「十分な聞き取りなく、脅すような」中国の独禁法調査を批判 EU商工会議所が声明
「十分な聞き取りなく、脅すような」中国の独禁法調査を批判 EU商工会議所が声明
2014.8.13 21:52 [中国]
北京の欧州連合(EU)商工会議所は13日、中国当局が独占禁止法に基づき外資系企業への調査を強化していることに懸念を示し「十分な聞き取りもなく、脅すような手段で、企業に処罰を受けることや改善策の実施を強いた例がある」と批判した。
声明は「外資系企業が狙われている」と調査への疑念が高まっていると指摘した。予断を持って調査をせず、企業が抗弁する権利も保障するよう求めた。
中国当局はドイツのメルセデス・ベンツや米クライスラーのほか、日系12社も対象に独禁法違反の調査をしている。
中国メディアによると、上海のベンツのオフィスには調査担当者が抜き打ちで訪れ、パソコンに保存されたデータなどを差し押さえた。アウディを販売する独フォルクスワーゲン(VW)の中国合弁企業には18億元(約300億円)の罰金を科す見通しだと報じられている。(共同)
中国 独禁法ふりかざし外資たたき 日系自動車3社も標的
2014.8.11 10:47 (1/3ページ)[中国]
2013年4月、上海国際モーターショーで、展示されたトヨタ自動車の乗用車をみる参加者ら。中国の乗用車市場は日米欧の外国勢が激しいシェア争いを展開しており、技術力やブランド力が劣る中国メーカーはシェアを伸ばせないままだ(ロイター)
2013年4月、上海国際モーターショーで、展示されたトヨタ自動車の乗用車をみる参加者ら。中国の乗用車市場は日米欧の外国勢が激しいシェア争いを展開しており、技術力やブランド力が劣る中国メーカーはシェアを伸ばせないままだ(ロイター)
中国政府が日系をはじめ外資系企業への圧力を強めている。自動車、IT、食品などの外資系企業に対し、当局が相次いで独占禁止法違反などの疑いで調査を始め、製品の値下げに追い込まれる企業が続出している。背景には、中国企業の不正から国民の目をそらすとともに、外資系企業に圧力をかけることで国内産業を優位にしようという習近平指導部の狙いがある、との指摘も出ている。(SANKEI EXPRESS)
トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの3社の中国合弁企業は8日、車の補修に使う部品価格の値下げや見直しをそろって発表した。3社は詳細を明らかにしていないが、価格カルテルなどを調査する中国国家発展改革委員会の調査や問い合わせを受けたと説明しており、補修に使う部品の価格が高すぎるとの指摘を受けたとみられる。
トヨタは高級車「レクサス」をめぐり「当局の問い合わせには前向きに対応している」と説明しており、3社による部品価格の値下げは当局の圧力を受けた措置と言っていい。
中国紙によると、同様に調査を受けた欧米メーカーも相次いで車本体や部品の値下げに踏み切った。ドイツのBMWや米クライスラーの部品価格の値下げ率は平均20%に及ぶ。中国国家発展改革委員会は6日の記者会見で、独禁法に基づき、日系企業12社などの調査をしていると明らかにしており、近く処罰を公表する。
企業の不正を取り締まる工商当局も7月下旬、コンピューターソフトの抱き合わせ販売などの疑いがあるとして、米マイクロソフトの中国法人を抜き打ちで検査した。パソコンの基本ソフト「ウィンドウズ」が調査対象で、結果によってはマイクロソフトの中国事業は大きな影響を受けかねない。
「世界最大の市場」と言われる中国では、世界中の企業が販売拡大を狙う。乗用車市場はドイツ、日本、米国、韓国の各社がしのぎを削り、技術力もブランド力も劣る中国メーカーがシェアを伸ばせない。
家電もドイツや日本、韓国の製品が人気だ。外食はマクドナルドやスターバックスが地方まで店舗網を広げている。
習指導部は明らかにこうした状況に危機感を持っている。共産党機関紙、人民日報は7月下旬「西側先進国は中国市場を奪い続けてきた」と非難する論文を掲載、外資に敵意をむき出しにした。
こうした外資批判は、中国メディアに広まる一方だ。上海の食品会社が使用期限切れの鶏肉を米ファストフード大手などに販売していた問題が7月に発覚すると、工場の親会社が米国企業だったため、中国メディアは連日、米企業の子会社であることを強調し、外資批判を大々的に展開した。3月には、国営中央テレビが、ニコンのデジタル一眼レフカメラの性能と修理の対応に問題があると報道。国営中央テレビは昨年も米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の保証体制に問題があるとの批判を展開した経緯がある。
巨額の罰金も経営の重荷となる。中国国家発展改革委員会は昨年、米国系などの乳製品企業6社が不当に粉ミルクの価格をつり上げたとして独禁法に基づき、計6億7000万元(約111億円)の罰金を科した。
日系自動車メーカー幹部は「部品の品質維持のために、値段が高くなるのは仕方がない」と、値下げが難しい現状を嘆く。ただ「中国では当局には逆らえない。逆らえば、やり玉に挙げられ、事業拡大もできなくなる」(日系食品メーカー)と警戒感が強く、あきらめムードも漂う。