「イスラム国」拘束:後藤さんら、ラッカ近くのダム施設か | 日本のお姉さん

「イスラム国」拘束:後藤さんら、ラッカ近くのダム施設か

「イスラム国」拘束:後藤さんら、ラッカ近くのダム施設か
毎日新聞 2015年01月28日 11時21分(最終更新 01月28日 17時34分)
ラッカ郊外にあるダム
◇市民生活への影響懸念で空爆の対象外
【キリス(トルコ南部)大治朋子】イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)によるとみられる日本人拘束事件で、ジャーナリストの後藤健二さん(47)ら人質が、シリア北部ラッカ郊外のダム施設かその周辺に拘束されているとの見方が浮上している。米軍主導の有志国連合は昨年秋以降、ラッカへの空爆を強化しているが、市民生活への影響を懸念しダムやその周辺への攻撃は抑制している。ISがこうした事情を逆手に人質の拘束場所に選んだ可能性が指摘されている。
ISは2013年春、ラッカを掌握。アサド政権下の知事公舎や軍事施設を乗っ取り、「首都」機能を置いた。ISと敵対する親欧米の反体制派武装組織「自由シリア軍」幹部らによると、周辺都市からラッカに入る幹線道路などには多数の検問所が設けられ、容易に近づくことができない状態だという。
昨年秋以降、有志国連合の無人機などによる空爆が強化されると、ISのリーダーらは住宅地などに紛れ込んで攻撃を回避。IS側も無人機を導入し、警戒を強化している模様という。
ラッカ郊外にはアルフラットダムやアルバースダムがあるが、有志国連合は市民生活に大きな支障を与える可能性を懸念し、ダム周辺への空爆を制限している。このため、「人質を秘匿するのに最も安全な場所、とIS内部では評されている」(自由シリア軍)という。
ISに約10カ月間拘束された経験のあるフランス人ジャーナリストは毎日新聞の取材に対し、拘束された場所について「主にアレッポ、ラッカ間を転々と移動した」と推測。日本人の拘束場所についても、ネットで配信された映像の背景が「ラッカ周辺の景色と似ている」と述べた。
自由シリア軍によると、ISは米軍特殊部隊などによる人質奪還作戦や内部のスパイによる諜報(ちょうほう)活動を警戒し、人質の居場所を頻繁に変えていた。しかし、空爆が強化された昨年秋以降は移動中に攻撃されることを懸念し、拘束場所の固定化に転じている模様という。
http://mainichi.jp/select/news/20150128k0000e030195000c.html
<「イスラム国」>グーグル、ツイッターの対応は?
毎日新聞 1月28日(水)17時30分配信
IS広報部門が流す動画では、構成員が子供たちにお菓子を与え、勧誘していた=動画「ユーチューブ」から
イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)はインターネット上の動画サイトに脅迫目的の映像を公開するなど、ネットを使った情報戦を展開している。1月20日、日本人人質2人への身代金を要求する映像が公開された直後から、ツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)ではIS関係者とみられる人物による日本語での発信が始まった。各サービスを提供する各社は、ISのこうした動きに歯止めをかけようと警戒を強めている。
27日夜、人質の1人、ジャーナリストの後藤健二さん(47)の新たな動画が動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開された。後藤さんを名乗る男性の声は「私には24時間しか残されていない」などと英語で訴えた。
千葉市出身の湯川遥菜さん(42)と後藤さんを人質に、日本政府に2億ドルを要求した20日午後の最初の映像も、24日午後11時過ぎ、湯川さんを「殺害した」と伝えた2回目の映像も、投稿先はユーチューブだった。
これはISが声明を発表する際の典型的な手口だ。ユーチューブへの投稿は、登録さえすれば誰でも無料ででき、世界中に公開される。利用者が世界中にいて、情報が瞬時に共有される特徴を巧妙に使い、宣伝につなげようとする戦略だ。
しかしいずれの動画も、投稿後まもなく「規約違反」を理由に削除された。削除の経緯についてユーチューブを運営する検索大手「グーグル」の日本法人広報は「特定の動画や投稿者についてはコメントを差し控える」としながらも、「人種、民族、宗教などに基づく個人・集団に対する暴力行為を助長したり、許容したりするコンテンツは投稿できないとするガイドラインに従って対応している」と説明する。
短文投稿サービス「ツイッター」でも、20日の動画公開直後、IS関係者とみられる複数のアカウント(発信者のアドレス)から日本語の発信が始まった。また日本のツイッター利用者が、ISが公開した映像をちゃかすように改変した画像を、これらのアカウントに対して投稿した。これを見た利用者の間で「(投稿は)ISを挑発するだけだ。ふざけている」「いや、テロを笑い飛ばしている」などさまざまな意見がネット上で飛び交った。日本、ヨルダン両政府を巻き込んで緊張が高まる事態をよそに、ネットでの騒動は過熱気味だ。
25日には、IS関係者と見られるアカウントから「我々はあなたを許さない Allahの裁きを受けるであろう」との日本語のメッセージが投稿され、これに日本の利用者が「殺害することで何が解決できる? 日本をはじめ多
くの国があなたの敵になる」と返信。その後も直接のやり取りが続いた。
そもそも発信者が本物のIS関係者なのか、第三者による「なりすまし」なのかも判然としないが、こうしたアカウントは開設と凍結を繰り返している。
SNS上でのこうした動きについて、ツイッター社は「他者に対する直接的で明確な脅迫などの暴力行為、非合法な目的や違法な活動を促進させるためにツイッターのサービスを利用することを禁じる、という規約がある。それに反した場合は、アカウントを凍結することもある」と説明している。【石戸諭、尾村洋介/デジタル報道センター】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150128-00000000-maiall-int&pos=2
イスラム国に日本人“構成員”がいた! 父親が告白「娘は死んだものと思っている」
週刊文春 1月28日(水)21時1分配信
 イスラム国による後藤健二さんの拘束が続くなか、イスラム国を支持し、その“構成員”になっている日本人女性(29)がいることが分かった。
 この女性は昨年、アルジェリア系フランス人と結婚し、イスラム教に改宗している。夫婦で東京都内にあるモスクに頻繁に通っており、夫が「イスラム国に参加したい」と話していたため、公安当局により事情聴取を受けていた。
 愛媛県に住む女性の父親は週刊文春の取材にこう語った。
「昨年の夏ごろに娘が『会って欲しい』と旦那を連れてきた。体が相撲取りみたいに大きく、日本語も少しだけ話せた。その時に娘がイスラム教徒になっていることを初めて知りました。頭に布をかぶり、豚肉はダメだし、牛肉も拝んでいないとダメと言うので、結局、うどんばかり食べていました」
 そのときにはイスラム国のことは一切話していなかったという。
「フランス大使館も夫妻に渡航自粛を要請していたが、結局昨年11月にトルコに出国し、シリアとの国境の街・ガジアンテップからイスラム国に入ったとみられます」(公安関係者)
 父親はこう嘆く。
「どうして、イスラム国に日本人の妻を連れて行かなあかんかったんかなぁ……。ただ、娘はもう死んだものだと思って諦めがつきました。娘がどこで死のうが自己責任だと思いますが、他者を傷つけるようなことだけはしないで欲しいと心から願っています」
<週刊文春2015年2月5日号『スクープ速報』より>
「週刊文春」編集部

イスラム国:欧米女性照準 数百人が渡航か 「娘は洗脳され、子供産むためだけに連れて行かれた」
毎日新聞 2014年12月12日 東京夕刊
イスラム国に参加したバレリー・オブリさんの長女が、シリアで自らを撮影した写真。顔を黒いベールで覆っている=パリ郊外で、宮川裕章撮影
【パリ宮川裕章】シリアとイラクで勢力を伸ばすイスラム過激派組織「イスラム国」に、欧米の白人女性が参加するケースが多発している。女性は現地で戦闘員の妻となり、家事などに従事する。フランスで過激派の男に勧誘されてシリアへ渡り、妊娠した女子高生の母親が毎日新聞の取材に応じ、「娘は洗脳され、子供を産むためだけに連れて行かれた」とイスラム国への怒りと苦悩を語った。
「ママはそのうち、赤ちゃんのおばあちゃんね」
パリ郊外に住む公務員女性、バレリー・オブリさん(51)は今年5月、シリアでイスラム国に参加した長女(18)から妊娠を告げるメールを受け取った。カトリック系高校に通っていた長女は、昨年6月に家出し、5カ月後にシリア入りを告げるメールを送ってきた。メールのプロフィル欄にはイスラム国の旗が描かれ、フェイスブックには、顔をベールで覆った写真が載った。
ネット上には、家出前に娘から交際相手として紹介されたイスラム教徒の男の動画もあった。
アルジェリア移民の家系で育った24歳。砂漠で銃を持ち、フランス人に決起を呼びかける男は、イスラム国の主要メンバーとして仏当局に追跡されている「お尋ね者」だ。
オブリさんは「同僚のイスラム教徒と違い、目を合わせない態度に違和感を持ち、娘に交際をやめるよう注意した」と振り返る。長女は男と「ネットで知り合った」とだけ説明した。突然の家出から1カ月後、保守的な女性イスラム教徒が全身を覆う衣服「ブルカ」姿で警察に保護され、一度帰宅した。だが、その日の夜のうちに、自宅に押しかけてきた男に連れ去られてしまった。
仏政府などによると、これまでに同国からイラクやシリアに渡った女性は約90人。欧米全体からの渡航女性は約4倍に達するとみられる。米連邦捜査局(FBI)は9月、イスラム国が西側諸国の女性に狙いを絞り、勧誘を図っているとの分析を公表した。
動機は多様とみられる。ベルギーの政治学者、ミルナ・ナバン氏は「イスラム国が狙う国家建設には子供を産み育てる役割を担う女性が不可欠」と指摘。「欧米出身の戦闘員が増え、言葉の通じる女性が必要になった」と語る。
また、パリ政治学院のジャンピエール・フィリユ教授は「現地女性との結婚で部族間の抗争に巻き込まれることを避けるため」と解説する。
欧米女性の参加で、イスラム過激主義が西側の女性にも魅力的だと世界にアピールする宣伝効果を指摘する分析もある。
シリアの長女からオブリさんに届くメールは、頻繁な時もあれば、ぱったり途絶える時もある。オブリさんは「洗脳が薄れたり強まったりしている」と感じる。今年6月、「帰国したらどうなるの?」と尋ねてきた娘に、「逮捕されることになる。警察にきちんと説明しなさい」と諭した。娘からは「なぜ私が?」との返信が届いた。
オブリさんは長女を取り戻すため、同じような境遇の親たちと一緒に帰国の受け皿づくりを訴える。「洗脳を解き、いずれは社会に戻したい。若者にはまだ将来がある」と話すが、社会からは「犯罪者の母」とみられ、共感を得にくい状況という。
http://mainichi.jp/shimen/news/20141212dde001030087000c.html