オバマは「米国は世界の警察官をやめた」と明言しているのに | 日本のお姉さん

オバマは「米国は世界の警察官をやめた」と明言しているのに

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)5月29日(金曜日)参
通算第4558号
ことしのシャングリラ対話に中国は「ミスター潜水艦」を派遣
南シナ海に怪しい戦雲、ゴーマン中国の開き直りがまだ続くか?
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アジアの安全保障を話し合う「シャングリラ対話」は2002年から毎年五月に、シンガポールで開催されている。2007年から中国も参加した。
昨年の基調報告は安倍首相で、「公海のルール厳守、航海の安全」を呼びかけ、米国のヘーゲル国防長官(当時)は、中国を名指しし「現状をかえるいかなる行動にも反対する」と釘を刺した。
猛烈に反発したのは中国代表の王冠中(少将、参謀本部副部長=当時)だった。
王冠中は安倍首相の演説にも猛烈に噛みついた。最近の王毅外相が強気に「中国の領海で何をしようが、中国が決めることであり、介入するな」と傲慢な態度をしめしたように、南シナ海の岩礁をつぎつぎと埋立てて、軍事施設を建設して秩序を破壊していることに、いささかの反省の色もなかった。
昨年のシャングリラ対話は米中の露骨な対決となり、地元の専門家は「中国は夜中にガソリンに火を付けてからルームサービルを依頼したようなもの」と酷評した。
5月29日から、また「シャングリア対話」が開始され、中国は前回より多い29名の代表団を送り込んだ。
しかし今度の代表は孫建国(総参謀部腹部省、海軍大将)が撰ばれた。孫は「ミスター潜水艦」という異名をとり、入隊後、海軍潜水艦学校を卒業、ひたすら潜水艦に専念し、1985年に中国海軍が初めて90日間の潜水航海を行ったときの「長征?」の艦長だった。
孫建国大将は国際法に通暁しているといわれ、昨年のような四面楚歌の状態から抜け出すことに中国は必死であることがわかる。
▼開き直りの非論理、中国人のDNAは変わらないなぁ
というのも南シナ海を飛行中だった米偵察機に中国の無人機が異常接近し、電子妨害(ジャム)を加えたりしたため、米軍の態度を硬化させており、カーター国防長官は27日、ハワイでの演説で、「係争中の領海における軍事施設の建設はただちに中止すべきだ」とした。また大西洋艦隊司令長官に日系人ハリーが就任した。
カーター米国防長官は続けて、「(中国を)脅威視するアジア諸国の要請で米国は当該海域の防衛に関与を強める方向にあり、あくまで平和的解決を希望するものの同盟国の不安を解消するために、米国は強い関与を続行するであろう」
と述べた。
他方、中国は南シナ海のおける侵略行為を正当化して「いかなる行為も当該海域の安全を高めるためである。米国は無責任な発言を慎むべきではないか。米国の介入はアジアを混沌におとしいれるものだ」などと挑発的言辞を繰り返した。
南シナ海の戦雲、広がるか。
◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー
オバマは「米国は世界の警察官をやめた」と明言しているのに
日本は防衛論議に、のんびりと他人事でいて良いのだろうか?
宮崎正弘『日本が在日米軍を買収し、第七艦隊を吸収・合併する日』(ビジネス社)@@@@@@@@@@@@@@
ビジネスの世界で「成功体験に縛られる」という言い回しがある。
一度、成功体験を経験すると、それが自己の中で唯一の正しい方法だと確定してしまい、それがまぐれ当たりのたった一度の成功であったかも知れないという懐疑の精神を持つことができない。
普遍的な成功体験なら再現性がある。
ただし挑戦者達は成功体験を乗り越える新たな戦略を模索し挑んでくる。その結果がもたらす時代の変化が、かつての成功体験を過去の遺物として無価値にしてしまうこともある。
本人だけがそのことに気がつかない。本書を読みながら、戦後のアメリカこそがそうなのではないかという感慨を抱いた。
戦勝国アメリカが、戦後日本を民主化へと導いたというあのおとぎ話だ。
その再現を夢見たアメリカが、世界の各地で死屍累々の敗北を重ねて来た歴史を我々は同時代人として傍観してきた。挙げ句の果てに米国大統領オバマは、「もう世界の警察官はやめた」と放言し、世界をさらなる混乱の坩堝に陥れた。
さらに驚くべきことは、その当事国である日本では、未だにそのおとぎ話の夢想に酔って、国家の安全保障すらまともに論じることができないままでいる。
小林秀雄が大東亜戦争開戦直後の昭和十七年年頭に書いた「戦争と平和」という随筆の末尾はこう結ばれている。
「戦は好戦派という様な人間が居るから起るのではない。人生がもともと戦だから起るのである」
本書のタイトルを見ただけの人の中には、この本もまた世に溢れる「トンデモ本」の類だと勘違いした人もいただろう。
もちろん著者のこれまでの仕事ぶりを知る人であれば、そんな心配はない。本書を読めば、世界の政治というものが国益を賭けた究極の複雑系であるということが良く理解できる。そうした現実を、本書では「リアリズムというのは、昨日の敵は今日の友、そして今日の友も明日には裏切っても当然という倫理観の希薄なゲーム」であると説く。
著者の姿勢はどの著作においても一貫しているが、現場に足を運び、その目で見て、現地の底辺(といっては語弊があるかも知れないが)、例えば飲食店の従業員であるとかタクシーの運転手といった庶民・大衆から生の声を聞き、紹介していることにある。つまり、体験していないことは書かない。
通り一遍の建前情報しか伝えない大手マスコミからは決して伝わって来ないリアリティー溢れる文章は、このようにして足で稼いだ取材の結果である。
本書で最大のインパクトを持つ論点は、タイトルにもなった我が国の安全保障を巡る具体的で刺激的な提言であり、それは「第3章 核攻撃の脅威―米国との核シェアで対抗」に詳しく書かれ
ているが、その内容が、そこに辿り着くまでに著者が思索し考察した現状分析と、従来とはまったく様相を異にした戦争への対処を考えた上での提言であるということを見落としてはならない。
アメリカの弱体化で一気に勢力を拡大したISILだが、我が国にも、アメリカの弱体化をだれよりも歓迎している隣国、中国の脅威がまさに眼前に出現している。
著者はそうした現実を第1章において「戦後最大の危機―中国との戦争がはじまる」として解説している。
そして第2章においては、「世界サイバー戦争―ハッカー大戦争の戦勝国は中国・ロシア・北朝鮮」と題して、NETを武器とする新たな戦争のリスクに警告を発する。それは国家の中枢や軍の指揮系統をも瞬時に麻痺させる威力を持つ兵器であり、各国はこの分野でも最新技術と人材の獲得にしのぎを削っている。
そんな中、一人我が国だけが、このレースにおいても、周回遅れどころかスタートラインにやっと立とうとしている段階だ。
サイバー戦争とは、「攻撃する側が一方的優位に立つ」戦争であり、「道交法も信号も車検も免許もないネット依存社会」において勃発する攻撃であると警告を発している。
著者は「政治の本質はゲバルトである」と断言する。力の強い方の無法が勝つのが現実であるならば、日本が生き残る道は核武装しかない。そして核の選択の具体的なプランとして、
・米との核シェア
・パーシング?の現代版
・インド、ロシア、パキスタンとの秘密協定
といった提言に辿り着くのである。
それは核武装国ではないのに核抑止力を持つ準核武装国たることである。
冒頭私は、小林秀雄の言葉を引用したが、本書でも福田恆存の印象深い言葉がいく
つか引用されている。最後にそれを紹介したいと思う。
(以下引用)
「秩序を守るために(中略)当然犯さなければならない悪というものがある。それに耐えてゆく、それが思想というものだ。だから物事を「解決」したいと思わない方が良い。
日本の歴史は既に存在しているということを、今の歴史家たちはどうやら忘れている。つまり歴史は親みたいなもので、私達は日本の子供なのであります。その子供の立場から過去の歴史を捌いていこうというものの考え方が既に間違っている。歴史をして私達を仕えしめてはならない」。
評 浅野正美

◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー
秘密文書や国際会議の報告などを元に克明に人権侵害の実態を告発
北朝鮮の強制収容所のかくも無惨で凄絶で愚妹な、人権無視の実態
小川晴久『北朝鮮の人権問題にどう向き合うか』(大月書店)
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大月書店がこういう本を出すのは意外だった。
北朝鮮の人権侵害、強制収容所、脱北女性の無惨な人生を克明に、資料と証言に基づき、また幾多の国際会議の決議事項の内容に触れながら、これでもか、これでもかとその全体主義のおぞましさを告発する。
著者の小川氏は東大名誉教授。憲法九条擁護をいう左翼の人脈にありながら、左翼の誰もが北朝鮮の人権侵害をみて見ぬふりをする中で、敢然としてNGOを組織し、告発を続ける珍しい左翼人である。
本書におさめられた資料のなかに中国当局がみとめた極秘文書がある。
これは中国の国家安全部が作成した「延辺地区、中朝辺疆情況簡介」という極秘文書で、このなかで(北朝鮮の)「政治犯管理局:朝鮮には十余個の政治犯強制収容所がある」としてその位置を示し、「現在これらの収容所に収容されている政治犯とその家族は30万余に達している」と報告されている。
著者は言う。
「北朝鮮は当初からこんなひどい国ではなかった。もしこんなにひどい国であったら30数年前に何万者ひとが日本から北朝鮮に渡ることはありえなかった(中略)。ハンナ・アーレントは全体主義社会を政敵が一掃された社会と規定した。政敵は殺されるか、国外追放か、または強制収容所にみな送られた。権力者にとって何一つ怖いものはないはずなのに、実は新しい恐怖が始まったのである。この体制が崩れることへの恐怖、党と秘密警察(密告制度付き)と強制収容所の三つによる支配がここの始まる」
じつにおぞましい実態が白日の下に曝された。

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――共産党が運転する?「このバスには乗らない方が良い」
――中国の在庫一掃処分のはけ口に利用される懼れ大
――英国はじめ独仏が加盟申請したのは打算と思惑がある
――ロシアは本気で参加しているのではない。中国の風下に立つだろうか?
――アジア外交の攪乱が目的の「銀行もどき」は政治工作の武器なのだ
――日米カナダの不参加は見識である
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(読者の声1)とびっきり講演会のお知らせです。きたる6月24日、横浜駅に近い場所で、とびっきり講演会があります。
参加希望者は予約が必要です。
とき 6月24日 午后六時
ところ 神奈川県民サポートセンター 三階会議室
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講師 島村宜伸(元文部大臣)
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演題 「日本を知らなすぎる日本人」
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<宮崎正弘の対談シリーズ>
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宮崎正弘 v 大竹慎一『中国崩壊で日本はこうなる』(1512円。徳間書店)
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宮崎正弘 v 川口マーン惠美『なぜ中国人とドイツ人は馬が合うのか?』(ワック)
宮崎正弘 v 石平『2015年 中国の真実』(ワック、シリーズ第五弾)
宮崎正弘 v 西部遇『日米安保五十年』(海竜社)
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