プーチン大統領 なぜ編入に踏み切った?
プーチン大統領 なぜ編入に踏み切った?
日本テレビ系(NNN) 3月19日(水)0時26分配信
西側諸国が制裁を強めるとしている中で、なぜ、プーチン大統領は編入に踏み切ったのだろうか?ロシア・モスクワから山内康次記者がリポート。
プーチン大統領が「編入」という政治決断をした背景には、クリミアに対するロシア国民の感情とプーチン大統領の支持率という2つの要素があったとみられる。クリミアは旧ソ連時代、ロシアに属していたが、1954年にウクライナに移管されたことから、ロシア国民には領土を返して欲しいという感情があった。
これに加え、支持率という側面もある。ロシア政府系の調査機関が行ったプーチン大統領の支持率だが、2月中旬には61.9%だったが、今月6日の発表では、67.8%に上昇した(全ロシア世論調査センター調べ)。クリミアを事実上掌握し「強い指導者」を示したことが寄与したとみられ、もし、クリミアからの編入の求めを拒否すると支持率が急落する可能性もあった。
プーチン大統領は、クリミアの編入によって欧米からの追加制裁を受け、国際社会から孤立するデメリットよりも、黒海艦隊の拠点の維持という実をとると同時に政権の国内基盤強化を図るというメリットの方が大きいと判断したとみられる。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20140319-00000002-nnn-int
クリミア半島でウクライナ兵1人死亡、ロシア実効支配後初の死者
ロイター 3月19日(水)1時30分配信
3月18日、クリミアに駐屯しているウクライナ軍が、ロシア軍による攻撃を受け、兵士1人が負傷した。写真はロシア軍兵士とみられる武装した男性。シンフェロポリ近郊のウクライナ軍基地前で14日撮影(2014年 ロイター/
Vasily Fedosenko)
[キエフ 18日 ロイター] -ウクライナ南部クリミア自治共和国で18日、首都シンフェロポリにあるウクライナ軍基地が何者かによる襲撃を受け、兵士1人が死亡した。ロシアが3週間前にクリミア半島を実効支配して以来、同地域で軍事衝突による初の死者が出た。
アングル:ロシアが狙う「クリミアの次」、侵攻懸念なお消えず
ウクライナ軍報道官ウラジスラフ・セレズノフ氏はロイターに対し、兵士1人が死亡、司令官が負傷したと述べた。
誰による攻撃かは不明しており、相手は完全装備で、顔を覆っていたと説明している。
兵士死亡のニュースを受け、ウクライナのヤツェニュク暫定首相は、ロシア軍により「政治的対立から軍事的対立」へと状況が変化したとの認識を示した。
首相は国防省での会議で「ロシア軍はウクライナ兵士を銃撃し始めた。これは時効のない戦争犯罪だ」と断じた。
また一段の対立を回避するため、国防相に対し、英、米、ロシアの国防相と緊急会議を開催するよう指示したことも明らかにした。ウクライナと英米ロの3カ国は1994年、ウクライナの現存する国境を尊重するとしたブダペスト覚書に調印している。
一方、トゥルチノフ大統領代行の報道官は、クリミア半島に駐屯するウクライナ軍兵士に対し、自衛のための武器使用を認める指令を出したと明らかにした。これまでは攻撃に対する武器使用を回避するよう指示してきたが、兵士死亡のニュースを受けて方針を転換した。
*情報を追加しました。
<クリミア>ウクライナ駐屯地で銃撃…ロシア軍包囲
毎日新聞 3月19日(水)10時55分配信
【シンフェロポリ(ウクライナ南部)田中洋之、キエフ篠田航一、ブリュッセル斎藤義彦】ウクライナ南部クリミア半島のシンフェロポリにあるウクライナ軍駐屯地近くで18日、銃撃があり、同軍兵士と親ロシア派の自衛部隊員の計2人が死亡、双方で各1人が負傷した。地元通信社クリムインフォルムが伝えた。ロシア軍が2月下旬に半島を掌握してから銃撃で軍関係者に死者が出たのは初めて。
ロシアが編入を宣言したクリミアには、約1万5000人のウクライナ軍兵士が残り、ロシア軍が包囲している。小規模な衝突が紛争に発展する恐れもあり、北大西洋条約機構(NATO)は銃撃事件に「深い憂慮」を表明、欧米は危機感を強めている。
ウクライナのヤツェニュク首相はロシア軍による犯行との認識を示し、「ロシアとの紛争は政治から軍事的段階に入った。これは戦争犯罪だ」と述べた。ウクライナ国防省はクリミア展開中の兵士に自衛のための武器使用を許可した。
地元警察などによると、駐屯地近くに武装集団が潜んでいるとの情報を得た自衛部隊が検証していたところ何者かに銃撃され、続いて駐屯地内のウクライナ兵が銃撃を受けた。いずれも近くの工事中の建物から狙撃手が行ったとみられる。治安当局者は「情勢不安定化を狙った扇動の可能性がある」とした。
ロシアとウクライナの国防省は半島を掌握する露部隊が21日までの間、ウクライナ軍施設の封鎖を解除する「停戦合意」を結んでいる。ウクライナ側は「21日以降もクリミアにとどまる」(旧野党ウダルのクリチコ党首)と領土保全への意思を示し、緊張が続いている。
NATOのラスムセン事務総長はクリミア編入を決めたロシアが「危険な道を進んでいる」と非難、銃撃事件を巡り関係者に「自制」を求めた。ヘイグ英外相も18日、ウクライナ軍の自制を評価、軍事的な挑発と事態拡大の「危険がある」としてロシアへの武器禁輸など軍事協力停止を表明した。