★なぜ中国は、覇権国家になれないのか?親中派がまったく語らない現実 | 日本のお姉さん

★なぜ中国は、覇権国家になれないのか?親中派がまったく語らない現実

ロシア政治経済ジャーナル No.1197
2015/5/12
「AIIB事件」後、日本では、「アメリカの時代は終わった!これからは中国の時代だ!日本も、急いで中国につけ!」という意見が力を増しています。
確かにアメリカの影響力は、ますます衰えている。
しかし、ホントに「中国の時代」が来るのでしょうか?
★なぜ中国は、覇権国家になれないのか?親中派がまったく語らない現実
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
(●10年英語を勉強したのに話せない?
そんな人は【おすすめ本コーナー】をご一読ください。)
「AIIB事件」後、日本では、こんな論調が勢いづいています。
「アメリカの覇権はもはや終わりつつある。
これからは中国の時代だ!
日本も流れに乗り遅れるな!!!」
この前半、「アメリカの覇権はもはや終わりつつある」。
私は、「そのとおりだ」と思います。
05年1月発売の「ボロボロになった覇権国家アメリカ」から、
ずっとこうなると書きつづけてきました。
みなさんご存じのように、アメリカと緊密なはずの、
イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、イスラ
エル、韓国
などなどがアメリカの制止を無視して、中国が主導するAIIBへの参加を決めた。
「覇権」の意味は、「覇者としての権力、支配力」だそうです。
「(日本以外)誰もいうことを聞かない国」のことを「覇権国家」とよべるでしょうか?
一方で、「これから中国の時代だ!」とか「中国が覇権国家になる!」とか。
「そんなことはないだろう」と思います。
(しかし、アメリカの制止を無視してAIIBに参加した57か国の指導者たちは、そう考えている可能性があります。)
なぜか?
「覇権国家」というのは、「実力」がなければなれないのです。
で、「実力」ってなんだ?
経済力(金力)と軍事力(腕力)。
中国は、経済力(=GDP)で、世界2位。
軍事費でも世界2位。
(両方1位はアメリカ。)
で、中国はアメリカとの差をグングン縮めている。
だから、「これから中国の時代だ!」と騒ぎたくなる気持ちもわかる。
しかし、そういっている人たちは、とても大切な事実を、語っていません。
あるいは、気づいていないのかもしれませんが。
「大切な事実」とは、
「中国の経済的繁栄が終焉をむかえつつある」こと。
私たち個人の生活をみればわかりますが、「経済」(金儲け)は全生活の基盤です。
これがダメになれば、あらゆる夢、あらゆる計画が実現できなくなる。
国家でいうと、経済がダメになれば、軍事費だって減らさなければならない。
「中国経済の繁栄が終わりつつある具体的兆候」については後述しますが、その根本的理由はなんなのでしょうか?
そう、「人件費が高騰していること」。
だから、中国経済の成長を支えてきた外資、外国企業がどんどん逃げ出している。
人件費が高くなったので、中国製品も高くなり、競争力が落ちてきている。
皆さん、「高い中国製」買いたいですか?
では、実際に何が起こっているか見てみましょう。
▼中国から逃げる日本企業
まずは、2013年8月の記事から。
<日本企業の上期直接投資 脱中国くっきり ASEANに軸足
産経新聞 8月9日(金)7時55分配信
日本貿易振興機構(ジェトロ)が8日発表した「世界貿易投資報告」によると、今年上期(1~6月)の日本企業の対外直接投
資額は、
東南アジア諸国連合(ASEAN)向けが前年同期比55・4%増の102億ドル(約9800億円)で過去最高を記録、
対中国向けの2倍超に膨らんだ。>
アセアン投資が、1年でなんと55.4%(!)も増加。
額で、対中国の2倍になったと。
すごいことです。
<昨秋以降の日中関係の悪化や人件費の高騰を背景に、中国向け直接投資は31・1%減の49億ドルまで落ち込み、生産拠点の「脱中国」が鮮明になった。>(同上)
31.1%減少(!)。
深刻ですね。
では、中国にかわって増えている国はどこなのでしょうか?
<ジェトロの現地調査では、ASEANのうち、上期の日本による対外直接投資が1位だったインドネシアは、自動車メーカーの新工場建設や拡張ラッシュに伴い、部品や素材メーカーの進出が加速している。>(同上)
55%強増えているアセアンのうち、一位はインドネシア。
< 上期投資額で2位のベトナムは、チャイナ・プラス・ワンの有力候補で、現地の日系事務機器メーカーの生産台数が中国を上回ったという。
ジェトロは「昨年後半からのASEAN投資の勢いは当面続く」(梶田朗・国際経済研究課長)と分析する。>(同上)
2位はベトナムであると。
これは、日本企業が中国から逃げ出している証拠です。
2013年というと、「尖閣国有化」(2012年9月)で日中関係が最悪になった翌年。
確かに、「超大規模反日デモ」の影響もあるでしょうが、一
番の理由は、「人件費の高騰」なのです。
人件費はこれからも上がりつづけるでしょうから、「これからもどんどん日本企業、外国企業は逃げていく」ことが予想できます。
▼輸出減少の衝撃
さて、中国の経済モデルは、
「安い人件費で大量生産し、輸出でもうける」です。
それで、「世界の工場」と呼ばれるのですね。
いってみれば、昔の日本と同じです。
しかし、頼みの「輸出」が減少に転じていること、皆さんご存知でしたか?
<中国:頼みの綱の輸出、予想外に減少-追加利下げの可能性も
Bloomberg 5月8日(金)15時21分配信
*
*
(ブルームバーグ):中国の4月の輸出は市場予想に反して減少し、輸入は一段と落ち込んだ。
生産能力過剰と競争力低下に見舞われている中国経済への下押し圧力がさらに強まった。
税関総署が8日発表した4月の輸出は人民元ベースで前年同月比6.2%減少。
ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値は0.9%の増加だった。
輸入は同16.1%減と、4四半期連続で2桁の減少率を記録。
この結果、貿易黒字は2102億1000万元(約4兆600億円)となった。>
輸出は、1年前と比べ6.2%減少。
輸入は、16.1%減少。
外資はどんどん逃げ出し、頼みの輸出も減少している。
GDP成長率(IMF)を見ると、
09年9.21%
10年10.41%
11年9.3%
12年7.76%
13年7.75%
14年7.36%
15年6.76%(IMFの予測)
あきらかに鈍化しています。
こういう傾向がはっきりしているのに、「中国の時代だ!」というのは、ちょっと「あわてすぎ」ではないでしょうか?
▼なぜ強気と弱気が混在しているのか?
「全世界57か国が、アメリカのいうことを聞かず、中国主導のAIIBに参加した」
という、「中国の影響力増大」を示すはっきりした事実がある。
一方で、人件費は高騰し、外資は逃げ、輸出入は減り、経済成長率は鈍化している。
なぜ、「強気」と「弱気」が混在しているのでしょうか?
実をいうとこれ、「成長期後期」の「典型的特徴」なのです。
混乱期(移行期)だったある国に、強力な指導者がでた。
彼は政治を安定させ、まともな経済政策をとった。
ここから、この国の「成長期」がはじまります。
経済は、安い賃金を武器に、「安かろう悪かろう」で成長していく。
成長期前期は、毎年二ケタ成長も珍しくありません。
ところが、経済成長にともなって賃金水準があがってきた。
それで、外資も自国企業もその国で生産するメリットがうすれ、生産拠点を外国に移すようになっていく。(空洞化)
こうして、この国の経済成長率は徐々に鈍化していく。
政府は財政赤字を増やしながら景気対策をつづけますが、「国家ライフサイクル」の流れには勝つことができない。
そして、やがて低成長の「成熟期」に入っていくのです。
中国のライフサイクルを見るに、「成長期後期」が後3~5年つづくだろうと思います。
今は「強気」「弱気」が混在している。
しかし、「弱気」情報の出る回数が徐々に増え、いずれ強気を圧倒していくことになります。
ところで、RPEの読者さんは、アメリカと中国の現状について、
10年前から「こうなる」と知っていました。
なぜ?
その秘密、この本で完全暴露しています。
まだの方は、ぜひご一読ください。
【増刷決定!】
●アマゾン、「国際政治情勢部門」「外交・国際関係部門」
「社会一般部門」
「トリプル1位!」
●日本人の知らない「クレムリン・メソッド」
~ 世界を動かす11の原理 (集英社インターナショナル)
北野 幸伯
(詳細は→ http://hec.su/hHN )
●面白かったら、拡散お願いいたします。>
★高橋さまからのおたより
北野さま
お疲れ様です!
いつもメルマガありがとうございます。
待ちに待った(?)首相のアメリカでの演説が終わりましたね^ ^
やはりテレビではほんの一部しか流さなかったのですが、全文を掲載していたサイトを発見したので、早速、北野さまの先日のメルマガと答え合わせ(!)いたしました。
首相の米議会演説の全文 :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS29H1E_Z20C15A4M10600/?df=2
なんと、、、これ満点じゃないですか?
課題1
自慢をしない!アメリカ大好きに徹する
⇒クリア!
課題2
中国韓国の悪口を言わない
⇒クリア!
課題3
歴史問題で言い訳しない
⇒クリア!
完璧!素晴らしい!!
ちなみに安部首相が第二次世界大戦の話を冒頭にわりと詳しくされていたのはなぜか、西村議員の解説で良くわかりました。
安倍総理、よく健闘されたなあ | 西村眞悟の時事通信 西村眞悟事務所
http://www.n-shingo.com/jiji/?page=1093&view=0
唯一、「反省」は今後「思い」に変更ですかねf^_^;
スタンディングオベーションが10回以上もあったそうですが、未だにその場面を紹介する地上波は無いですね。。。
代わりにマイク・ホンダの非難コメントを流すメディアって、一体どこの国に向いているんですかね(ー ー;)
話は変わりますが、安部首相の言動や行動が理解できずに不安になった時は、こちらのブログを読むと心が落ち着きます(笑)
余命3年時事日記:So-netブログ
http://kt-yh6494.blog.so-net.ne.jp/
とにかく、この難局を乗り切った安部首相に私からもスタンディングオベーションを!!(笑)*\(^o^)/**\(^o^)/**\(^o^)/*
では今後もメルマガを楽しみにしています!
高橋
★編集後記
安倍総理が、熱心に見ておられるドラマ。
「麻生さんには見てほしくない」ドラマ。
私も、みてます。
この世の現実がよくわかります。
https://www.youtube.com/watch?v=Bn7KKGjRi4s
RPEジャーナル
北野幸伯
○メールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」
発行者 北野 幸伯
◎ロシア政治経済ジャーナル のバックナンバーはこちら
⇒ http://archive.mag2.com/0000012950/index.html