完全に米中関係が破綻している事実経過となんらかの関係がある。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26年(2014)7月31日(木曜日)弐
通巻第4305号
期限切れ鶏肉をつかってマック、KFCの経営被害は甚大だが
このキャンペーンは中国の外国企業排斥が基本の動機ではないのか
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最初から意図的である。
期限切れ食肉加工は米国企業が100%出資の現地法人である。中国のテレビが当該工場に潜り込んで、実際にカメラを回し、「期限が切れている? 死にはしないさ」という工員の会話が録音され
た。
画像が放映され、中国ばかりか世界に流れたので、日本でもファストフーズなど、甚大な悪影響がでた。
しかし、この事件はそれほど驚くことだろうか?
どぶ川の水で食器を洗い、箸をばしゃばしゃと洗い、つぎの客に出すのは常識。いや、それは日常の風景。屋台だけの話ではない、ちゃんとしたレストランで小生がチト呆れたのはどぶ川の水でスープを作っていたこと。すぐにそのスープを飲むのをやめたが、下痢は三日続いた。
北京の一流ホテルの料理場では、コック長が「客が日本人?」と聞くやフライパンに唾を吐いて、それから料理したと、実際に目撃した元駐在員が語った。中国での駐在が長いと原因不明の食あたり、食中毒は常におこる。原因不明で死んだ人も何人かいるが、中国の医院では死因は特定されない。
過去四年間だけでも、伊勢丹、ヤマダ電機など数十社が撤退したが、日本企業ばかりではなく台湾企業は一万社近くがすでに撤退した。韓国企業は夜逃げを敢行した。米国も、IT関連、通信機器、コンピュータの多くが人員削減に踏み切っている。IBM,HPなどの動向がそれであり、またスタバも近く撤退を開始するとの情報がある。
IT関連で言えば、華為技術やZTE(中国通訊)など大手がすでに欧米日の技術に迫り、外国企業が邪魔になったため、様々な妨害、入札阻止などをおこなっている。豪企業リオ・テント、英国企業グラクソ・スミス・クラインなどは、なぜか独禁法抵触といわれて社員が逮捕されるなど露骨に中国企業を保護するためだ。
▲米中戦略対話の破綻、海洋リグ撤去への報復の可能性
この流れが食品産業にきた。
米系企業をとっちめるのは、その背後にもっとどろどろした政治的動機がある。つまり、シャングリラ対話、米中戦略対話で、米中はアジアの安全保障をめぐって激論、中国は四面楚歌となり、完全に米中関係が破綻している事実経過となんらかの関係がある。
ベトナム沖で掘削を続けたCNOOC(中国海洋石油)は、海洋リグを撤去した。これを中国軍は屈辱と感じており、米国への報復をとんでもない方向からやらかした、とみると整合性がでてくるだろう。
さらに穿った見方は、この米国企業は進出のさいの諸手続きや認可に関して江沢民派の世話になった。江沢民派をコーナーに追い込む習近平政権にとって、これは戦闘開始の信号でもある、という。
しかしまだ勢力を誇示する上、家来を政治局常務委員に四人も送り込んだ江沢民を最後まで追い詰める意図を習近平が抱いているとは到底考えられず、上海派が牛耳る通信利権に習近平が手を出す前に、胡錦涛――温家宝――朱容基らがもつ「金融利権(銀行、保険、証券)に手を付けるか、あるいは守旧派の李鵬一味が持つ「発電利権」に手を出すだろうからだ。
ともかく米国企業を絡め手で敵に回した中国は、この結末をいかにつけるのか?
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1108回】
―「犯罪人の数は年ごとに少なくなり、監獄でも監房が空いてくる・・・」(仁井田10)
「中国の旅」(仁井田陞 『東洋とはなにか』東大出版会 1968年)
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仁井田は葯水弄について次のように説明する。
「かつては産業労働者は少なく、小売、人力車夫、くずひろい、乞食など最底の生活者がより集まっていた。食事にはとうもろこしの粉、豆かす、落花生のかすなどをたべ、しかも一日三食を欠く状態であった」。そのうえ「家はわらぶきのほっ立て小屋で、『地上にころがった籠』のようなもので事実そう呼ばれていた」。火事が頻発したが、消防車がやってきても放水はしなかった。なぜなら、消火したところでお礼を貰えないからである。
要するに葯水弄とは社会の掃き溜めだったわけだ。ところで仁井田は「食事にはとうもろこしの粉、豆かす、落花生のかすなどをたべ、しかも一日三食を欠く状態であった」と、かつての葯水弄の惨状を記す。だが、これは仁井田が訪中した当時の中国が襲われていた、大躍進政策失敗による飢餓情況そのものではないか。じつはノホホンと旅行していた同じ時、全国各地は「一日三食を欠く状態」以下の残酷極まりない飢餓地獄にあった。そのことに気が付かない。いや気づかせない中国側の“配慮”の巧みさには、改めて脱帽だ。これまた宣伝工作の妙というものだろう。
ところで、消火したところでお礼を貰えないとの一件についての思い出なんぞを。
香港留学時のことだから、いまから40年以上の昔だ。貿易商を営んでいた友人の事務所で暇潰しをしていた時、同じビルの下の階で火災が発生した。もちろん従業員共々大慌てだ。黒煙が立ち上り、友人の事務所に延焼する勢い。危険が逼っている。その時、絶妙のタイミングで消防(これを「救火」と呼ぶ)が駆けつけて来た。すると友人は机の引き出しから掴み出した札束を、隊長と思しき男にサッと手渡す。これまた絶妙のタイミング。するとドカドカトと友人の事務所に雪崩れ込むように入って来た消防隊員は窓からホースを突き出し、火災現場に向かってガンガン放水開始だ。時を同じく、隣の事務所からドカンガチャンとなにかを壊すような音。消火の便を考え障害物でも取り除いているのか。友人は「さてはカネを包まなかったかな。いや少額すぎたのかな・・・」とニヤリ。
火事騒ぎも一段落。隣の事務所を覗いてみると、火事の被害はなかったものの、室内が水浸しのうえに、数台のエアコンが見るも無残な状態に。友人は「こういう時にタップリお礼を包まないと、“痛いお礼”をされちまうからなあ」と。「消防隊員としての使命感は?」と質すと、「使命感? そんなもの・・・あるわけないだろうに」との返事だった。
使命感の話をすれば、こんな経験もある。個人授業を受けに中国語の先生宅に向かって歩いていると、ウ~ウ~とサイレンを鳴らして白バイがやって来て、前方を走るバイクを止め、白バイの警官はバイク運転手の取り調べをはじめた。どうやら信号無視らしい。面白そうなので近づいて2人のやり取りを聞いていると、別の白バイが近づいて来る。2人の警官で厳正に取り調べるのかと思いきや、先に調べていた警官がバイク運転手を促して、2人で現場を立ち去ってしまった。その顛末を先生に話すと、「2人で反則金の金額を相談していたんだ。もう1人警官が増えると、警官1人当たりの取り分が減るだろう。だから2人は現場から離れたのさ」と。そこで「警察官としての使命感は?」と尋ねると、先生の“解説”は「使命感? それで腹
が膨らむのか、といった考えの警察官もいるんだよ。もちろん使命感を持つ警察官もいる。極く少数ではあるが・・・」であった。
そういえば、京劇小屋通いで知り合った戯迷(芝居狂い)仲間の老人の息子は小さな警察署の署長だった。だが、管轄区域の狭さに反比例して驚くほどに豪勢な生活ぶり。そこで尋ねると、戯迷仲間の1人が「まあ、色々と余禄があってな」とニヤニヤ。
思わず1970年代前半の香港の思い出に耽ってしまった。話を仁井田に戻さねば。
《QED》
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