一連の会議で流れでた雰囲気は「中国の孤立」だった | 日本のお姉さん

一連の会議で流れでた雰囲気は「中国の孤立」だった

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26年(2014)11月17日(月曜日)弐
通巻第4396号
APEC(北京)、アセアン(ネピドー)、G20(ブリスペン)と国際会議が連続
しかし一連の会議で流れでた雰囲気は「中国の孤立」だった
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北京APECの印象はと言えば、日本の首相を軽く扱い、ロシアと韓国を表面的にお目そやし、しかしオバマ大統領とだけ十時間も時間を割いての特別待遇。
露骨なほどの「朝貢外交」を内外に誇示したことだった。
ミャンマーの「アセアン首脳会議」では「航海の安全」「国際法により平和的解決」が明確に謳われた。
そしてブリスベンのG20では、経済面での協力、GDP2・1%成長、インフラ投資の促進など経済政策への協調体制が一番にうたわれたものの、エボラ出血熱の国際的対応などが「首脳宣言」のポイントとなった。
G20ではインドのモディ首相が発言し、黒金(ブラックマネー)に言及していることは注目しておくべきだろう。
モディは脱税、不法送金、マネーロンダリングなどの非合法な送金がテロリストの軍資金やマフィアの麻薬、武器購入資金に流れ込んでいるため、国際的な協力が必要であると述べたのだ。
不法送金による資金の海外流失に悩むのは中国、露西亜、メキシコ、インドなどで、とりわけ中国からは2兆8300億ドルが不法に海外へ送金されているとGFI(ワシントンのシンクタンク)が報告している。
さてオバマ大統領は、北京での熱狂的な習近平の歓待をぷっつんと忘れて、G20の最中、ブリスペン大学で講演した。
そして、こう言ったのだ。
▼ オバマ演説は明確に「米国のアジア回帰」を印象づけた
「太平洋国家として米国は人命と財産を捧げてきた。誰も我々の決意を疑うべきではない。米国のアジア太平洋地域における指導力発揮は私の外交政策の基盤だ」
そのうえで、オバマ大統領は続けた。
「アジアの安全保障の秩序は、大国の小国に対する威嚇などではなく、国際法や同盟による安全保障に基づかなければならない。米国は同盟国との協力を強化し続ける」
つまり、中国の海洋進出を正面から牽制する発言で、中国が放言している「太平洋2分割論」に対しての米国の回答でもある。
これまでリップサービルの域をでないと批判されたオバマのアジア回帰が本物かも知れないと感じさせる強い口調だった。
引き続いての日豪米三ケ国首脳会議で「安全保障上の協力」が強く唱われたほか、共同訓練、装備品の開発など、これまでに目立たなかった国家安全保障に関しての文言が前面にでた。
共同文書には「海洋を巡る紛争の国際法に準拠した平和的解決と航行の自由の確保」が銘記されたが、中国を名指しすることは避けられた。
樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1156回】
――「入唐シ玉フハ室町氏以来希有ノ?・・・豈一大愉快ナラスヤ」(名倉3)
「海外日録」(『幕末明治中国見聞録集成』ゆまに書房 平成九年)
十九日は侯儀、陳汝欽を訪ねるだけでなく、「老練ノ将士ト時事ヲ論シ」ている。上海滞在中、多くの中国人との交流を重ねるが、いったい誰の紹介なのか。それとも自ら進んで探し当てたのか。興味深い点だ。中国人と知り合った経緯についての詳細な記録が残されていないことを恨むが、ともかくも当時の清国を取り巻く内外情報――それは、とりもなおさずに日本を繞る国際情勢ということになるわけだ――を得ようと八方手を尽くしている様子が伺える。貪欲なまでに中国人の中に飛び込んで行く。
「日中友好」なんぞというインチキ極まりないオ題目を唱えなることのなかった時代の付き合いが、そこにあった。加えて戦略的互恵関係などといった寝言に近いようなキレイゴトではなく、どのように振る舞うことが明日の、いや今日の日本が国際社会で他国に伍して矜持を持って生きていけるのか。そのことを真剣に探ろうという絶対必死の志が漲っていた時代だったように思う。
朝訪ねて話をした陳汝欽が、一行の宿舎である宏記館に名倉を訪ねてやってきた。陳はよほど名倉とウマが合ったとみえる。生憎、名倉が不在だった。そこで「同寓ノ士高杉晋作」が応対し、筆談した。いよいよ千両役者の高杉晋作の登場である。芝居小屋なら、ここで大向こうから「待ッテマシタ、高杉~ッ! タップリ」の声が掛かるはず。
高杉が「兄何故尋名倉来」と記すと、私は上海の駐防を担当し職務内容が同じ名倉と今朝、時事問題を論じたのですがすっかり意気投合しました。そこで、こうして訪ね来た次第です、と陳が応える。すると高杉は、僕も時事問題を談ずることを好みますよ。さて姓名、ご住所を記しては下さらぬか、と。陳は名前と住所をすらすらと記した後、「請問君姓名在貴邦所司何職」と問い返した。そこで高杉は、「僕姓源名春風通称高杉晋作讀書且好武事常欽慕貴邦奇士王守仁為人一個書生而已矣」と。すると陳が「妙極、妙極、妙極」と。
目の前に立った日本の若侍から、陽明学の創始者で、吉田松陰以下の多くの幕末の志士の五体に「忠義の志」を刻み付けた「貴邦奇士王守仁」こと王陽明(1472年~1529年)の人となりを「欽慕」する「一個書生」と自己紹介されたのだから、陳ならずともマトモな中国文人なら「妙極、妙極、妙極」と口にしたはず。
この時、高杉は眦を決し一気に筆を動かしたものと想像したい。溢れんばかりの志を秘めた胸は、陳に正対していたはずだ。その時の高杉の胸の裡を推し量るに、なにやら涙を流してしまいそうだ。不覚にも。
翌廿日、名倉は、高杉に依頼して『兵要?』を陳汝欽と侯儀の許に届けた。なんだい高杉、ツカイッパシリかい・・・それはともかく、どうやら名倉が日本から持参した本らしいが、出国前後の慌ただしさの中で日本に置き忘れてきた部分があり全冊が揃ってはいなかった。そこで名倉は遺憾ながら残欠がありますが、「伏乞高評大批」と記した手紙を高杉に託している。その手紙は「陳君患今如何願為国自愛小弟再拝」と結ばれる。
ともかくも名倉は街を歩き、筆談に努める。廿一日は陳と侯の2人を訪れ、廿二日は宿舎内で「唐人」と、廿三日は奉賢県知県の楊溥と浙江巡察官の方瑶卿の「両士ヲ訪フ」た後、「在防ノ兵士劉文?等数員」と「時事ヲ談シ」た。さらに廿三日には「儒医張玉書」の自宅に向かい、張が経営する私塾における教育の現場を視察した。
帰路、扇屋に立ち寄り「人ノ為ニ」数面の扇を買って宿舎に帰り、しばらくしてまた街を「徘徊」し、「童子ヲ見ル眉宇清秀不凡童タルヲ知ル余レ之ト立談セシニ」、その才能に吃驚仰天。そこで「相携茶坊ニ過ク筆話スル?久フ」した。
さて名倉は茶坊で長時間、この童子とどんな筆談をしたのか。それは記されていない。知るのは名倉と「眉宇清秀不凡童」の2人だけ。「廿五日 晴 終日舘内ニアリ事ノ録スルヘキ無シ」という。
《QED》
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(PB生、千葉)
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