■中国が仕掛ける「歴史戦」に決着をつけた安倍首相の米議会演説(3)
~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~
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■中国が仕掛ける「歴史戦」に決着をつけた安倍首相の米議会演説(3)
今回の訪米に当たり、中国がアメリカを主戦場の1つとして挑んできた「歴史戦」にどう対処するか、安倍首相は最初から周到に用意していた痕跡がある。
ワシントンに入ってからの4月29日、
安倍首相は第2次世界大戦で戦死したアメリカ兵を追悼する記念碑を訪れて黙とうした。
報道によると、安倍首相は「パールハーバー」と刻まれたモニュメントの前で、
しばらく身じろぎもせずたたずんでいたというが、こうした「身体言語」の発する意味はやがて、米議会での演説において明らかになったのである。
40分間にわたる演説の中盤に入り、安倍首相は案の定、この訪問の話を持ち出した。
「先刻私は、第二次大戦メモリアルを訪れました。
神殿を思わせる、静謐(せいひつ)な場所でした」と切り出してから、次のように静かに語った。
「一角にフリーダム・ウォールというものがあって、
壁面には金色の、
4000個を超す星が埋め込まれている。
その星一つ、ひとつが、
斃れた兵士100人分の命を表すと聞いたとき、
私を戦慄が襲いました」
「金色の星は、自由を守った代償として、
誇りのシンボルに違いありません。
しかしそこには、さもなければ
幸福な人生を送っただろうアメリカの若者の、
痛み、悲しみが宿っている。家族への愛も」
「真珠湾、バターン・コレヒドール、珊瑚海…、
メモリアルに刻まれた戦場の名が心をよぎり、
私はアメリカの若者の、失われた夢、未来を思いました」
「歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。
私は深い悔悟を胸に、しばしその場に立って、
黙祷を捧げました」
「親愛なる、友人の皆さん、日本国と、日本国民を代表し、
先の戦争に斃れた米国の人々の魂に、深い一礼を捧げます。
とこしえの、哀悼を捧げます」
以上が、安倍首相が演説の中で、
アメリカとの「歴史問題」、つまり70年前に終結した
あの残酷な戦争について触れた一節であるが、
そこには、歴史から逃げようとするような姿勢は
みじんもなければ、歴史を「歪曲」しようとする
「歴史修正主義者」の面影もない。
あるのはただ、日本の指導者としての
かつての戦争に対する「悔悟」であり、
そして日本国民を代表して捧げる
アメリカの若き戦死者に対する心からの哀悼であった。
テレビの映像では、安倍首相による演説のこの部分を受け、
静聴した米国議員がいっせいに立ち上がって
拍手した場面が確認されている。
「歴史」に対する安倍首相のこの語りは、
アメリカ人の心を打つのには十分であり、
そしてアメリカの一部で流布されている
「安倍=歴史修正主義者」
のイメージを払拭するのにも十分であった。
・・・つづく・・・
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