ウイルス感染から数年以上という長い年月をかけて、子宮頸がんへと進行することがあります。
尖圭コンジローマ、ヒトパピローマウイルス、子宮頸がん・・・どう関係あるの?
「ヒトパピローマウイルス」は、現在100種類以上の型が報告されていて、大まかにはがんの原因になるか否かによって「良性型」か「悪性型」に分けられます。
この「良性型」か「悪性型」、どちらのタイプに感染するかによって、発症する病気が違ってくるのです。
実際にかかってしまうと、とても気になる「尖圭コンジローマ」。
性器や肛門周辺にできるイボが主な症状で、原因は良性型の「ヒトパピローマウイルス」の感染です。
また、最近若い女性に増えていると言われる「子宮頸がん」は、悪性型の「ヒトパピローマウイルス」が原因のひとつと考えられています。
ところで、子宮頸(けい)がんってどんな病気?
子宮にできるがんは、がんができる場所によって、2つに分けられます。
この2つは全く異なるがんで、できる場所が異なるだけでなく、原因やなりやすい年代も異なります。
・ 子宮(赤ちゃんが育つ場所、体部)にできるがん ・・・ 子宮体(たい)がん
・ 子宮の入り口(頸部)にできるがん ・・・ 子宮頸(けい)がん
子宮体がんは、閉経後の女性(50歳~)に多く見られます。
子宮頸がんは、20~30歳代の若い女性に急増しています。
日本では「子宮頸がん」が圧倒的に多く、子宮がん全体の約70~80%を占めています。
【子宮頸がんの症状】
初期の子宮頸がんはほとんど自覚症状がありません。
しかし、がんが進行したときの具体的な症状の例としては、「性交時、月経時以外の出血」、「茶褐色、黒褐色のおりものの増加」、「月経の量が増えたり長引いたりする」、「下腹部や腰の痛み」などがあげられます。
悪性型ウイルスの感染から子宮頸がんを発症するまでの流れ
では、悪性型の「ヒトパピローマウイルス」感染から「子宮頸がん」発症までの流れはどうなっているのでしょうか。
ヒトパピローマウイルスは性行為により感染するものなのですが、ありふれた存在であるため、性行為の経験のある女性であれば、高い確率で感染します。
このウイルスに感染しても、多くの場合はその人の免疫力などによってウイルスが消失します。しかし、10~30%の人はウイルスが消失せずに、感染した状態が続いてしまうことがあります。詳しいことはまだわかっていませんが、その人の年齢や免疫力などが影響しているのではないかと考えられています。
そして、ウイルスが感染した状態が続くと、異形成(細胞が変化した、がんになる前の状態)になることがありますが、やはり途中でウイルスが消失することが多く、ほとんどの場合、異形成も自然に治ります。
しかし、これらの異変に気づかずにいると、ウイルス感染から数年以上という長い年月をかけて、子宮頸がんへと進行することがあります。
ウイルス感染への過剰な心配は無用、でも気をつけて
「ヒトパピローマウイルス」の感染がわかっても、このウイルスを取り除く薬は現在はありません。
でも、心配し過ぎるのも考え物です。感染者は20~30歳代の女性の約3割に上りますが、細胞の変化を起こすのは感染者の1~3%、さらにがんへ進むのはその4分の1と言われます。
ウイルス感染に加えて、がんになりやすい遺伝体質、喫煙、ストレスなどが重なってがん化するとされます。
今までの内容で、子宮頸がんになるまでには、いくつかの段階があることがお分かりいただけたかと思います。この途中の段階で、少しでも異変に気が付いていれば、知らないうちににがんの状態へ進行することを防ぐことができます。やっぱり検査は大切!です。
ここで、検査の種類についてご説明します。
子宮頸がん検診の検査法には、がんの疑いのある細胞の有無を調べる検査とヒトパピローマウイルスの有無を調べる検査があります。
がんの疑いのある細胞の有無を調べる検査【細胞診】は、医療機関(婦人科)で受けることができます。6段階のクラス分類による判定結果が出ますので、ある段階以上の結果が出た場合は、さらに精密検査を行っていきます。
ヒトパピローマウイルスの有無を調べる検査【HPV検査】は、医療機関(婦人科)や、自宅でできる検査キット(STDチェッカー タイプI(女性用))などでも検査できます。定期的にウイルス感染の有無を調べておくのも一つの方法です。
日本で検診を受けている女性は2割程度しかいない、と言われているのですが、今これをご覧になっているあなたはいかがでしょうか・・・。
http://www.std-lab.jp/stddatabase/db008_popup.php