わかりやすい記事でした。
毒舌!医療と生物をやさしく読み解く入門 ∞─┼
No.471/2014/2/2
総発行部数: 2,352部
「元気にやっていますか?」 医療再構築人・田畑です。
「明けの三日月」の横に「明けの明星」。初めて見ました。宇宙ぽかったよ。
早起きは辛いけど、何か得した気分。一寸した事で心優しく。不思議な磁力。
その不思議な磁力を・・・
日本人も持っている様な気がする。そういう民族なのだと確信する私がいる。
これから飛躍的な発展が期待出来る『万能細胞開発』分野でも先んじている。
既に世界に驚愕を与え、ノーベル賞も受賞した「iPS細胞」の山中伸弥氏。
今回の研究は・・・
それを更に一歩進めた画期的な物。理化学研究所と米ハーバード大共同開発。
その名も「STAP(刺激惹起性多能性獲得)細胞」成熟した細胞を巻き戻し。
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*マウスや人などの生き物では、1個の受精卵が分裂増殖し、皮膚や心臓、
脳など、たくさんの種類の細胞へと成長。受精卵が、一度特定の細胞に、
成長すると元には戻らない。
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*今回、研究チームは、一旦、成長した体の細胞を、受精卵のような状態に
巻き戻して、「初期化」する新しい方法を見つけた。
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●人間の体= 1個の受精卵 → 約220種類 計60兆個の細胞に分化
↓
●どの細胞にも、体全体の設計図が「DNAの遺伝子」という形で封入
↓
●成長に従って、「遺伝子の一部」だけが働く様になる(特化)
↓
●癌や様々な病気=細胞を取り巻く環境の悪化で「遺伝子」正常機能せず
↓
■小保方女史らは「環境によって、遺伝子の働き方が予想以上に変化」確認
↓
■それなら、人工的に「環境の変化」を起こせば、細胞はどうなる?
↓ 弱酸性の溶液に
◎「STAP細胞」の作製に成功。同時に、「初期化」が起こる事も確認
*S=Stimulus T=Triggered A=Acquisition of P=Pluripotency
(刺激が引き金となって、多機能性を獲得した)
発生再生科学研究センター(神戸市)の研究ユニットリーダー小保方晴子女史。
この研究は・・・
早稲田大学在学中、2008年留学していた米ハーバード大の実験室で誕生。
結果に首を傾げる周囲の研究者を尻目に粘り強く実験を重ねたのが晴子女史。
彼女の決して諦めない気持ちが生み出した研究成果といっても過言ではない。
研究の経緯は・・・
1.ハーバード大の担当教授(チャールズ・バカンティ)の助言
2.極細のガラス管を使って、「マウスの脳」や「皮膚」など様々な細胞
から、『幹細胞』を取り出す実験を進めた。
3.想定以上の『幹細胞』が取り出せた。
4.細胞は、細い管を通ることで、ストレスを受け、色々な細胞に変化する
前の『幹細胞』に戻っているのではないか?
5.実験は一進一退。共同研究者も見つからず。
6.英科学誌ネイチャーへの最初の論文投稿で
「何百年の細胞生物学の歴史を愚弄している」と酷評される。
*権威は、何時も新しいものには「懐疑的」かも知れません。
7.2度目の投稿で、論文が受け入れられるまでに約5年を費やした。
どういう手順で・・・
●生後1週間のマウスの脾臓から、血液細胞の一種「リンパ球」採取
↓
●pHが、やや酸性5.7の溶液に、約30分間浸して、培養
↓
●数日から1週間の内に、
iPS細胞作製に使う「Oct4」等の遺伝子が働くようになる
↓ 特殊な溶液で数日培養
●「STAP細胞」に変わる
* 成功率は、iPS細胞より高い約7~9%
*作製期間は、iPS細胞の2~3週間より短かった
■この「STAP細胞」を、別のマウス胚(受精卵)に注入
↓ 仮親に移植
■全身に、「STAP細胞」が交ざった子が誕生
↓
■あらゆる細胞に変わる能力があることを確認
以下の様な条件でも・・・
◆「STAP細胞」は、皮膚や筋肉等の細胞でも作製可能
◆「STAP細胞」は、細いガラス管に数回通す方法でも作製可能
◆「STAP細胞」は、弱い毒素で処理したりする方法でも作製可能
*外からの刺激で、主要な「遺伝子」の働きが変わったと見られている。
他の万能細胞(本当に"万能"?)を比較す・・・
○胚性幹細胞「ES細胞」
生命の元になり得る受精卵を破壊して作る為、倫理上問題アリ。
●人工多能性幹細胞「iPS細胞」
皮膚等の細胞に、遺伝子を外から入れて作り、生命倫理の問題を解決。
殆どの細胞になるが、「胎盤」にはならない。
◆刺激惹起性多能性獲得細胞「STAP細胞」
受精卵を破壊する必要は無い上に、遺伝子操作をしない為、自然に近く、
がんになる危険性も極めて低いと見られている。
「胎盤」も含めて、あらゆる細胞になる可能性アリ。
世界各国の反応・・・
◎英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン《クリス・メイソン教授》
「又、日本人が万能細胞の作製法を書き換えた。山中伸弥氏は4つの遺伝子
で、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作ったが、STAP細胞は一時的に
酸性溶液に浸して、培養するだけ。どれだけ簡単になるんだ」
◎米ピッツバーグ大の研究者
「成果は衝撃的で、強力な可能性を秘めている」
◎ロンドン大キングスカレッジの研究者
「本当に革命的。幹細胞生物学の新時代の幕開けだ。理研チームが、年内に
人のSTAP細胞を作っても驚かない」
△米カリフォルニア大ロサンゼルス校の研究者
「人間でも同じことが起こると示されない内は、どう応用出来るか分からな
い。医学的に役立つかは、未だ何とも言えない」
△◎文部科学省ライフサイエンス課の担当者
「人間の細胞で出来るかどうかの解明が必要になる。早期に解明されれば、
本当に、革新的な再生医療の実現に繋がるのではないか。非常に期待して
いる」
将来的には・・・
●体の一部を再生させ、病気や怪我などの治療
●病気の仕組みの解明
●治療薬の開発
●老化、がん、細胞の若返りの研究
●ストレスを、薬として与え、痛んだ臓器を、体内で修復する方法の確立
*何れにしても、人間の細胞を使い、「STAP細胞」作製が可能にならな
いと、上記の項目も、先に進むことが出来なくなってしまう。故に、未だ
『再生医療開発』のスタートラインに立ったという処でしかありません。
それは、小保方女史やバカンティ教授らも百も承知・・・
◆2011年 人工的に、脊髄を損傷させて、麻痺を起こさせた複数のサルから、「STAP細胞」を作製。移植に利用する実験開始。
*秘匿事項ではあるが「驚くべき結果」「回復効果」を確認している様。
**脊髄損傷の治療では、「iPS細胞」を使い、
慶応大チームが、サルの機能回復に成功している。
**米ジェロン社は、「ES細胞」を利用し、
患者を治療する臨床試験を始めたが、経済的理由で撤退。
◆人間の皮膚にある線維芽細胞からも「STAP細胞」作製。性質は未解明。
◆人間を含む数種の動物の細胞を使った「STAP細胞」作製に着手。
興味深いのは・・・
小保方女史も、山中氏も、最初の「実験対象」は異なっていたという事です。
小保方女史は「東京湾の微生物」。山中氏は「外科手術で人」が対象でした。
小保方女史は「指導教官の助言」、山中氏は「手術が下手」で、方向転換を。
*小保方女史は更に・・・
■2011年3月 東日本大震災の影響で、ハーバード大に研究員として
戻る目途が立たず。米国での就労ピザの発給も何時になるか分からない。
↓
■現職場である理化学研究所の発生再生科学研究センター(神戸市)には、
当時、若山照彦氏(現山梨大教授)在籍。以前に共同研究の経験有り。
**若山氏は、世界で初めて「クローンマウス」を生み出した御仁。
この技術が「STAP細胞」が全身の細胞に変わる確認実験で役立つ。
↓
■短期間の在籍の積もりが、2013年3月には研究ユニットリーダーに。
**2000年にこのセンターは設立。目的は「動物の発生メカニズムの
解明」と「再生医療などの応用基盤を築く」為の研究機関。
**多数の研究チームがあり、外部の資金も含めて、約40億円の予算。
**コンセプトは「ベテランの研究者だけじゃなく、新しいことに挑む
アイデアを持った若い人にもチャンスを与える」
***iPS細胞を使った世界初の臨床研究を進める高橋政代氏も在籍。
一寸先は闇・・・
分からないものです。順風満帆に進んでいたら、二人ともここ迄来れたのか。
折れない研究心、諦めない探究心。科学には少し懐疑的な私も素直に脱帽と。
日本は、こういう分野に於いて、世界に、未来の人類に、大きく貢献出来る。
不思議な磁力を持つ民族・・・
日本人が誇らしい。大空に向かってそう叫びたい。そう思える今日なのです。
~ここまで、読んでいただき、誠に、有り難う御座います~
より良い医療と生物を考える研究会 主宰
発行者:【医療・再構築人】田畑 拓也
Mag2ID:0000132773(まぐまぐ)
マガジンID:m00118235(melma!)
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