「スパイ天国・日本の現実」鳴霞
読書感想文がよかったので紹介します。↓
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「李春光」どころではない! 「スパイ天国・日本の現実」を実名を挙げて警告する!
投稿者 閑居人 殿堂入りレビュアートップ50レビュアー 投稿日 2013/4/9
形式: 単行本 Amazonで購入
「誤解を恐れず言えば、中国共産党とは、政党や政府ですらなく、十三億の民衆を共産主義というイデオロギーで洗脳し続ける、巨大な『カルト集団』なのである。集団の目的のためには、謀略も殺人も情報操作も戦争も行う。それが『中国共産党』の正体である。」(107ページ)著者は、そう断言して憚らない。
松下政経塾や鹿野農林水産大臣、農林水産会社、サプリ関係会社を手玉にとって、一億六千万と情報、農産品をせしめた「李春光」は、「TPP交渉参加」阻止のために民主党政権奥深く工作を進めていた。しかし、著者に言わせれば、「スパイ天国・日本」の実態はその程度の《軽い》ものではないという。在日中国人、及び十二万人を超えた「帰化中国人」が日常情報収集に当たり、駐日大使館のコントロール下にある。中共は、近年、彼らを「日籍華人」と呼び、「日籍華人連誼会」という組織を作って統括するようになった。彼らの多くは中共の洗脳が十分に解けていない状態にあり、しかも、家族や係累が大陸にいるために中共を恐れ、日本国に忠誠心を持っていない。
著者は、例えば、この「日籍華人」の代表格として、菅直人政権の官房副長官だった『福山哲朗』を挙げる。昭和50年に父、弟とともに帰化した彼は、元の名前を「陳哲朗」という。「彼は、『従軍慰安婦」解決促進法案の提出を推進したり、その前の鳩山政権では外務副大臣として『東アジア共同体』を進めようとしたりしたが、普天間基地問題では最後まで「少なくとも県外」に拘り、日米関係を崩壊寸前まで追い込む原動力となった」(27ページ。なお、福山は普通「在日」として扱われることが多いが、ここでは著者の記述に従った。)
民主党に巣くった「日籍華人」は、福山だけではない。議員の「配偶者」、或いは「議員秘書」として情報工作をした例を、著者は実名を挙げて具体的にその工作の次第を描く。著者がこのように具体的に書けるのは、著者が「あとがき」で断っているように「千代田情報研究会」という背景があるからだ。この「研究会」の実態は詳らかではないが、知っていても書けない大手新聞政治部記者やフリーランサーの集まりだろう。現役ではない、公安OBなどが入っている場合もある。著者が、果敢に実名を挙げて具体的に書けるのは、「名誉棄損」で訴えられても戦えるだけの確証をそろえているものと考えることが妥当である。
「あとがき」によれば、著者は、瀋陽生まれの「満州族」である。祖父母は「満州国」時代を体験しており、日本軍の廉直さに対する敬意には並々ならぬものがあったという。中国共産党のエリートコースを歩んだ著者は、しかし、縁あって日本人と結婚し、25歳で来日した。通訳として仕事をしているうちに痛感したことは「日本人がいかに易々と中国人に騙されるか」ということである。2002年「月刊中国」を立ち上げ、中国の本当の姿を伝えようと考えたという。
多分、女性であるが故に、本書では、日本の「ファーストレデイ」たちの軽率な行為も取り上げられ、辛辣に批評される。
鳩山幸が北朝鮮系のイ・ソジンといううがい薬みたいな名前の「韓流俳優」にぞっこんだったことは広く知られているが、二ヶ月に一度、会食を重ねてきたことは「ファーストレディ」の品格を貶めている。(断っておくが普通の日本人の男なら、鳩山夫人の歌う「さくらさくら」など聞けたものではない。その俳優も、余程、気味が悪かったものと同情したくなるくらいだ。だが、「工作」は確実に遂行されていたことだろう)
安倍昭江も同じである。安倍の自民党幹事長時代、「京劇俳優」に夢中になり、その俳優の「招待」で中国で国賓並みの歓待を受けたことも、知っていて書けない政治部記者たちがぼやいていたことである。(このことは最近週刊誌でようやく報道された。一介の京劇俳優が国賓並みの招待ができるわけがない)ただ、こういった女のすることに、日本人の男は、比較的寛大だ。惻隠の情を持って書かないことを誇りとする。しかし、著者は「女」である。内閣総理大臣安倍晋三が、昭江夫人を伴って、2007年4月24日、「CNN」のインタビューを受けた。資本提供を受けて中国よりになっていた「CNN」は、「従軍慰安婦に日本軍が直接関与した事実はないとおっしゃってますが・・・」と安倍に尋ねると、昭江は「あなた、そんなこと言ったんですか?」と言った。国際関係に影響することを事情を知りもしない妻が言及すべきではない。著者は、「対中国ODA復活」を幹事長時代の安倍が行ったことについて、安倍夫人の「京劇俳優との関係」からの関与を示唆する。
著者に言わせれば、これらのことは「ハニートラップ」の一種なのだ。男だけが、ターゲットにされるわけではない。「妻たち」もターゲットにされるのだ。
「中国の女」の実態についての著者の指摘はさらに厳しい。中国共産党幹部の「氏・素性の良い」娘たちが、日本のクラブホステスをして情報を集めているという。麻生太郎の行きつけのクラブには、その手の女の子たちが張り付けられていた。「ワターシ、ニホンゴワカラナーイ」という女の子たちが、政財界の要人の会話をメモして、中国国家公安部に情報を渡していた。著者によれば、こうした女の子の手にかかって勝てる男は滅多にいない。偶然を装って近づいてきた中国人の女に意気投合して、同行したホテルで薬を飲まされ機密書類をコピーされたケースもある。
著者は、言う。「西太后」は、20番目の愛人だったが、ライバルをことごとく蹴散らして、正室である「東太后」を毒殺し、権力を握った。これが「中国女の本質だ」。著者も元々は中国人の女性だろうからそこまで言わなくてもいいのではないかと思うのだが、易々とハニートラップにかかる日本人の男に対する義憤があるのだろう。
内容を紹介しきれないのが残念である。「朝日新聞」は「人民日報」と業務提携しており、社内に「支局」があることで有名である。しかし、朝日新聞そのものが中共の外交政策の「支局化」している実体が、論説主筆若宮啓文を例に取り上げられる。若宮は「中国の理解者」くらいのつもりでも、相手側は「コードネーム」を振っていることだろうし、利益供与の積み重ねも記録されているだろう。中共が倒れたら、そういった極秘資料が大量に売りに出されるに違いない。日本の政治家、官僚、財界人、新聞記者、研究者、文化人・・・余りの多さにびっくりすることになるかも知れない。そのとき、「訴追」できるかどうかは別にして「スパイ防止法」は一刻も早く成立させねばならない。反対する輩には一言「何か、困ることでもあるんですか」と言えばいいだろう。
最近、柏原竜一氏の「中国の情報機関」(祥伝社新書)が発行された。この本も良い本であるが、本書からは「一日も早くスパイ防止法の制定を!」という切実な感情が、伝わってくる。http://www.amazon.co.jp/%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%99%E3%81%90%E9%9A%A3%E3%81%AB%E3%81%84%E3%82%8B%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%A4-%E9%B3%B4%E9%9C%9E/dp/4864102392/ref=aag_m_pw_dp?ie=UTF8&m=A3U8QY622Y97QU
情報管理に無防備すぎる日本
投稿者 waka 殿堂入りレビュアートップ10レビュアー 投稿日 2013/4/17
形式: 単行本 Amazonで購入
かなり密度の高い内容なので、読むのにかなり時間がかかった。鳴霞氏の情報収集力の高さには、いつもながら(彼女の書を読むのはまだ二作目だが)感心させられる。日本がいかにスパイ活動に鈍感であるか、痛感させられた。
民主党政権は「友好」の美名の下に、中国人のビザ取得を簡易化し、日本国籍取得(帰化)も簡易化し、中国人のスパイは日本で活動することが簡単になった。在日中国人および日本に帰化した「元中国人」が情報収集の中心にいるという。日本の国会議員や秘書、配偶者にも中国人や「日籍華人(元中国人)」が相当いて、日本の政治に介入しているという。
スパイといっても、訓練されたプロのスパイとは限らず、サークル活動などでのありきたりの会話が情報提供になることもあり、スパイ行為をしている本人がスパイという自覚がない場合もあるという。
民主党政権時、国会議員会館の出入り業者は入札制となり、そこで働く人間の身元調査も行われなくなったため、秘書がちょっと部屋を出た隙に清掃員がこっそりと国会議員の機密書類を見ていたことがあったという。また民主党政権になってから、インターン制度がかなり活発化され、外国人インターンがかなり使われ、極秘事項もすべて外国人インターンに任せてしまう議員もいたという。民主党政権下で、首相官邸に出入りできる人間が1300人に膨れ上がり、安倍内閣の発足と同時に官邸入りした内閣官房参与は、直ちにパスを取り上げたという。
また日本人は、研究者や大学教授、企業技術者、インターン、大学の留学生など「学ぶ」とか「研究する」ということに対して、無警戒に協力してしまう。日本企業は中国人技術者に技術だけでなくさまざまなノウハウを無償で提供し、あげくに企業機密まで盗まれている。日本企業は「人権」「友好」「学術研究」という冠をつければ、技術も機密も公開、資金まで提供し丁寧に教えてくれると、中共政府は見くびっているのである。この状態こそ、日本が「スパイ天国」であると揶揄されている理由である。
日本の高度技術が盗まれ、それが軍事技術に転用されれば、世界の他の国にとっても迷惑なことなのに、スパイ防止法のない日本では、横領や窃盗や外国為替違反など、微罪にしか問えず、たった数年で自由の身になり、名を変えて再来日し、再びスパイ活動をしないとも限らないという。
アメリカ、カナダ、オーストラリアなどでは、帰化した華人たちが議員や市長になり、治安の悪化など様々な問題を起こしており、次は日本だという。オーストラリアの労働党政権は、二人の中国人スパイにより崩壊寸前まで追い込まれた。中共スパイの最大のターゲットはアメリカなので、捜査に着手する中国絡みのスパイ容疑事件は年間400件を超えるそうだ。それでもアメリカの場合は、スパイ防止法があるからまだいい。中国の工作員たちは「逮捕の恐れや、生命の危険もなく、易々と大きな成果が得られる」と日本への転属を希望しているという。
防衛相の情報漏洩事件も起きている。自衛隊員の配偶者が中国人というようなケースは、ある程度対応できるが、今後問題になるだろうと考えられるのは、中国から帰化した人物が日本名を名乗ってある意図を持って自衛隊に入隊してくる場合だと、著者は主張する。元中国人の防衛大学生に、「工作員」の疑惑があるという。著者が自衛隊に詳しい日本人ジャーナリストに尋ねたところ、「自衛隊では帰化人隊員についてはノーマークに等しい状態です。警務隊が”注視”はしているがそれだけです。理由は人権侵害になる恐れがあるから」と答え、「早急にスパイ防止法を整備し、自衛隊を軍隊と認めて、軍法会議を設立する以外、情報漏洩を防ぐ方法はありません」と言ったという。
日本がいかに情報漏洩に甘く、無防備であるか、思い知らされた。一刻も早く、スパイ防止法を設けるべきだと実感させられた。