欧州訪問中の安倍首相が、NATOの北大西洋理事会で演説
安倍首相、中国を名指しで批判
ざっくり言うと
欧州訪問中の安倍首相が、NATOの北大西洋理事会で演説をした
中国に対して、名指しで「対外姿勢、軍事動向は国際社会の懸念事項だ」と指摘
中国の軍拡をめぐっては「内訳が明らかにされずに不透明だ」と批判した
産経新聞
2014年05月07日01時09分
首相、中国を名指し批判 NATO演説、安保法制見直し理解訴え
【ブリュッセル=桑原雄尚】欧州6カ国を歴訪中の安倍晋三首相は6日午後(日本時間同日夜)、最後の訪問国であるベルギーのブリュッセルに到着。
北大西洋条約機構(NATO)本部を訪れ、NATOの主要意思決定機関である北大西洋理事会で演説した。首相は「世界の平和のため、これまで以上に積極的な役割を果たす意思と能力がある」として、集団的自衛権など安全保障法制の見直しに取り組む日本の姿勢に理解を求めた。
首相は安保法制見直しをめぐり、現行の憲法解釈の問題点を具体例を挙げて説明。こうした点について政府の有識者懇談会で議論していると紹介し、「今後、世界の平和と安定のため日本はどのような貢献をすべきか、そのためにどのような法整備をすべきか、政府方針をまとめたい」と明言した。
首相は自身が掲げる「積極的平和主義」について「揺るぎない平和国家としての歩みを礎に、これまで以上に世界の平和と繁栄に強くコミットする」と説明。その上で、基本的価値観を共有するNATOは「必然のパートナー」だとして、関係を強化する考えを示した。
また、アジア太平洋地域の安保環境は「一層厳しさを増している」と強調。北朝鮮の核・ミサイル開発を「国際社会全体にとって重大な問題だ」と非難するとともに、中国に対しても、名指しで「対外姿勢、軍事動向は国際社会の懸念事項だ」と指摘した。
中国の軍拡をめぐっては「内訳が明らかにされずに不透明だ」と批判。地域の不安定化を防ぐため、武器の厳格な輸出管理や海・空の連絡メカニズムの早期運用開始を呼びかけた。
このほか、ウクライナ情勢について「力による現状変更は許してはならない。アジアにも影響を与えるグローバルな問題だ」と指摘。「全ての当事者が最大限の自制を発揮し、責任ある行動を取ることを強く求める」と述べた。
首相は演説に先立ち、ラスムセン事務総長と会談した後、サイバー防衛や人道支援など日本とNATOが重点的に協力する分野をまとめた「国別パートナーシップ協力計画(IPCP)」に署名。首相は演説で、ソマリア沖アデン湾での自衛隊の海賊対処活動に関連し、IPCPに基づきNATOと共同訓練を実施する方針を明らかにした。
首相は、理事会後の共同記者会見で、安保法制の見直しについて「(理事会メンバーに)われわれが何を検討していくかということに理解もいただき、方向性に賛同してくれた方もいた」と強調。ラスムセン事務総長は「日本がこのようなステップを取ることを歓迎したい」と述べた。
日本の首相がNATO理事会で演説するのは2007年の安倍首相(第1次内閣)以来となる。