オレオレ詐欺の新パターン「母さん助けて詐欺」
事例から学ぶ!オレオレ詐欺の新パターン「母さん助けて詐欺」の手口とは
2014年10月06日 21時00分 提供:WooRis
「まさか、自分が詐欺にひっかかるとは」と驚くケースが多いというのが、“母さん助けて詐欺”の被害者。“母さん助けて詐欺”は、以前は“オレオレ詐欺”とも呼ばれ、息子や娘、親族、関係者などを演じながら電話をかけ、巧みな言葉で騙し、相手からお金を巻き上げるという犯罪です。
実際、どのような会話のやりとりをしているのでしょうか。アディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士に、実際にあった“母さん助けて詐欺”の事例をうかがってきました。
■“浮気相手との間に子どもができてしまった詐欺”が発生
篠田弁護士のもとに相談があった事例のうち、50代女性のケースを紹介します。
「“もしもし、僕だけど……”と、夜息子から母親に電話が入りました。“喉の調子がおかしいから、明日病院に行くよ。結果はまた明日伝えるね。携帯電話は今故障しちゃって、この番号を使っているから”と。母親が“(奥さんの)A子ちゃんは元気?”と聞いたところ、“ああ。今お風呂に入ってる”と返事がありました。
次の日、“扁桃腺が腫れていると言われて、薬もらってきた。2~3日は声が治らない”と電話が入り、そして“驚かないで聞いて。昨日は言いづらくて言えなかったんだけど……実は俺、A子以外の女性と浮気をしてしまって。
しかも子どもができてしまって、弁護士を通して連絡が来たんだ。相手に旦那さんがいてすごく怒っているみたいで。今日中に150万円用意すれば示談してくれるけど、そうでなければ訴えるって。どうしよう……”と深刻な話になったのです」
本来、ここで「おかしいかな?」と気付くべきところではありますが、電話の相手が“A子”という奥さんの名前を言っているため、完全に自分の息子だと信じ切ってしまったのです。
■詐欺の相手に、実際に100万円を振り込んでしまった!
「母親が、“A子ちゃんがいるのに、なんてバカなことを!“と言い、”100万円ならすぐに用意ができる“と言いました。
すると、”じゃあ、なんとか100万円だけでも振り込んでもらえる? 訴えるのはやめてと話をしてみる。すぐに振り込んでくれる? 弁護士は▲▲法律事務所の▲▲弁護士といって連絡先は 00-0000-0000。
振込先口座が■■■なんだけど……“と言われ、急いで母親が振り込んでしまったのです」
お金を振り込んだ後、何かおかしいと気づいた母親がすぐに息子に電話をして、詐欺だと判明。
篠田弁護士のもとに相談にきました。
弁護士から銀行に対し、即時取引停止の申し入れを行い、既に引き落とされた50万円は返ってこなかったものの、まだ50万円が口座に残っていたため、半額の50万円は取り戻せたといいます。
ただし、「こういった事例では、戻ってくることの方が珍しいので、まずは被害にあわないことが重要です」と篠田弁護士は言います。
声がおかしいことを、“扁桃腺が腫れている”といってごまかし、奥さんの名前を聞きとって、再度言って信じ込ませるという詐欺の手口を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
「自分は大丈夫」だと思っても、巧妙な手口にうっかり引っかかってしまう危険性があります。また、自分だけでなく、自分の両親が詐欺にあう可能性もあります。ぜひ、両親にも上記のような事例を伝えて、被害にあうことのないように、十分注意をしてくださいね。
【取材協力】
※ 篠田恵里香・・・弁護士法人アディーレ法律事務所。 パートナー弁護士(東京弁護士会所属)。男女トラブル、交通事故問題などを得意分野として多く扱う。また、離婚等に関する豊富な知識を持つことを証明する夫婦カウンセラー(JADP認定)の資格も保有している。外資系ホテル勤務を経て、新司法試験に合格した経験から、独自に考案した勉強法をまとめた「ふつうのOLだった私が2年で弁護士になれた夢がかなう勉強法」(あさ出版)が発売中。公式ブログ「弁護士篠田恵里香の弁護道」も更新中。