台湾、頑張っています!
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平成26年(2014)11月5日(水曜日)弐
通巻第4384号
南沙諸島の太平島に台湾は1150メートルの滑走路。
滑走路を併設して波頭を2015年末までに作り1000トン級の艦船寄港
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南沙諸島の太平島は英語名スプラトリー諸島のなかに位置している。その岩礁のひとつを人口島として台湾は「太平島」と名付けた。
ここに1150メートルの滑走路を建設したのはかなり昔の話である。
小規模な歩哨施設があり、台湾の海上保安庁(「海岸巡防署」という)の救援機などが発着できる。
11月3日から、台湾軍は、ここで実弾演習を展開した。南沙諸島の領有を主張するベトナムが抗議した。不思議である。中国からの抗議はない?
フィリピン、ブルネイ、マレーシアも正式に抗議の声をあげていない。
台湾国会では、南沙諸島にミサイル配備を議論してきたが、予算は凍結されてきた。「中国を刺戟したくない」というのが理由らしいが、南シナ海の軍事緊張がにわかに高まり、台湾国会は一転して「断固防衛する。ミサイル設置の予算も付ける」と決議した。
同島に波止場が完成すると1000トン級の台湾の艦船(救援部隊といわれる)の寄港が可能になる。いまは100トン級の物資輸送船、レーダー基地。百名前後が駐屯しているに過ぎない。
さてベトナムは形式的に抗議したものの、一方で台湾がベトナムに投資しているプロジェクトは無数にあり、これまでに72億ドルに達した。
ことしも九月までの九ヶ月間の投資は7億2300万ドルと、五月の反中国暴動の巻き添えでかなりの台湾系工場が被害を受けた後も、投資は続行拡大されている。
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1150回】
――「日本人始メテ上海二遊来也」(峯5)
峯潔「清国上海見聞録」(『幕末明治中国見聞録集成』ゆまに書房 平成九年)
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当時の上海の人口は「三万六千余人ト云」うが、「近世賊乱ニ依テ難ヲ避ケ来住者多ク、其数分明ナラザルヨシ」と記す。太平天国軍の侵攻を逃れ、多くが上海に逃げ込んできたのだろう。一方、「年中在留ノ夷人一万五千余人アリト」のこと。人口比から云っても、相当に外国人の多かったことが判る。
市街の様子は、「市中井戸ヲ穿タス。只城中三四ヶ所アリと云。依テ皆江水を汲テ日用トス。然ルニ江水重濁ニシ〔「テ」脱か〕直ニ呑ムコト能ス。明礬ヲ以テ濁泥ノ汚物ヲ沈メ、而後漸ク呑ム可シ。是我国ノ人居留民難渋ノ第一ナリ」とのこと。やはり生活用水が大問題だったわけだ。郊外は「疲痩ノ地ト見エ」ただけでなく、「田畠ノ様子ヲ見ルニ作リ方疎漏ニシテ草ヲ除ケス。荒所多シ」というから、農業もさぞや杜撰だったのだろう。
さて問題は衛生状態だ。「上海中、糞芥路ニ満チ、泥土足ヲ埋メ、臭気鼻ヲ穿チ、其汚穢言フ可ナラス」。そこで中国人に尋ねてみたら、以前はこんなに汚くなかったが、外国人が往来するようになり、「上海ノ繁昌ニ従テ斯ク道路不潔ニナリシト云」。つまりアヘン戦争敗北の結果として結んだ南京条約で上海が開港されて以降、経済繁栄に反比例して上海の街は汚くなっていったというのが中国人の説明のようだが、この説明をマトモに信用していいものか。そこで峯は、中国人というものが目先の利に奔り、「農業ヲ切ニセス、不浄ヲ棄テ田畠ノ肥ニ用ヒサルヨリ自然路傍ノ尾篭ニナリシモノナリ」と考える。
日本のように糞尿を畠の肥しにして作物を育てればいいものを、目先の損得に奔るから、街路が不衛生極まりない状態になっても知らん顔。やがて「悪病ノ流行スル、腐敗ノ気、是カ害ヲ為スコト最モ多シ」。そこで毎年炎暑の時節には、「必ス悪病大ニ行レ、人民ノ死スルモノ甚ダ多シト云」。こういったことは些末なことのようだが、「人命ニ拘ルコトナレナレ」ば、国家の指導者は十二分な対策を考えるべきだと、峯は強調する。「土人目前ノ利ニ走リ」、土地を荒廃させ環境破壊も日常化している情況は、まさに21世紀初頭の現在にも通じている。ということは、中国人は19世紀半ばから進歩がないということだろうか。
制度について、峯は頻りに筆談を試みている。
科挙試験に関し、日本と違って中国では文は重んずるが武は軽んじられてきた。最近では太平天国軍対策のため、若干だが武も重視されるよういなったとの返答を受けて、「按スルニ当今清国ノ風、文弱ニ流レ夷蛮ノ力ヲ恃ムニ至ル。是万邦ノ殷鑑ナリ」と綴る。文弱に流れた結果、太平天国軍の前に清軍はなす敗退に次ぐ敗退。ついに上海防衛を「夷蛮ノ力」、つまり欧米の常勝軍に委ねざるを得なくなった。かくして文弱は亡国への道でしかなく、それゆえに「当今清国ノ風」は「万邦ノ殷鑑ナリ」というわけだ。
話が科挙の弊害に及ぶと、先ず峯は「按スルニ唐土文学ノ盛ナルコト四方是ニ及フ者ナシ」と、中国における「文学」の盛行ぶりを讃えてみせる。だが、峯の言う「文学」は現在の文学ではなく、儒教古典や二十四史と呼ばれる歴代王朝の正史を捏ね繰り廻す学問を指しているはずだ。紙の上での詮索のみ力を注いだからといって、それは「実用甚タ稀ナリ」。学問には励むといったところで専ら科挙試験合格を目指すものでしかなく、官途に就く道が科挙試験に限られてしまっているところに国家衰亡の原因が隠されている、というのだ。大金を費消したバカバカしいばかりに厚い葬式もまた、「清国衰乱ノ極ルコト」と断じた。
上海に集められた中国兵の数が1万2千人だと知って、峯は「按スルニ兵ノ要ハ精ニ在リテ衆ニアラス」。「徒ニ其衆多ナルヲ夸シテ却テ其微弱ノ恥ヲ顕スヲ知ラス」と記した。多いからと言って弱兵の寄せ集めでは敵に勝てるはずがないじゃないか、である。
《QED》
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(読者の声1)御新刊の『吉田松陰が復活する』を拝読しました。まさしく情熱的な本ですね。小生も歴史上の人物では吉田松陰が一番好きです。
その次が西郷隆盛です。楠公、日本武尊となりますと、或る意味で神話の世界のように見えます。日本人は歴史的人物を好きかきらいかで判断する性癖がありますが、たとえば秀吉は好きだけど家康は嫌いとか。西郷は好きだけど大久保は嫌いとか。
しかし、近年、大久保利通の偉大さを認識するようになりました。貴著から得られたヒント、大です。
(MS生、文京区)
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(読者の声2)これまでどちらかといえば中国ウォッチャーとして大車輪の活躍をされてきた宮?さんゆえに、歴史評論を新しく始められたのかと思いきや。そうでもなくて、歴史方面の仕事が意外に多いのですね。
このたびは『吉田松陰が復活する』(並木書房)。その一年前の御作『取りもどせ、日本の正気』と連続して、これらは宮?さんの思想の核心でしょう。
小生自身は、従来、吉田松陰を尊敬しつつも、遠ざけてきたのですが、最近どうしても吉田松陰を勉強しないで幕末も明治維新も語れないことを悟り、時間をみつけて読み進めてはきました。
やはり宮崎さんの多彩な視野が生きており、それが持ち味になっています。ともかく宮?さんの才人ぶりには驚くばかりですが、このように歴史を語っていただくと、またいろいろなことが見えてくるのが不思議です。
同時に、松陰の旅をベースにされた着想も斬新で、このような旅の趣向、うらやましくも思いました。
なるほど、松陰先生は『旅人』ですね。
本題とも関係ないですが、坂本龍馬と大久保利通に関しての評価、宮?さんの言及に大変興味を覚えました。小生も常々それを感じていましたが、司馬遼太郎の歴史小説の悪影響かと思います。いつか、このテーマを書いて欲しいとも思います。
(TI生、相模原)
(宮崎正弘のコメント)上ふたつの御意見にまとめて。つぎは孫子に挑戦します。理由は孫子ほど日本人が誤解している戦略家はないからです。「兵は詭道なり」、「上策は戦わずして勝つ」、「風林火山」だけが先走りしていますが、孫子の肯綮は「国家百年の計」と「戦争の重要性」、相手に勝つにはスパイ(諜報)がもっとも大切だと言っているのです。
それをビジネスに適用するとか、経営戦略に孫子の応用だとか、株式投資のノウハウと孫子などと、まるで邪道のような孫子論が日本の主流。ですから、『孫子の正しい読み方』に挑戦しております。
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