日露戦争後の南満州鉄道権益から米を排除したこと。これが大東亞戦争の遠因になっている
こんにちは。エンリケです。
わが国が、何をさておいても知っておこなねばならぬ外国。
いったいどこだと思いますか?
中共?韓国?北鮮?ロシア?臺灣?・・・・
ちがいますよね。
アメリカです。
米抜きの国防を考えられないわが国ですが、米にとっても、わが国抜きの国防は考えられない、という面があります。
米の意向に沿うにしろ沿わぬにしろ、先手を打つにしろ、別の手を打つにせよ、必ず知っておくべきは「米のホンネはどこにあるか?」です。
アメリカを冷徹に現実的に客観的に見る姿勢は、わが国ではいまだ十分行われていない気がします。
アメリカを語る言葉は右も左もノンポリも、あまりに熱すぎます。
正鵠を射たアメリカ像を得るには、軍事的観点が必要不可欠で、その観点がない米国論はどこまでいっても観念論に堕します。
ですから、わが軍人による米国分析は、かなう限り目を通しておいた方がいいと私は思っています。
この本もそのひとつで、わが国が必ず知っておかなければならない、「アメリカとは何か?」「アメリカは何をしたいのか?」を知るうえで格好のガイドブックです。
特に、9.11以降の米の対外政策及び日米関係の歴史、米の対支政策に関する記述は他では得難い貴重なものです。この箇所を読むだけでも求める価値があります。
クオリティが高い割にはページ数が少なく、持ち歩きに非常に便利なところもうれしい限りです。忙しいビジネスマンに特におすすめです。
書籍情報
アメリカの思惑
防衛システム研究所 (著, 監修)
単行本(ソフトカバー): 136ページ
出版社: 内外出版株式会社 (2013/3/15)
言語: 日本語
ISBN-10: 4905285186
ISBN-13: 978-4905285182
発売日: 2013/3/15
著者
防衛システム研究所
松島 悠佐(元陸上自衛隊中部方面総監)
島本 順光(元航空自衛隊技術幹部・現帝京大学講師)
中村 徹(元海上自衛隊海上幕僚監部装備課長)
樫村 保貞(元海上自衛隊駐米連絡官)
津々谷 格(元航空自衛隊技術幹部)
森田 良行(元海上自衛隊掃海隊群司令)
千田 昌寛(「士気の集い」前代表)
目次
はじめに
第一章 オバマ政権のアジア重視戦略とその狙い
─ オバマ政権は何を考えているのか・・・ドキュメントからの検証
第一 新軍事戦略の発表
第二 新軍事戦略の狙い
第三 新軍事戦略の評価
第二章 世界への関わり
─ アメリカはいかにして世界一の強国になったのか、そして今後はどうなるのか
第一 歴史的変遷
1.海外への進出(太平洋正面への覇権拡張
2.第一次世界大戦(一九一四~一九)~大戦後
3.共産革命への対応
4.第二次世界大戦
5.東西冷戦機期~冷戦後
6.九・一一テロ以降
7.オバマ大統領の時代
第二 根底にある思想とその評価
1.根底にある思想
2.評価
3.今後の課題
第三章 アジア太平洋地域への関わり
─ 海洋国家アメリカの本音、オフショア・バランシング
第一 アメリカの東アジア政策
1.オフショア・バランシング
2.オバマ政権の東アジア政策
第二 中国への対応
1.対立と協調、「ヘッジ」と「エンゲージメント」
2.軍事的対立と経済的協調
第四章 日本への関わり
─ 時代とともに変わってきたアメリカの思惑・・歴史からの検証
第一 歴史的変遷
1.日本の開国~明治時代初期
2.日露戦争当時
3.第一次世界大戦
4.日米戦への突入
5.太平洋戦争・敗戦・占領政策
6.主権回復・日米安保
7.ソ連崩壊後~二十一世紀
第二 アメリカは日本をどう見ているのか?
1.同盟国としての期待
2.重要な戦略基盤
3.警戒感と親近感
おわりに
─ これからどうする、資源小国の生きる道
参照
第一:APECでのヒラリー・クリントン国務長官の演説(2011年11月10日、ハワイ州ホノルル)
第二:「四年毎の国防計画の見直し」(QDR2010)の要点
第三:第二期オバマ政権の施政方針(演説要旨)
第四:関連年表「別添」
<・・その本音は中国の台頭を抑え込んでおきたいという考えがあり、アメリカのアジアへの回帰は対中国封じ込めが強くその根底にあるのは間違いないだろう。>(P70)
米の対支政策「対立と協調」に幻惑されている国内論者は多数目につきます。
・米は経済的に中共と同盟関係にあるからあてにならない
・米は日米同盟を何より重視する
たぶんどちらも誤りです。
米に媚びない姿勢は大切ですが、歴史を振り返るとかの国の政策は「アジア太平洋地域に大国を創らせない」ことで一貫しています。
支那であろうがわが国であろうが、臺灣であろうが、アジアを制覇し米と肩を並べるような大国が出てくることだけは絶対に許しません。
ですから、中共にはどしどし大国になりつつある姿を世界中にばら撒き、自分の首を絞め、自滅への道をまっしぐらに突っ走ってほしいです。
折に触れてこういう本に目を通すと、現実的視野を保てますね。
<人種に対するアメリカ人の基本的な認識を承知しておくことが必要である。>(P78) 結局ここを見落としてるんですね。多くの論者は。
米なるものの対外政策の根幹にあるのはビジネス・キリスト教・人種差別意識
だろう、と私は思っています。
とくに、ビジネス権益については極めて厳格で妥協の余地を示しません。
日露戦争後の南満州鉄道権益から米を排除したこと。
これが大東亞戦争の遠因になっていることは間違いないようです。
(帝国陸海軍は、太平洋のみならず支那大陸でも支那軍の後楯になった米英軍と戦っていました)
米という国は昭和40年ごろまで公式に人種差別していた国です。
わが国を同等に見ているとはとても思えません。
そんな国がわが国と信頼関係を構築してきた背景にあったのは
防共
という共通目標でした。
ソ連崩壊後、防共という共通目標がなくなったら案の定、かくしていた牙をむき出し、経済大国だったわが国をぶっ潰す動きに出たのは記憶に新しいところです。
そんな国に生まれた有色人種であるオバマ大統領誕生は、わが国にとって、対米関係における重大な意味を持ったはずです。そう考えた人はどれほどいたでしょうか?
<東アジア沿岸における親米協同組織の中核として、アメリカに協力できる体制を維持し、大陸国家ロシア・中国さらには中東に対処する同盟国であることをアメリカは期待している。いわば、アメリカのオフショア・バランシング戦略の核心になることである。>(P98~99)
米がわが国に求めているのは、
・米の協調国として、米にとって利益となる範囲内で強力な国になること
・バランサーとしての立場を二度と逸脱しないこと
であり、
戦略兵器保持に対しては警戒感を強く持っており、核武装は絶対に許容しない。
という現実があります。
こういう現実からスタートし、わが国に必要なものをわが国が取り戻してゆくには、インテリジェンスの拡充からスタートせねばならないでしょう。
すぐに頭に血を登らせて特攻して積み上げた成果を台無しにすることなく、先人が残した偉大な遺産を元に、わが国を取り戻すには家康の忍耐が必要。
そんなことを思わせる本ですね。
オフショア・バランシングとは具体的にどういうことか?
もつかめる本です。
アメリカの思惑
防衛システム研究所 (著, 監修)
単行本(ソフトカバー): 136ページ
出版社: 内外出版株式会社 (2013/3/15)
言語: 日本語
ISBN-10: 4905285186
ISBN-13: 978-4905285182
発売日: 2013/3/15
著者
防衛システム研究所
松島 悠佐(元陸上自衛隊中部方面総監)
島本 順光(元航空自衛隊技術幹部・現帝京大学講師)
中村 徹(元海上自衛隊海上幕僚監部装備課長)
樫村 保貞(元海上自衛隊駐米連絡官)
津々谷 格(元航空自衛隊技術幹部)
森田 良行(元海上自衛隊掃海隊群司令)
千田 昌寛(「士気の集い」前代表)
エンリケ
追伸
本著の著者のおひとり、士気の集い・前代表の千田昌寛さん。
弊メルマガでは講演会でおなじみですね。
今は、地元に帰って頑張っておられます。
器量があって活気あふれる明るい34歳です。↓
https://www.facebook.com/masahiro.senda.50
■日本を代表する論客4人が明かす、報道されない真実
⇒ http://directlink.jp/tracking/af/1211841/o3RcCwxP/