世界のメディアは「雨傘革命」と命名した。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26年(2014)10月1日(水曜日)
通巻第4352号
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「チューリップ革命」「アラブの春」、そして香港は「雨傘レボルーション」
中国のお祭り「国慶節」をぶちこわした香港の民主化要求学生運動
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中国共産党のメンツをずたずたに切り裂く結果となった。中環(セントラル地区)の占拠に十数万人が参加し、香港金融街が麻痺、不良債権露呈におびえる銀行団と青ざめる北京。世界のメディアは「雨傘革命」と命名した。
オバマ大統領は支持声明を発表、なんと台湾の馬英九も学生支持のメッセージを出した。
香港学生らによるセントラル地区座り込みは、隣町のワンチャイ地区からコーズウェイベイへ、九龍半島では旺角(モンコク)へと広がった。
香港のすべての繁華街が交通麻痺常態に陥り、学生への食料、衣料品、カンパが山積み。付近の宝飾店はシャッターを下ろした。暴動になれば、最初に狙われるのは宝飾品、金銀をあつかう店である。
前夜祭的な集会だけでも数十万人が集まった。銀行の一部機能が麻痺し、国際業務が停滞した。国慶節前夜の花火大会は中止された。
香港の株式はおおきく下落し、太子党が香港で運営するファンドも動きが取れない。世界のマスコミは香港に集中し、北京の動きはゴミ記事のように小さく扱った。
北京は大あわてでネット議論を遮断し、習近平は「一国両制度」は堅持すると発表したが、これで当面、香港に駐屯する人民解放軍の投入は難しくなった。香港の「雨傘レボルーション」は長期化する様相を見せている。
▼このタイミングに江沢民、曽慶紅、李鵬、賀国強が前夜音楽祭に登場した
一方で、注目されるべき出来事は、中国国内のニュースである。八月から「死亡説」がでていた江沢民がまたまた大衆の目前に現れたのである。
曽慶紅、李鵬、賀国強も国慶節前夜音楽祭に登場した。この四人組は海外メディアによって、つぎに反腐敗キャンペーンの対象と言われ続けている嘗ての指導者だ。
とくに習近平――王岐山ラインが狙う次の獲物が曽慶紅と言われ、また李鵬は発電所関連企業幹部への手入れがはじまって浮かない日々を送っているという。
賀国強は、数ヶ月前から失脚説が流れていたが、どうやらまだ生きていたようだ。
いやはや、嘗ての勢いも失われ、落日の中国共産党を象徴してあまりある、記念すべき国慶節前夜となった。
樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1133回】
――「実に多くの点において物を糊塗することの巧みなる・・・」(宇野17)
『支那文明記』(宇野哲人 大正七年 大同館書店)
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やがて古代・周を建国した武王の弟に当たる召公を祀った召公祠へ。ともかくも荒れ果てるばかりだった。宇野は「祠堂の内は窮民の寓と化して、不潔筆紙に盡くし難し、又祠前には無頼の徒相集り賭博に耽て居る」と綴り、桑原は「(廟内に)召公の像を安置すれども、その実苦力乞徒住家にて、鴉片を喫する者、賭博を試むる者、各一方に割拠し、塵埃堆積、馬糞散乱、臭気鼻を穿つ。乃ち匆々辞して客舎に帰る」と記す。2人の筆からは乱雑・不潔が目に浮かび、悪臭が鼻を衝く。はて、「散乱」していたのは「馬糞」のみか。
召公その人は、周代に天下に号令したほどの傑物。祠の西隣には役所があるにもかかわらず、この無様な姿。かくて宇野は「古の陜州召公の遺風、亦何の處にか尋ねん」と嘆くが、窮民やら無頼の徒に「古の陜州召公の遺風」を求めること自体が無理な話であって、これをナイモノネダリというべきだろう。おそらく召公の時代でも窮民やら無頼の徒やらは「相集り賭博に耽て居」たに違いない。
とどのつまり往時の日本の支那学者は、古代中国がひたすら立派だったという考えに凝り固まり、そこから一歩も抜け出せなかった、いや抜け出そうともしなかった。かくて中国に道徳が行なわれていた時代があったと勝手に思い込んでしまったわけだ。じつにオメデタく、また情けないことこのうえない。孔孟から毛沢東、そして?小平まで、彼ら一貫する詐術に引っ掛かったままに、21世紀の現在を迎えたということだろう。
やがて「京をでゝ已に十有七日、行程千余里。宿志是に酬いて長安に入るを得た」が、すでに長安には数人の日本人が滞在していた。高等学堂の鈴木夫妻、師範学堂の森、田中両氏、さらに足立氏など。鈴木、足立両人は家族連れ。彼らの真の任務は何だったのか。
宇野は彼らに案内され長安内外に点在する名勝古跡を見物しているが、その多くが管理不行き届きの惨状を呈していた。たとえば前漢の儒学者で儒教の絶対的地位を確立するに大功績のあった董仲舒(前197年~前104年?)の墓にしても、訪ねてみると「門内はやゝ低湿にして、耕して畠となし殆んど踏むべき道もなし」といった有様である。日々を生きる庶民にからすれば、大学者の董仲舒だろうと、そんなものは腹の足しにもならない。ならば空地は耕して米・野菜でも作ろうか、ということになるのはず。超現実的と云えばそれまでだが。
長安城内の「滿城」と名づけられた満州人集団居住区域を訪ねる。17世紀中頃、清朝は北京に入城し天下を統一したが、歴史的にも地政学的にも要衝である長安には「特に滿城を此処に設けて、漢族を威壓した。後來滿人は漸く其勢力を失墜し加ふるに禄米は以て一家を支ふるに足らず、且つ邦家の制に官吏は一切商業に從事することが出來ず、愈々久しく愈々窮す。現今に於ては其の房屋は悉く漢人の手に歸し、滿人は殆ど無用の長物として漢人に冷眼視せらるゝやうになつた」というのだ。
清朝としては、八旗で呼んだ満州人精鋭部隊を駐屯させることで長安を抑え、同時に長安から西や南に続く甘粛、四川などでの反清朝策動を封じ込めようとした。宇野は「天下の背に居りて四方を制す、進んで攻むべく退きて守るべく、形勢天下に甲たり」と、長安の持つ地政学上の重要性を記している。
清朝が強勢を誇った時代には漢人は平身低頭。だが、その権勢に陰りが見える頃には、満州人を「殆ど無用の長物として」「冷眼視」するようになった。水に落ちた犬に石を投げつけろ、ということだろう。栄枯盛衰は世の常ではあるが、これもまた現実だ。だが満州人女性は、満城を「雄姿堂々たる滿洲婦人の両把児頭」で闊歩していた。両把児頭とは満州女性が装う独特の髪型。「ナメたらあかんぜよ!」・・・満州女も気が強そうだ。
《QED》
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(読者の声1)貴誌前号『終着駅が見えないイスラム過激派とのテロ戦争―― ISIL(イスラム国)の究極の戦争目的は何なのか?』ですが、無料レポートとは到底信じられないほどの、現下の情況への多角的で、今後の展開までを射程に収めた、秀逸な分析だと思います。有難うございます。
(TM生)
(宮崎正弘のコメント)これまで有志連合への参加を見合わせていたトルコが、態度を転換し、有志連合に加わりました。空爆の基地を提供することになるでしょう。
これは選挙区を大きく変える出来事で、トルコの転換は、人質に取られていた49名のトルコ人が解放されたこと。国境にクルドの難民が殺到しており、ISILの武装部隊が近くまで接近していること。シリアへトルコ経由で密入国するイスラム過激派が急増していることなどです。
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(宮崎正弘のコメント)香港の皆さんへ。あなたたちは必ず勝ちます。風は香港の民主化に向いています。あなたたちは必ず勝ちます。
金儲けのことばかり追求する人間だと思われていた香港人は、勇気ある闘士だと、尊敬されるようになりました。世界中の人々が応援しています。
香港、頑張れ! 加油!
(「台湾の声」編集長 林建良)
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