すべては李明博の竹島上陸と朴権惠のイガンチル外交(告げ口)で帳消しされた。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26年(2014)9月11日(木曜日)
通巻第4333号 <前日発行>
グーグルに繋がらないのは契約違反とチャイナウニコムを提訴
中国ネチズンの訴えに85万人が支援。裁判所は、この提訴を受け付けるか
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「グーグルへのアクセスが不首尾におわるのは、プロバイダーである『中国ユニコム』の契約違反であり、責任をとれ」と深せん裁判所にワンラン(音訳不明、王藍?)が訴え出た。
前代未聞の裁判であり、環境時報もこのケースを報道したところ、たちまち支援の輪がひろがり、85万人が支援を表明したという(アジアタイムズ、9月10日)。
米国の検索エンジン『グーグル』は当局からの規制に嫌気がさして2010年に香港へ本社を移し、本土からアクセスがあれば応じられるようなシステムに切り替えた。
現在、中国のインターネット利用者は6億3200万人とされるが、グーグルも含めて外国のメディアには繋がらない。中国の検索エンジンは「江沢民」「薄煕来」「周永康」等と打ってもまったく反応がない。当局が情報をコントロールしているからだ。
提訴したワンランのもとには国家公安部から電話がかかり、そのことを外国メディアに語ったところ、電話はこなくなった、という。
成り行きが注目される。
余談だが昨日来、またもや江沢民死亡説が飛び交っている。9日の北京における外交部記者会見でも、この質問があり、普通なら一笑に付すのに報道官は「その噂には裏付けがない」と回答しただけだった。一週間前の華字紙には江沢民が北戴河で水泳している写真が配信された。
「オレ様は健在だ」というメッセージだが、二人の将軍が横に配置され、後ろをボディガードが支えていて、いかにも虚勢をはっているなという写真だった。
すこし、怪しい雲行きである。
◆書評 ◇しょひょう
拉致事件、大韓航空機爆破事件、ラングーン事件は世界を震撼させたが
独裁者たちの検証を客観的に先入観にとらわれないで見ると、あの国はどうなる?
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大島信三『異形国家を作った男 金日成の生涯と負の遺産』(芙蓉書房出版)
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類書とまったく異なるのが本書である。
著者の大島氏は前の『正論』編集長。意外な人へのインタビューをよくこなされた。名文家でもある。
感情的嫌悪感を捨て、冷静にキムイルソンを見ているのが本書の第一の特徴である。
そしてキムイルソンの外交戦略を夥しい逸話と文献、そして関係者へのインタビューから判断し、謎に包まれたまま実態がまったく不透明とされた稀有の指導者像に迫る。むろん、キムイルソンをほめているわけでもなく、しかし徒らに非難したりもしない。
本書は浩瀚なので、通読に三日を要した。
意外に面白くまたエキサイトする場面もたくさんあり、不可解な行動ばかりの北朝鮮王朝の三代にわたるミステリーの背景がわかって有益だった。先に小誌でも紹介した近藤大介氏の『習近平は必ず金正恩を殺す』(講談社)のセンセーショナリズムとは対照的で、記述は微に入り細に亘るが静かなのである。
1994年、北の核開発をめぐって一触即発の危機があった。これは『キューバ危機』に匹敵するものだったと、米国の交渉担当者、ペンタゴンの責任者らが回想している。
すなわち同年6月10日、中国からキムイルソンを不快にさせるメッセージが届いた。
「中国は国連安保理で北朝鮮に対する制裁決議には反対するが、国際世論から拒否権の行使は見送るかも知れないというのだ。同じ日、IAEA理事会は北朝鮮に対する技術協力や年間50万トンの援助を停止することを決定した。中国は票決に棄権した。ただちに北朝鮮はIAEAからの離脱を声明し、ニョンビョンに駐在する二人の査察官の国外退去を表明した」。
この一触即発の危機に際して米国は三つの選択肢を抱えた。
「一つ目は交渉によって北朝鮮の核開発を凍結させること。三つ目は軍事行動に踏み切り、核施設を破壊すること。三つ目は何もしないで経過観察を続けることだ」った。
とりわけ第二の選択はサージカルアタック(外科的空爆)と呼ばれ、ペリー国防長官はペンタゴンで真剣に検討していた。
クリントンは迷いに迷っていた。まさに彼が尊敬するJFKが直面した、あのキューバ危機に匹敵する出来事でペリー国防長官の助言に従うしかなかった。
6月16日ホワイトハウスでは『戦争会議』が開催された。
「韓国の金水泳三大統領はアメリカ側の強硬な姿勢に青ざめた。ニョンビョンへの空爆が強行された瞬間、報復のために北朝鮮のミサイルは発射され、ソウルが火の海になるのは目に見えていたからだ。金泳三は軍事行動に踏み切らないようクリントンを必死で説得した」
そして。
実はキムイルソンには、この土壇場を左右するカードを密かに握っていた。北朝鮮はハト派のカーター元大統領に接触していたのだ。「影響力のある代理人」である。
「工作に長けた北朝鮮はあらゆる機会を捉えてカーターへ接近を試み、ついに訪朝させるのに成功した。主席にとってカーターは米朝をつなぐ頼りがいのあるホットラインであった」。
ホワイトハウスでは五万人規模の在韓米軍への追加派兵がペリー国防長官によって大統領に進言されるところだった。直前に一本の電話がなった。
電話口でカーター元大統領が叫んだ。
「キムイルソンが核開発の凍結と査察官の残留に同意した」
土壇場で戦争は回避された。つまりキムイルソンは役者が一枚上だった。そのうえ、ヨットにカーターを招いて、キムイルソンは金泳三を招待し南北トップ会談を提案、カーターに伝言を頼むという挙に出た。
後に金正成が金大中を招き、金大中だけがノーベル平和賞を獲得することになるが、演出にかけては北朝鮮はチキンゲームのやり方を知っていた。
しかしその直後に「キムイルソンが急死し、世界に衝撃が走った」(本書341p-345p)のである。
本書の前半部では金日成がソ連に隠れ住んでいた時代からの知られざる逸話から、その家庭には日本人女性ふたりが家政婦として働いていた事実経過、かれが中国共産党に入党していた事実と、その後の権力闘争で、延安派(中国派)、ソ連派、民族派を巧妙に分断して粛正し独裁を樹立していったかの過程が描かれ、また朝鮮戦争にいたる舞台裏の動きを別の角度から詳細に描いている。
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◆書評 ◇しょひょう 小林節『白熱講義! 集団的自衛権』(ベスト新書)
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この本は集団的自衛権に反対する学者の論理である。法学者として精密に憲法を解釈すれば、個別的自衛権ですべてに対応できるのだから、集団的自衛権などと「仲間で戦争をする」法律は必要がないという論理展開で、自民・公明は『憲法泥棒』だという。
つまり「他国の戦争に加担する権利」を確保したのが集団的自衛権を認めた内閣決定となるという論理的構築になっている。
政府は意図的にこの議論をわかりにくくして情報操作の名人である飯島某などを参与に配置しているとイミシンなことを説かれる。
しかし敢えて小林教授に苦言を呈したい。
本書の論説には傾聴には値する箇所も幾つかあるけれど、国家安全保障の大局観がないという致命的欠点がある。
◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー
敵愾心を煽り団結をたかめよとする孫子の兵法を中国は行使し、扇動しすぎて逆効果、敵の戦力を倍加させてしまった韓国の錯綜
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黄文雄『犯 中韓論』(幻冬舎ルネッサンス新書)
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孫子にある戦術のひとつは敵愾心を煽って身内の軍隊を団結させ、士気を高めよと言う。
しかし、この行使を戦略的に間違えると逆効果となる。『反日』は中国と韓国で中毒化して、反作用として日本ではナショナリズムが生まれ、強い団結力が現出した。孫子の応用を取り違えて、かれらのいう「敵戦力」(日本)を倍加させたのである。
錯誤としか言いようがないだろう。
韓国が「漢江の奇跡」といって持ち上げられ、北朝鮮からは『地上の楽園』とい神話が消え、韓流ドラムが爆発的人気を得て一世を風靡した。『韓国に学べ』などとする浅薄は経済論議もおきて、日本からの韓国観光はブームとなった。すべては李明博の竹島上陸と朴権惠のイガンチル外交(告げ口)で帳消しされた。
黄さんは、迫力或る筆致でこう訴える。
「日韓の関係は、修復不可能というところまできている」
「韓国の反日には、ナショナリズムの育成だけでなく、民族的優位と道徳的優位など多くの理由が潜んでいる。だから『反日』は新しい道徳教育の『要』とまで言われる。(中略)韓国は建前と本音が異なる社会であり、その建前の部分が反日日本人の協力も相まってか、クローズアップされがちだ」(107p)。
「『反日』はナショナリズムの育成のテコ以外に、民衆の不幸と不運、そして不運、転落の現状を一時的に忘却させる効果がある。なにせ反日は戦後韓国が創出した新しいイデオロギーであり、道徳であった(中略)」これはまさに「朴大統領を守るお守りにもなる御札」であり、「新興宗教」の類であり、熱中した夢から現実に還ったとき、日韓関係の修復が不可能という深い傷跡をどうするのか、次に悩むことになるのは韓国である。
中国もまた同じである。
(読者の声1)『英国人記者が見た 連合国戦勝史観の虚妄』(祥伝社)
第七章 日本はアジアの希望の光
元ニューヨーク・タイムス東京支局長 ヘンリー・ストークス
各位 第6章に引き続き第7章の英文をご紹介します。
2012年12月に日印国交60周年を祝う集会が開かれましたが、ストークス氏は基調講演を行いました。タイトルは「日本はアジアの光だった」です。
20世紀で最も驚くべき展開は、500年続いた植民地支配が終焉したことにありますが、それを主導したのは日本であったとストークス氏は語ります。
1943年5月に来日したインド国民軍司令官チャンドラ・ボースは日比谷公会堂で講演し「日本はアジアの希望の光だった」とはっきり語りました。
その年の11月には有色人種によって行われた最初のサミット「大東亜会議」が東京で開催され、アジアの独立国6カ国とインド仮政府代表が参加しました。会議では「大東亜共同宣言」が満場一致で採択されましたが、ボースは「この宣言がアジア諸国のみならず、全世界の被抑圧国民のための憲章となることを願う」と訴えました。
この会議を「占領地の傀儡」を集めた会議というようなことを言う日本人こそ、日本を得る外国の傀儡と言うべきだと述べています。
日本語原文は『英国人記者が見た 連合国戦勝史観の虚妄』(祥伝社)をご覧ください。
英訳文は、下記の通り発信しました。
平成26年9月9日 「史実を世界に発信する会」茂木弘道
Falsehoods of the Allied Nations’ Victorious Views of History,
as Seen by a British Journalist
Chapter Seven: Japan as the Light of Hope for Asia
By Henry S. Stokes, former Tokyo Bureau Chief of The New York Times
We now present Chapter Seven.
In December, 2012, the 60th Anniversary of the Restoration of Diplomatic Relations between Japan and India was carried out in Tokyo.
Mr. Stokes was the key-note speaker and the title of his speech was “Japan as the Light of Hope for Asia.” One of the most surprising developments in the 20th century has been the sheer speed at which the 500 year curse of colonialism came to an end. And it was Japan that caused that surprise. On May 16, 1943, Chandra Bose, representative for Provisional Government of India came to Japan and gave his address at Hibiya Public Hall. Bose clearly said, “Japan was the ‘Light of Hope’ for Asia.”
In the fall of the same year, 1943, the Greater East Asian Conference was held from November 5 to 6 in Tokyo. This was the first Summit of the colored races held for the first time in the long history of humanity. At the Conference, the Greater East Asian Joint Declaration was approved unanimously. Bose appealed, “I pray to God that this Joint Declaration... may prove to be a charter for the nations of East Asia and what is more, a charter for the suppressed nations of the whole world. May this Joint Declaration be the new charter of liberty….”
Chapter 7: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/121_S4.pdf
Chapter 1: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/114_S4.pdf
Chapter 2: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/115_S4.pdf
Chapter 3: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/116_S4.pdf
Chapter 4: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/117_S4.pdf
Chapter 5: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/119_S4.pdf
Chapter 6: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/120_S4.pdf
Author profile: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/114_S3.pdf
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