長征四号乙ロケット、飛行再開 地球観測衛星「高分二号」を打ち上げ
長征四号乙ロケット、飛行再開 地球観測衛星「高分二号」を打ち上げ
2014年08月22日 10時00分 提供:sorae
中国航天科技集団公司(CASC)は8月18日、地球観測衛星「高分二号」を搭載した長征四号乙ロケットの打ち上げに成功した。長征四号乙は昨年12月に打ち上げに失敗しており、今回が飛行再開となった。また高分二号と共に、カナダとポーランドが開発した超小型衛星ブライトPL-2も搭載されていた。
ロケットは中国標準時2014年8月18日11時15分(日本時間2014年8月18日12時15分)、太原衛星発射センターの9号発射施設から離昇した。その後、中国政府や国営メディアは打ち上げ成功と発表。また米国の宇宙監視ネットワークも軌道上に4つの物体を検知し、打ち上げ成功が裏付けられた。
高分二号は中国が進めている、民間向けの中国高分解能地球観測システム(CHEOS、China High-resolution Earth Observation System)の2機目の衛星だ。「高分」とは「高分解能」という意味だ。
衛星は中国東方紅衛星社によって製造され、分解能はパンクロマティックで0.8m、マルチスペクトルで3.2mという性能を持つ。設計寿命は4年から8年とされる。宇宙監視ネットワークのデータによれば、衛星は遠地点高度632km、近地点高度608km、軌道傾斜角98.03度の軌道に乗っている。
CHEOSは2006年に提案され、翌2007年に中国政府によって承認された。最終的に全7機からなる光学衛星と合成開口レーダー衛星群を展開することを目指しており、得られたデータは国土資源部や環境保護部、農業部によって、農業への支援、防災や災害への対応、気候変動の監視、地図の作成、環境や資源の観測といった目的で使用される。
高分一号は昨年の4月26日に、長征二号丙ロケットに搭載されて打ち上げられた。高分一号の分解能はパンクロマティックで2m、マルチスペクトルで8mであり、二号では性能が向上していることが伺える。なお高分一号には、広い範囲を撮影するための分解能16mのカメラも搭載されていたが、高分二号にも同様のものが搭載されているかは不明だ。
また、高分二号と一緒に、ポーランドとカナダが開発した超小型衛星ブライトPL-2も打ち上げられた。この衛星はカナダとオーストリア、ポーランドが共同で実施しているブライト(BRITE、BRIght-star Target Explorer)計画の一翼を担い、他の衛星と編隊飛行を行い、搭載している望遠鏡で宇宙空間から明るい恒星を観測する。2013年には1号機のブライトPLがすでに打ち上げられており、またカナダのユニブライト(UniBRITE)、ブライトCA、オーストリアのTUGsat 1といった衛星も打ち上げられている。
今回の長征四号乙の打ち上げは、昨年12月9日の打ち上げ失敗以来初めてのことであった。この打ち上げでは、ロケットの第3段エンジンが計画より早く停止してしまい、搭載していた衛星ごと地球に落下している。その後の調査により、失敗の原因は燃料系統にゴミが混入したためであると結論付けられ、部品の品質改善と共に、組み立てや試験といった作業にも改良が加えられたとされる。また、本来高分二号の打ち上げも昨年12月に行われる予定だったが、この事故のため今回まで延期された。
長征四号は上海航天技術研究院(SAST)によって開発、製造されているロケットで、長征二号をベースに、四酸化二窒素と非対称ジメチルヒドラジンを使用する第3段を追加した機体だ。
もともとは長征二号を、静止衛星打ち上げロケットに発展させる際にSASTが提案した構成であるが、中国運載火箭技術研究院(CALT)が液体酸素と液体水素を使用する第3段を搭載した構成を提案、最終的にCALT案が選ばれ、これが現在の長征三号となった。一方でCALT案は液体酸素と液体水素を使う先進的な設計であったことから、そのバックアップとしてSAST案も開発が行われた。その後、長征三号が無事に実用化されたため、SAST案は極軌道打ち上げロケットへ転用され、すなわちそれが現在の長征四号である。
長征四号の最初の機体、長征四号甲は1988年9月6日に初飛行し、1990年9月3日に2機目が打ち上げられ、引退した。その後1999年5月10日に、長征四号甲のフェアリングを大型化し、またエンジンなどに改良を施して打ち上げ能力を高めた長征四号乙が登場。さらに2006年4月26日には、第3段に再点火可能なYF-40エンジンを搭載した長征四号丙が投入された。現在長征四号乙と丙が、主に軍事衛星や地球観測衛星の打ち上げに使用されている。
長征四号はこれまでに計37機が打ち上げられており、昨年の長征四号乙の失敗以外は安定した打ち上げを続けている。
■国家航天局 - 我国成功发射高分二号卫星
http://www.cnsa.gov.cn/n1081/n7529/n308608/643581.html
長征四号ロケット、昨年の失敗後初打ち上げ 遥感衛星二十号を軌道へ
CZ-4C launches Yaogan-20 satellites
中華人民共和国は9日、地球観測衛星「遥感衛星二十号」を搭載した、長征四号丙ロケットの打ち上げに成功した。長征四号は昨年12月、打ち上げに失敗しており、今回が失敗以来初の打ち上げとなった。
ロケットは中国標準時2014年8月9日13時45分(日本時間2014年8月9日14時45分)、酒泉衛星発射センターから離昇した。中国政府、及び中国国営メディアの新華社は打ち上げ成功と発表。遥感衛星二十号は科学試験や災害対策、農作物の管理を目的としているとされる。
その後、米軍の宇宙監視ネットワークは軌道上に物体を検知し、打ち上げが成功したことが裏付けられた。だが、軌道には6つの物体が乗っており、これは遥感衛星二十号とロケットの最終段、及びデブリとして考えても数が多すぎるため、複数の人工衛星が載っていた可能性が指摘された。その後、打ち上げの様子を報じる中国中央電視台のニュース番組に、管制センターのスクリーン映像が映り込み、そこに「主星」、「副星一」、そして「副星二」の3機の衛星が搭載されていたことが示されており、憶測は決定的なものとなった。
今回のように、遥感衛星が複数に搭載されていたと思われる打ち上げは過去に3回ある。2010年3月5日の遥感衛星九号、2012年11月25日の遥感衛星十六号、2013年9月1日の遥感衛星十七号だ。打ち上げ後、軌道に乗った物体のうち3機が、あたかも編隊を組んで飛行しているかのように軌道を回っていることから、専門家の間では「中国版NOSS」ではないか、といわれている。
NOSSとは、Naval Ocean Surveillance Satellitesの略で、米海軍が運用する偵察衛星のひとつだ。NOSSは3機を1組とし、海上の船から発せられる電波を3機それぞれが探知する際の時間差から、発信源、すなわち船の位置を割り出すためのものであったとされる。冷戦期から配備が始まり、ソ連の軍艦の位置の把握のために使われた。現在はその後継機である、コードネーム・イントルーダーが活動しているとされ、また技術の向上により3機1組ではなく2機1組で運用されているようだ。
今回打ち上げられた遥感衛星二十号の3機は、高度1,085 x 1,102km、軌道傾斜角63.4度の軌道に乗っている。製造は中国東方紅衛星が担当した。
なお遥感衛星には、電子光学センサーを搭載するものと、合成開口レーダーを搭載するものもあり、今回の遥感衛星二十号と同様、打ち上げ後は決まり文句のように「科学試験や災害対策、農作物の管理を目的としている」と発表される。だが、実際にはそれらの目的に加えて、軍事目的でも利用されていることは想像に難くない。
打ち上げに使われた長征四号丙は中国の上海航天技術研究院(SAST)が開発したロケットで、長征四号シリーズの一つとして、主に極軌道への衛星打ち上げに使われている。
長征四号はもともと、長征二号を静止衛星打ち上げロケットに発展させる際にSASTが提案した構成で、長征二号に四酸化二窒素と非対称ジメチルヒドラジンを使用する第3段を追加している。だが、中国運載火箭技術研究院(CALT)が液体酸素と液体水素を使用する第3段を搭載した構成を提案、最終的にCALT案が選ばれ、これが現在の長征三号である。
一方、CALT案は液体酸素と液体水素を使う先進的な設計だったため、そのバックアップとしてSAST案も開発が行われた。その後長征三号が実用化されたため、SAST案は極軌道打ち上げロケットへと転用、すなわちそれが長征四号である。
長征四号の最初の機体、長征四号甲は1988年9月6日に初飛行し、1990年9月3日に2機目が打ち上げられ、引退した。その後1999年5月10日に、長征四号甲のフェアリングを大型化し、またエンジンなどに改良を施して打ち上げ能力を高めた長征四号乙が登場、さらに2006年4月26日には、第3段に再点火可能なYF-40エンジンを搭載した長征四号丙が投入された。
長征四号は全シリーズを通し、登場以来失敗することなく安定した打ち上げを続けていたが、昨年12月9日に長征四号乙が初の失敗を喫した。今回の打ち上げは失敗以来初の長征四号の打ち上げとなった。ただし、昨年の長征四号乙の失敗原因は第3段エンジンにあり、長征四号乙と丙では第3段エンジン自体が異なるため、厳密な意味では失敗から復活したわけではない。
現在のところ、長征四号乙の復帰飛行は、今月19日に予定されている。
■遥感卫星二十号成功发射_中国航天科技集团公司
http://www.sorae.jp/030809/5259.html
http://news.ameba.jp/20140822-118/