日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信
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2014年4月25日 オバマが仕込んだ"三重の仕掛け"?!
■■-【無料】「奥山真司のアメリカ通信」LIVE in ニコニコ超会議-■■
管理人です。
▼2014年04月27日(日)15:00~
「奥山真司のアメリカ通信」LIVE ニコニコ超会議Ver.
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おくやまです。
オバマ大統領が国賓として来日しましたね。
日本のメディアでも彼の意外(?)に親日寄りな態度の表明
(尖閣は日米安保の対象であるとの明言など)に、
大きな注目が集まっております。
とは言え、このような限定的な事柄にフォーカスしてしまうと、
アメリカが意図している"本当のところ"を
見誤ってしまうことにもなりかねませんので、
より「地政学」的に、この状況を見てみましょう。
まず重要なのは、今回の来日の数日前に
以下のような報道がなされたことでしょうか。
ある記事の一部を要約してみました。
===
▼In Cold War Echo, Obama Strategy Writes Off Putin
- NYTimes.com (http://goo.gl/4DHVvq)
冷戦時代と同じように、オバマ戦略はプーチンを「帳消し」に
By ピーター・ベイカー
●第二次大戦後にソ連に対して行ったように、
オバマ大統領はプーチン大統領率いるロシアの外の世界との
経済・政治面でのつながりを断ち切ることによって孤立化をうながし、
周辺国への拡大の野望を制限して、
実質的に「のけ者」にすることに専念している。
●オバマ大統領の結論は、
「現在のクリミアとウクライナ東部における
にらみ合い状態の解決策が出てきたとしても、
今後はもうプーチン氏とは建設的な関係はつくらない」
というものであるという。
●結果として、オバマ大統領は残りの任期を
プーチン氏が及ぼしてくる害を最少化することに専念するだろうし、
ロシアとの最低限の協力関係は維持しつつも、
それ以外の分野では無視することになるだろう。
●実質的に、オバマ大統領はモスクワに対して
ジョージ・ケナンが1947年に最初に提唱した政策の
改良版を行っていることになる。
●オバマ政権の狙いは、
ロシアに対する国際的な非難の姿勢をまとめることであり、
これには長年安保理でロシアの味方であった、
中国をも含むことになるのだ。
===
仮に、この記事の論に従うとすると、
アメリカのオバマ大統領は、
プーチン大統領率いるロシアに対して、
いわゆる「封じ込め」(containment)を行うことを決断した、
ということになります。
ここで重要なのは、今回の「封じ込め」は、
1947年から1989年まで続いた冷戦時代のような
「古い」タイプのものではなく、
あくまでも21世紀型の「新しい」ものであるということ。
この件に関連して、面白いことを言った人がおります。
ユーラシア・グループ代表で、
最近は日本の新聞でも定期的に意見を発表している、
あのイアン・ブレマー氏です。
彼は21日付の日経新聞のインタビューで以下のように書いております。
===
グローバル・オピニオン「新たな冷戦」は起きない
(http://goo.gl/eJNUZL)
●ロシアの最大の問題は、中国が信頼できる反西側同盟国になりたがらないことだ。
中国がこの対立で一方の側を支持しても、得られるものはほとんどない。
●中国はロシアからエネルギーの輸入を増やしたいと考えているものの、
モスクワに接近して最大の貿易相手(EUと米国)と敵対しようとは考えない。
●実際、中国はウクライナ危機での(そしておそらく唯一の)勝者だ。
欧州がロシアのエネルギー依存度を低下させようとするなか、
中国はすべての国と実務的な関係を維持し、優位な立場で価格交渉できる。
●米国が東アジアより東欧に注目することも中国にとって有利だ。
中国は、ウクライナの分裂につながるような行為にたいして慎重に行動するだろう。
●中国はチベット自治区や新疆ウイグル自治区のような
不安定な地域で同様の自治要求を引き起こすいかなる前例にも反対しているからだ。
===
どうでしょうか。
こうなると、今回のオバマ大統領の「親日的」、
裏を返せば「反中的」な態度というのは、
実は「中国がロシアと一緒に組んでも何もできない」
ということをことを見越した上での行動ということになります。
米国としては、あえて余裕を持った形で
「反中」的な態度をとっている、とも言えます。
オバマ政権としては、TPPの締結を急ぎたいという思惑もあるので、日本側を急かすために、あえて「サービス」として、
安全保障面の立場を明確にしてやった、
という側面も当然あります。
少し穿った見方ですが、こうしてみると、
今回のオバマ大統領の親日的な態度というのは、
「アメリカが覇権状態を維持するために、
ロシアを抑え、中国も抑える」という
<二重の封じ込め>(しかも、日本も含めれば三重!?)
を仕掛けている。と見ることも可能なわけです。
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アメリカ政府内の高官たちが、本当にこのような意図の元で
政策を遂行しているのかどうか?というのは、当人のみぞ知る
と言ってしまえばそれまでですが・・・(苦笑)。
それでも、私達が知り得る範囲で、
外に現れてくる行動を「リアリズム」の視点から捉えてみると、
今回のアメリカの動きは、
日本に「良い顔」をするだけでなく、
ロシアを封じ込め、中国をも牽制するという、
二重・三重の仕掛けが"仕込まれている"と
シビアに捉えるおくのが妥当と言えます。
圧倒的な"G1"とまでは言えないものの
依然としてアメリカは(地域)覇権国です。
そして覇権国は、他の場所に別の覇権国が出現するのを嫌います。
今後もアメリカは、ロシアを抑え、中国を牽制し、
そして日本もEU(ドイツ)もおとなしくさせておく・・・
多くの人が、オバマ政権は「リベラル」である
と当然思っているわけですが、
たとえ「リベラル」派であっても、
自国の「国益」のためにはとるべき行動を当然取る、
ということが、今回の来日でも垣間見えました。
私達は「リアリズム」が支配する
過酷な国際社会の中で生きているのです。
( おくやま )
戦後、封印された学問となっていた地政学ですが、
日本に軍事学部がない以上、防衛大にでも行かないと
なかなか学ぶ事ができません。
といいますか、防衛大でもそれほど専門的に
教える講座はないと聞いています。
そこで、日本人がより戦略的思考を持つためにと
2013年4月よりCD教材で10回に渡る地政学講座を開設しました。
「日本で地政学を本格的に学ぶ教材はこれしかない」
というものです。
今回、「地政学講座の第10回、未来の地政学だけ」を
特別に販売することに決めました。
なぜ、第10回だけか?
それは、第10回のテーマが「未来の地政学」だからです。
▼「奥山真司の地政学講座」:未来の地政学
http://www.realist.jp/geopolitics10.html
(編集後記)
管理人です。
冒頭でもお知らせしました通り、
▼2014年04月27日(日)15:00~
「奥山真司のアメリカ通信」LIVE ニコニコ超会議Ver.
http://live.nicovideo.jp/watch/lv176154708
よろしくお願い致します。
前回の生放送同様、今回もおくやまさんの快活な!?トーク(笑)と
和田さんの毒舌!?(笑)をご堪能頂けるはずですので?
乞うご期待下さい!
※ここだけのお話ですが、これから当日のMeetingです。(笑)
オフレコです。お二人には管理人がここでこんなことを暴露したことは内緒です。
さて、このところ、いろいろトピックがたくさんありすぎて、
「アメ通」読者の皆様にもシェアしたいお話がたくさんあります・・・。
今回のおくやまさんのお話にも登場した、
イアン・ブレマーさんの日経の記事なども面白かったのですが、
ここでは紹介し切れないので、Facebookのほうで・・・
もしかしたら、後ほど・・・少しお話できるかもしれません・・・
ので、もしよろしければ↓
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https://www.facebook.com/realist.jp
それはともかくですが、
▼2014年04月27日(日)15:00~
「奥山真司のアメリカ通信」LIVE ニコニコ超会議Ver.
http://live.nicovideo.jp/watch/lv176154708
よろしくお願い致します。
( 管理人 )
私達日本人は往々にして、例えば、歴史認識などの問題になると、
「後生の歴史家に判断をゆだねる」ですとか、
「学者の共同の研究会を立ち上げる」という話になったりします。
が、まったく、無駄です。調査など二の次なのです。
そもそも、「歴史の真実」という単語は
日本人の考えるそれと同じではありません。
歴史は政治の「道具」として使う概念なのです。
「真実」を語りあって解決する気がないという厄介な相手です。
お人好しとも言える我々日本人は、
この認識が決定的に欠けていたので、
これまでずっと負けて続けてきました。
本当はそんなことはないのに、
あたかも"それがあったかの如く"世界は動いています。
このような問題は、歴史家、学者に任せても解決しません。
政治家が腹を決め、「政治」主導で戦うしかないのです。
これから、そのポイントを3つ、お話したいと思います。
1:今や世界はプロパガンダ(宣伝戦争)だと理解する。
2:「真実(戦術)」より、「ウソ(戦略)」によって新しい現実を創っている。
3:"セルフプロパガンダ"を自らに仕掛けて現状を打開する。
▼プロパカンダ&セルフプロパカンダ
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