震災の2011年に放流された稚魚が今年度の4歳魚となる。
<秋サケ>稚魚放流の年に震災 回帰量大幅減か 産地で懸念
毎日新聞 8月22日(金)13時36分配信
岩手県水産技術センターがまとめた秋サケ回帰予報によると、今年度の回帰量は7006~1万9925トン(230万~607万匹)にとどまり、昨年度の1万5837トン(529万匹)を大きく下回る可能性があると見込まれている。半数以上を占める4歳魚が稚魚として放流された年に東日本大震災があり、その影響が懸念されている。
【昨年すでに予兆も】秋サケ漁獲量減 なぜ網にかからない? 海域で大きな格差 /北海道
回帰するサケの9割以上が3~5歳魚で、全体の6割前後を占めるのが4歳魚。震災の2011年に放流された稚魚が今年度の4歳魚となる。昨年度に回帰した3年魚は約10万1000匹で、過去5年平均の約3分の1にとどまるなど、既に影響が見られる。
県内では、28カ所のふ化場で生産した稚魚を毎春放流してきたが、11年は放流直前に21カ所が被災。この年に予定されていた4億2000万匹の多くがふ化場ごと流された。昨年度の放流稚魚は3億9000万匹、今年度は4億匹を予定するなど放流数は回復しているが、極端な不漁の場合は来年度の卵確保が難しくなり、影響拡大も心配される。【中田博維】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140822-00000044-mai-soci
秋サケ漁獲量:震災後、初の1万トン超 稚魚ふ化場被災、来年度は減少へ /岩手
毎日新聞 2014年03月25日 地方版
安家川河口にある下安家漁協のふ化場。県内有数の規模を誇る。津波で被災したが、2011年秋に復旧し、県内の稚魚生産を支える
県沿岸で行う秋サケ漁獲量が今年度、東日本大震災後初めて1万トンを超える1万4278トン(速報値)となったことが県のまとめで分かった。定置網漁の回復によって主に震災前に放流したサケが取れたとみられる。だが問題なのが来年度。漁獲の主流の「4年魚」が帰る年だが、震災できちんと放流できておらず、津波をかぶったふ化場から流出したサケがどれだけ戻るかにかかっている。
県水産振興課によると、震災前の漁獲量は2万5000~3万トン。震災後は2011年度7657トン、12年度も7558トンと低調だった。今年度は定置網施設が震災前に近い程度に回復したが、県水産技術センターは「回遊してきたサケの数が少なかった。もっと多ければ漁獲量も増えたはず」と話す。
県内では28カ所のふ化場で生産した稚魚が毎春川に放流されてきた。だが、11年は放流直前に21カ所が被災。この年生産していた4億2000万匹の多くが、ふ化場ごと流された。震災前の5年平均で1・44%が戻ったが、来年度はどれだけ帰るか予測できないという。
一方、ふ化場の復旧は進み、今年度は20カ所で生産し、3億1000万匹を放流。来年度は3億9000万匹の予定だ。水産庁は来年度から復興交付金10億円を岩手など東北被災3県に補助。卵を確保するため川を遡上(そじょう)する前のサケを海で捕獲したり、資源維持のため漁獲規制する際に支払う漁業者への「休業補償」にあてる。
水揚げ量が県内最多の宮古漁協の大沢春輝・業務部長は「来年度、水揚げが減るのは目に見えている。経営が苦しくなるので、作業を効率化して燃料の使用量を抑えるなどし、乗り越えるしかない」と話す。【安藤いく子】
http://mainichi.jp/area/iwate/news/20140325ddlk03040187000c.html