MRJは、日本製旅客機としては1962年に初飛行したプロペラ機「YS11」以来
日本製航空機MRJが初公開へ―2割低燃費
2014 年 10 月 16 日 11:58 JST
http://jp.wsj.com/articles/SB10345363700595394421004580217280224540638?mod=WSJ_article_EditorsPicks
MRJは同等機より20%低燃費 Bloomberg News
【名古屋】かつて第2次世界大戦中にゼロ戦の設計技師が働いていたビルで、エンジニアが新たなプロジェクトに取り組んでいる。それは、日本にとって半世紀ぶりの旅客機の開発である。
三菱重工業の子会社、三菱航空機は18日に、政府要人や関係企業を名古屋に招待して、何度か計画を延期してきた新型の小型ジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の初号機を公開する。
同社の川井昭陽社長は15日、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、「たくさんの人から『いつごろ完成するのか』と尋ねられたが、ようやく飛び立てるところまでこぎつけた」と述べた。
試験飛行は来年4-6月の予定で、納入開始は2017年になる見通し。ただ、受注はオプション(購入権)を含めて375機にとどまっており、初飛行前から国際競争の荒波にもまれている。MRJの定員は76~88人。
川井社長は、三菱航空機はMRJにより、向こう20年間に世界の小型旅客機市場で50%のシェアを獲得することを目標としていると語る。同社は、この間の同クラスの航空機の市場規模を5000機超と予想している。
ロンドンのアセンド・フライトグローバル・コンサルタンシーのロブ・モリス氏は、MRJの受注が軌道に乗るまでには時間がかかるかもしれないが、2033年までに世界市場で約4000機を納入し、販売総額は280億ドル(約2兆9700億円)、シェアは22%に達すると予想している。アセンド社によれば、その間の小型旅客機受注のシェアはブラジルのエンブラエルが61%でトップに立ち、三菱が第2位の座を占めると予想する。
定員70-100人の小型ジェット旅客機市場は長年、エンブラエルとカナダのボンバルディアの寡占体制となっているが、ボンバルディアは大型機の開発に注力し、小型機ではシェアを落としている。新規参入者は三菱だけではない。ロシアのスホーイが小型機を製造しており、中国の商用飛機も開発に乗り出している。ただ、スホーイの「スーパージェット100」は、2年前にインドネシアでのデモ飛行で墜落し、後退を余儀なくされている。一方、商用飛機の「ARJ21」は08年に初飛行を行ったにもかかわらず、まだ中国航空当局の型式証明を得ていない。
三菱によると、MRJが航空機エンジン大手プラット・アンド・ホイットニー製の新型エンジンを搭載することもあり、既存の小型機に比べ環境に優しく、静かで快適だという。燃費も20%低減されるという。また、貨物室を座席の下部ではなく機体の後部に設置するため、上部空間が広がり身長の高い人でもかがむ必要がない。モリス氏は、MRJはデザインが斬新なことに加え、空間が広く燃費も良いことが強みとなるとし、「市場機会は大きい」と語る。
アナリストによれば、MRJの販売価格は、4000万~5000万ドル(約42億4000万円~53億円)と見込まれている。確定発注しているのは全日本空輸や、米国のトランス・ステーツ、スカイウエスト、さらにはミャンマーのマンダレー航空など。MRJは、日本製旅客機としては1962年に初飛行したプロペラ機「YS11」以来となる。
http://jp.wsj.com/articles/SB10345363700595394421004580217280224540638?mod=WSJ_article_EditorsPicks