噴煙は上に昇る以外に、谷沿いに斜面を約3キロ下った。
御嶽山は、なんの予兆もなく噴火したそうだ。
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<御嶽山噴火>火口近く窒息の危険…濃密な灰やガス
毎日新聞 9月29日(月)7時0分配信
噴火に伴う火口付近のリスク
山頂付近で多数の登山者が心肺停止の状態で見つかった御嶽山(おんたけさん)。救助活動にあたった陸上自衛隊によると、山頂に近づくにつれて火山灰が厚くなり、深いところは50センチほど積もっていた。灰に埋もれた状態の登山者もいたという。いったい何が起きていたのか。
【写真特集・3日目】登山者を救出するため山頂に向かう自衛隊員
◇噴石直撃の恐れも
日本旅行医学会専務理事の篠塚規(ただし)医師は「火口付近で起きやすい事故は窒息」と指摘する。火山は、マグマを伴わない水蒸気爆発であっても、地下から多量のガスや灰を噴き出す。火口付近は一時的に酸欠状態になりやすく、ガスや灰が高温なら気道や肺がやけどする場合もあるという。
金子隆之・東京大地震研究所助教(火山学)は「火口の周囲1キロ以内は火山灰が濃密なので、呼吸障害などになって長時間は耐えられない」と指摘。多くの噴石が落下してくるため、当たると致命傷になる可能性がある。篠塚医師は「噴煙が迫ってきたら火口に背中を向け、耳をふさいで地面に伏せるくらいしか身を守るすべはない」と話す。
一方、27日の噴火では、岩石や灰、ガスなどが一団となって高速で流れ下る火砕流も発生した。溶岩で樹木が焦げた痕跡などはなく、専門家は「低温火砕流だった」と指摘する。
今回、噴煙は上に昇る以外に、谷沿いに斜面を約3キロ下った。噴煙に含まれる物質の密度が高いために重く、上昇せずに火砕流になったとみられる。津久井雅志・千葉大教授(火山地質学)によると、低温火砕流には温度が数十度程度のガスや灰、爆発で砕かれた細かい岩石などが混じる。
「噴煙の中は大粒の石が降り注いだ。やがて噴煙が黒くなり、熱を帯びてきた」(生還した男性)。巻き込まれると、高速で降る岩石に当たる▽灰が呼吸器に詰まり窒息する▽有毒ガスで体が動かなくなる--などの危険があるという。荒牧重雄・東京大名誉教授(火山学)は「低温の火砕流はメカニズムや危険性がまだよく分かっておらず、今回の事例で研究が進むのでは」と話す。【斎藤有香、清水健二、八田浩輔】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140929-00000009-mai-soci
御嶽山噴火:「娘が危篤」声を落とす父、情報求め
毎日新聞 2014年09月28日 22時53分(最終更新 09月29日 11時36分)
長野、岐阜両県にまたがる御嶽山(おんたけさん)(3067メートル)の噴火で28日、登山者ら男性4人の死亡が確認された。山頂付近は一面、深さ40~50センチの火山灰が覆い、今も27人が意識不明のまま倒れている。「なぜ、こんなことに」--。安否確認ができない登山者の家族や友人からは、沈痛な声が漏れる。山小屋に避難するなどし恐怖とともに一夜を過ごした登山者たちは同日、次々に下山した。【神保圭作、黒川晋史、近藤隆志、藤河匠、一條優太】
御嶽山の山頂付近で心肺停止状態で見つかった31人のうち男性4人は警察官らにかつがれ、28日夕までに長野県側のふもとに到着した。4人とも灰色のビニールで覆われ、木曽町の旧小学校校舎に運び込まれた後、死亡が確認された。安否確認ができない登山者の家族らは公民館などに集まり、登山者の所持品確認などに追われた。
陸上自衛隊松本駐屯地によると同日、9合目以上の場所で火山灰の中に倒れている人が、目視で10人以上確認されたという。倒れていた31人のうちの一部とみられる。噴煙や険しい地形のため自衛隊員は近づけなかったが、いずれも動く気配がなかったという。王滝頂上山荘や剣ケ峰周辺では火山灰が50センチ近く積もっている。灰に埋もれたままの人もいたという。
「うちの子供は埋まっている。息子には申し訳ないが、私も覚悟した」。友人2人と一緒に御嶽山に登っていた長野県諏訪市の荒井真友さん(42)の父寿雄さん(72)=同県東御市=が力なく話した。
友人が、寿雄さんの妻に噴火当時の状況を説明した。それによると、真友さんは岩のようなものが頭部に当たって出血。頂上の神社付近で体が灰に埋まってしまった。友人2人が助け出そうとしたが、真友さんの体は動かなかったという。
寿雄さんは「一緒だった友達は申し訳ないと思っているかもしれない。友達には、いままで付き合ってくれてありがたいと思わなくてはならない」と気遣っていた。
「娘の状態が危篤と聞いているので心配で。何か情報はないですか」。山頂に向かう登山ルートの一つ、黒沢口がある長野県木曽町の役場で、西東京市から駆けつけた男性(64)が声を落とした。
長女の女性公務員(35)は27日、大学時代の友人2人と計3人で御嶽山に登った。噴火後、「逃げる途中に(女性が)足をけがして動けなくなった」と友人から連絡があったという。
http://mainichi.jp/select/news/20140929k0000m040072000c.html
御嶽山噴火:硫黄のにおい「これは来る」写真家の津野さん
毎日新聞 2014年09月27日 18時25分(最終更新 09月28日 01時54分)
噴火した御岳山から下山する写真家の津野祐次さん。噴火時はコースガイドの仕事で山頂直下にいた。「『バチーン』という花火のような音がなってから『ゴロゴロ』と石が落ちる音がした。辺りは真っ暗になり稲妻がみえ、生きた心地がしなかった」と話した=長野県木曽町で2014年9月27日午後2時54分、宮間俊樹撮影
噴火した御岳山から下山する写真家の津野祐次さん。噴火時はコースガイドの仕事で山頂直下にいた。「『バチーン』という花火のような音がなってから『ゴロゴロ』と石が落ちる音がした。辺りは真っ暗になり稲妻がみえ、生きた心地がしなかった」と話した=長野県木曽町で2014年9月27日午後2時54分、宮間俊樹撮影
長野県伊那市の写真家、津野祐次さん(68)は噴火の時、山頂直下約200メートルの地点にいた。登山の途中、いつもはしない硫黄のにおいがしたという。頂上付近から突然、煙が立ち上ってきた。噴煙が徐々に高くなり、津野さんが「これは来るぞ」と危険を感じた時、多くの登山者も走って逃げ始めた。
津野さんは9合目付近まで写真を撮影しながら走って逃げたが、噴煙に巻き込まれた。10センチ前も見えないほど真っ暗になったが、それでも逃げようとして岩につまずいて転んだため、頭を抱えてうずくまった。暗闇の中、「バチーン」という打ち上げ花火のような爆発音が絶えず鳴り響き、バラバラと周辺に石が落ちて来た。さらに稲妻のようなものが走るのも見えた。
御嶽山の噴火で立ち上る噴煙に、足早に下山する登山者たち。右奥が剣ヶ峰=長野県木曽町で2014年9月27日午前11時53分、山岳写真家の津野祐次さん撮影
御嶽山の噴火で立ち上る噴煙に、足早に下山する登山者たち。右奥が剣ヶ峰=長野県木曽町で2014年9月27日午前11時53分、山岳写真家の津野祐次さん撮影
大粒の砂のような火山灰が当たり体中が痛かった。灰は耳の穴にまでも入った。服に口を当て、灰を吸い込まないようにして耐えた。風は強くなったり弱くなったりし、これ以上温度が上がれば焼けるだろうと思うほど熱い時もあった。恐怖を感じ、20分ほどうずくまって耐えた。周囲が少し明るくなると、あたりは一変し、30センチほどの灰で覆われていた。
御嶽山の噴火を山頂直下で撮影し、下山した山岳写真家の津野祐次さん。灰まみれの服とカメラを手に当時の様子を詳細に語った=長野県伊那市で2014年9月27日、丸山博撮影
御嶽山の噴火を山頂直下で撮影し、下山した山岳写真家の津野祐次さん。灰まみれの服とカメラを手に当時の様子を詳細に語った=長野県伊那市で2014年9月27日、丸山博撮影
9合目の下の山荘に着くと多くの人が避難していた。これ以上大きな噴火が起きれば危険と判断し、さらに下山を続けた。伊那市の事務所で取材に応じた津野さんは、服と体、カメラが火山灰だらけで、硫黄のにおいがした。【丸山博】
http://mainichi.jp/select/news/20140928k0000m040017000c.html
御嶽山噴火:火山灰や岩降る…下山の女性、山頂付近で一夜
毎日新聞 2014年09月28日 17時04分(最終更新 09月29日 11時38分)
岐阜県側登山口では、五の池小屋で一夜を過ごして下山した人たちの診断が行われた=岐阜県下呂市小坂町の登山口で2014年9月28日午前9時20分、加藤沙波撮影
岐阜県側登山口では、五の池小屋で一夜を過ごして下山した人たちの診断が行われた=岐阜県下呂市小坂町の登山口で2014年9月28日午前9時20分、加藤沙波撮影
御嶽山の山頂付近で噴火に遭遇、岐阜県側の「五の池小屋」で一夜を過ごした女性登山者3人が28日、下山し、必死に逃げた様子を報道陣に語った。
千葉県松戸市と栃木県日光市の65~73歳の3人で、2人は姉妹でもう1人は友人。27日昼、山頂付近の神社の社務所裏側で、3人が昼食を取ろうとザックを下ろした時、爆発音が聞こえ、噴煙が上がったという。
「逃げろ!」。大声が聞こえたので、社務所のひさしの下に入り、うつぶせになった。次々に他の登山者が折り重なり、その上に火山灰や岩が降った。
女性の一人は、頭を守ろうと上にかざしたザックの中で、噴石が直撃したのか、魔法瓶がペシャンコになっていることに後で気付いたという。「魔法瓶が、ザックが、私の命を守ってくれたんだと思います」と話した。【山本佳孝、金寿英、飯田和樹】
http://mainichi.jp/select/news/20140929k0000e040001000c.html