習政権による取り締まり強化で、漢族と良好な関係を保ってきたウイグル族が多く拘束された。
2014.5.22 17:43
ウルムチ、テロの死者31人 習主席、徹底封じ込め指示 中国新疆
中国の新疆ウイグル自治区ウルムチ市内の朝市で爆発事件が発生、31人が死亡。ウルムチでは4月にも爆発が起きており、習近平政権に大きな打撃となった。
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/140522/wor14052217430032-n1.html
中国北西部の新疆ウイグル自治区ウルムチ市内の朝市で22日起きた爆発事件で、31人が死亡し、94人が負傷した。国営通信、新華社が伝えた。公安省は「重大なテロ事件」と断定、同自治区内で起きたテロとしては最大規模の惨事となった。ウルムチ市内には厳戒態勢が敷かれ、習近平国家主席は直ちに「強圧的」な封じ込めを関係部門に指示した。
習主席は4月下旬、同自治区を視察し、テロ対策の徹底を指示したばかり。再びテロが発生したことは、習指導部に大きな打撃となった。
同自治区ではウイグル族による分離独立運動がくすぶっており、過激な独立派による犯行の可能性がある。朝市に突っ込んだ車両は、独立派組織が使うものと似た黒色の旗を掲げていたとの情報もある。
香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは、死傷者数は300人と伝えており、被害者数が増える可能性もある。(共同)
014.5.23 09:00
ウルムチ爆発 破綻した習政権の少数民族政策 穏健派まで逮捕
【北京=矢板明夫】中国のウルムチで22日に発生した爆発事件は、習近平政権が主導する高圧的な少数民族政策が破綻したことを強く印象づける。
雲南省昆明市の駅前で3月、173人が死傷したウイグル族の犯行とされる殺傷事件の際、習主席は「事件の解決に全力を挙げ、暴徒を厳しく処罰せよ」と公安当局に再発防止を指示、多くのウイグル族が逮捕された。
しかし、4月に習主席自身の訪問先であるウルムチで爆発事件が起き、メンツは丸つぶれとなった。「テロリストを徹底的に叩け」と習主席が治安当局に出した当時の指示からその焦燥感が読み取れる。
4月の爆発事件では、容疑者の妻や弟など家族が拘束された。しかし、そのわずか3週間後、同じウルムチで再び爆発事件が発生。高圧的な手段が抑止につながらないと示された形だ。
毎月のように発生する事件について、中国当局は「国外組織と結託した分裂勢力によるテロ」と説明している。しかし、ウイグル独立の動きは数十年前から存在しており、習政権が発足するまで、これほど頻繁に事件は起きなかった。独立機運よりも、現政権の少数民族と宗教政策が事件を誘発する可能性が大きいとみられる。
ウイグル族を支援する北京の人権活動家によれば、習政権による取り締まり強化で、漢族と良好な関係を保ってきたウイグル族が多く拘束された。当局の間にパイプ役がいなくなり、ウイグル族の間で当局への不信感と不満が高まったことが背景にあるという。
例えば今年1月に当局に拘束された中央民族大学の学者、イリハム・トフティ氏はウイグルの独立を主張しない穏健派で、胡錦濤時代までは政権に対し、少数民族政策で助言したこともあったという。しかし、ウイグル族への同情的な言動で習政権の逆鱗(げきりん)に触れ、国家分裂容疑で拘束された。
先の活動家は、「トフティ氏までが逮捕され、ほぼウイグル族全員を当局の敵に回した形だ。ウイグル族の間で絶望感が広がったことが一連の事件につながったのでは」と分析している。http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/140523/wor14052309000003-n1.html