「今さら」「責任とれ」事業者戸惑いと怒号 再生エネ買い取り見直し着手 | 日本のお姉さん

「今さら」「責任とれ」事業者戸惑いと怒号 再生エネ買い取り見直し着手

2014.10.16 09:20
「今さら」「責任とれ」事業者戸惑いと怒号 再生エネ買い取り見直し着手
政府が再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の抜本的な見直しに着手したのは、大手電力各社による相次ぐ買い取り受け付けの中断で、制度設計の不備が露呈したからだ。大規模な太陽光発電所などを計画していた事業者には「今さら事業を中断できない」など戸惑いが広がる。制度導入からわずか2年あまりで、再生エネの普及策は転換を迫られる。
「責任を取ってほしい」
九州電力が福岡市や佐賀市、大分市など6カ所で今月初めに開いた買い取り手続き中断の説明会。会場では事業者が九電幹部に詰め寄り、怒号が飛び交う場面もあった。
九電は9月25日から買い取り契約の受け付けを停止。その後、東北電力など4社も受け入れの中断を発表した。太陽光発電を中心に契約申し込みが急増。すべて受け入れると送電容量を上回り、大規模停電が起こる恐れがあるからだ。
戸惑いは事業者だけでなく、再生エネ導入を推進してきた自治体にも広がる。東日本大震災からの復旧事業の一環で再生エネの導入計画を進めてきた被災地では、東北電力の契約中断に動揺を隠せない。地元自治体からは「復興への取り組みに水を差す対応だ」などと、電力会社や政府に対する怒りの声も聞かれる。
政府は住宅以外の太陽光設備の認定を中断するといった対応策を検討。さらに送電網の増強や発電した電気をためる蓄電池の整備、電力会社の送電網の相互活用などについて検討し、混乱の収束を急ぐ構えだ。
だが、すでに認定された事業者の電力をどう受け入れるかについての対応策は示されないまま。また、送電網の強化には全国で数兆円規模の新規投資が必要とされ、整備にも時間を要するなど、制度の見直しには困難も予想される。(大柳聡庸)
http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/141016/plt14101609200004-n1.html
太陽光発電バブル崩壊? 再エネ買取制度、見直しへ 相次ぐ電力会社の買取中断も影響か
更新日:2014年10月3日
日本政府は、太陽光など再生可能エネルギーの「固定価格買取制度」について、抜本改定に着手した。大規模太陽光発電所(メガソーラー)で作った電気の買取価格が決まる時期を、「国の事業認定時」から「事業開始時」に改正するという(読売新聞)。電力会社が、再生可能エネルギーの買取を中断する動きが広がり始めたことも影響しているとみられる。
海外メディアも、同紙の報道などを基に、この事態に着目している。
【毎年引き下げられる価格】
買取制度が導入された際、太陽光発電の買取価格はキロワット時42円で、世界的に見ても高額だったとロイターは指摘している。そのため、政府や電力会社の予想以上に、多くの業者が太陽光発電に参入した。しかしその後は引下げが続き、現在の買取価格はキロワット時32円だ。
政府は、風力・地熱等の再生可能エネルギーの買取価格は据え置く一方で、太陽光発電の買取価格は毎年引き下げている、とブルームバーグは指摘している。そのため、買取価格が下がる前に認定を受けようと、太陽光発電業者が、年度末、申請に殺到していた。
ブルームバーグによると、固定価格買取制度の発足以来、72,000メガワットのプロジェクトが認定されてきたが、そのうち96%は太陽光発電である。
【プロジェクト完成に至ったのはわずか15%】
経済産業省によると、6月の時点で、11,090メガワットの再生可能エネルギーが導入されているが、認定容量の15%に過ぎない。土地取得の難しさや設備人材のコスト高なども原因として挙げられているが、送電網の不足がボトルネックとなっている。
25日、九州電力が新規買取契約の受付を中断した。北海道電力、東北電力、四国電力、沖縄電力など、主要電力会社10社中7社が再生可能エネルギーの買取を中断している、と『The Diplomat』は報じている。
電力各社は最大電力需要を想定して必要な容量の送電網を整備している。容量を超えれば大規模停電を招くリスクがある。また、再生可能エネルギーは天候の影響を受けやすく発電量が安定しないため、容量を拡大すれば安定供給に支障が生じる恐れがある。
【全国の送電網の整備が先決】
再生可能エネルギーの固定価格買取制度の改正は、根本的な問題の解決とはならないと指摘する声もある。
日本政府は、福島第一原発事故以来、再生可能エネルギーの利用を推進している。もし認定された太陽光発電が全て導入されたなら、世界トップであるドイツの35,700メガワット(昨年末)の約2倍となる。(『The Diplomat』)。
今回の制度改正では、全国の送電網の拡充まで対処できていない、と同メディアは結んでいる。
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http://newsphere.jp/politics/20141003-2/
“原発再稼働を促進” 電力会社の再生エネ購入中断、海外メディアも注目
更新日:2014年9月30日
“原発再稼働を促進” 電力会社の再生エネ購入中断、海外メディアも注目
九州電力は9月24日、10月から再生可能エネルギー発電設備に対する接続申込み受付を中止すると発表した。東北電力も同様の発表をした。なお両社は、家庭発電規模10キロワット以下の電力の買取りは続けるとしている。
原子力規制委員会は9月10日、九電による川内原発(鹿児島県)再稼働の申請を認めた。今年冬には稼働を開始するとみられている。
日本のエネルギー政策はこれからどう進んでいくのか。海外各紙がそれぞれの見方を報じている。
【再生可能エネルギー普及にブレーキか】
2011年福島第一原子力発電所の事故から、日本は再生可能エネルギー、特に太陽光発電に大幅な投資をしてきた、とフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。もし日本の現在までの全ての太陽光発電計画が認められ実現すれば、計68ギガワットになるという。ドイツの約2倍、世界最大だ。
しかし、電力会社各社は、計画の見直しを始めているようだ。天候に発電量を左右されやすい太陽光発電に偏れば、電力供給が不安定になる危険があり、現在でも制限を課している。
アナリストは、電力会社2社の決定は、太陽光発電計画の承認にブレーキをかけるだろうとみている。他の地域の電力会社も、扱うクリーンエネルギーの幅を見直すだろう、と予測した。エネルギー問題のコンサルタント、トム・オサリヴァン氏は、「もし九州電力と東北電力が当分の間(再生可能エネルギーのための)送電線網を提供しないということになれば、電力業界にとって大きな問題だ」(フィナンシャル・タイムズ紙)と述べた。この2社は、全国で最も多くの大規模発電の申請を受けている。
経済産業省は、2社の決定についてコメントを避けている。2012年に固定価格買い取り制度(エネルギーの買い取り価格を法律で定める方式の助成制度)が導入されてから、キロワット時の価格が42円から32円に下がっていることにも触れていない。
【原発再稼働なくしては日本経済の再生はない】
これらの電力会社の動きは、地方自治体が、原子炉の再稼働に向かうことを促進するものだ、とフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。
フォーブス誌は、震災で多大な被害を被った日本国民のもう原発に関わりたくないと考えるのはよく理解できるが、再稼働から方向を転換するのはひどい間違いだ、と原発を推進する意見を示している。
福島の原発事故は日本のトラウマとなる経験だったが、本当の悲劇は、原発を使えなくなったその後だ。このままでは成長が停滞を続けるだろう、と危惧している。そのため、良い知らせは、今年の末に2つの原発が再稼働することだ、と同氏は述べる。しかし、2つでは、まだ足りないという。世界で最も栄えている経済を支えるためにも安全を確保したうえで、すべての原子炉の操業再開をすべきだ、と主張している。
【エコ建築を政府が推進】
一方、ウォールストリート・ジャーナル紙は、「日本はゼロエネルギー構造への転換をすすめている」と題した記事を掲載している。
大成建設は今年、年間の消費エネルギーと創出エネルギーの収支がゼロになるゼロ・エネルギー・ビルを横浜市に完成した。この自社ビルは、太陽光発電により、平均的なビルに比べエネルギー消費を75%削減できるという。
しかし、この技術はまだ高価で一般の消費者には手が届かない。建設費はエネルギー費用削減では引き合わない額だ、と同紙は報じている。大成建設は横浜のビルの建設費用を明らかにしていないが、2020年までには、平均的な価格よりも20%増し程度にまで引き下げるという。一般消費者は、実際国の支援を受けている。
安倍内閣は、2020年までに全ての公的な建物をゼロエネルギー建築にするという目標を掲げている。ヨーロッパ連合(EU)も似たような目標を立てている。また、アメリカのエネルギー省は、2025年までに商業ビルでゼロエネルギー建築を可能とするため、技術と経験を積極的に高めていくとしている。
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http://newsphere.jp/national/20140930-5/