海の健康状態は「D」ランク | 日本のお姉さん

海の健康状態は「D」ランク

海の健康状態は「D」ランク
2014年10月02日 16時15分 提供:ナショナルジオグラフィック
浅瀬で泳ぐナンキョクオットセイ。 Photograph by Paul Nicklen /
National Geographic Creative
年に一度発表される世界の海の健康度を評価した成績表が9月30日に公開され、世界の海は主に乱獲、汚染、気候変動、保護政策の欠如などを理由に、「D」の評価がつけられた。
しかし、各国の排他的経済水域(EEZ:通常自国の基線より200海里の範囲内)のスコアは2012年より上昇し、海の全体的な状態は一般に考えられていたよりも良いようだと、関係者らは述べた。
最新の成績表は、海の現状および海が人間へもたらす恩恵を評価した第3回海洋健康度指標に含まれている。
この指標は、環境保護団体コンサベーション・インターナショナル(CI)が、カリフォルニア大学サンタバーバラ校、ブリティッシュコロンビア大学、ニューイングランド水族館、その他の機関の支援を受けて作成したもBrian Clark
Howard, National Geographic News
http://news.ameba.jp/20141002-399/
海の健康度指標、日本は11位
Brian Clark Howard
for National Geographic News
August 16, 2012
2012年ロンドン五輪のメダル獲得競争に続き、海洋保護を示す指標でもアメリカが中国に勝利した。新たに発表された「海洋健康度指標(Ocean Health Index)」では、世界の約170の海域を100点満点
で評価。中国の53点に対し、アメリカは63点を獲得している。日本は世界11位の69点だった。
海の健康度指標、日本は11位
自然保護団体、学術機関、政府機関など幅広い分野の海洋科学者が参加し、人間が享受する恩恵の観点から海洋の健康状態を評価する採点システムを開発した。
まず調査チームが世界の沿岸国や地域の生態系、社会、経済、政治などの要素を評価。その後コンピューターモデルを用いてデータを処理し、スコアを算出した。
世界平均は60点で、最低は西アフリカ大西洋岸に位置するシエラレオネの36点、最高は南太平洋にあるアメリカ領の無人島、ジャービス島の86点だった。
「アメリカ西海岸、カナダ、オーストラリア、EUなどは、海洋の健康度改善に向けた取り組みを既に表明している。特にこれらの国や地域で、政策決定時の情報源として役立ってほしい」と、研究を率いたカリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の海洋生物学者ベンジャミン・ハルパーン(Benjamin Halpern)氏は話す。
「状態が良いか悪いか、誰でも海に出てみればわかるだろう。ただし、客観的な指標となる基準が今までなかった。さまざまな要素が絡み合っているので、測定や定量化が難しい。海洋健康度指標によって、海の状態を総合的にとらえることができる」と同氏は説明する。
指標の開発には、UCSBの国立生態系分析・統合センター(NCEAS)、コンサベーション・インターナショナル(CI)、非営利団体COMPASS、ニューイングランド水族館、米国海洋大気庁(NOAA)、複数の大学が参加した。ナショナル ジオグラ
フィック協会も資金援助している。
◆海洋の恩恵
「海洋健康度指標の評価対象は、自然のままの海洋の状態ではなく、沿岸国・地域が受けるメリットの観点から選ばれた」とハルパーン氏は強調する。
具体的な調査範囲は沿岸から200海里の排他的経済水域(EZZ)で、「きれいな水」、「食料供給」、「炭素の貯蔵量」、「生物多様性」、「沿岸域の保護」、「観光とレクリエーション」、大型漁船を使わない「零細漁業」、「地元経済の支援体制」、「海洋の個性」など10項目が評価された。
ドイツ沿岸では産業化が進んでいるが、比較的高い73点を獲得した。保護対策が手厚く、市民の評価も高いことが大きなポイントとなった。
一方、86点を獲得したジャービス島は無人島で、非常に良好な健康状態が最高点につながった。
ただしハルパーン氏は、「指標の目的は一方的な聖域化ではなく、持続可能な活用方法の模索だ」と注意を促している。
研究の詳細は「Nature」誌オンライン版に8月15日付けで掲載されている。
Photograph courtesy Sterling Zumbrunn, Conservation International
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20120816001&source=ameba
ナショナルジオグラフィック ニュース
熱波の原因は“人為的な気候変動”か
Brian Clark Howard,
National Geographic News
September 30, 2014
世界各地で熱波が観測された2013年だが、原因は人為的要因による気候変動にあるとする最新レポートが公表された。現在も続くカリフォルニア州の干ばつなど、熱波以外の異常気象についても取り上げられているが、気候変動との関連性については明確な結論は得られていない。
熱波の原因は“人為的な気候変動”か
アメリカ気象学会(American Meteorological Society)がまとめた特別レポート「Explaining
Extreme Events of 2013 From a Climate Perspective(気候から読み解く特異な現象2013)」は、2013年に世界4大陸で 発生した16件の極端な現象についてその原因を検証。米英の専門家グ
ループが個別に行った22例の分析結果が掲 載されている。
米国海洋大気庁(NOAA)国立気候データセンター(National Climate Data
Center)所長のトーマス・R・カー ル(Thomas R. Karl)氏は記者会見で、「突発的な異変に関する学術的な研究は、異常気象の今後の予測や、気 候変動に人類が果たすべき役割を理解する上で極
めて重要」と述べた。
またカール氏は、「非常に複雑な現象で、複数の要因が重なって発生する場合が多い」としたうえで、自然の 変動が影響しているケースも決して少なくないことを指摘した。
とはいえ、今回のレポートと過去2件のレポートから浮かび上がった実態を見るかぎり、気候に対する人為的な 影響と熱波との間に相関関係があることは明白で、「特に暴風と大
雨が深刻さを増している」とカール氏は言 う。さらに、専門家は個々の現象の原因を慎重に見極める必要があると付け加えた。
◆大雨の原因は?
2013年9月、アメリカ、コロラド州ボルダーの一帯が5日間の大雨と洪水に襲われ10人が死亡、被害総額は約 2200億円に上った。この現象は、気候変動を示す一例であるかのよう
に見える。地球規模で大気温度が上昇する と大気中の水蒸気量が増加するため、異常な降雨が増えることになるからだ。
しかし、ボルダーにあるNOAAの研究所に在籍するマーティン・ホーリング(Martin
Hoerling)氏らの研究グル ープが今回のレポートに発表した調査結果によると、コロラド州の北東部では状況が異なるという。同グループ は1つの気候モデルを基に、工業化以前の同地域の気候
と、人為的な要因によって温暖化が進んだとされる現在の 気候を比較したところ、温暖化が異常な降雨の発生につながる確証は得られなかった。確かに1938年の9月には、 今回と極めてよく似た大雨の事例が確認さ
れている。
◆深刻化する熱波
レポートには、2013年にヨーロッパ、中国、韓国、日本、オーストラリアの5地域で発生した熱波についての調 査結果も掲載されているが、いずれもが「化石燃料の消費といった
人為的要因がもたらす気候変動によって、異 常気象の深刻度や発生頻度は顕著に高まっている」と結論付けている。
中でもオーストラリアの熱波については、5つの研究グループが多様な分析手段で詳しい調査を個別に行ってい る。共同編集者の1人である英国気象庁ハドレーセンター(U.K. Met
Office Hadley Centre)のピーター・スコ ット(Peter Scott)氏によれば、いずれも「注目に値する」結果が得られたという。
「人為的要因による気候変動がなければ、地球の大気温度がこれほど極端な数値を示すはずがないというのが彼 らの見解だ」とスコット氏は説明する。
一方、異常な大雨や雨不足に関しては、「現在、科学的な調査が進められている」とNOAAのホーリング氏は語 る。ただし、「明確な結論が得られるかどうかはわからない」という。
共同編集者の1人でNOAAのホーリング氏の同僚ステファニー・ヘリング(Stephanie
Herring)氏によると、降 雨は熱波に比べるとはるかに複雑な気象現象だという。降水量に影響を及ぼす要因は1つや2つではない。気温、 水の蒸発速度、土壌の水分量、積雪状態などに加えて、土
地利用や利水などによる人為的な要因も重なる。 「実態はまだ見えてこない」とヘリング氏は話す。
◆カリフォルニア州の干ばつと気候変動の関係
レポートには、今年で3年連続となるカリフォルニア州の干ばつについての研究結果も掲載されている。スタン フォード大学のダニエル・スウェイン(Daniel Swain)氏らの研究
グループがまとめた論文によると、同州の干 ばつには、確かに気候変動による影響が見られるのだという。
主な原因とされているのが2013年1月以降、太平洋の北東部に停滞している高気圧の尾根だ。東からの風が遮ら れるため、カリフォルニア州に水をもたらす暴風雪も陸に到達でき
ないのだという。
スタンフォード大学の研究グループは、現在と工業化以前の大気をモデル化し、高気圧の尾根が発生する確率 を評価した。すると、地球温暖化が進行している今の環境では確率が3
倍に達することが判明した。
一方、NASAゴダード宇宙飛行センターのハイラン・ワン(Hailan Wang)氏とジークフリート・シューベルト (Siegfried Schubert)氏がまとめた論文では、「2013年にカリフォ
ルニア州の干ばつのリスクが高くなったの は、温暖化の傾向が長期間続いたためではない」と結論付けられている。
温暖化が進めば陸地への風を遮る高気圧の尾根が太平洋上で発生しやすくなることは確かだが、同時にカリフ ォルニア州沖合の大気中の湿度も高くなるため、陸地に降り注ぐ雨の
量は増加するはずだというのが両氏の見解 だ。
この結論が正しいとすると、今なお続くカリフォルニア州の厳しい干ばつは主として、大気の自然変動がもた らした結果だと見なければならない。
NOAAのヘリング氏は、「干ばつと気候変動に関連性があるのかないのか。結論に至るまでには、相当な時間が 掛かる」と話している。
Photograph by Jae C. Hong / AP
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140930004
アラスカの海岸に3万5000頭のセイウチ、気候変動が原因
AFP=時事 10月2日(木)13時22分配信
米アラスカ州の海岸に集まった推定3万5000頭のセイウチ。米海洋大気局(NOAA)提供(2014年9月27日撮影、10月1日提供)。
【AFP=時事】米アラスカ(Alaska)州の海岸に少なくとも3万5000頭のセイウチが上陸し、専門家らは1日、気候変動による北極氷原の溶解に起因する現象と指摘した。
牙とひれ足を持つこの動物は当初、1か所の海岸で1500頭ほどが数えられていたが、この数日間で頭数が急増した。北極圏の海洋ほ乳類の調査などを行うアークティック・マリン・ママル(Arctic Marine Mammals)のメーガ
ン・ファーガソン(Megan Ferguson)氏は、「われわれの最良の推定値では、およそ24倍の増加だ」と語る。
米地質調査所(US Geological Survey、USGS)は声明で、「気候変動による温暖化により、セイウチの大規模な上陸は、過去8年間のうちの6年で非常に見慣れた光景になってしまった」と述べ、通常であれば、セイウチは豊富な餌場により近い氷原に上がるだろうと付け足した。
USGSによると、夏季の海氷は、米国とロシアの間のチュクチ海(Chukchi Sea)の大陸棚海域のはるか北に後退しており、「10年前には発生しなかった状況」だという。
USGSは、「セイウチは、海底で餌を捕る合間にとる通常の休息のために、海岸に上陸しただけだろう」としている。【翻訳編集】 AFPBB News
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140930004