子供の病気と思われがちなぜんそく 実は圧倒的に成人が多い
子供の病気と思われがちなぜんそく 実は圧倒的に成人が多い
2014年09月17日 16時00分 提供:NEWSポストセブン
ぜんそくは、子供の病気と思われがちだが、実は圧倒的に成人の患者が多い。子供のぜんそくはアレルギー反応によるアトピー型がほとんどだが、成人では約半数が非アトピー型だ。近年、気道の炎症はやや弱いが、咳が続いてしまう、ぜんそくの前駆状態ともいえる咳ぜんそく患者も増えている。
ぜんそくは、空気の通り道である気道が慢性的に炎症を起こして過敏になるために症状が起こり、次第に気道が肥厚し、狭くなる。例えば暑い外から冷房の効いた室内に入る、台風接近による気圧の変化、ダニやホコリ、タバコの煙や香水の強い香りなど様々な刺激で症状が起こる。国際医療福祉大学教授で山王病院アレルギー内科の足立満医師に話を聞いた。
「気道が炎症を起こしているところへ風邪のウイルスが入り、呼吸困難などの発作の引き金になることもあります。かつて多くの方がぜんそくで亡くなりましたが、2012年に、ぜんそく発作による死者数が初めて2000人を切り、20年前の約3分の1になりました。これは薬など治療法の革新が大きな要因です」
ぜんそくは、治療薬で一時的に症状が消失したとしても治ったわけではない。コントロールが難しい重症患者に対しても、ぜんそくの発症や増悪に関わるアレルギー反応を抑制する抗IgE抗体薬ゾレアRも、保険承認され効果を上げている。ぜんそくは症状に応じて、根気よく治療を続けることが肝心だ。
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2014年9月19・26日号
http://news.ameba.jp/20140917-455/
咳1回で5kcal消費 咳が3週間続けば咳ぜんそくの疑いアリ
2012.10.01 16:00
1回咳をすると、5kcal消費するといわれ、咳が続くと体力を消耗する。さらに就寝中の咳で睡眠不足になったり、電話や商談に影響するなど、慢性的な咳は日常生活に様々な影響が出る。
風邪など感染症の咳は3週間以内に治まるが、3週間をこえても咳が続く場合は、別の病気の可能性が高い。喫煙によるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、副鼻腔炎で鼻汁が喉に流れ落ちて咳が出る後鼻漏、逆流性食道炎などでも咳が続くが、日本人で特に頻度が高いのが咳ぜんそくだ。
御茶ノ水呼吸ケアクリニック(東京都千代田区)の村田朗院長に話を聞いた。
「咳ぜんそくは気道が炎症を起こして過敏になり、内外の刺激で咳が出ます。受動喫煙や運動、飲酒、ストレス、ハウスダストのほか、気候の変化も症状悪化の要因です。アレルギーの人に多いといわれ、風邪をひいた後に併発することもあります。秋になると急激に気温が下がり、特に患者が増えます」
咳ぜんそくは就寝時や深夜早朝に咳が悪化しやすい。ぜんそくと同じで、気道の炎症によって症状が起こるが、咳ぜんそくは痰や発熱、呼吸困難の発作もなく、空咳が1か月以上続くのが特徴だ。のどにイガイガ感があり、長く話していると声が嗄れたり、喉が乾燥するなどの症状を伴うことも多い。
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2012年10月12日号
日本で年間2000人死亡の気管支ぜんそく 早期診断にNO測定法
2011.11.26 07:00
生状態のよい先進国を中心に、気管支ぜんそく患者が増加している。症状は激しい咳や痰、息苦しさなどで、慢性閉塞性肺疾患と症状が似ており診断が難しい。
専門施設では痰の好酸球検査を行なってきたが、ぜんそくの場合、特異的に一酸化窒素(NO)が増加することがわかり、呼気に含まれるNOの量で診断が可能になった。NO測定器の普及により、早期診断、治療が見込まれる。
気管支ぜんそくはアレルギー疾患の一つで、先進国を中心に患者が増加傾向にあり、国内では年間約2000人が亡くなっている。
以前は気管支の平滑筋が縮むことで発作が起こる、平滑筋の病気と考えられていたが、1980年代から根本の原因が気管支粘膜の炎症であることがわかってきた。このため、炎症をとる吸入型ステロイド剤が導入され、治療効果が上がっている。しかし成人のぜんそくでは、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など他の疾病と症状が似ているため、確定診断が難しかった。
和歌山県立医科大学呼吸器内科の一ノ瀬正和教授の話。
「専用測定器は複数あり、日本ではぜんそくの専門病院を中心に約200台が導入されています。1台70万円程度と値段が手頃で、使いやすい製品も発売されています。現在医療器具の申請がされており、1~2年で承認されるのではと考えています」(一ノ瀬教授)
風邪が治らず咳だけが続く場合は、ぜんそくの前段階と考えられる。これら患者の約30%がぜんそくに移行するといわれており、早期に適切な治療を行なえばぜんそくにならずに済む。長引く咳には、専門病院でNO測定をしてもらい、早期に他の病気と鑑別することが大切だ。
(取材/構成・岩城レイ子)
http://www.news-postseven.com/archives/20111126_71951.html