中韓「反日共闘」という砂上の楼閣 中国に利用される韓国(1/2) | 日本のお姉さん

中韓「反日共闘」という砂上の楼閣 中国に利用される韓国(1/2)

~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~
石平(せきへい)のチャイナウォッチ http://www.seki-hei.com
■ 中韓「反日共闘」という砂上の楼閣 中国に利用される韓国(1/2)
去る3月下旬に核安全保障サミットが開かれたオランダのハーグで、東アジアの外交問題をテーマとした二つの首脳会談が開かれた。
一つは現地時間23日夜に行われた中韓首脳会談であり、もう一つは、同じく現地時間25日夜に開催された日米韓首脳会談である。
二つの会談のそれぞれの参加国である日本、中国、韓国は言うまでもなく東アジアの主要国だ。
もちろん、アメリカも東アジアの国際政治に深く関わっている。
そして後述するように、日米韓首脳会談の中心課題はすなわち北朝鮮問題であるから、北朝鮮も実は、この一連の会談の陰の主役であるとも言えよう。
要するに、アジアから遠く離れたオランダ・ハーグを舞台にして、「オール東アジア」の外交が大きく動いたわけである。
▼「歴史問題」の一点張り 韓国の対日外交
して、異なる組み合わせで行われたこの二つの会談の中身を注意深く吟味すると、現在の東アジア外交において、二つの外交志向あるいは外交路線が対立していることがよく分かる。
それはすなわち、中国・韓国の行う、日本をターゲットとする「歴史問題固執のイデオロギー外交」と、米国が中心となって進める「危機対応のための現実外交」との対立である。
私のコラムでもかねてから指摘しているように、お隣の韓国は現在の朴槿恵大統領が就任して以来、ひたすら日本との歴史認識問題に固執してずいぶん歪な対日外交を進めてきた。
日韓が共通して直面している現実の問題が何であるか、韓国の国益は一体どこにあるのか、そういうこととは関係なく、とにかく「歴史問題」の一点張りで
日本に対する厳しい姿勢を貫くのが今の韓国外交の最大の特徴である。
それはどう考えても、現実を無視したイデオロギー外交以外の何ものでもないであろう。
そして一方の中国では、習近平政権成立以降、最初は一貫して「領土問題」という現実問題を軸に日本と対立を続けてきたが、アジア外交全体において日本の安倍政権が進める「中国包囲網外交」によって中国が孤立感を深める中で、
習政権はやがて日本を叩くための「歴史カード」を持ち出して反撃に打って出た。
つまり、安倍首相がアジア諸国に対し、「中国からの現実的脅威に対処して結束しよう」と呼びかけて「対中国包囲網」を構築しているのに対し、
習主席は「かつてアジア諸国を侵略したのはむしろ日本ではないか」という論理をかざして日本とアジア諸国の分断を図り、「対中国包囲網」を打ち破ろうとしているのである。
そういう意味では、中国の行う「歴史認識外交」は、反日イデオロギーに囚われすぎる韓国の場合とは違って、むしろ現実の外交戦略遂行のために「歴史」をカードとして利用しようとするものであるが、いずれにしても、歴史問題をもって日本を叩くというのは中韓両国の共通した外交路線となっており、中国にとっての韓国は、アジアにおける「対日共闘」の唯一のパートナーとなるのである。
▼中国に利用される韓国
こうした中で、いわば歴史問題をテーマにした「中韓対日共闘」が露骨に演出されたのがすなわち、3月23日にオランダのハーグで行われた中韓首脳会談である。
韓国大統領府が明らかにしたところでは、習近平国家主席と朴槿恵大統領の会談では、日本の初代総理大臣の伊藤博文を暗殺した安重根の記念館のことが大きな話題の一つとなったという。
まず習主席は「私が記念館建設を指示した。両国国民の(安重根への)思いを強め、(中韓の)重要な結び付きとなる」と切り出すと、朴大統領が「両国国民から尊敬される安重根義士をしのぶ記念館は、友好協力の象徴になる」と応じた。
さらに習氏は、日本統治に抵抗した朝鮮人部隊「光復軍」を記念する石碑が近く、部隊の拠点があった中国・西安に完成すると説明した。
朴氏は「意義深く思う」と述べたという。
このように、紛れもなく中国の習主席の主導下において、両国首脳は歴史上の暗殺者の安重根や幻の「朝鮮人光復軍」をもち出して、いわば歴史問題を材料にした「中韓反日共闘」の外交路線を鮮明にしている。
その背後には当然、韓国を引きつけて日米韓の参加国連携にくさびを打ち込みながら、東アジア外交において優位に立とうとする中国の思惑があるのであろう。
しかしそれにしても、21世紀になった今日の中韓両国の首脳会談で、百年以上も前の一暗殺者のことが話題になるのは異様であろう。
そのことは逆に、彼らが構築しようとする「反日共闘」というものは、まったく現実の根拠に乏しいものであることを如実に示している。
現実の根拠がないからこそ、両国を「反日」に結びつける唯一の連結点はすなわち「歴史」なのである。
実際、たとえば韓国の視点に立って冷静に考えてみれば、本来彼らは中国と連携して日本と対立しなければならないような理由は何一つないし、「反日」によって達成できる中韓両国の共通した国益があるわけでもない。
冷徹な国際政治の力学からすれば、韓国は、反日イデオロギーを振りかざして
日本の対中国包囲網外交を打ち破ろうとする中国の思惑に単に利用され翻弄されているように見えるのである。
( つづく )

◎石平(せきへい)のチャイナウォッチ
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