■ 中国の「外資たたき」は新たな闘争の幕開け
~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~
石平(せきへい)のチャイナウォッチ http://www.seki-hei.com
■ 中国の「外資たたき」は新たな闘争の幕開け (3/3)
▼「新しい闘争を深く理解せよ」
ではなぜ今この時期になって、共産党政権は一体何のために、どのような思惑を持って、外資企業に対してこれほどの大掛かりな作戦を開始することになったのか、その真意は一体何であるのか。
実は、その謎を解く鍵の一つは、ちょうど作戦開始の7月下旬に人民日報に掲載された一通の重要論文にあるのである。
7月23日、すなわち例の上海福喜食品の関係者5名が上海警察に拘束されたその日、中国共産党機関紙の人民日報は共産党中央党校韓慶祥副学長の論文を掲載した。「新しい闘争を深く理解せよ」と題するものである。
共産党中央党校といえば、その名の通り、中国共産党の高級幹部の養成・研修を担当する党の「最高学校」である一方、党の政策方針を裏付けるための
理論武装を整えるための党の最高理論機関としての役割をも担っている。
昔の毛沢東主席や今の習近平主席もこの中央党校の「学長」を務めたことがあるから、その役割と地位の高さがうかがえる。
前述の韓慶祥氏は中央党校の筆頭副学長である。
名義上の学長は政治局常務委員の劉雲山氏が兼任しているから、韓氏は実質上の「学長」となっている。
つまりこの韓氏の立場は、中国共産党政権の最高の理論的権威、あるいは共産党の理論武装の最高責任者、ということである。
▼負けられない「市場争奪戦」
そして前述の人民日報論文は、まさにこのような立場から書かれたものであるが、その中で韓氏は、「イデオロギー闘争」、「領土闘争」、「反腐敗闘争」など、
共産党政権の直面する「8つの新しい闘争」を取り上げ、それらを勝ち抜くために「国内外の敵」と徹底的に戦うことを党員幹部に呼びかけた。
中国の場合、中央党校副学長たる人は人民日報で「闘争」を提言すると、それは往々にして共産党政権の政策に反映されて実際の「闘争」となってしまうケースが多い。
たとえば韓氏の論じたところの「反腐敗闘争」や「領土闘争」は今や実際、習近平政権がもっとも力を入れている内外政策の二つとなっていることは周知の通りだ。
そして、前述の「8つの闘争」の一つとして、韓氏は「市場争奪戦」について述べ、「わが国の巨大市場を巡っての西側諸国との争奪戦は1日も止んだことがない」と指摘した上で、そのための「闘争」を展開していくことを提言しているのである。
確かに韓氏の言う通り、中国に進出した西側諸国の多くの企業は今、「13億の大市場」を狙って中国国内企業と熾烈な「争奪戦」を展開している。
しかしそれはあくまでも正常なビジネス活動で、普通の商業競争の範疇に属するものである。
第一、外資企業の中国進出を積極的に受け入れた時点で、中国政府は既に国内市場の一部は外資によって切り開かれることを容認しているはずであり、外資企業もまさにこのような前提において中国に進出したわけである。
このような経緯からすれば、韓氏の論理はいかにも乱暴なものであることが分かる。
中国政府は外資企業の中国市場進出を容認していたのに、今さらになって、政権党の理論的権威たる人物が、中国市場における外資企業の通常のビジネス活動を「中国市場の争奪戦」と捉えた。
まさに政権党の立場から、それに対する「闘争」を宣したのだ。
この論理からすれば、外資企業が中国市場で展開する競争・競合活動のすべては中国に対する「敵対行為」と見なされ、外資企業そのものは彼ら中国共産党の「闘争する」相手となるのである。
国際ビジネスの常識からしても韓氏の論理はデタラメなものであろうが、問題は、彼の提唱するところの、外資企業を相手とする「新たな闘争」は、今の習政権の実際の政策方針となってしまっている点である。
そう、まさにこの韓氏論文が発表された7月下旬から、中国政府は上海福喜食品の摘発を皮切りにして、欧米や日本の自動車関係メーカーを中心とする大手外資企業に対する「たたき作戦」を一斉に開始したことは前述の通りだ。
タイミング的に見ても、この一連の作戦展開の背後にあるのは、上述の韓氏論文の提言した「新たな闘争」であることは明らかであろう。
こう考えてみると、上海福喜食品の摘発から日系企業12社に対する200億円罰金までの中国当局の一連の動きは決して無関係の個別事案ではないことが分かる。
中国市場から外資企業の影響力を一掃することはまさに彼らの「闘争」の最終的狙いなのであろう。
実際、中国市場で大きなシェアと影響力を持つ食品や自動車分野の外資企業に照準を当てているのもまさにその故である。
つまり、本来なら中国企業が主体となってビジネス競争の手段をもって外資企業と戦うべきところの「中国市場争奪戦」を、共産党政権が政治的力をもってそれを代行しようとしているのだ。
中国企業が国内市場の競争において外資企業に負けていれば、共産党政権は警察権力を含めた政治的力をもって外資をたたき潰して中国市場を奪い返す──。
それが、中国当局が展開している外資企業たたき作戦の本質なのである。
( 石 平 )
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