「マッチャ、マッチャ」と大人買い…抹茶菓子、外国人に空前のブーム
「マッチャ、マッチャ」と大人買い…抹茶菓子、外国人に空前のブーム
産経新聞 10月14日(火)8時0分配信
グリコの「ぐりこや」では外国人に人気を集める抹茶のポッキーやコロンなどがお土産として売れている=大阪市中央区(榎本雅弘撮影)(写真:産経新聞)
外国人観光客の間で「抹茶菓子」が空前のブームとなっている。抹茶味のキットカットやポッキーなどが訪日時の「おみやげ」などとして大人買いされているのだ。メーカーは新商品を発売し、小売店も売り場の外国語案内を充実させたりと、あの手この手で需要を喚起。ユネスコ無形文化遺産に和食が登録されたうえ、10月からは菓子が免税品の対象になることもあり、関連業界の期待は増すばかりだ。(田村慶子)
■観光コース化
「マッチャ、マッチャ」-。大丸梅田店(大阪市北区)の地下食品売り場では最近、そう口ずさみながら買い物する外国人客がよく見られるという。
もちろん、抹茶そのものも人気なのだが、外国人観光客の増加に伴い注目度を増しているのが、抹茶味の菓子だ。大丸梅田店では抹茶味の飴(あめ)や饅頭(まんじゅう)などの販売が1年ほど前から増えてきた。同店広報担当の樋口陽子さんは「中国や台湾などアジア圏の観光客を中心に売れている」と、抹茶人気を実感している。
抹茶菓子人気の火つけ役となったのは、チョコレート菓子「キットカット」。抹茶味は日本限定で販売しているため日本旅行の定番みやげとして人気になっている。製造するネスレ日本によると、免税店での抹茶シリーズの売り上げは、平成21~25年までの5年間で10倍超に急増した。
同様に、江崎グリコのポッキーやコロンも人気が高まっている。大阪・難波にある「ぐりこ・や道頓堀店」では、抹茶味のシリーズを求めて中国人の団体客が目立つ。「食べ歩き用に1個、おみやげ用に10個入りの段ボール箱がよく売れる」(広報)ため、客単価は1万円以上になることも珍しくない。
「お菓子のデパートよしや四条河原町店」(京都市下京区)でも約10種類の抹茶菓子を販売。「海外の団体客が12個入りを箱買いすることも多い。日本ならではの菓子を買うことが、観光コースのひとつになっているようだ」(松本隆治店長)と話す。
■レア感が人気の秘密
ネスレと江崎グリコは海外に広く販売網を展開しており、キットカットやポッキーは多くの外国人にとってなじみ深い商品だ。これほど売れに売れているのは世界ブランドにおける日本限定のご当地品であり、「信頼度と“レア感”を兼ね備えた商品だから」(ネスレ日本)といえそうだ。
こうなると「抹茶味」を一時のブームで終わらせるのはもったいない。外国人観光客の需要を取り込み、ブームの波をさらに広げようと、各社は拡販に乗り出している。
ネスレ日本は成田空港や関西国際空港など国内主要空港内にある免税店で、20年に発売した「宇治抹茶」に加え、22年に桜の香りを加えた「桜抹茶」を投入。店頭での商品案内や外国人向け情報誌への掲載などで売り込みを強化している。
一方、江崎グリコも9月から、成田、羽田空港を中心に「ポッキーミディぽってり抹茶」を発売している。成田空港の免税店では「抹茶コロン」に対し、英語や中国語、タイ語など5カ国語で記した商品POP(販促広告)で分かりやすさも追求した。
■過熱の予感
大丸梅田店では10月28日まで、合繊大手の帝人とタイアップして外国人を対象にした日本茶のPRコーナーを開設している。10月から免税品の対象品目に菓子など食品が加わることを見すえた試みで、「外国人に人気の抹茶菓子をはじめ、茶葉や南部鉄器の鉄瓶なども売り込む」(広報)という。
売り場に設けられたコーナーでは、帝人が手がけた特殊なシートにスマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット型端末で触れると、英語や中国語による商品案内やお茶のいれ方を解説する動画などがダウンロードできる。免税カウンターの面積も9月17日から約3倍に拡張し、受け入れ態勢も強化した。
健康志向による和食人気の高まりに加え、「日本=お茶」というイメージも相まって売れる「抹茶味」。東京五輪が開催される2020年までに政府が目指す「訪日外国人2千万人」時代に向けて、製販各社の“抹茶ビジネス”はますます過熱しそうだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141010-00000599-san-bus_all