バングラデシュに6000億円、スリランカ訪問で、日本の援助は中国を上回った
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26年(2014)9月11日(木曜日)弐
通巻第4334号
バングラデシュに6000億円、替わりに国連安保理事国を日本に譲る
スリランカ訪問で、日本の援助は中国を上回った
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安倍首相の猛烈な外国訪問、就任以来すでに49ヶ国。歴史を書き換える壮挙である。2014年9月6日から8日まで二泊三日という強行軍で安倍首相はバングラデシュとスリランカ(旧セイロン)を訪問した。行っていない国? もちろん、「反日」の御両家。
バングラデシュのハシナ首相は五月も日本に来ている。すでに東京で下打ち合わせは終わっており、6000億円もの経済支援大盤振る舞い。これは東隣のミャンマーへの支援に匹敵する。その替わりか、どうか。バングラデシュは次期国連安保理事国への立候補を辞退し、日本に譲った。
安倍首相の『真珠の首飾り』打破外交は、じつはミャンマーから始まった。中国のアジア外交は真珠の首飾りと呼ばれ、アジアを中国の覇権のもと、勢力圏に強引に組み入れようとして、そのあまりの野心剥き出しのやり方は各国から反発をうんだ。
ベトナム、フィリピンを筆頭に、豪やインドネシアも、むしろ日本が米国を後ろ盾にすすめる「自由と繁栄の弧」に傾いた。アジア、アセアン歴訪の安倍首相では反日メディアの「朝日新聞」がいうような「過去の反省」を求められず、殆どの国が日本の積極的関与を評価したのだ。
その象徴的出来事が五月のシンガポールで開催された「シャングリラ対話」で、基調演説の機会は安倍首相に与えられ、航海のルールの遵守を訴えた。ヘーゲル米国防長官は中国を名指しで批判するほどだった。
中国は出席軍人らが中華思想丸出しの反発を示したものの、自らの四面楚歌ぶりに気がついたのである。
▼中国の孤立はミャンマーから始まった
日本の外交への評価が変わったのはミャンマーからである。
ミャンマーへは過去の累積債権5000億円をチャラ(史上空前の徳政令かも)にして差し上げた上、新しく910億円を援助し、ヤンゴン郊外の港付近に日本企業専用工業団地を造る(ようやく工事が始まった)。筆者が取材したときはまだ草ぼうぼうだったが。。。
安倍首相はヤンゴン訪問のおり、この現場を視察した(詳しくは拙著『世界から嫌われる中国・韓国、感謝される日本』(徳間書店)を参照されたい)。ヤンゴンには日本食レストランも多く、現在、日本企業の進出ラッシュが続いている。
中国はこれまでミャンマーを自分の子分と認識してきた節がある。というのも、ミャンマーの南北を縦貫するガスパイプラインは稼働しており、幹線道路建設をはじめ、殆どのミャンマー援助は中国がなしてきた。
第二の都市マンダレーは雲南華僑の街であり、金融と流通は華僑が支配してきた。
ところが、オバマのアセアン首脳会議における「ピボット発言」とその直後、突然のクリントンのヤンゴン訪問以来、西側の制裁は中止された。
ミャンマーは中国が進めていたダム工事を中止した。爾来、二年間、ミャンマーと中国の関係は冷え切り、じつは口もきかない冷たい関係に成っていた。
余談を一つ。ヤンゴンの都心にあるトレーダーズホテルとその周辺が日本企業のメッカ、同ホテル二階のバアで山口洋一元大使と呑んだことがあるが、以前「カミカゼ」というカクテルがあった。それを頼むと「いまはありません」という。それだけ進出激しい中国に遠慮しているのかもしれない。
▼バングラデシュも中国の影響下にあった
今回、安倍首相はバングラデシュとスリランカを訪問した。
バングラデシュへも中国企業の進出めざましく、港湾整備、空港建設などのほか、首都には五万人規模のチャイナタウンを首都のダッカに建設中である。『バングラの東大』と言われるダッカ大学にはマオイストが猖獗している。
湿地帯のダッカに大きな橋を架けているのも中国の援助による。
バングラの繊維産業の半分は中国資本で、中国が雇用している女工だけでも軽く百万人である。対照的に日本企業の進出はあまりにも少なく、商業看板はおおかたが中国語併記である。オートバイ、テレビなど殆どが中国製に溢れる。
しかしバングラデシュは1972年独立の時から親日国家であり、その国旗は日本の日の丸を模倣して色を変えただけということが歴然としている。ハシナ首相は祖父が建国の父ラーマンである。
そして日本は空前の6000億円のバングラデシュ支援に踏み切るのだ。
▼日本は中国主導の「真珠の首飾り」にくさびを打ち込んだ
スリランカへの首相訪問は岸信介以来、じつに久しぶりのことだった。
コロンボの海岸沿いにある大統領公邸でラジャバクサ大統領主催の歓迎式典が開催された(この海岸には英国の植民地時代からの大砲がならび、その隣はマレーシア系華僑のシャングリラホテルが建設中だ)。
スリランカ(旧セイロン)も仏教の篤い信仰に支えられており、極めつきの親日国家である。ラジャバクサ大統領は昨年三月にも来日している。
北部に盤踞したタミルゲリラの反乱も、印度との和解を機に戦闘は収まり(タミルは印度の軍事支援をうけていた)、治安は回復された。
なおスリランカの首都はコロンボではなく、北よりの東海岸にあるスリジャヤワルダナブラコッテ。誰もこの首都の名称をすぐに覚えることは出来ないだろうが。
スリランカへ日本は巡視艇供与の検討にはいったとも伝えられ、実現すればフィリピン、ベトナムへの安全保障面での協力緊密化の路線に沿っていることになる。
いずれにしても注目すべきはバングラデシュもスリランカも、これまでは『中国様』に貌を向けていたのである。
中国のインド包囲外交、即ち『真珠の首飾り』を切ることが日本外交の密かな目的なのだから。
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