<クリミア編入>露、海軍2基地制圧 ウクライナ兵明け渡し
<クリミア編入>露、海軍2基地制圧 ウクライナ兵明け渡し
毎日新聞 3月19日(水)21時59分配信
【セバストポリ田中洋之、ブリュッセル斎藤義彦、ワシントン及川正也】ロシアが編入宣言したウクライナのクリミア半島で、親露派の自衛部隊が19日、ウクライナの黒海海軍基地を相次いで制圧した。ロシア側は、クリミア半島に残留する1万5000人規模のウクライナ軍を排除することで編入を既成事実化する作業を始めた。
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クリミア半島南部の特別市セバストポリにあるウクライナ海軍基地に親露派の自衛部隊ら約200人が乱入し、司令部を占拠。その後、ロシア黒海艦隊のビトコ司令官がウクライナ海軍のガイドゥク司令官と交渉し、明け渡しで合意した。ウクライナ兵は退去し、司令部にロシア国旗が掲げられた。さらにロシアはクリミア西部のノボオゼルネ海軍基地も制圧した。
ウクライナ新政権は19日、「ウクライナ軍はあくまでクリミア半島にとどまる」と述べ、徹底抗戦を訴えた。一方、地元メディアによると、クリミア自治共和国のアクショーノフ首相は、半島にいるウクライナ兵士に対し、クリミアの人々に忠誠を誓うか、武器を置いて出て行くかの選択を要求した。このままロシア側がウクライナ軍の武装解除や基地制圧を続ければ、偶発的な衝突も起こる可能性がある。
ロシア憲法裁判所は19日、ロシア連邦入りに関するクリミア側との「条約」を合憲と判断。ロシア軍は19日、ロシア北西部で戦闘機が参加する演習を始めた。また、米軍も同日、ミサイル駆逐艦が参加する軍事訓練を黒海で開始。軍事的緊張は一層強まっている。
バイデン米副大統領は19日、ロシアが軍事圧力を強めていることについて、「昔のルール」は通用せず「なりふりかまわぬ侵攻には対価がつく」と強く批判した。また、東欧のリトアニアとラトビアに対し、有事の際に集団的に防衛する北大西洋条約機構(NATO)の義務を果たすことを確約した。英国のキャメロン首相も同日、ロシアが事態を悪化させるなら、主要8カ国(G8)から永久追放する是非を先進7カ国(G7)首脳会議で論じるべきだと述べた。
欧州連合(EU)は19日、軍事支援の停止や武器禁輸、大規模投資の中止などを視野に具体策を協議。20日からの首脳会議で決定する方針だ。