殺人集団を利する報道は正しいのか? | 日本のお姉さん

殺人集団を利する報道は正しいのか?

DMMニュース長谷川豊「TVの裏側」
イスラム国広報活動に利用される日本メディアにモノ申す|長谷川豊コラム
2015.01.27 06:50 DMMニュース
 皆さんもお感じになっているだろうが、私も最近はあまりにもひどい「イスラム国」関連の報道に辟易としている。
 視聴率が取れるネタであることは間違いない。そこは否定しない。そして、テレビや新聞といっても、NHK以外はそもそも「株式会社」であり、売り上げがとても重要視されることは言うまでもなく、視聴率を取りに走らなければいけないことも理解している。そこまで理解しているうえで、それでもあえて言いたい。
 やりすぎだろ。これは。
殺人集団を利する報道は正しいのか?
 そもそもイスラム国を名乗る連中はただのテロリストである。そこを忘れているんだろうか? テロリスト? いや、もっと正確な表現をしたい。ただの犯罪者集団だ。
 湯川さんを殺害したとみられる犯罪者集団は、偉そうに、勘違いも甚だしい「安倍よ、お前が湯川を殺したのだ」という戯言をぬかしてきた。もう、本気でアホか、の一言だ。相手にする気が本気で失せる。
 奴らはただの誘拐犯である。奴らはただの脅迫行為を行ったチンピラである。そして湯川さんを殺したのが真実なのだとしたらただの殺人集団だ。
 視聴率が取れることは重々承知している。それでもなお、テレビ局の……特に情報番組を作っている制作陣に問いたい。
 やつらを利することになる放送をしてていいのか?
 奴らの目的は「自分たちの存在の誇示」であることは確かだ。少しでも目立ちたい、少しでも認められたい。少しでも自分たちを大きく見せたい。
 結果として、視聴率を稼ぎたいがために完全に奴らの目的に乗っかってるんじゃないだろうか? それって……ネットならまだしも、公共の放送機関がやっていいことか?
 ニュースではあると思う。でも、垂れ流して「不安ですね~」「解放されるといいですね~」でいいんだろうか? なぜキャスターは怒らないんだろう? なぜコメンテーターは冷静なコメントをして時間通りにコメントを終えられるんだろうか? プロだから当然なのか? 僕は正直言って、イスラム国とか偉そうな名前を名乗る、このゴキブリ以下のハナクソ集団に対して痛烈な怒りを覚える。
 安倍さんが悪いって? 安倍さんが殺したって?
 殺したのはお前らだろうが、と。
誘拐し、脅迫し、殺したんだろうが、と。
何が「聖戦」か。
偉そうな言葉を使うな、と言いたい。
四の五のへ屁理屈をぬかしているが、やってることはタダの駄々っ子と同じだ。
 自分の思い通りに行かなければ周りを巻き込み、困らせる。困りたくなければ自分の主張を受け止め、自分たちに従え。下品なチンピラとやってる行動が同じだ。知性の欠片もない武器だけ持った駄々っ子である。
 一番かわいそうなのは普通に、笑顔で毎日を送っているイスラム教の信者の皆さんだ。彼らが攻撃されてはいけない。イスラム国を名乗る犯罪者集団はイスラムの教えに反している。イスラム教の方々が可哀想だ。
 もっと怒っていいと思う。
 もっと無視していいと思う。
 メディアとして、このテロ集団と、どう向き合うか、もう一度真剣に考えてほしいと、強く思う。
※あくまで長谷川豊氏の個人的見解です。
著者プロフィール
フリーアナウンサー
長谷川豊
フジテレビ出身のフリーアナウンサー。14年間、朝の情報番組「情報プレゼンターとくダネ!」で、現場取材やニュースのリポートを担当。取材した現場数は1700以上。伝えたニュースは2500を超える。退社後はアナウンサーだけではなく、講演・執筆など、多方面で活躍中。現在、TOKYO MX(デジタル9チャンネル)の「バラいろダンディ」(月~金 夜9:00~)でメインキャスターを務める他、「キリウリ$アイドル」などのバラエティーの司会も務める。
http://dmm-news.com/article/912520/
邦人人質事件の自己責任論と政権批判 テロリスト利するだけ
2015年02月04日 07時00分 提供:NEWSポストセブン
イスラム過激派組織「イスラム国」による邦人人質事件が日本中を震撼させた。つい先日はパリでの新聞社襲撃事件もあった。グローバル化が進むテロ組織が日本人を狙う可能性は今後も高まりこそすれ、減じることはなさそうだ。
グローバル・テロリズムにどう対応すべきなのか。単に「巻き込まれたくない」と言っているだけではすまない。否応なく巻き込まれたときに、国や社会がどうするかが問われている。
事件を受けてネット上で拡散したのは「自己責任論」だった。「彼らは危険を承知で行ったのだから、こういう目に遭っても仕方がない」という意見だ。私はこれに、まったく同意しない。
不注意な部分があったとしても、国には国民の生命を守る義務がある。こんな当たり前の原理原則を踏まえぬ議論が横行すること自体、日本の未熟さを示している。
驚いたのは日本共産党だ。池内沙織衆院議員は「『ゴンゴドウダン』などと、壊れたテープレコーダーの様に繰り返し、国の内外で命を軽んじ続ける…安倍政権の存続こそ言語道断。悲しく、やりきれない夜」などとツイッターで政権を批判した。
すぐ削除され、志位和夫委員長も不適切と認めたが、まるで安倍政権のせいで犠牲者が出たかのような書きぶりだ。かと思うと、山本太郎参院議員は「2億ドルの支援を中止し、人質を救出してください」とツイートした。そういう意見こそテロリストを利する結果になる、と2人は思い至らないのだろうか。
ネット上の自己責任論と野党議員らの政権批判は無関係のようでいて、実は共通点がある。ともに事態の日本側の側面だけを眺めているのだ。危険な場所に行った日本人と安倍政権を見て、肝心のテロリストを見ていない。
こういう論者には、そもそも相手が見えていないのだから、テロの現状認識はできない。したがって対処方針にも考えが及ばない。言い換えれば、それほど日本は外からの脅威に対して鈍感でいられたのだ。お寒い状況は、いつまで経っても内向きで視野狭窄(きょうさく)の日本自身の側にある。
こんな段階にとどまっていたら日本は一層、テロリストの標的になってしまうだろう。「日本人は攻撃すればするほど混乱する。いまが脅かす絶好のチャンスだ」と敵が考えるのは当然ではないか。
だから、まずは「日本はみんながテロリストをしっかり理解し、体制を整えているぞ」という姿勢を内外に示す。それを日本と日本人を守る第1歩にしなければならない。いまがそのときだ。
■文/長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ):東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。規制改革会議委員。近著に『2020年 新聞は生き残れるか』(講談社)
※週刊ポスト2015年2月13日号
http://news.ameba.jp/20150204-74/