「中国経済の危機的状況は誤認する筈がない」(クルーグマン)
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26(2014)年6月24日(火曜日)
通巻第4279号
「中国経済の危機的状況は誤認する筈がない」(クルーグマン)
「中国のGDP実態はおそらく日本の下位」(バロン誌)
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「この中国経済の凶兆はもはや誤認される筈がなく、中国は深刻なトラブルのなかにあって、今後予測されるのは『ちょっとした景気後退』ではない。もっと基本的な経済全体、中国のシステムそのものが限界に達していることである。問題はいつおきるか、というよりどのていど悪性のものになるかである」とポール・クルーグマン教授(ノーベル経済学賞)は『ニューヨーク・タイムズ』に書いた。
全米の投資家が読む『バロン』に寄稿したベン・リーバイマンは
「中国から煙が匂ってきた。まるで『タワーリング・インフェルノ』だ。倉庫室からおきた出火を軽視して高層ビルでパーティにふけっていたら、ビル全体が燃えていた」。
いまの中国経済はまさしく、この比喩がふさわしい。
バロン誌はつづけてこう書いた。
「おそらく中国のGDPは日本より下位であろう。なぜなら労働者が物品を購買できないではないか。一部の富裕階級は存在しても、9億の民の「ひとりあたりのGDP」はモンゴル、グアテマラ、グルジアのそれと同レベルであり、5億の民のひとりあたりのそれはニカラグラ、ナイジェリア、インドと同レベルではないか」
当面、中国政府は内外に危機の存在を知らしめず、民の不満をそらすため南シナ海や東シナ海で軍事冒険と反日行為をつづけながら暴動を押さえ込み、情報操作を続けていくだろう。
しかし経済成長しているとでっち上げのデータを示し、偽情報を流し続けるだろうが、もはや限界である。
残された方策は人民元の切り下げによる輸出競争力の回復だろうが、もしそれを行うと猛烈なインフレが起きるだろう。だからごまかしを継続する。これまでにもごまかしを続けてきたように。だから次の事態は単なる「悪性」というより歴史上かってないほどの凶兆がみえているわけだ。
中国経済の崩壊は、時間の問題ではなく、クルーグマンの指摘するように、それは「どのていど悪性のものになるかが」だけが残された疑問である。
(さらに詳しくは拙著『中国の時代は終わった』(海竜社)を参照)
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(読者の声1)24日から上野で開催される台湾の国立故旧博物院展(東京国立博物館)ですが、日本側が用意したポスターの一部から故意に「國立」が省かれたと外交問題になりつつあります。
台湾は国ではない、というわけでしょうが、慌てて名称部分に張り紙をして修正しているそうです。張り紙で済むような話では無いと思います。現に馬英九総統夫人は来日と取りやめました。博物館の原稿には「國立」があった由で、協賛メディアが削除させた模様です。
(AG生)
(宮崎正弘のコメント)ゆゆしき事態です。北京の圧力という見えない脅威におびえて、かぎりなき友人である台湾の名誉を傷つけたのですから。
ところでこの展示会は次の「国宝」が展示されています。一般公開は本日(24日)から。
「翠玉白菜」(清。ながく門外不出とされた至宝)。「人と熊」(玉の白い部分と黒部分を彫りわけた故旧の名品)。「散氏盤」(西周時代)、青磁輪花椀(北宋)。雲横秀嶺図軸(元)。藍地猫金粉彩遊漁文回転瓶(清)。刺繍九羊啓泰図(元)。蘇軾筆の行書黄州寒色詩巻(北宋)など186点。
会期は6月24日から9月15日(ただし翠玉白菜の展示は7月7日まで)。
上野「東京国立博物館。平成館」本館特別五室。
アクセス
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=113
入館料 1600円(大学生1200,高校生700円)
公式ホームページ
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1647
小生は前日の内覧会に招待されたので行ってきました。ところが開場十五分前についたのに、千名もの行列。翠玉白菜は台北の故宮博物院で過去に何回か見ているので、早々に引き上げました。レセプション会場では高山正之、古田博司氏ら何人かの知り合いとばったりでした。後れて駆けつけた石平氏によれば、四時前には行列はなかった由でした。
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(読者の声2)ヒラリー前国務長官が回想録『難しい選択』を出版し、全米をサイン会ツアーで巡回しています。リベラルの牙城ボストンでは本屋も前に長い列ができていました。
保守系メディアは「あきらかな選挙戦であり、この本ではベンガジ事件の責任を言い逃れている」と辛辣に攻撃していますが、ヒラリーは次の大統領に当選確実だろうと言われていますね。どういう予測ですか?
(JJセブン)
(宮崎正弘のコメント)選挙はミズモノですから、いまの時点で2年半も先のことを予測するのはたいそう困難です。
ヒラリーが今秋の中間選挙前に大統領選への立候補を打ち上げるのは、おおきなリスクがあります。しかし、民主党にはほかに有力候補がいない。
対する共和党は頭一つジェフ・ブッシュがリードしていますが、これじゃブッシュ家から三代つづけて大統領がでることになり、米国のいわゆる「民主主義」が攻撃してやまなかった世襲を自ら選択することになり、多くが反対するでしょう。
ともかく当面の政局は秋の中間選挙。オバマ人気低落中で、もし共和党が分裂状況を克服できれば地滑り的勝利となり、オバマ政権はレイム・ダック入りします。
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(読者の声3)「美味しんぼ」論争・科学者からの反論~非科学的な“風評加害”は許せません」
(三浦生)
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(読者の声4)ホーチミン市空港経由でカンボジアへいってまいりました。さもありなんと思ったのは、カンボジアにおける韓国と中国のプレゼンスの大きさと、日本の存在があまり感じられなかったこと。
びっくりしたのはホーチミン市空港から成田まで乗ったベトナム航空の飛行機で、客席の液晶画面で世界のどの辺を飛んでいるか、地図で見せてくれる Sky Map というサービスです。台湾の北方に黒丸 がありそのそばに「Awa Maru: 1945」と書かれています。
荒っぽい地図に、特に選んで阿波丸が記載されている、ベトナム人は歴史の真実を忘れていない。日本航空や全日空では考えられないことです。
しかし乗っていた日本人の中で何人が気づいたか。荒廃しているのは日本人の歴史認識なのでしょう。
(ST生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)4月にベトナム航空に搭乗しましたが、阿波丸の表示はなかったような気がします。中国の南沙諸島沖の海洋リグ設置は5月3日、反中デモは5月14日前後。その後から措置ではないか、と思います。
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――世界でみごとに孤立しているのに、その四面楚歌ぶりを認識できない中国と韓国は、『反日』に興じて国内矛盾をすり替えてきたが、その嘘もばれた。
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しかし、いつまでもそんなことをしていると両国は『仲良く』自滅するしか道はない。
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