モンスター・テロリスト=ISISの脅威は何時まで | 日本のお姉さん

モンスター・テロリスト=ISISの脅威は何時まで

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)6月24日(水曜日)
通算第4586号 <前日発行>

モンスター・テロリスト=ISISの脅威は何時まで
米国はやる気なし、サウジ、カタールは「こんな筈ではなかった」
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ISISは迅速な軍事行動を展開し、いまや「モンスター・テロリスト」となった。

意表をつく作戦の数々は、最初はイラク政府とアサド政権を支援するイランの隙をついたものであったとはいえ、アルカィーダが二十年かけても達成できなかった目標に近づき、しかもアルカィーダのように洞窟や秘密の基地に隠れることなく、そのうえ、現代の宣伝戦争の武器であるSNSをふんだんに駆使して、米国を狼狽させた。

ISISは、サウジとイランの代理戦争の過程でうまれてきた化け物であり、暴力闘争が短期で収束する近未来は描きにくくなった。

胴元であったサウジさえ、いまではISISを脅威視するようになっている。カタールはなおさらだろう。
そして世界のマスコミの焦点からすっかり忘れられたシリアのアサド政権はほくそ笑んでいる。

しかし基本的誤算は米国である。
サダム打倒後、マリキ首相を傀儡としてイラクを統治できると思い上がったことは信じられない誤断だった。
往時の米国の論調は日本のGHQ統治と比較して、簡単にイラクは落ち着くだろうという予測が主流だった。

新イラクは首相がシーア派から、副首相はスンニ派、そして飾りの大統領がクルド族という人工的組み合わせだったが、サダム独裁体制を倒して、イラン側のイラク東部をまたたくまに影響下においたイランは、あろうことかマリキ政権に肩入れし、スンニ派をイラク西部に閉じこめ、クルドを西北部の山岳地帯へ追いやった。

イスラム法が厳格に適用され、タバコを飲んでも石打ち刑、同性愛は死刑。公開処刑は日常茶飯となった。

マリキ政権は、米国に従うと見せかけながら旧バース党の勢力を根こそぎパージし、スンニ派住民を虐待した。

軍人、公務員ばかりか教師も医者もことごとく追放され、イラクの新政府軍は未熟な軍人の烏合の衆となっていた。

そのうえ、新政府軍の高官等は腐敗していた。武器の横流し、ピンハネ、縁故採用。。。

マリキ政権に恨み骨髄に達したスンニ派、とりわけバース党残党とサダムの旧軍人等がISISにたちまち合流したのは自然の流れであり、そのうえイラク政府軍は軍事訓練も十分になされていないから、米国が供与した大量の近代兵器を置き去りしてバグダットへ逃げ帰った。

ISISはタダ同然で無数の近代兵器を獲得したのだ。

突如デビューするや豊富な軍資金でライバルの派閥を潰す。

ザルカワイ率いた「イラクのアルカィーダ」はISISに吸収・合併され、「ヌスラ戦線」はISISの暴力に打ちのめされ、あるいは少数派閥の武装ゲリラ集団は、カネと武器を供与され、ISIS傘下に組み込まれた。

軍事組織のトップは戦争のプロ=チェチェン人のアブ・オマル・シシャニである。


▲刑務所から囚人を解放し戦力に、女性は手当たり次第レィプ

アフガンの生き残りゲリラは月給600ドルを提示されて、ISISの傭兵となった。

ISISは兵士を補う目的もあって、刑務所を次々と襲撃し、凶悪な囚人等を数百、数千人単位で解放し、スンニ派とわかると強引に兵隊の列にくわえ、シーア派は処刑した。

戦力はまたたくまに繁殖したが、それを支える資金力がISISにはあった。

ISISは女性多数を拉致誘拐して、「結婚」と詐称してのレイプを繰り返し、そのうえ、妊娠して掻爬手術不可能の段階になってから、帰国させるという民族浄化のやり方をとった。

また住民を片っ端から誘拐し、法外な身代金をとった。

外国人人質はセクト間で売り買いし、最後の代理人が交渉にあたるころ、500万ドルとか、2000万ドルの相場となった。

凄まじい収入になるうえ、石油に密売と武器売買、産油国からのみかじめ料の収入、くわえて占領地域の住民からは平均20ドルの税金を徴収した。

ISISをこれほどの化け物に育てたのはサウジアラビアからの資金援助、ついでカタールだった。
たとえばカタールはアサド体制の打倒に繋がるとしてリビアの過激派に肩入れしたが、かれらもまたISISに吸収されていったのである。

こうして現代のモンスター・テロリスト集団が中東の一角を支配し、欧米の思惑を遠く外れて、中東政治の台風の目となった。

シリアを支えるロシア、シリア反体制をささえてきたイランは今後、どうでるのか。

そして何時の日か、ISISが牙をむきかねないという脅威を前にして中国はいかなる対応をとるのか。
グレード・ゲームはここでも大きく変わった。


(読者の声1)貴誌前号の『TIME』を飾った蔡英文特集ですが、日本李登輝友の会台北事務所により全文が翻訳され、公開されています。

以下の通りです。

(引用開始)「中華圏唯一の民主主義を率いるのは彼女か。それが中国にとって頭の痛いところだ。台湾次期総統候補、蔡英文かく語りき。有権者の支持は?
蔡英文の朝食。彼女はフライパンにベーコンとともに卵を5個落とし、厚めに切ったトーストに載せていく。英国の名シェフ、ジェイミー・オリヴァーのレシピだが、蔡英文は言わずにはいられないとばかりに「食材は全て台湾産」と言う。ベーコンは彼女の自宅に近い「幸福豚」農場で購入したし、トーストも近所のパン屋から。蔡英文は記者にオレンジを手渡しながら英語で言った。「すべてオーガニック、そして台湾の食材よ」。
とはいえ、これが58歳の彼女の毎日の平均的な朝食というわけではない。ほぼ毎日、一杯のコーヒーを片手に迎えの車に乗るのが常であり、それが彼女のスタイルでもある。台北育ちで英米留学、博士論文は国際貿易法をテーマとした。

大陸委員会主任委員、民進党主席、総統候補(2012年の総統選挙では、僅差で馬英九に敗れた)と歩んできた彼女には、コーヒー片手に貿易保護政策を語るような学者出身というイメージが定着している。

目下、来年の総統選挙の大本命とされる彼女の未来像は自信に溢れ、台湾を利益の核心として強調することにいささかの躊躇いもない。彼女は「両岸関係は現状維持」と明言し、台湾の運命は未来にその決定を委ねると言う。

ただ、彼女のビジョンでは台湾の経済、国家の発展、文化が最優先だ。

馬英九政権が中国との貿易や観光を推進した際(台湾の輸出先は中国が40%を占めている)、蔡英文は、中国への依存を軽減するには、よりグローバルな繋がりを模索し、台湾ブランドを確立させるべきだと批判した。

彼女は記者に言う。「経済には新しい台湾モデルが必要なのです」。

彼女が有権者の支持を得るカギは、台北だけを見ていてはわからない。

台湾は国土が小さく、人口は2300万足らず。とはいえ、電子産業、農業、観光業を基幹とする台湾経済のGDPは世界でも20位台にランキングされている。一人あたりのGDPは実に中国の三倍である。
台湾は1894年から95年にかけての日清戦争によって清朝から割譲され、半世紀にわたって日本の植民統治を受けた。

その後、国共内戦に敗れて敗走してきた国民党による統治を受けることになる。

台湾は長期にわたり、この地域で将棋の駒のような役回りを引き受けてきたのだ。

米国の東アジア政策では、台湾、日本、韓国、フィリピンが要であるが、より重要なのは台湾が中華圏における唯一かつ本物の民主主義を有していることにある。

作家であり、前文化部長(文化庁長官に相当)の龍應台は言う。「台湾の経験があるからこそ、世界は中国が変われるのでは、と期待できるのだ」。

台湾の政治は時に中国を怒らせ、苛立たせる。

中国共産党は、台湾は中国の失われた領土の一部と主張する。

台湾の存在は、仮に中国共産党がチベットは新疆ウイグル、香港への締め付けを緩めれば、これらの地域も台湾のようになるぞ、と示唆するものである。

中国が何より憂いているのは、親中の馬英九率いる国民党政権から、中国に懐疑的な蔡英文の民進党へ政権交代が起きる可能性が大きいことだ。

2012年の総統選挙では、中国は直接の名指しはせずとも、明らかに蔡英文を指して「トラブルメーカー」「分裂主義者」と大きく非難した。

これらのフレーズは、共産党においては、ダライ・ラマ級の人物を非難する最高レベルである。

上海交通大学国際公共関係学院で台湾研究が専門の林岡は「民進党=両岸関係が不確実になるということだ」と述べる。

米国は、台湾関係法に則り、仮に台湾が武力攻撃を受けた場合、台湾を防衛する義務がある。

台湾は米国にとって正式な同盟国ではないものの、長期にわたる友邦であるが、その友好関係の強さが中国の発展によって試されている。

米国は正直なところ、台湾の、特に若者たちが中国への警戒心を高めていくことに頭を痛めている。

台湾と中国が衝突することになれば、自ずと米国も巻き込まれることになるからだ。

『台湾はなぜ重要か(Why Taiwan Matters)』の著書がある米ノースカロライナ州デビッドソン・カレッジのシェリー・リガー教授曰く「今回の選挙では、民意が変わってきたことを反映して、あらゆる変化が具体化されることになるだろう。両岸関係はもはや楽観視できる方向ではなく、米国が希望しない方向に流れるだろう」。

まだ正式な指名ではないものの、国民党の総統候補者は恐らく洪秀柱・立法院副院長(67歳)になると目されている。

小柄ながら勝ち気な性格のため「小とうがらし」と呼ばれる彼女が、党の指名を受ければ、学者の雰囲気を漂わせる蔡英文とは対極的な存在になるだろう。

洪秀柱は記者に対し「蔡英文が強力な相手だとは思わない」と言っている。

しかし蔡英文はすでに意気軒昂で台湾各地で選挙活動を展開している。

蔡英文曰く「私のことを保守的だという人もいます。でも実際は結構冒険好きなんですよ」。

彼女には間違いなくユーモアのセンスがある。

記者が彼女の料理の腕前を褒めたときも、怒ったふりをして言った。「私は博士号持ってるのよ」

蔡英文は台北の中山北路で育った。

この街は、革命によって清朝を倒し、国民党を創設したことで国父として崇められる孫文の名を冠したものだ。

蔡英文の父親は車の修理工で、後に土地開発の分野に転じた。

父親は儒家思想を強く持ち、蔡英文の学問を後押ししたが、一方で末っ子の彼女を手元においておきたいという希望もあったようだ。

彼女も「子供の頃、私は決して未来を嘱望されていたわけではないと思う」と話している。

台湾大学を卒業すると、彼女は米コーネル大学で法律を学ぶ。

彼女によると、ここは「革命的な生活」を夢見た若い娘たちが行くべき場所だという。

その後、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで3年を経ずして法学博士を取得、父親はひどく喜んだという。

父の希望もあり、台湾に戻った彼女は大学で教鞭をとった後、1994年に政治の世界に入り、公正取引委員会、国家安全局、大陸委員会など、政府の政策を主導する重要なポストを歴任する。

蔡英文を近くで見てきた人々、特に民進党の人間は、彼女のことを政治家らしくないと言う。

現在は野党の民進党は、台湾の民主化運動の過程で結成され、民主化運動の闘士たちが多く携わった。

こうした民主化運動のほとんどに、蔡英文は関わっていない。

1979年、高雄での美麗島事件が発生、人権デモに参加した人々を警察が暴力で解散させたことが、民主化運動の激化を招いたとされる。

この時、蔡英文は海外留学中で、象牙の塔の庇護を受けていた。

徒手空拳で街頭デモに参加する闘士が典型的な民進党員だとするならば、蔡英文は抑制的かつ精密なオリンピックレベルのフェンシング選手といえるだろう。

2008年に民進党が政権を手放し、陳水扁総統が汚職によって起訴されると、蔡英文は火中の栗を拾うがごとく、民進党主席の座についた。

政治というものへの理解が小さくなかった彼女であったが、それでもなお彼女は指導者らしくなかった。

長いこと彼女の同僚であり友人であった立法委員の蕭美琴は「以前、選挙運動で戸別訪問した時も、彼女は私の後ろに立っていた。

一部の人たちは彼女を森に迷い込んで狼に囲まれたウサギだ、狼は党内にも党外にもいる、と評している」と話す。

2010年、蔡英文は市長選に出馬して敗れ、2012年の総統選挙でも勝つことは出来なかった。

民進党のスピーチライター劉建忻によると、選挙運動では蔡英文の「売り込み」が足りなかったのだという。

理想は非常に強いのに、実際にそれを実行する時になると、彼女と有権者の間には距離ができてしまう。

皮肉なことに、敗戦のスピーチの段になってやっと、彼女と有権者の間の感情の一体感が生まれたという。

蔡英文は涙ぐむ支持者たちに言った。「泣いてください。でも、がっかりはしないでください」。

2012年以降、台湾は大きく変化した。

朝食の卵を焼いてから11時間後、政策会議に出席した蔡英文は台湾新幹線で南部へ。

民進党の牙城高雄に着くと、高雄港を視察した後、数百人の大学生を前に講演。

リラックスしたスタイルで民進党の経済政策を語り、地域間の連携を強化することで小型経済を創出する政策への支持を求めた。

彼女が学生たちに「台北でヒマワリ運動に参加した人、手を挙げて」と聞くと、3分の1の学生の手が挙がった。

台湾の学生は一時期、非常にドライだと思われていた。

しかし昨年春、台北は中国とのサービス貿易協定締結に抗議する数千の学生で埋まった。

学生や市民団体は、この協定が台湾経済に打撃を与え、中国の圧力で台湾経済がよりいっそう脆弱になることを危惧したのだ。

また、学生たちはサービス貿易協定が社会の正当な審判を全く受けていないと考えている。

ヒマワリ運動は不満が累積した民間から発生した運動で、3月18日に立法院に突入したことを発端とした。運動の名称は、ある花屋から贈られた大量のヒマワリに由来する。


この運動の主眼は社会正義である。

2008年、国民党が政権を取り戻すと、21もの両岸貿易協定を締結、馬英九は両岸のビジネス往来こそが台湾を豊かにするカギだと主張した。

しかし、若者たちはこの主張に懐疑的だ。

この協定は両岸の大企業を潤すのみで、中国の宥和政策は決して台湾の若者たちを潤すものではなく、むしろ不動産価格は高騰し、賃金は上昇せず、就業機会もすべて中国に流れていくとにらんでいる。

昨年3月30日、総統府を取り巻いた抗議活動では、ある標語が社会全体の思いを体現していた。


「台湾は一つだけ。売り払ったらもうおしまい!」


マクロ的な経済指標だけにとらわれず、生活の質を重視する台湾社会は蔡英文にとって有利だ。

彼女の希望としては、経済的に独立した台湾を打ち立てたいと考えている。

こうした理念は、2012年の時点では有権者の心を捉えられなかったが、現在では強い吸引力を持っている。

国民党はヒマワリ運動によって重傷を負い、昨年秋の統一地方選挙では有権者によって再びお灸をすえられており、目下、国民党は大衆に迎合した党の再編に躍起になっている。

国民党のシンクタンクである「国家政策基金会」で副董事長を務める、元外交部長の楊進添は「国民党は両岸関係の立場を堅持する」と言う。

ただ、敬虔な党員である楊進添でさえも、公平という問題の解決を示唆する。つまり「両岸関係の利益は、全国民によって享受されるべきだ」と言うのだ。

蔡英文が、伝統的な民進党支持者からの支持を取り付けるのは簡単だ。

南部の有権者、若者票、台湾人アイデンティティを持つ有権者たちだ。

しかし、民進党は大企業との繋がりが薄い。

というのも、台湾企業は中国に大規模投資を行っており、その多くが国民党支持かつ中国との緊密な関係を築いているからだ。

蔡英文も彼らを取り込む必要があることは認めているものの、これといってハッキリとした青写真があるわけではない。

「我々の挑戦は、双方が納得できる合理的な立場を創り出すことです。
とはいえ、野党時代に支持してくれた方々を裏切るような立場であってもいけないのです」。


これはまた難しい挑戦だ。

これまで国民党は、経済を回復させられるのは民進党ではなく自分たちだと主張してきた。

特に陳水扁政権は汚職や不況の問題が山積であった。

蔡英文を支持する人々もこうした状況には同意し、民進党は野党ではやっていけても与党は任せられないと考える人もいる。

ノッティンガム大学中国政策研究センターの研究員で小英基金会の主任も務めるマイケル・コール(J. Michael Cole)は「国民党はいつでも国民党こそが経済を回復させるに ふさわしいと主張している。

一方で、民進党政権になったら商売に不利という扱いにくさがあると考えている」と述べる。


こうした論調は共産党の支持を受け、選挙運動が進むに連れて随時報道されることになるだろう。

共産党は中国国内で支配下にあるメディアを直接利用し、あるいは間接的に中国と台湾のビジネス界の繋がりを利用するかもしれない。

米ワシントンにあるシンクタンク、スティムソン・センターのアラン・ロンバーグ曰く「中国は大企業など、あらゆるチャンネルを利用してその立場を伝えてくるだろう。

仮に台湾の人々が、この8年間の両岸発展の基礎となった政府の功績を否定するような選択をすれば、その後の両岸関係の発展は現在のように順調ではなくなるだろう」。


民進党政権が中国に受け入れられる余地はほとんどない。

中国国家主席の習近平は2012年に就任以来、周囲から思われるよりもずっと独断的で強烈な民族主義者であり、一切妥協しない人間だということを自ら証明してきた。

昨年9月、習近平は台湾からの代表団に対し、中国と台湾は将来、香港のような「一国二制度」モデルによる統一が出来るのではないかと語ったが、この方式は民進党どころか国民党からも拒絶され、世論調査でも受け入れると答えた台湾人は皆無に近かった。

今年5月、習近平は再び「分裂主義勢力」が台頭して来ていると警告したが、これは民進党に対する先制攻撃だったといえよう。


両岸関係は、現在のところ中国と台湾(当時は国民党政権)による「92年コンセンサス」を基礎としているとされている。

この政策は、前出の楊進添によれば「曖昧さの一大傑作」だという。

「92年コンセンサス」は、双方が「一つの中国」を承認しつつも、その内容については各々が表明すればよいというもので、楊進添によれば「このコンセンサスのおかげで、国民党は両岸の貿易や交通、観光分野での発展を推し進めることができた。

その一方で、台湾や中国が考えている『一つの中国』の中身とは何ぞや、と回答を迫られることもなかったのだ」という。

民進党は長期にわたり、台湾の法的独立を推進してきた。

民進党の党綱領第一条には「主権独立自主の台湾共和国の建立」が謳われているが、台湾の正式な国号は中華民国である。

民進党支持者の基盤は主にここにあると考えてよいが、中国の経済力が目覚ましく発展し、国際社会における発言力が増すなか、この理念の実現はますます難しくなっている。

陳水扁政権時代の民進党と、それまでの民進党の政策に大きな違いはなかったものの、中国との関係はかなり冷え込み、馬英九政権になって再び距離が近づいた。

前出の上海交通大学の林岡によれば「蔡英文の立場は馬英九と陳水扁の中間にあたり、彼女が総統選挙に勝利すれば、台湾独立を追い求めることはなく、馬英九のような両岸関係の発展を推し進めることもないだろう」と分析する。

蔡英文自身は、台湾と中国の政治関係を変える気はないと強調する。

とはいえ、民進党の台湾独立綱領を撤廃するかについては依然として回答を濁している。

では、統一についてはどうか?

「統一であっても、民主主義の手続きによって解決されなければなりません。

この場所に住む人々の決定によって進められなければならないのです」。

暫定で蔡英文の相手となる洪秀柱は「民進党のリーダーは両岸関係に対する立場をはっきりと説明するべきだ。

誰もが蔡英文に『現状を維持するというのはどういう意味か』と尋ねるが具体的な回答がない」と批判する。

国民党の楊進添はこんな比喩を持ちだした。

「収穫のためには土地を耕し、種を播き、肥やしをくれなければならない。これまで全部、国民党がやって来た。民進党は収穫だけしようという魂胆か」。

蔡英文は、勝利のあかつきにはその収穫の権利があると信じている。

記者が北京に戻る数日前のこと、高雄の日本料理レストランで蔡英文は記者に、静かながらも確かな自信を込めて、中国がどう出ようが、有権者の信任を得て選挙に勝つと言い切った。

彼女は、最後に残ったマグロの刺身を記者の皿に取り分けてくれた。

このマグロは彼女の生まれ故郷である南部の屏東から来たのだ。

「北京に帰ったら皆さんに言ってくださいね。台湾の次の総統にサービスしてもらっちゃった、って」。
(在日台湾人)


(宮崎正弘のコメント)全訳が台湾で流れているのですね。ご教示ありがとう御座います。



(読者の声2)貴誌前々号に掲載された下記の情報は、公式に発表されたデータに基づくもののようです。
私が書いたことは、公式データでは隠されていることです。

しかし関係者が隠していることでもあり、安らかに眠っていられる御霊様を煩わすことになるので敢えて反論いたしません。

書くべきでないことを書き、反省しています。


(引用開始)「.Wikipediaに基づいて関係ありそうな黒部川の発電所とダムの概略を示します。発電所名 ダム名 発電開始時等
黒ニ(旧柳河原) 小屋平ダム 1936.10.30発電開始。
黒部川第三 仙人谷ダム 1940.11.22発電開始。「高熱隧道」の舞台。
朝鮮人を含む300人以上が犠牲。
黒部川第四 黒部ダム 1958世界銀行から融資。
1961.1.15発電開始。1963完成。
「黒部の太陽」の舞台。171名殉職。
2.黒部川のダム建設は下流から開発し、それを足場にその上流を開発するというやり方だった。だから黒部ダムの調査工事は理論的には1941年から着手可能である。Wikipediaの数字とは別に、本工事に先立つ調査工事においても事故犠牲者はありうるが、調査工事は本工事より規模が小さい分、犠牲者も少いと考えられる。
3.黒部ダムの本工事は戦後であり、朝鮮人を強制連行して働かせる社会情勢ではない。

4.黒部ダムには殉職者の慰霊碑があり、その氏名が記載されているが朝鮮人名は見当たらない(ネットの画像による。皆無と確認したわけではない)。なお黒部川第三発電所の犠牲者数300は吉村昭「高熱隧道」から引用されているが、これには朝鮮人労働者は登場しない(RE性)」(引用止め)
以上です。
(ST生、千葉)

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