この先、未来永劫アメリカという国が圧倒的に強い存在で有り続ける保証はない | 日本のお姉さん

この先、未来永劫アメリカという国が圧倒的に強い存在で有り続ける保証はない

宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成25(2013)年12月20日(金曜日) 参
通巻第4095号 <臨時増刊号>
米国、ベトナムとフィリピンの沿岸警備隊に追加援助を表明
ケリー国務長官がハノイ、ホーチミン、マニラ、タクロバンを訪問
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12月12日にイスラエル入りしたジョン・ケリー国務長官は、ネタニヤフ首相、さらにアッバス(パレスチナ代表)と会談し、中東和平の仕上げを急ぐべきとした。
中東訪問を終えたケリーは12月14日にアジアへ飛んだ。
ケリーにとってベトナム戦争終結以後、14回目のベトナム行きだが、国務長官としては初の歴訪である。
直前に南シナ海公海上で中国海軍空母「遼寧」の動きを観察していた米海軍艦船のカウペンスは、公海上であるにも拘わらず、中国艦船に妨害されるという事件があった(12月5日)。
中国は米艦船の領海侵犯を理由としたが、米軍は公海上を譲らず、お互いの疑念はささくれだって両国の対立が深まった。
そうした状況を踏まえたケリーのベトナム入りは熱烈に歓迎された。
米国は既に3250万ドルのパケッッジで東南アジア諸国に沿岸警備隊援助を発表しているが、ベトナムへの追加援助は1800万ドル。これでベトナムは巡視艇を入手する予定。
ハノイからホーチミンへ移動したケリー国務長官はノートルダム・カテドラル教会で、演説し、「人権の改善」を訴えた。
しかしながら独裁国家ベトナムにおいてどれほどの効果があがったのか。
ベトナムでのネット投書では、「むしろ宗教の自由を強調した方が良かった」との声も聞かれた。
ついでケリーは17日にマニラへ入り、外相とも会談。すでにスカボロー岩礁を中国海軍に乗っ取られたフィリピンは沿岸警備隊、海軍の能力向上のため追加援助を発表した。
日本からも巡視艇十隻を供与される。
米国はフィリピンにレーダーも供与している。あまつさえマニラは米軍基地の再開も望むほど、米比安保条約の強化を希望しているが、ケリーはそれには回答せず、新しく4000万ドルのフィリピン援助を表明した。
米比外相会談ののち、ケリーは台風被災地のタクロバンへ向かった。フィリピンを襲った台風被害で、米軍は空母を派遣するなど救援活動に熱心だが、この台風被害は全人口の4%が住居を失ったとされる。
こうした米国の動きをあざ笑うかのように、中国は12月13日にICBM=「東風(DF)41」の発射実験を行った。この「東風41」は北米全域が射程に入り、複数の核弾頭が搭載された、射程が11000キロ以上のスグレモノだ。
東風41は山西省五寨のミサイル発射センターから打ち上げられ、固体燃料3段式で、移動発射台によるもの。こうして中国は海洋覇権の拡大に収まらず北米大陸全員機をカバーする核ミサイルを拡充したため米国とアジア太平洋地域は中国の核の脅威に曝されることとなった。
巡視艇供与ていどで間に合うのか?
◆書評 ◇しょひょう
自衛隊はアメリカ軍の下部組織にいつまで甘んじているのか
尖閣諸島の危機を逆バネに国軍化を急ぎ、同時に情報統括できる新組織を
田母神俊雄『いつまでもアメリカをアテにするな!』(海竜社)
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全編これ正論である。憂国の熱情が行間にも溢れ、日本主義の原則に立って、これからの日本の国家としてのありかた、とりわけ国防と情報のふたつに絞り込んで自主防衛体制の確立を力強く説かれている。
世にアメリカ派が多いが、田母神氏の立場は「日本派」である。
日本には夥しい「中国派」がいる。尖閣を「友愛の海」にしようという宇宙人もいれば「中国の属国になれば、それはそれで日本は中華世界で生きていける」という媚中派の商人もいる。腰を抜かすことに、その商人が駐北京大使となって、途端に日中関係が悪化したが、なにも出来ずすごすごと帰ってきた。
田母神氏はこう言う。
「アメリカの政治家は大半がアメリカ派であり、イギリスの政治家もほとんどがイギリス派、フランスも同様です。我が国に限って日本派の政治家が殆どいないのはどうしたわけなのか。中国派とアメリカ派が勢力争いをしているような政治状況があり、学者や評論家にも同じような色分けが成り立ちます。私としては、安倍総理が活躍している今こそ『日本派の政治家よ、識者よ、出でよ!』と声を大にして言いたい」
たしかにアベノミクス発動以来、日本経済は回復の兆しがあるものの、アメリカの年次改革要求を受け入れてしまったため、日本的伝統だった談合ができず、入札制度がいまのままでは震災復興事業の六割ていどしか進行していない。
そのうえ国債発行の上限がおさえられているため大胆な財政出動ができずアベノミクスは秋から立ち往生を続ける。これらもまた憲法が元凶であるように、日本経済躍進の足をひっぱっている。官僚と財界が情報操作をしているからだろう。
こうした情けない現状に陥っている原因は、国防体制の欠陥にもある。
田母神氏はつづける。
「現在の自衛隊は、アメリカ軍の下部組織の一つのようなもので、国としてもアメリカに守ってもらっているという実態があります。ですが、この先、未来永劫アメリカという国が圧倒的に強い存在で有り続ける保証はないのです。(中略)今の状態がずっと続くという前提で物を考えるのは、危機意識がなさすぎます。日本が自立するいい機会だと思います。中国が尖閣諸島、そして沖縄に迫っているわけですから、我が国はアメリカに対し、自衛隊を増強すると言えばいい。アメリカも現在の状況では反対できない
したがって改憲、自衛隊の国軍化、靖国参拝、村山談話、河野談話の無効化などによって日本の自立を目指すべきと説かれる。
要するに自衛隊がアメリカ軍の下部組織にいつまで甘んじているのではなく、尖閣諸島の危機を逆バネに国軍化を急ぎ、情報統括できる組織を設立することが急務であると説かれる。
また情報戦争に関しては、
(1)相手国の情報を収集する能力
(2)こちらの情報を取られないための防諜の能力
(3)我が国に有利な情報を発信、宣伝する能力
(4)相手国を騙す積極耕作と謀略の能力
これら四つの能力を強化させて、情報戦争に勝つという体制作りが急がれるとする。
全編がわかりやすく、重要部分をゴジック体であらわす工夫もされていて、高校生でもわかる内容となっている。
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アンディ・チャンのAC通信
「天は自ら助くるものを助く」(Heaven helps those who help themselves)という。現状維持といっても何もしない、無為無策ではいけない。
[AC論説] 現状維持と無為無策
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台湾の独立を妨げているのはアメリカである。サンフランシスコ平和条約で国際的地位が未解決となった台湾は、中国が統一を主張し、台湾人が独立を主張し、中華民国は台湾に亡命した蒋介石政権である。アメリカは中国の台湾併呑に反対だが戦争になることを恐れて現状維持を主張し、台湾人の独立願望は無視されている。
米国の現状維持主張について中国と馬英九政権は経済と人海戦術で侵略を続けているが、台湾人は対策がない。勝手に台湾人政党を名乗る民進党が独立を放棄して親中路線を取った。一般台湾人民は民進党に不満だが行動力がない。体制外運動は馬英九政権に抗議をす
るだけで肝心の独立運動をしない。
シナは現状維持を無視してどんどん併呑の手段を講じている。それなのに台湾人が無為無策では座して死を待つようなものだ。
●無為無策は慢性死である
アメリカは台湾問題について現状維持を要求しているけれど、中国は水面下で台湾併呑に向けていろいろな手段を講じている。このような時に台湾人政党、運動家、一般民衆は何もしないではダメだ。独立の決心をアメリカに伝えること、実行することが大切だ。アメリカはいつまでも台湾人の意思を無視するわけには行かない。
アメリカは中国の台湾併呑に反対で、中国も台湾を征服するだけの力がない。だから中国は台湾の経済的中国依存を推進し、サービス貿易協定を結んで中国人の侵略を進める。中国がこのような手段で台湾併呑を進めるのに台湾人は対抗策を取れず、民進党の親中路線は台湾の慢性自殺である。
台湾は東亜で最も重要な地点にある。アメリカや日本、東南アジア諸国にとって台湾は第一防衛線の中央に位置している。中国が台湾を併呑すればアメリカの防衛線は無力となり、アジア撤退を余儀なくされる。沖縄、グアムの基地は無用となり、日本の安全は損なわれ、アメリカはハワイと西部海岸まで撤退するだろう。
台湾を失うことの影響は東南アジア諸国、南シナ海も中国の勢力圏に入ることとなり、世界の勢力地図が大幅に変わる。台湾だけでなく日本や韓国、アセアン諸国も慢性死を遂げる。
●台湾人の覚悟
台湾人はアメリカが台湾を守る、アメリカは台湾を見捨てることはないと言う。アメリカにとって台湾は大切だが、アメリカは台湾人の人権を尊重していない。アメリカの台湾政策は常に中華民国を対象としてい、台湾人は無視されている。この状況は台湾人が大人しく中華民国の統治に反対しないからだ。台湾の将来は台湾人が決定すべきだ。台湾人は中華民国を打倒すべき、打倒すればアメリカも台湾人を尊重するようになる。
アメリカは幾つもの矛盾した政策を抱えている。第一の矛盾は中国と戦争したくないくせに中国人の本質、「激越な言葉で口論しても絶対に実力行使しない」ことを理解していない。第二の矛盾は台湾の将来は台湾人の決定が最重要なのに台湾人を無視した政策を採り続けていることだ。第三の矛盾は中華民国が中国に内通している事実を知りながら対策がない、台湾独立を援助しないことだ。
台湾人は自分の取るべき態度をアメリカや世界各国に知らせ、アメリカの現状維持に対し、アメリカの現状維持は矛盾している、台湾人の決心こそが解決の道であることを知らせるべきである。
台湾人の独立運動に対し、アメリカは台湾人が言うことを聞かなければ台湾を棄てると脅迫してきた。台湾を棄てればアメリカは東亜撤退を余儀なくされる。そんなバカな脅迫を恐れず台湾人重視と、アメリカの政策見直しを要求すべきである。
台湾人も中国の恫喝を恐れることなく中華民国を打倒すべきである。在台中国人が台湾人を統治している限りアメリカは軟弱な台湾人を援助しない。台湾人が無為無策でアメリカに頼るのは座して死を待つに等しい。
中国の恫喝を過大報道するメディア、民衆は中華民国独裁に抗議しながら革命をしない。利権を貪る民進党に投票したから台湾のためになったと満足する民衆は、いずれ中国に併呑される。
「天は自ら助くるものを助く」(Heaven helps those who help themselves)という。現状維持といっても何もしない、無為無策ではいけない。
中国はアメリカの主張を無視し、馬英九は中国に内通して台湾併呑を進めている。
台湾人が何もしないのは敵の言いなりになることである。現状は刻々と変化しているのであり、台湾人はこの変化に敏感、且つ迅速に対応すべき、人民も政党も一致団結して現状を打破する方策を立てて実行すべきである。
(アンディ・チャン氏は在米評論家)
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