ドローン捕獲技術を検討
ドローン捕獲技術を検討=熱源感知カメラ導入可否も-警視庁・官邸無人機事件
2015年04月29日 14時53分 提供:時事通信
首相官邸屋上で小型無人機「ドローン」が見つかった事件で、逮捕された山本泰雄容疑者が書いたとされるブログに掲載されたドローン
首相官邸(東京都千代田区)の屋上で小型無人機「ドローン」が見つかった事件で、警視庁が官邸や国会議事堂など重要警備施設の上空警戒を強化するため、ドローンの捕獲が技術的に可能か検討を始めたことが29日、政府関係者への取材で分かった。熱源を感知する監視カメラなどで接近を探知できるかも検討する。
来年、日本で開催される主要国首脳会議(サミット)に向け、ドローン対策は喫緊の課題となっており、警視庁は先端技術を駆使した装備、資機材の導入に力を入れる。事件は29日で発覚から1週間となった。
政府関係者によると、警視庁は飛行中の不審なドローンを発見した場合の対処法を検討。警察のドローンに網を装着し、空中で不審機に絡めて捕獲できるか調べるため、市販のドローンを購入して研究を進める。フランスではテロ対策用に開発が進められているとされ、情報を集めている。
警視庁は事件後、首相官邸や国会議事堂、皇居などについて、半径数百メートルの範囲で上空の監視や付近に操縦者がいないかなど警備を強化。官邸屋上に警察官の配置を始めたが、目視による警戒には限界もある。
熱源感知カメラは、センサーで物体の熱を感知する。ドローンが搭載しているバッテリーやモーターの熱に反応するかなど精度や識別能力をメーカーの協力を得ながら調査。飛行音の感知やレーダーによる探知が可能かも調べている。
ドローン対策では、妨害電波で無線操縦を遮る「ジャミング」と呼ばれる手法もあるが、法整備の必要があり関係省庁とも協議する。最終手段として銃で撃ち落とすことも考えられるが、空中を移動する機体に命中させることは非常に難しく、「散弾銃を使用する案もあるが、都心での銃使用による周囲への危険性を考慮すると現実的ではない」(政府関係者)。
放水銃などで落とすことも検討されたが、高所を飛行するドローンには難しいという。
警察当局者は「上空の警戒監視に先端技術を取り入れる一方で、重要警備対象施設周辺で職務質問する機動隊員の配置を増やすなど、より効果的なドローン対策を進めたい」としている。 【時事通信社】