混乱招く「鯨・イルカ漁」反対外国人の“問題行動”…「外国人禁止」とは書いていないのに | 日本のお姉さん

混乱招く「鯨・イルカ漁」反対外国人の“問題行動”…「外国人禁止」とは書いていないのに

【関西の議論】
混乱招く「鯨・イルカ漁」反対外国人の“問題行動”…「入館拒否批判」に苦しむ“鯨の町”の切なさ
2014.6.3 07:00 (1/4ページ)[westナビ]
訴状の写しをくじらの博物館の窓口で渡そうとする原告の女性ら=和歌山県太地町
和歌山県太地町の「町立くじらの博物館」への入館を拒否されたとして、捕鯨反対を訴えるオーストラリア人女性らが慰謝料などを求め和歌山地裁に提訴したことが大きな波紋を広げている。女性らは「人種差別であり、思想信条の自由を侵害する」と主張するが、同町では数年前から、「シー・シェパード」など反捕鯨団体の威嚇的な行動が目立ち、最近も外国人グループがカメラを構え館内を無断で取材するなど問題行動をとっていた。博物館側は「入館を断ったのは混乱を避ける措置で、決して人種差別ではない」と説明。今回の騒動は、反捕鯨団体に神経質にならざるを得ない町の苦悩を改めて浮かび上がらせた。
小泉一敏
いきなりの訪問
訴訟を起こしたのは、イルカなどの保護活動を行っている団体代表のオーストラリア人女性ジャーナリストら。
訴状によると、女性ら2人が2月9日、同館を訪れ、窓口で職員に入館の意思を告げてチケットを購入しようとすると、職員から「捕鯨反対の方は入館できません」と英語と日本語で記された説明カードを見せられた。その後、女性側が何度か説明を求めたが、入館を拒否されたといい、町に対し約670万円の慰謝料などを求めている。
女性らは提訴翌日の5月14日、太地町のイルカ追い込み漁について批判的な映画「ザ・コーヴ」に出演した保護活動家のリック・オバリー氏や日本人弁護士を伴い、同館に訴状の写しを手渡しに来た。オバリー氏は原告ではなく、女性のサポート役だという
窓口で対応にあたった林克紀館長は「反捕鯨の人は入れないことにしている。訴状は受け取れない。帰っていただきたい」と強い口調で返答し、写しは受け取らなかった。
女性やオバリー氏はその後、博物館前で報道陣の取材に応じた。
「もし、日本人がオーストラリアに来て、博物館の前で『日本人禁止』と書かれていたらどう思いますか」。女性はこう訴え、「私たちが実際に博物館で体験したものなのです。それに対する訴訟であり、認められるべきだと思います」と主張。オバリー氏も「基本的には観光客としてきているが、入館を拒否されている状態。憲法14条に反している」と訴えた。
女性らは翌15日、海外メディアが集まる東京の「日本外国特派員協会」でも記者会見を開き、アピールした。
大型カメラで館内撮影
ここに至るまでには“伏線”もあった。
同博物館では2月初め、外国人ら約10人のグループが入館し、館内での撮影をめぐってちょっとしたトラブルがあったという。
同館によると、日本人数人を含むグループは「観光で来た」といい、全員分のチケット代を払って入館した。同館1階は、入り口から前方に進めばクジラの骨格標本などの展示、左方向に行くとイルカがショーを行うプールがある。
一行のうち、外国人らはすぐプールの方へ向かった。プールには、今年1月にイルカの追い込み漁で捕獲された、色素が作り出せないアルビノ(突然変異)の「白いイルカ」がいたが、そのイルカを外国人らは大きめのビデオカメラを取り出して撮影。さらに館内にいた日本人の来館者へのインタビューも始めた。
その様子を見た職員が館長に連絡。取材などの撮影には許可がいることから、林館長が「責任者はだれですか」と確認のため聞いたところ、一行はすぐに撮影をやめ、立ち去ったという。
林館長は「館内での撮影は原則自由だが、取材となれば撮影趣旨の確認はしている」とし、「このときは、撮影の中止を求めたのではなく、あくまで説明を求めたものだった」と話す。
また、女性らが訴状の写しを持って博物館を訪れた際も、意図的な行動が見られた。一行は撮影クルー3人を伴い、博物館の窓口で訴状を渡そうとして断られる様子などを撮影していた。その後、女性とオバリー氏が博物館を背に主張を述べる様子も動画に撮影。これらの動画は、翌日の日本外国特派員協会での記者会見で使うと説明していた。
シー・シェパードが“席巻”
女性らが反対する同町のイルカの追い込み漁は、沿岸のクジラやイルカを湾に追い込んで捕る古くからの漁法だ。漁師たちは目視で群れを確認すると、船の側面に取り付けられた鉄管を金づちでたたき、「カン、カン、カン」という音とともに追い込んでいく。県知事の許可のもとで行われており、法的に問題はない。
しかし、2010年に米アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した「ザ・コーブ」では、イルカの血で湾が赤く染まる様子がショッキングに描かれ、反捕鯨団体などを中心に海外から批判が高まった。
追い込み漁が行われている太地町の畠尻湾には「シー・シェパード」のメンバーらが集まり、追い込み漁に携わる漁師たちを双眼鏡などで監視し、ビデオカメラで撮影する姿がみられるようになった。

同館は、その畠尻湾から約300メートルと目と鼻の先にあり、活動家らが追い込み漁の監視の傍ら、博物館まで歩いてくることもしばしばある。これまで大きなトラブルはなかったというが、活動家らが小型カメラなどで館内を撮影した動画をインターネットなどで流し、批判的に伝えたことはあったという。
イルカ漁が始まると、こうした活動家が増えるため、同館は「捕鯨反対の方は博物館には入館できませんので、ご注意ください」という、英語と日本語で書かれたA4判の説明カード使って対応を始めた。カードを使うは、英語が話せる職員が少ないためだという。
林館長は「去年の秋頃から活動家らの数が増えたように感じた。館内での混乱を避けるため、こうした対応を始めた。決して人種差別ではない」と強調する。 カードを見せるのは、イルカ漁で活動家が増える9月から2月ごろまで。その他の時期は原則、入館を断るようなことはないという。
そもそも有名な活動家でなければ、見た目で「反捕鯨」を判断することは困難で、これまで外国人というだけで入館を拒否してきたわけではない。本人の申告で「観光目的」とするなら断ることはないという。
「本来なら博物館としてそんなことはしたくない。しかし、太地の文化と漁業は守らなければならない」(林館長)。同町は苦渋の対応を続けている。

関西の議論】
ケネディ女史「イルカ漁残酷」に文化理解されぬ「和歌山」の悲しみ…「命を頂いて生かされている」精神理解されず、一方的な批判ばかり
2014.1.27 07:00 (1/4ページ)[関西の議論 アーカイブ]
ツイッターでイルカの追い込み漁を批判したケネディ駐日米大使(左)と、それに反論した仁坂吉伸・和歌山県知事
「米国政府はイルカの追い込み漁に反対します。イルカが殺される追い込み漁の非人道性について深く懸念しています」。1月18日、キャロライン・ケネディ駐日米大使が短文投稿サイトのツイッターに書き込んだ内容が波紋を広げている。ネットではケネディ駐日米大使の発言に世界中から賛否両論が寄せられ、菅義偉官房長官や和歌山県の仁坂吉伸知事も反論した。イルカの追い込み漁を行っている同県太地町の漁師たちは、困惑するばかりだ。
双眼鏡やカメラで…
今年1月中旬、まぶしい朝日が降り注ぐなか、Y字型に入り組んだ太地町の畠尻湾に、ドクロのマークが描かれたそろいの黒いジャンパーを着た外国人が約10人、太平洋を望むように立っていた。米反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」のメンバーやその支援者たちだ。
メンバーらは双眼鏡で湾の方を見たり、カメラの望遠レンズでシャッターを切ったりしている。湾を見下ろせる場所から追い込み漁の様子を撮影し、インターネットで発信して世界にアピールしている。
その様子を監視するのは、湾の前に設置された臨時交番に常駐する警察官だ。追い込み漁期間中は24時間態勢をとり、さらに海上保安部の船が「もしものとき」のために待機している。
この日の漁で捕獲されたイルカは約500頭。入り江ではイルカを選別する仕分け作業が行われ、子供などの小さいイルカは放し、親子と判別できれば親とともに海に帰す。そうして約400頭を逃し、残りは水族館に運ばれたり、食用として処理されたりした。仕分け作業には全国の水族館の関係者らも立ち会っていた。
「法令に基づき適切に実施している」
ケネディ駐日米大使のツイッター発言があったのは、こうした漁の矢先だった。
すかさず菅官房長官が20日の記者会見で、「イルカ漁はわが国の伝統的な漁業で、法令に基づき適切に実施されている。米側に日本の立場を説明していく」と言及。翌21日には、仁坂知事が「米国は国として捕鯨に反対している。外交官として反対と言わざるを得ないのだろう」とした上で、「われわれは牛や豚などの命を奪って生きている。食肉処理場には目をつぶって、イルカや鯨を殺しているところだけ残虐というのは論理的ではない」と反論した。
さらに、「日本人は数少ない資源を大事にしてきたという自負がある。乱獲で資源がなくなるような捕り方はしておらず、自然の恵みに感謝する文化をずっと続けている。そういった全体をよく理解してもらいたい」と強調した。
また太地漁協の組合幹部も「昔から続けてきた生業を非難されることは納得がいかない。できれば太地に来て、細々と漁を続けている現状と実際のやり方などを見ていただきたい」と話した。
「400年の歴史」と食文化
江戸時代から約400年の歴史をもつ国内古式捕鯨の発祥地である太地町は、人口約3400人。「くじらの町」として知られる。
太地漁協によると、追い込み漁は毎年9月1日に解禁される。組合員約400人のうち、追い込み漁を生業とする「いさな組合」の漁師は24人。泳ぐ鯨類を船から銛で狙う「突きん棒漁」の組合員は約30人で、残りの漁師たちは定置網漁や1本
太地では古くから「肉といえばクジラ」だった。平地や川のない町にとって貴重な栄養源で、生活の糧でもある。「小さい頃から、すき焼きといえばイルカやクジラ」ともいわれ、店頭にはクジラやイルカの肉や加工食品が並ぶ。クジラ料理は飲食店で食べることが多く、イルカ肉はどちらかというと刺し身やすき焼きとして家庭で食べられているという。
1本の映画で静かな漁村が一変
平和だった漁村を揺るがすきっかけになったのが、同町のイルカ漁を批判した米映画「ザ・コーヴ(入り江)」だった。漁師たちが入り江に追い込んだイルカの群れを鉄の棒で突き、海面が真っ赤に染まる場面などが映し出された。漁協の組合員を「ジャパニーズマフィア」と称するなど、町内では反発と戸惑いの声が広がった。
以降、町内には反捕鯨団体に属する外国人らの姿が目立つようになり、伝統漁法の「追い込み漁」が始まるとさらに、重苦しく緊迫した空気に包まれた。
映画がアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞すると、町役場には国内外のメディアが殺到した。インタビューの一部を切り取って報道したりするなどし、町関係者からは「真意が伝わらないといったじくじたる思いがあった」との声ももれた。
漁協関係者らによると、SSが常駐するようになったのも映画公開以降だという。常駐するのは大半が団体の支援者で、常に10~20人が入り江付近で監視活動をしている。以前は執拗にビデオで撮影したり、漁師に暴言を吐いたりするなどの嫌がらせ行為が多発したが現在、トラブルの発生は聞いていないという。
ただし、映画は町のイメージを国際的に悪化させ、ネット上の中傷は今も続く。ある町関係者は「以前は漁を妨害するなどの行為が多かったが、今はネットの中傷で世界中から同情を集め、寄付金を募っているようだ」と話した。
慰霊碑でイルカに感謝する漁師たち
イルカを含む小型鯨類漁に関しては、東日本大震災前には岩手県で盛んだったほか、沖縄県や千葉県でも行われている。太地の追い込み漁は、沖合で捕獲する突きん棒漁と違い、陸地から捕獲現場を見ることができ、「入り江が血で染まるなど残忍さを訴えやすいことから反捕鯨団体のターゲットになったのでは」という声もある。
太地漁協によれば、伝統ある追い込み漁も時代の流れとともに、処理方法を変えるなど、太地の漁師たちは自主的なやり方を確立し、国の捕獲許可数よりさらに厳しく捕獲数を限定しているという。
また、漁期が終わる4月には、鯨やイルカの供養を慰霊碑がある高台の公園で行っている。命をいただいて、自分たちは生かされている-。漁師たちは、感謝の気持ちをもって慰霊祭に臨んでいる。
三軒一高(さんげん・かずたか)町長は「町として追い込み網漁業を守り続けていくという強い思いがある」と力を込めた。捕鯨をめぐるデリケートな問題を抱えながらも、追い込み漁は太地の文化であるとともに、誇りでもある。イルカ類の追い込み漁は2月まで続く。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140127/wlf14012707010001-n1.htm
シー・シェパードが妨害宣言 和歌山・太地町に送り込んでくる活動家はリピーターより初参加組
2013.12.14 21:37 (1/2ページ)
2013年2月、南極海で調査母船「日新丸」に体当たりするSS妨害船(日本鯨類研究所提供)
米国やオーストラリアを拠点にする反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)が、日本の南極海調査捕鯨を阻止するため、今月16日に妨害船を出港させると発表した。和歌山県太地町に活動家を常駐させるSSはイルカ漁漁師らへの悪質な嫌がらせも続け、“日本バッシング”を通して寄付を募る。著名人も支援者につけて世界中で勢力を拡大している。
調査捕鯨船団は、今月7日に山口県の下関港を出港した。来年3月までに南極海でクロミンククジラ935頭を捕獲し、生態を調べる。
国際指名手配中のSS創始者、ポール・ワトソン容疑者(63)は13日、米国のTV番組に出演し、「闘いに勝つ」と対決姿勢を鮮明にした。24カ国出身の約100人の活動家らを乗せた3隻が、オーストラリア南部のメルボルン港などら南極海に向かう。
ワトソン容疑者は昨年5月、SSが過去に起こした南米コスタリカのサメ漁妨害事件でドイツ当局に拘束された。同7月にドイツから逃亡して昨季の反捕鯨キャンペーンにも参加、今年11月にはSSの米国本部のあるシアトルに姿を現した。日本側が妨害禁止を求めて提訴した裁判で、被告側証人として出廷するためだ。
SSの動向に詳しい関係者は、こうした自由な移動について「ワトソンは団体のカリスマ。法にふれてでも、彼を支える支援者が世界中にいることを示す証拠だ」と指摘する。
支援者には米ロックバンド「エアロスミス」のメンバーなど著名人も目立つ。ワトソン容疑者が米国に上陸した際には、名門ケネディ家の一員であるロバート・ケネディ・ジュニア弁護士が出迎えた。米国で拘束されない理由も、SSを支えるロビーが背後で動いている可能性がある。
一方、3年前よりイルカ漁の漁期に活動家を常駐させている太地町の妨害活動は今年、SSの呼びかけに応じて欧米などから来る初参加組が増え、“リピーター”が減っているという。
和歌山県警や海上保安庁が法務省入国管理局と情報交換して過激活動家の入国を未然に防いでいるためで、SSは戦略的に来日経験のない人物を送り込んでいる可能性がある。
活動家は高性能デジタル機器を持参し、太地町から漁の様子をネットで生中継。臨場感あふれる映像が、支援者を増やすきっかけになっている。
(佐々木正明)