中国人民解放軍の王冠中・副総参謀長は、「将来は、言葉でなく行動で決まる」と皮肉った。
G7、中国名指し非難へ 首脳宣言 海洋進出、自制促す
2014.6.2 07:10 (1/2ページ)[中国]
ベルギー・ブリュッセルで4、5両日に開かれる先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)で採択される首脳宣言に、東シナ海や南シナ海で強引な進出を繰り返す中国を名指しして非難し、自制を迫る文言が盛り込まれる方向で調整されていることが1日、分かった。自由と価値観を共有するG7が結束し、対中包囲網を敷くことになる。日本政府関係者が明らかにした。 ◇
G7にロシアを加えた1998年以降の主要国(G8)時代を含めて首脳宣言で中国の国名を明示し、海洋進出の動きを批判するのは初めて。17年ぶりにG7で開催する今回のサミットは、対ウクライナ支援とロシアへの対応が焦点となるが、日米が主導する対中圧力が「もう一つの重要なテーマ」(政府関係者)に浮上した。
政府関係者によると、安倍晋三首相はサミットの政治討議の場で、「海における法の支配」の順守を訴える。その上で、中国が東シナ海上空で自衛隊機に異常接近するなど尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で挑発行為を繰り返したり、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島周辺で一方的に石油掘削を始めたりしていることを指摘し、批判する意向だという。
これに5月28日の外交政策演説で「経済的な台頭と軍事的な進出が近隣諸国の懸念になっている」と中国を指弾したオバマ米大統領も賛同し、最終的にG7の総意として首脳宣言に対中非難の姿勢を強く打ち出す方向となった。宣言に盛り込む具体的な文言はサミットで協議する。
G7は首脳宣言で、ウクライナ問題に関して3月にウクライナ南部クリミア半島を併合したロシアを「国際法違反」として改めて批判し、ロシアに返還を求める方針で一致している。このため、同様に「力による現状変更の試み」を海洋で繰り広げる中国に対する非難を宣言に明記することが不可欠との判断に傾いたとみられる。
安倍首相は、ロシアのクリミア併合を受け、3月下旬にオランダ・ハーグで開かれたG7緊急首脳会議でも、中国を名指しして「東シナ海でも南シナ海でも力を背景にした現状変更の試み、挑発が行われている」と批判したが、成果文書のハーグ宣言には盛り込まれなかった。http://sankei.jp.msn.com/world/news/140602/chn14060207100002-n1.htm
中国の石油掘削施設、また移動 中国船の体当たり続く
2014.6.1 23:38 [アジア・オセアニア]
ベトナムのインターネット新聞ザンチによると、南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島近くに設置されている中国の石油掘削施設が1日、従来の位置から北西に約140メートル移動した。ベトナム漁業監視部隊は、掘削施設の位置は不安定だと発表した。
中国は5月初めに設置した掘削施設を同月27日、当初の場所から東北東に約43キロの場所に移動し「第2段階」の作業を始めた。さらに場所を変える可能性もある。
漁業監視部隊によると、中国は1日も軍艦4隻、海警局の船38~40隻など計約120隻を現場海域に展開、ベトナム船への放水などを続けた。
国営ベトナム・テレビは、中国船が1日ベトナムの沿岸警備隊の船に体当たりし、船体に小さな穴が開くなどの損傷があったと報じた。(共同)
「有言実行」カギ、日本に期待と不安 アジア安保会議
2014.6.1 19:05 (1/2ページ)[アジア・オセアニア]
アジア安全保障会議で講演する安倍首相=5月30日、シンガポール(共同)
【シンガポール=吉村英輝】アジア安全保障会議が1日、閉幕した。東シナ海や南シナ海で緊張が高まる中、安倍晋三首相は基調講演で「積極的平和主義」を訴え、地域の海洋安全保障に貢献していくと約束した。ただ、日本が具体的にどう関与していくかは不透明で、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の間では、日本の実行力をめぐって期待や不安が入り交じっているようだ。
シンガポールの英字紙サンデー・タイムズは1日、安倍首相が講演でASEANとの安全保障関係の強化を訴えたことについて、「中国は懸念しない」と分析する記事を掲載した。中国とASEANの関係は強固で、インドネシアなど一部の加盟国以外は安倍氏の演説を表だって歓迎していない-という指摘だ。
南シナ海の石油掘削で中国と対立が続くベトナムの国営メディアは、首相の演説を「日本がベトナム支持」と大きく報じた。だが、ASEAN加盟国で南シナ海の領有権を表だって中国と争っているのはベトナムとフィリピンだけ。加盟国の多くは、「経済的な結びつきが強く、軍事的覇権を拡大する中国とは波風を立てたくない」(外交筋)のが本音だ。
米国のヘーゲル国防長官は、中国の力による一方的な現状変更を「見て見ぬふりはしない」と述べた。しかし、会議では「オバマ大統領が言う軍事費削減方針と整合性が取れていない」と不信の声も上がった。
東南アジア研究所(シンガポール)のマルコム・クック上級研究員は、安倍首相の演説に説得力があったとし、「集団的自衛権の行使容認を含めた防衛政策の見直しに沿って、貢献拡大を明示した」と評価する。
しかし、安倍首相は講演で、すでに表明しているインドネシア、フィリピン、ベトナムの海上保安当局への巡視船提供などに触れるにとどまり、新たな具体的支援には言及していない。
中国人民解放軍の王冠中・副総参謀長は、会議での日本や米国の発言を、「将来は、言葉でなく行動で決まる」と皮肉った。「有言実行」が求められている。