日本は日本人が守ればいいとアメリカは思っているらしい
すべて自国の領土を広げることばかり考えているチュウゴクが悪いのに、日本を守る気も薄いアメリカ。だったら、日本が軍隊を持って自分の国を守ろうとして何が悪いのか。フィリピンだって、島々を奪われっぱなしじゃないか。
アメリカもEUも誰もアジアのことなど、考えていないと思うわ。
日本がしっかりしないと、誰がアジアの海を守れるかってんの。
日本もたいがい、しらんぷりしているけど、チュウゴクに尖閣諸島を奪いに来られているから、目が覚めて危機管理をしようとしているところなのに。
東京の都知事だって、その辺が分かってない人がなったとしたら、東京都民はアホばっかりということです。
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■ 『from 911/USAレポート』第658回
「アメリカは安倍政権に何を求めているのか?」
■ 冷泉彰彦:作家(米国ニュージャージー州在住)
■ 『from 911/USAレポート』 第658回
私は過去20年間、日米関係をずっと追い続けてきましたが、アメリカの現政権が日本の現政権に対して、ここまで明確な「不同意」を示しているというのは珍しいと思います。勿論、過去においてもコメ開放、牛肉オレンジ、繊維に始まって自動車に半導体と通商交渉では色々な問題がありました。
また主として普天間基地をめぐる沖縄の問題では、色々な迷走があり、日米の不協和があり、それ以上に「ワシントン=東京」の合意と沖縄の立場が対立するというのは、恒常化しており現在に至っています。また、軍事外交に関しては、例えばアフガン戦争やイラク戦争における「自衛隊の後方支援」に関しては、日本の世論の多数派とブッシュ政権の間には明確な不協和がありました。
ですが、今回のようにアメリカのオバマ政権が日本の安倍政権に対して、主として靖国参拝問題を巡って厳しい「ノー」を突きつけている、こうした事態は極めて異例です。
特に今週に入って、バイデン副大統領が韓国の朴大統領に「安倍首相には参拝を自制してもらう」という言質を与え、その旨を安倍政権に伝えていたにも関わらず12月には「参拝」という事態に至ったというニュースは、当初の否定が貫けないというオバマ政権側でも混乱が見られました。
また先週26日の日曜日には、CNNが安倍首相の単独インタビューを放映すると、28日の火曜日にはNYタイムスの経済欄の一面に「2014年のアジア経済のリスクは日中紛争である」という深刻なトーンの記事、更には社説での「日中への自制要求」と一般メディアを巻き込んでこの問題が拡大しています。これも、日米関係ではここ数年はなかったことです。
では、アメリカはこの「安倍政権」と「日中関係」に関してどのように考えている
のでしょうか?
例えば、28日の火曜日に行われたオバマ大統領の「年頭一般教書演説」では、この問題に関してはほとんど言及がありませんでした。例えば「アジア重視を継続する」
という表現はあるにはあったのですが、日本に関する言及はなかったですし、中国に対して牽制するような発言もありませんでした。
この「オバマの沈黙」にはどのような意味があるでしょうか?
勿論、この演説の主要なテーマが「内政」であったということがあります。二期目
をスタートして1年が経過した現時点で、株価も雇用統計も「改善が止まる」中で、経済に関しては先行きの不透明感が出てきている、その一方で、医療保険改革に伴うコンピュータシステムの不具合を契機に噴出してきた政権への不満は、依然として不支持が支持を大きく上回る「危険水域」に入っています。
このまま11月の中間選挙を迎えるようですと、下院の過半数奪還ができないばかりか、上院の過半数を奪われて「完全ねじれ議会」という状況に追い込まれる危険があるわけです。そんな中で、あくまでリベラル的な政策を「売り込む」ことしかできなかった、それが今回の「一般教書」でした。
では、「アジア重視」と一言だけ言いながら、その具体的な中身についてはほとんど言及がなかった、これはどうしてなのでしょうか? 確かにそこには「不自然さ」があります。この問題はどうにもわかりにくいのは事実です。
この問題を考える上で、例えば最新の状況下で、共和党系の人物はどんな思考をしているのでしょうか? 手がかりとして、その一つの例を上げてみることにします。
この1月に発刊された一冊の本が話題を呼んでいます。2006年にイラク政策の転換という使命を帯びてブッシュ政権の国防長官に就任し、2008年のオバマへの政権交代後もその職に留任して、2009年まで務めたロバート・ゲイツ氏といえば、 超党派的な姿勢、そして実務的な態度としてイラク戦争やアフガン戦争の「苦境」に向かい合った人物です。
そのゲイツ氏の回顧録『DUTY(任務・含む)』は、発刊前から大きな話題になっ
ていました。問題になったのはオバマ大統領への、特にイラク戦争やアフガン戦争への批判をしたとされる点です。
こうした点に関しては、発売前から(ある種の「本のパブリシティ」というニュア
ンスもありますが)アメリカの各メディアは「中間選挙を意識した、共和党側からのオバマへの強烈な一撃」であるなどと大騒ぎをしていました。この点に関しては、確かにゲイツ元長官はオバマ大統領の二つの戦争への姿勢には「最初に撤退ありき」という態度が明確過ぎたとして、かなり批判的な態度を取っています。「前線の兵士が危険を冒している以上は、この戦争遂行に関しては『勝つためにやっている』と明言する必要がある」というのがその理屈であり、オバマの姿勢はそうした軍の前線からは「認められない」というのです。
では、本全体が「オバマ批判の内部告発」であるかというと、決してそうではない
のです。ゲイツ氏としては、自分が国防長官として立ち会ったイラク戦争やアフガン戦争に関する政策決定について、ブッシュ、オバマ両大統領が下した判断にはゲイツ氏は全面的に賛同している。特に、増派と撤兵という大枠での方針に関しては、強硬に反対した上での告発というのではないのです。
では、そんなに「センセーショナルな内容ではない」にも関わらず、各ベストセラ
ーのリストではノンフィクション部門の1位を快走しているわけで、その秘密はというと「とにかく面白いから」ということに尽きます。もっと言えば、ある種のこのロバート・ゲイツという人のヒューマンな味わいと、政界や官界の「ポリティクス」を呆れながらつきあっているプロフェッショナル的な葛藤について、非常に明晰な筆致で書かれているなど、読み物としてよく出来ているということがあります。
前置きはこのくらいにして、問題はこの大冊の中に「日本」に関する言及はほとんど皆無だということです。ゲイツ長官は、少なくとも在任中に数多くの「日米2+2会議」に出ていますし、この間も現在ほどではなくても中国の動向や北朝鮮との動向で日本が関係するマターは数多くあったはずです。
では、ゲイツ氏はブッシュ政権の方針を受けて、相当に中国寄りであったかというと、そうではありません。例えば中国に関しては、軍の幹部が「ホンネの会話もできないし、シャレも通じない」ということを嘆いています。その筆致には不信感さえ感じられる調子でした。そう考えると、中国寄りだから日本に冷たかったということではないと思われます。
要するにゲイツ氏が国防長官としてペンタゴンを統率していた2006年から09
年において、軍事という観点からは「日本」とか「日中」という問題は「喫緊の課題」 ではなかったのです。それ以上でも以下でもないのだと思います。
この「DUTY」という大冊には一貫した大きなテーマがあります。それは、アメリ
カ合衆国の国防長官として、イラクとアフガンの戦争というのは、そしてブッシュ、オバマの両政権というのは「彼等、若者の生命を犠牲にしてでも遂行しなくてはいけないという、それだけの根拠を持っているのか? それだけの価値があると示せているのか?」という問いかけを続けるというテーマです。
その答えは「自分はその責任を果たしているのか?」という自問や自責にもなっており、それがこの本に奥行きを与えているわけです。そうした観点からすると、2006年から2009年、そして本書が刊行された2014年という現時点において「日本」あるいは「日中の問題」というのは、米国の若き兵士たちの生命を犠牲にしてでも達成しなくてはならない「問題」ではないということ、これに尽きると思います。
この点では、オバマの「年頭一般教書」で日本への言及がなかったというのも同じことです。米国は経済の長い低迷に苦しんでいます。そんな中で、民主党支持者は「何とかして政府の力で良い社会を」と願っていますし、共和党支持者は「こんな状況だからこそ政府がムダなカネを使わないように監視したい」というのが基本姿勢です。
そんな中、合衆国大統領が「自分は内政に関してこうした考えで政策を実施したい」という立場を説明するというのは、国の経済や社会にとっても、政権の浮沈に取っても大変に重要なのです。正に景気と雇用、景気と雇用が最優先であり、その大枠の中で「格差」の問題も大きく浮かび上がっているという構図です。日本とか、日中というのは、「そうした問題と並んでアメリカに取って重要で深刻」では「ない」から今回は取り上げることはなかった、そう考えることができます。
だからこそ、安倍首相の靖国参拝への「失望」から今回の「バイデン発言のリーク」に至るまでのオバマ政権の発してきたメッセージ、そしてCNNやNYタイムスの姿勢などに一貫しているテーマというのは、「日本の問題」あるいは「日中の問題」がアメリカにとって「最優先で取り組まなくてはならない課題」に「なっては困る」という非常にシンプルな、そして真剣な主張だと考えるべきなのです。
安倍首相にはその点で大きな読み違えがあるように思います。日米が同盟であるのならば仮想敵国である中国が「より強硬になり、より自分たちに敵対して」くれれば同盟は強固になるというのは間違いなのです。アメリカは、ここで日中の問題が「最優先課題にならない」ことを要求しており、そのために同盟関係として「安倍政権に沈静化と関係改善」を求めているのです。
今回の演説で「オバマが日中問題を取り上げなかった」のはアメリカに危機感が足りないからではないのです。「取り上げるような事態になる」ことへの深刻な危機感をオバマ政権は持っているからだ、そのように理解すべきと思います。
ゲイツ氏の回顧録「DUTY」の中に次のようなエピソードがありました。ゲイツ氏
が2006年にブッシュに指名されて国防長官候補として議会での承認プロセスが始まった時のことでした。レストランで一人で食事をしていたゲイツ氏のところへ一人の女性がツカツカと歩み寄ってきたのだそうです。「ロバート・ゲイツ氏とお見受けしましたが」と言うその女性は「私には息子が2人おりまして、2人ともにイラクに従軍しております。どうか2人を無事に帰していただきたい」と言ったのです。
ゲイツ氏は、その瞬間に自分の「任務=DUTY」の重さを痛感したと正直に述べています。これも一つの軍国主義にほかなりません。そこには敵国の兵士や民間人の殺傷への罪悪感はないし、こうしたヒューマニズムの中には「犠牲を出した以上は戦果を確定したい」というコントロール不能な衝動を起こす作用もあるわけです。何よりも、こうした国防長官職とか、母の願いというようなエピソードの全体が「戦争という殺戮」の血にまみれているからです。
ですが、仮にそうであっても、そうではない、つまり自分の手を血で汚していない人間が「より紛争のエネルギーを煽る」言動を続け、同盟国の忠告にも耳を貸さないということへの怒りというのは相当なものだということはあると思います。
勿論、こうした言い方をすれば「集団自衛権を認めて自分たちも血が流せるようにしますから」という安倍首相サイドの反論が来るのでしょう。ですが、集団自衛権の緩和ということに関しても、米国サイドとして「有事におけるコスト負担削減」になると同時に「有事なるものを引き寄せるというマイナス」も背負っているのだということに、少しずつ気付き始めているということも忘れてはならないと思います。
冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ)
作家(米国ニュージャージー州在住)
1959年東京生まれ。東京大学文学部、コロンビア大学大学院(修士)卒。
著書に『911 セプテンバーイレブンス』『メジャーリーグの愛され方』『「関係の空
気」「場の空気」』『アメリカは本当に「貧困大国」なのか?』『チェンジはどこへ
消えたか~オーラをなくしたオバマの試練』。訳書に『チャター』がある。 最新作
は『場違いな人~「空気」と「目線」に悩まないコミュニケーション』(大和書房)。
またNHKBS『クールジャパン』の準レギュラーを務める。
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