「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26(2014)年6月20日(金曜日)
通巻第4273号
五島列島玉之浦港に、ある日突然、中国漁船106隻が集結した
もっとも警備の弱い海上防衛のアキレス腱めがけ中国海軍は何を狙ったか
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それは2012年7月18日のことだった。
五島列島の南端・福江島の南のはずれに位置する玉之浦港に突如、「元寇」を思わせるほど夥しい中国船が、整然と隊列を組むかのように入港した。
台風避難が目的であるとされた。合計106隻。
日中漁業協定で確認された避難ポイントは、この玉乃浦港から100キロ先であり、台風を名目にわざわざ福江島の南端、警備の薄い日本の港を狙っての集団避難は異様な光景、なにか軍事的目的があると考えられた。
玉之浦は緯度的には長崎と佐世保の中間、大村飛行場と同一線上にある。
「入港後日本の海上保安庁の巡視船が監視にあたりましたが、百六隻の漁船に対して、海上保安線は150トンクラスが一隻と巡視艇というボートが一隻の計二隻だけ」((遠藤浩一編『日本文明の肖像2』所載、山田吉彦論文)
おもわず背筋が寒くなる光景だった。
玉之浦の人口は1800人、中国側は各船に20人から50人が乗っていたと推定すると、合計3000名となる。
つまり台風避難を名目に玉之浦港は中国に占領された格好だった。漁船といっても遠洋航海の船は魚群探知機を装備している。こうした漁船はすべて中国海軍の管轄下にある。
山田吉彦(東海大学教授)は、「この漁船は海上民兵」と推測し、第一列島線の内側を「中国は海洋領土とすることを目指してきた」から、こうした行為に及んだとする。
すでにそのときまでに中国は西沙諸島ミスチーフを占領し、2010年8月には「270隻もの漁船団が日中中間海域に出没」し、しかも「そのうちの一隻が海上保安庁の巡視船に体当たりした」
そして推定される中国の「海上民兵」を駆使した海洋軍事作戦とは、「百メートルおきに横に並ぶと10キロ、二列で間を埋めて50メートルおきに並んでも5キロのエリアで海底を詮索できまる。だから漁船団が動き出すと(日本と米軍の)潜水艦は動けなくなる」(同前掲書)。
そうしたシミュレーションを漁船の台風避難を口実に実施訓練していたのが、当該の事件ではなかったかと山田教授は言うのである。
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(読者の声1)「三島由紀夫 最後の檄文をめぐってのシンポジウム」
記
1)日時 平成26年6月28日(土曜) 13時~ 17時半(12時半開場)
2)会場 ホテル・グランドヒル市ヶ谷西館3F「ペガサス」(本館西隣。いわゆる「旧館」、昔の市ヶ谷会館。三島事件当日楯の会隊員が集合待機した場所)
3)プログラム
1300-1320 シンポジウムの意義 玉川博己(三島研代表幹事)
1320-1420 第一セッション
「三島由紀大と楯の会J(楯の会創設の経緯)武丼宗行氏
(プロフィール)昭和23年生 早稲田大学政治経済学部卒 在学中早大国防部と日本学生同盟で活動。昭和43年春三島由紀夫先や森田必勝氏らとともに自衛隊に体験入隊した楯の会第一期生。
1420-1430 コーヒーブレーク
1430-1530 第ニセッション
「三島事件と自衛隊J(11.25事件の証言)寺尾克美氏
(プロフィール) 昭和4年生 B召和28年早稲田大学商学部卒業後保安隊に入隊。高射特科部隊を経て経理将校に.三島事件当時は東部方面総監部勤務の三等陸佐。三島事件勃発時、益田兼利総監を救出せんと東部方面総監室に飛び込み、森田必勝氏らと格闘、また三島先生の「関の孫六Jを数太刀浴びて重症を負う。しかし事件後三島先生、森田烈士らの憂圏の至情を知り、現在は三島・森囲烈士を称賛されてしる。自衛隊経理1薔校として最高性である陸1薔補(陸自東京中央会計隊長)で退宮。
1530-1430 第三セッション
「三島由紀夫と天皇J(「檄文」が訴えたもの)比留間誠司氏
(プロフィール)昭和29年生 明治大学法学部卒業 会社役員。大学在学中は日本学生同盟で活動、現在は三島由紀夫研究会幹事。
4)会費 会員千円、一般二千円
5)コメンティター 松本徹、藤井厳喜、西村幸祐の各氏
終了後、懇親会あります(別途会費)。どなたでも予約なしでご参加いただけます。
(三島由紀夫研究会)
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(読者の声2)貴紙第4272号で展開された東海子様の指摘はエジプト生活経験を踏まえて説得力を感じました。小生はイスラームの歴史に関心と興味を抱き長年中東をウォッチしてきた者として中東の現況への感想を述べたい。
そもそも西欧の十字軍が遥々中東にやってきて見たものは自分達には及びもつかない遥かに優れたイスラム文明の姿だった。
イスラム文明はギリシャ語をアラビア語に翻訳し独自に発展させた当時としては世界最高位に位置するものであり、西欧は自らの後進性を恥じイスラム文明に学ぶことからルネサンスを達成できたのである。
西欧はルネサンスから暗黒の中世を抜け出し、大航海時代、産業革命を経て全地球をほぼ植民地化してしまうに至った。この間、あの輝かしいイスラム文明の国々は何をしていたのか。
結局、彼らは広大な地続きの土地をめぐり部族間の争いだけを事とし自ら疲弊していっただけだった。挙句の果てにアラブ諸国とペルシャは仏、英、露の植民地争奪戦の対象となり、第二時大戦終了まで半植民地化され西欧に屈服していた。
日本が大東亜戦争の大義として掲げた植民地解放の理念に感化され戦後ようやくにしてアラブ諸国は独立を達成したが不幸にして2つの要因がアラブ諸国の不安定化に作用し続けている。つまりユダヤ人国家イスラエルの強大化と石油利権の争奪である。
米主導のイラク戦争参加に2の足を踏んだ仏、英の態度は、第二時大戦時の苦い経験を反省すれば当然だったと言える。
無邪気にも簡単に片がつくと乗り込んだ米はサダム・フセインを処刑し、米軍を引き上げてみればイラクは元の黙阿弥どころかさらなる部族紛争、宗派紛争を激化させただけだった。
米は同じ轍をアフガンでも踏もうとしている。
オバマの米には中東問題を解決する能力も決断力も最早なしとみてよい。
しかし問題解決を国連に丸投げしても矢張り何も解決には至らないと考える。何故なら国連はあの事務総長の顔を思い浮かべただけでも烏合の衆の集まりに過ぎないと分かり、国連に何の期待も出来ないことは明らかだからだ。
では誰が乗り出し、解決を図るのか。
まさか幼児的論理と武力をひけらかすだけのシナではありえない。消去法で最後に残るは露しかなかろう。露のプーチンに中東問題解決への意志と国際政治力があるかどうかは分からないが、少なくとも英、仏、米ほどには手を汚してはいないだろう。
(ちゅん)
(宮崎正弘のコメント)ここでプーチンの柔道的外交の登場ですか。たぶん、あり得ないでしょうね。
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(読者の声3)「士気の集い 133回講演会」は6月21日(土) 18時10分~20時30分です。
元 IWC日本政府代表代理の小松正之先生 出版記念特別講演会「ウナギとマグロだけじゃない!日本から魚と鯨が消える日」です。
捕鯨をめぐる国際会議で、卓越した交渉力を武器に日本の国益を守り続けた“タフ・ネゴシエーター”小松正之先生の、二年ぶりの新刊がこの度出版されました。 今回は新刊「ウナギとマグロだけじゃない!
日本の海から魚が消える日」の出版の記念講演として、日本の漁業が抱える危機とその対策について、資源管理、漁業者・漁協のあり方を含めて、小松先生にお話いただきます。貴重な機会となりますので、是非ともお越し下さい。
小松 正之(こまつ まさゆき)先生:国際東アジア研究センター客員主席研究員、農学博士、経営学修士(MBA)。エール大学経営学大学院卒業、経営学修士(MBA)取得。2004年 東京大学より博士号(農学)授与。1977年 農
林水産省入省。1991年から2005年までIWC日本政府代表代理として国際捕鯨委員会に13年連続出席、ミナミマグロ保存委員会、インド洋マグロ委員会の政府代表を務める。2008年より政策研究大学院大学教授、2014年国際東アジア研究センター客員主席研究員に就任。2003年ブリタニカ国際年鑑「人間の記録 世界の50人」に、2005年ニューズウィーク日本版「世界が尊敬
する日本人100人」に選ばれる。日経新聞「経済教室」、朝日新聞「ひと」「異議あり」、「論壇」、「耕論」、毎日新聞「闘論」などに執筆・掲載。「視点・論点」「世界一受けたい授業」「ビートたけしのテレビタックル」「新報道2001」など多くのメディアに出演。著書は「国際マグロ裁判」「日本人とクジラ」「これから食えなくなる魚」「劣勢を逆転する交渉力」「海はだれのものか」「なぜ日本にリーダーがいなくなったのか」ほか多数。近著は「ウナギとマグロだけじゃない 日本の海から魚が消える日」。
記
日時 6月21日(土) 18時10分~20時30分(開場:18時)
会場 文京区シビック 地下一階 アカデミー文京 学習室(文京シビックセンター内)
東京都文京区春日1-16-21 03-5803-1100 交通:東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」直結or都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
参加費 事前申込:1500円、当日申込:2000円
事前申込の学生:500円、高校生以下無料
申込先 6月20日23時迄にメール又はFAXにて(当日受付も可)(懇親会は6月19日
23時迄)
当日は混雑が予想される為 事前申込の無い方の入場は講演10分前です
士気の集い・青年部 千田宛て http://blog.goo.ne.jp/morale_meeting
FAX 03-5682-0018
morale_meeting@yahoo.co.jp
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宮崎正弘『「中国の時代」は終わった』(海竜社、定価1080円)
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――高度成長で世界が瞠目し、日本企業も中国進出がめざましかった。しかし中国は経済力をつけるや軍事力増強を背景に横暴にして傲慢となって世界中から嫌われ始めた。米国はアジア・シフトへ移行し、アセアンは反中国で結束した。
http://www.amazon.co.jp/dp/4759313761/
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『中国共産党、三年以内に崩壊する!?』(海竜社、1080円)
――中国の支配政党の独裁システム崩壊シナリオを七つの視点から予測
http://www.amazon.co.jp/dp/4759313494/
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『中国バブル崩壊が始まった』(海竜社、1080円)
――中国のバブル崩壊を予測した先駆作 斯界騒然の話題作!
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(上記三冊で「中国終焉シリーズ三部作」です)
<宮崎正弘のロングセラーズ>
『世界から嫌われる中国と韓国。感謝される日本』(徳間書店、1026円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4198637385/
『中国を動かす百人』(双葉社 1620円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4575304875/
『習近平が仕掛ける尖閣戦争』(並木書房、1620円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4890632999/
< 宮崎正弘の対談シリーズ >
宮崎正弘 vs 川口マーン惠美
『なぜ、中国人とドイツ人は馬が合うのか?』(ワック、972円)
Http://www.amazon.co.jp/dp/4898316964/
『2014年の中国を予測する―中国大陸から次々と逃げ出すヒトとカネ』(ワック)
石平氏との対談第五弾
http://www.amazon.co.jp/dp/4898316891/
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『2013年後期の中国を予測する』(石平氏との対談第4弾 ワック)
『2013年の中国を予測する』(石平氏との対談第3弾 ワック)
『増長し無限に乱れる欲望大国、中国のいま』(石平氏との第2弾 ワック)
『絶望の大国 中国の真実』(石平氏との対談シリーズ第1弾。ワック)
『猛毒国家に囲まれた日本』(佐藤優氏との対談。海竜社)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店)
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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