼吸器症状や下痢などの胃腸症状が出て、約80%の感染児が手の平や足の裏に赤い発疹(紅斑)が出ます。これと似たような症状が出るウイルスは他にもたくさんあり、例えば「手足口病」も、手の平や足の裏に発疹が出て口内炎もできますし、「りんご病」は頬に赤い発疹が出ます。
他のウイルスと区別して診断するのが難しいのですが、生後3か月未満の乳児にこうした症状が出た場合は、念のためヒトパレコウイルス感染症を疑って受診することをお勧めします。もし重症化した場合は、無呼吸状態や痙攣、敗血症性ショック、肺炎を起こしたり、髄膜炎や脳炎、中枢神経の麻痺症状が出ることがあるため早期治療が必要になります。
便にウイルスが出るので便検査や、のどの粘膜液を綿棒で擦りとって細胞検査したりすることがありますが、残念ながら10分以内にすぐに診断できるようなキットがありません。また特効薬もないので、月齢の低い乳児で感染が疑われる場合は、重症化するリスクを避けるために早めに入院可能な病院をご紹介いたします。目安としては、生後3か月未満の手足口病に類似した症状がある場合には、ただの夏風邪と考えずに早期に入院も含めたご紹介が必要になるものと考えています。
夏風邪と同じウイルス科であることから、同じように手洗い、うがいが有効です。家族間のタオルや食器の共有も避けるようにしましょう。このウイルスは、大人がかかっても風邪とあまり変わらない症状なので気が付かないことが多いのですが、今年は流行していますので、新生児がいるご家庭では特に気を付けるようにしましょう。
『何でも相談こどもクリニック~新たなスタイル~』より一部抜粋
著者/宮田大揮(相模大野こどもクリニック院長)
現役小児科医/救急医が今まさに流行している病気やそれにまつわる話を余すことなくライブに発信。修羅場を乗り越えてきた筆者が読者の質問にどんどん答えていく、新たなクリニックのスタイル。
http://www.mag2.com/p/news/22054?utm_medium=email&utm_source=mag_news_0727&utm_campaign=mag_news_0727
2015年7月24日2015年7月23日 10
今年は手足口病が流行していますが、その症状とよく似た新種のウイルスの感染が多数報告されているのだそうです。生後3か月未満の乳児が罹患すると重症化することが多いというヒトパレコウイルスの情報と対策を、小児科医の宮田大揮先生がメルマガ『何でも相談こどもクリニック~新たなスタイル~』に記してくださっています。
手足口病の顔をした注意しなければならない新種のウイルス!
今年は6月以降、ヒトパレコウイルスの感染が、首都圏を中心に各地で多数報告されています。このウイルスは、エンテロやポリオと同じウイルス科で、感染しても普通の風邪と見分けがつきにくいのですが、生後3か月未満の乳児が感染すると重症化することが多く、早期の治療と判断が重要です。
ヒトパレコウイルスにはいくつかの型があります。多くの場合は、39~40度の発熱とともに軽い呼吸器症状や下痢などの胃腸症状が出て、約80%の感染児が手の平や足の裏に赤い発疹(紅斑)が出ます。これと似たような症状が出るウイルスは他にもたくさんあり、例えば「手足口病」も、手の平や足の裏に発疹が出て口内炎もできますし、「りんご病」は頬に赤い発疹が出ます。
他のウイルスと区別して診断するのが難しいのですが、生後3か月未満の乳児にこうした症状が出た場合は、念のためヒトパレコウイルス感染症を疑って受診することをお勧めします。もし重症化した場合は、無呼吸状態や痙攣、敗血症性ショック、肺炎を起こしたり、髄膜炎や脳炎、中枢神経の麻痺症状が出ることがあるため早期治療が必要になります。
便にウイルスが出るので便検査や、のどの粘膜液を綿棒で擦りとって細胞検査したりすることがありますが、残念ながら10分以内にすぐに診断できるようなキットがありません。また特効薬もないので、月齢の低い乳児で感染が疑われる場合は、重症化するリスクを避けるために早めに入院可能な病院をご紹介いたします。目安としては、生後3か月未満の手足口病に類似した症状がある場合には、ただの夏風邪と考えずに早期に入院も含めたご紹介が必要になるものと考えています。
夏風邪と同じウイルス科であることから、同じように手洗い、うがいが有効です。家族間のタオルや食器の共有も避けるようにしましょう。このウイルスは、大人がかかっても風邪とあまり変わらない症状なので気が付かないことが多いのですが、今年は流行していますので、新生児がいるご家庭では特に気を付けるようにしましょう。
『何でも相談こどもクリニック~新たなスタイル~』より一部抜粋
著者/宮田大揮(相模大野こどもクリニック院長)
現役小児科医/救急医が今まさに流行している病気やそれにまつわる話を余すことなくライブに発信。修羅場を乗り越えてきた筆者が読者の質問にどんどん答えていく、新たなクリニックのスタイル。
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