御嶽山予知困難で予算増額の動き 国民騙す噴火予知マフィア
御嶽山予知困難で予算増額の動き 国民騙す噴火予知マフィア
2014年10月07日 16時00分 提供:NEWSポストセブン
9月27日、長野・岐阜県境の御嶽山(おんたけさん)が噴火し、登山客ら51人が死亡した(10月5日現在)。
今回の噴火で、国民をあ然とさせたのは気象庁の諮問機関である火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣・会長(東京大学名誉教授)の「予知に失敗したというかもしれないが、ある意味では仕方のない状態。われわれの火山噴火予知に関するレベルというのはまだそんなもの」という発言だった。
しかし、火山と地震を合わせた研究関連予算は年間約217億円(2013年度)にのぼり、この20年間の総額は4000億円を超えるにもかかわらずだ。
地震学者のロバート・ゲラー東京大学大学院理学系研究科教授は、藤井氏の発言は本音だと指摘する。
「火山噴火予知連絡会という名前の組織があるから、国民は『噴火は予知できる』と考えているかもしれませんが、噴火予知の精度は非常に低い。予知連の学者たちは実はこれまでもこっそりと『必ずしも予知できるわけではないと考えてくれ』といっていましたが、看板には堂々と予知を掲げてきました。『できるフリを続けてきた』といわれても仕方がないでしょう」
そうやって気象庁や委員の研究者が「予知」の名称にこだわるのは、予算獲得のためだという。
「例えば東大地震研究所の中には、火山噴火予知研究センターと地震予知研究センターという組織がある。予知という名前をつければ、期待が集まるから予算を取りやすいわけです。別の研究を予知研究と偽って研究費をもらうケースもある。今回のような噴火が起きなければバレませんからね。だからといって予知連と堂々と名乗っていいのかというと、モラルの問題だと思う」(ゲラー教授)
予算獲得のための「噴火予知」というおとり広告に国民はすっかり騙されていたことになる。
ゲラー教授の指摘する通り、気象庁が主導する噴火予知が成功した例は2000年の有珠山噴火に先立って1万人が避難したケースのほか数例しかない。それでもなお、予知の看板を掲げ続けることの是非を気象庁に問うとこう答えた。
「現在の予知技術の水準では、すべては予知できないけれど、できる場合もあるということです。今回の御嶽山のように難しいものもあるが、わからない部分をわかるようにしていく。そうした継続的な取り組みが予知計画だと考えている。予算確保のために予知と付けたわけではありません」(地震火山部火山課)
詭弁というほかない。
しかも気象庁の担当者はいったんそう回答した後、再び編集部に電話をかけてきて、「先ほどの答えは客観的ではなかった。もともと文部省(当時)の『火山噴火予知計画』に基づいて設置されたので予知連という名前が付いている。それ以外はノーコメントとしてほしい」とわざわざ答えを“訂正”した。「予知できないけど予知の看板は下ろさない」と公に認めることが都合が悪いと考えたのだろう。
それもそのはずで御嶽山の噴火予知に失敗すると、政府内から予知連解散の声が高まるどころか、安倍政権内部では噴火の専門家でもない山谷防災相が「今回は水蒸気爆発だったのでとくに(予知が)難しかった」と予知連を庇い、菅義偉・官房長官は「気象庁を中心に予知が可能になるように様々な予算措置をして取り組んでいく必要がある」と逆に予算増額に動き始めたのだ。
予知に失敗すればするほど、「カネが足りないからだ」と素人の大臣を丸め込んで焼け太る──役所の常套手段である。
これでは国民を して税金をむしり取るだけの“噴火予知マフィア”ではないか。その暗躍によって、国民には必要な情報が開示されず、「自分の命は自分で守る」という当たり前のことができなくなるのだ。
※週刊ポスト2014年10月17日号
http://news.ameba.jp/20141007-429/
噴火予知連会長「予知のレベルそんなもの」発言に税金返せの声
2014.10.06 16:00
9月27日、長野・岐阜県境の御嶽山(おんたけさん)が噴火し、登山客ら51人が死亡した(10月5日現在)。噴火の約2週間前となる9月10日昼頃から火山性地震が増加し、同11日には85回発生していた。1日の発生回数が80回を超えるのは2007年に小規模な噴火が起きた時以来だった。気象庁はこうした情報をリアルタイムで地方自治体に伝えているが、自治体任せで登山者のほとんどが知らなかった。
ここではっきりさせておくべきなのは、いくら「お上」を頼りにしてみたところで、「予知」などほとんど不可能ということだ。
今回の噴火に際して、国民をあ然とさせたのは気象庁の諮問機関である火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣・会長(東京大学名誉教授)の会見だった。
「予知に失敗したというかもしれないが、ある意味では仕方のない状態。われわれの火山噴火予知に関するレベルというのはまだそんなもの」
世界屈指の火山国である日本では1974年に火山噴火予知連絡会が設置され、国土地理院に事務局を置く地震予知連絡会(1968年設置)と並んで国策としてカネがつぎ込まれてきた。
火山と地震を合わせた研究関連予算は年間約217億円(2013年度)にのぼり、とくに東日本大震災が発生した2011年度は約459億円と大盤振る舞いされている。この20年間の総額は4000億円を超える。
噴火予知連は学識者や関係機関の専門家31人の委員で構成され、全国の火山活動について総合的に検討を行なうほか、火山噴火などの異常時には臨時に会議を開いて統一見解「火山の状況に関する解説情報」を発表する役割だ。
会長の藤井氏は東大地震研究所所長や日本火山学会会長を歴任し、政府の「中央防災会議」「富士山ハザードマップ検討委員会」「三宅島火山活動検討委員会」などの委員を務めて防災計画の立案に関わってきた。
その火山予知の第一人者であるはずの藤井氏に、「われわれの予知のレベルはそんなもの」といわれれば、「税金返せ」といいたくもなる。
※週刊ポスト2014年10月17日号
御嶽山 事前警報出して外れたら観光産業打撃と批判されたか
2014.10.06 07:00
長野・岐阜県境の御嶽山(おんたけさん)が9月27日噴火し、登山客ら51人が死亡した(10月5日現在)。
御嶽山のケースを細かく検証すると、噴火の約2週間前となる9月10日昼頃から火山性地震が増加し、同11日には85回発生していた。1日の発生回数が80回を超えるのは2007年に小規模な噴火が起きた時以来だったが、登山者のほとんどがそんなことは知らなかった。気象庁は情報の周知についてこう答える。
「該当地域の地方気象台からリアルタイムで各自治体に情報は伝わっていたはずです。そこから先、どのようにして登山者にまで周知されたかはわかりません。岐阜県側ではその情報を付近の一部の店などに貼り付けていたそうですが、長野県側については未確認です」(地震火山部火山課)
自治体に任せれば、登山者への警告よりも、予知が外れた場合の経済活動への悪影響を考えてしまう危険もある。だからこそ中立の立場として火山噴火予知連絡会のような機関があるのではないのか。
火山の多くは温泉地を抱え、地元経済は観光で成り立っている。
気象庁は噴火した後に警戒レベルを最低の「1」から入山規制の「3」に引き上げたが、本誌の現地取材では、事後の警報であっても、規制区域にかかるため運休している御岳ロープウェイの近くにあるホテルの経営者は、「10月は観光シーズンなのに、風評被害で予約が4割もキャンセルになった」と肩を落とした。
王滝村の商工観光係の女性は「本来ならこれからが紅葉の見頃で登山のハイシーズン。それが全部キャンセルになると影響は深刻です。長引けば12月のスキーの山開きにも影響が出てきます」と心配する。
仮に気象庁が事前に警報を出し、噴火が起きなかった場合、地元の観光産業に打撃を与えたと大きな批判を浴びるのは間違いない。だから、噴火の後にしか警報を出せず、登山者は不意打ちの噴火で生命の危険に晒されたのではないか。
情報を独占した「お上」の事なかれ主義が最悪の結末を招いてしまったという見方もできる。
※週刊ポスト2014年10月17日号
東日本大震災から状況が一変 関東は活発な地震活動期に突入
2014.10.05 07:00
9月以降、関東だけで震度3以上の揺れが計6回も発生し(9月26日現在)、とくに16日の地震では栃木、群馬、埼玉など広範囲で震度5弱、都心でも震度4の強い揺れを観測した。建物の窓ガラスが割れ、屋根瓦が落ちるなどの被害が相次ぎ、9名が重軽傷を負った。
さらに、9月27日には長野県と岐阜県の県境にある御嶽山が突如として噴火。噴石や有毒ガスによる被害で多くの犠牲者が出た。
死者・行方不明者が約2万人にのぼった東日本大震災から3年半、連続して関東を襲う地震、そして御嶽山の噴火は何を意味しているのか。
地球は数々のプレート(岩盤)で覆われている。このプレートがゆっくりと動くことで他のプレートとの境界に歪みが生じ、エネルギーが蓄積される。歪みが限界まで達するとプレートの先端部が跳ね上がって地震が発生する。これが「海溝型地震」と呼ばれる地震発生メカニズムだ。
東日本大震災以降、その影響でより多くの地震が発生するようになったと、武蔵野学院大学の島村英紀特任教授が解説する。
「東日本大震災クラスの巨大地震が発生するとプレートが大きく動きます。その結果、震源地付近での歪みはある程度解消されますが、隣接する他の地域との均衡が崩れます。その影響で今後、100年単位で余震が続くと考えられます」(島村特任教授)
16日に茨城県南部で発生した地震は太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界が震源となった。昔から「地震の巣」と呼ばれるほど地震の多い地域だが、東京大学名誉教授(海洋地震学)の笠原順三氏は「最近の不気味な兆候」として、震源が西に移動していると主張する。
「東日本大震災の影響で、関東の地震活動の震源地が徐々に西に移動しています。地球の内部に向かって動き続けている太平洋プレート上の震源地がそのままフィリピン海プレート側(つまり西)に移動していけば、直上にある首都圏を直撃することになります」(笠原名誉教授)
島村特任教授はプレートの境界で生じる海溝型地震の場合、地震の規模を表すマグニチュード(M)が桁違いに大きくなると警告する。
「海溝型地震ではM8以上の大地震が発生します。現在、首都圏には3000万人以上の人が住んでおり、その直下で大地震が起きたら甚大な被害が予想されます」
M8までいかずとも、今後、関東では大規模な地震が多発する可能性が高いと島村特任教授は強調する。
「1703年の元禄関東地震から1923年の関東大震災が起こるまで約200年ありました。このサイクルから、関東で巨大地震が起こるまであと100年は平穏な時期が続くはずでしたが、東日本大震災で状況が一変した。今後、関東は活発な地震活動期に入るはずです」
※女性セブン2014年10月16日号
頻発する箱根での地震 富士山噴火の前ぶれと指摘する声も
2013.03.04 16:00
箱根で今年に入って実に1700回以上、地震が起きている。箱根山噴火の前ぶれとともに、富士山噴火との関連を指摘する声も出ている。
「数年以内に富士山が噴火する」と警鐘を鳴らすのは、琉球大学名誉教授の木村政昭さんだ。木村さんは、「箱根山の地震は富士山の活動の影響を受けている」と見る。
「富士山と箱根山は地下で同じ力を受けている。今、富士山の下にはマグマがたっぷりたまっているように見えるので、箱根山はそのマグマに押される形になり、地震が頻発している可能性があります」
1983年には三宅島、1986年には伊豆大島、1989年には伊豆半島の付け根にある海底火山・手石海丘と、3年おきで噴火活動があった。
連動して起きたようにも見えるこれらの噴火の場所は皆、同じフィリピン海プレート上にある。
「実は箱根山や富士山もまた同じプレート上にあります。1989年に手石海丘で噴火が起きて以来、既に20年あまり経っています。噴火活動が南から北へと上がっており、箱根はともかく、富士山で噴火活動がいつ起きても不思議はありません」
と木村さん。箱根の地震は、富士山噴火の前ぶれというわけだ。“予兆”はこれだけではない。溶岩が噴き出す代わりに、水が噴き出す「水噴火」という噴火の前兆現象も起きている。
「噴火は地下にあるマグマがプレート活動によって押し上げられ、割れた地表で発生するものですが、水噴火で噴き出すのは地下水。しかし、火山の状況としては、噴火とメカニズム的にはあまり変わりません」(木村さん)
東日本大震災以降、富士五湖の水位が突然高くなったり、富士宮周辺で水が湧き出すなど、富士山周辺で相次いでいる現象は、水噴火と考えられるのだという。
※女性セブン2013年3月14日号
2014.10.07
オカルト系サイトで話題になった御嶽山噴火の予言者、実際のところどうなの?
長野、岐阜両県にまたがる御嶽山(おんたけさん)は、ご承知のとおり9月27日に噴火した。その約1週間前、『Yahoo!知恵袋』サービスに、今回の噴火を予言したような投稿があったとして、つい先日からインターネットのオカルト系掲示板で話題になっていた。
■投稿は9月20日
『Yahoo!知恵袋』は、質問すると僅かなことから専門的知識を要するものまで、誰かがほぼ必ず回答してくれるという、インターネットの便利サービス。
そこに、今回話題となっている内容が9月20日投稿された。
▼2014/9/20 09:11:55投稿
岐阜県御岳山の登山道で今回の噴火で影響がある道は有りますか?また噴火した場所に一番近くまで行くにはどの登山道がいいでしょうか? 私見ですがもう廃道になってますが旧湯川温泉山荘へ
繋がる登山道が良いのではと思っていますが荒れ果てた山道どうなってるのかご存知の方みえますか?<質問ここまで>
この人物は噴火1週間前という、誰も噴火を予知していない時期に「今回の噴火で」と、噴火後の状態で話を進めている。
対し、アンサー(回答者)から、「噴火は1989年ではないの?今年噴火はしてないでしょう!」と指摘されると、「9月に入って噴火してますよ。」と噴火後であることを肯定し、これも9月20日中に回答。
こうした流れから、この投稿が発見されるやネットでは「未来から来た人」「予言者」と騒ぎに。
■何かの間違い?水蒸気爆発の報道を見たと証言
当初この投稿は、そこまで注目されていなかった。しかし、御嶽山噴火後にオカルト系サイトなどから大きく注目されることとなり、ネット上で火が付いた。
それを投稿者本人が見かけたようで、9月28日改めてこの件について知恵袋上で事情説明を行っている。
▼2014/9/28 22:51:50投稿
お答えします。噴火一週間まえですから9月21日はその一週間前に水蒸気爆発が有ったと言うニュースを聞きました。 で急がねば口永良部島の二の舞になってしまうと火口見学を急い
だのは確かです<回答ここまで>
説明によると予言と噂された9月20日の知恵袋投稿から、さらにさかのぼること約1週間前「何か映像メディア」(2014/9/29 07:06:16のコメントより)で水蒸気爆発のニュースを目撃したとい うのだ。
9月20日の約1週間前に見た報道とすると、9月14日前後。
当時の気象庁発表を調べてみたところ、御嶽山は9月9日ころから火山性地震が頻発していると9月11日と12日に発表されていた。しかし、水蒸気爆発については、9月27日以前の発表で見つけることができなかった。また報道についても同じく。
ただ、気象庁9月12日の発表で「火山性地震の日回数が80回を超えたのは、2007年1月17日以来」と紹介され、2007年に小規模噴火が発生した付近に影響が出る可能性があると警戒が呼びかけられていた。
9月12日といえば、この投稿者は「岐阜県御岳山の噴火について教えて下さい。」という質問も知恵袋に投稿し、この時点で噴火を気にしていることが伺える。発表日と、投稿日の一致を考えると、恐らくこの投稿者が見たという報道は、火山性地震頻発に関するニュースで、それを誤解してしまったのではないかと思われる。
■投稿者は「噴火男」と呼ばれていた
今回話題となった投稿者は、「火山オタク」であり「温泉好き」という人物。知恵袋に投稿された数々の質問を見る限りは、好奇心を追求するふつうのオタクと変わりない印象。また、今世間で取りざたされる「予言者」ではないと本人も明言している。
今回は9月末頃に御嶽山に登る予定で、着々と準備を進めていたところ、偶然御嶽山に関する報道を目にし、慌てて状況を把握していたとき起こった出来事のよう。ちなみにその週末あたりには御嶽山に登山してきたらしい。
慌てた理由については9月28日の投稿で触れられているが、より詳しい理由が、9月12日に知恵袋に投稿した「岐阜県御岳山の噴火について教えて下さい。」の回答に書かれていた。
▼2014/9/13 06:46:20投稿
実はお盆休みに登山予定の口沖良部が訪問一週間前に噴火しました。今週末からキャンプ予定の御岳山まで噴火、来月旅行予定の洞爺湖の有珠山も噴火するのかと思い質問しました。周りから噴火男と言われてます。 (引用ここま
で)
投稿者がいう「口沖良部」は、鹿児島県にある「口永良部島」のこと。先に紹介した投稿では「口永良部島」と書かれている。そして、この島にある新岳は確かに今年8月3日、約34年ぶりに噴火している。
この夏登山を予定していた山が直前で噴火し、予定が全てキャンセルとなってしまったため、二の舞とならないために予定を繰り上げるかどうかの判断で行っていたようだ。
今回の騒動については、既に他社報道でも検証が行われ、真偽について記事がいくつか紹介されているが、残念なことに未だ先の話題が一人歩きしてしまい、投稿者のことを「予言者」「未来から来た人」「火山専門家」と持ち上げる人がいるようす。
もし次に有珠山が噴火すれば話は別となるかもしれないが、今のところは単に偶然が重なっただけのようである。