石平(せきへい)のチャイナウォッチ
~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~
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■ 破滅へ向かう中国経済 四面楚歌の習近平 政治介入する軍( 1/3 )
6月13日、中国中央テレビ局は習近平国家主席が
中央財経領導小組(領導チーム)の組長として会議を主宰したことを報じた。
「小組」とは、共産党中枢部において
各領域別の仕事を指導するための非公式な意思決定機関、というものであるが、
中央財経領導小組というのは当然、
党内において国の経済政策を決定するための指導チームであり、
経済運営の事実上の司令塔なのである。
この中央財経領導小組はもちろん以前から存在しているものであるが、
江沢民政権時代の1992年以来、国務院総理、
すなわち中国の総理大臣がその組長を務めるのが慣例となっていた。
たとえば今の李克強総理の前任の温家宝前総理、
そしてその前任の朱鎔基元総理は総理在任中にずっと
中央財経領導小組の組長を兼任していた。
その際、政治局常務委員でもある国務院総理は当然、
国の経済運営の最高責任者と見なされていたのである。
▼習主席「中央財経領導組長」就任の怪
しかし、前述の6月13日の中央テレビ局の報道によって、中国国民は初めて、
党の総書記であり国家主席の習近平氏が総理の李克強氏に取って代わって、
中央財経領導小組の組長に新任したことを知らされた。
今まで20年以上も続いた慣例を破った異例の出来事である。
習主席は一体なぜ、この時期になって
経済政策の最高責任者の役割を引き受けたのだろうか。
国内外の一部のマスコミや専門家は、それを習主席への権力の集中、
すなわち習主席による全権の掌握が進んでいることの証拠だと見なしているが、
果たしてそうなのであろうか。
この問題を考えるにはまず一度、
今の中国経済が一体どういう状況であるかを見てみる必要があろう。
習主席が今後、自らの指導的責任において引き受けようとしている肝心の中国経済。
実はそれを考えてみると、習氏の権力の掌握というよりもむしろ
大変深刻な問題を引き受けたのではないかと思いたくなる。
というのも、まさに今この時期において、
中国経済は生死の正念場を迎えているからである。
▼破滅へ向かう中国経済の現状
一つ注目すべき動きとしては、前述の中央財経領導小組が開催される1カ月前の
今年5月から、私のコラムでかねてから指摘してきた
不動産市場の崩壊が確実に進んでいることが挙げられる。
目立つ現象の一つはまず、不動産が徹底的に売れなくなったことだ。
中国では、毎年5月1日のメーデーを中心に数日間の休みがあって、
例年では不動産がよく売れる「花の五一楼市(不動産市場)」とされてきたが、
今年のそれは惨憺たるものであった。
中原地産研究センターが観察している全国54の大中都市で、
「五一楼市」で売れた不動産件数は9887件で、
去年同じ時期と比べると32.5%減となったという。
その中で、たとえば首都の北京の場合、
期間中の不動産販売件数は前年同期比では約8割も減った。
地方都市の保定に至ると、期間中の不動産契約件数はわずか10件、
まさに「不動産市場の5月厳冬」と呼ばれる大不況の到来である。
不動産が売れなくなると、ついてくるのは価格の下落だ。
全国における不動産価格下落の傾向は今年の3月からすでに始まっているが、
5月後半にはそれがいっそう加速している。中国経済新聞網が5月30日、
重慶市最大の不動産開発プロジェクトの「恒大山水城」が
3割以上値下げして売り出されたと報じれば、
同じ日に放送された中央テレビ局の「経済30分」という人気番組では、
杭州市にある分譲物件が予定価格の
3分の1程度を値下げして売り捌いた事案を取り上げた。
そして『毎日経済新聞』の報じたところによれば、
「値下げラッシュ」が南方の大都会の広州にも広がり、ある業者が
史上最高の価格で取得した土地で作った「亜細運城」という
大型不動産物件が3割程度の値下げを余儀なくされたという。
そして最後、5月31日に中国指数研究院が発表した
全国100都市での定期調査の結果、この100都市の不動産平均価格が
5月において前月比で0.32%の下落となったことが分かった。
全国で広がる価格下落の実状を見ると、この「0.32%」という下落幅は
果たして真実を十分に反映しているかどうかはかなり疑問だが、少なくとも、
全国の不動産平均価格は2年ぶりに
確実に下落していることがこの調査結果から分かっている。
さらに、そういう平均的統計数字よりも、たとえば
中国有数の不動産開発大手の「中国S」トップの潘石屹氏の
「中国の不動産市場は今、氷山に衝突するところのタイタニック号だ」
という衝撃発言の方が、現在の危機的な状況を如実に反映しているのであろう。
この国の不動産市場は確かに「氷山」にぶつかって沈没する寸前である。
香港に拠点の一つを持つスタンダードチャータード銀行の
「大中華区研究主管」の王志浩氏も近日、
「今年以内に中国一部都市の不動産価格は半分以上も暴落する」
との不気味な予言をしている。
・・・つづく
( 石 平 )
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