中国は、自分たちが設定した識別圏を事実上の領空にした。
中国は、自分たちが設定した識別圏を事実上の領空にした。
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~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~
石平(せきへい)のチャイナウォッチ http://www.seki-hei.com
■ 骨抜きにされた中国の防空識別圏 ( 1/4 )
防空識別圏というのはその名称通り、
防空上の必要から自国の領空に接近してくる他国機を「識別」して、
それに対する緊急発進などの措置をとるかどうか
を判断するために設定する空域のことである。
普通は自国の領空よりもさらに広範囲の空域を設定して、
他国の飛行体がこの空域に入ってきた場合、
直ちにその機種などを識別、自国の領空を侵犯する可能性があるかどうか、
自国の防衛上の脅威となる飛行体であるかどうか
を判断して相応の措置をとる。
それがすなわち「防空識別圏設定」の意味である。
重要なポイントの1つは「識別」という2文字にある。
つまり識別圏というのはあくまでも、
他国機に対する「識別」のために設定したものであって、
他国機の航空の自由を制限するものではない。
防空識別圏は領空ではないから、
ある国が自国の識別圏として設定した空域は、
他国の飛行機が自由に進入し通過することができるのである。
以上は普通でいう防空識別圏の性格であるが、
もし中国が単にこのような意味での防空識別圏を設定したのであれば
それは特に何の問題もない。
多くの国々がすでにやっていることをやり始めただけのことである。
▼事実上の「領空拡大」?
しかし問題は、中国が設定した防空識別圏は
まったく異質なものであるということだ。
まず1つ、中国が設定したこの識別圏には、
尖閣諸島上空の日本の領空も含まれている。
他国の領空を自国の防空識別圏に入れてしまうようなことは
まさに前代未聞の乱暴なやり方であり、
日本にとっては当然、断固として拒否すべきものである。
実はそれよりもさらに大きな問題となっているのは、
中国の設定した防空識別圏は、中国領空に接近する航空機だけでなく、
空域を飛行する航空機全般を対象とするものだということである。
しかも中国は、設定空域を航行する航空機に
飛行計画の事前届け出を求め、識別に協力しない、
または指示を拒否した航空機に対しては、
中国軍が「防御的緊急措置」を行うと警告しているのである。
中国は、自分たちが設定した識別圏を事実上の領空にしてしまい、
この空域における他国機の航空の自由を奪おうとしているのである。
あたかも公共道路に隣接する一軒の家が、
公共道路までを自分の家の一部に「設定」し、
道路を歩くすべての人々に「俺の許可をもらえ」
と命じたかのような荒唐無稽な話である。
つまり、中国の狙うところは、普通の防空識別圏の設定ではなく、特異な防空識別圏の設定による事実上の「領空拡大」なのである。
それこそが問題の本質なのである。
▼抗議、反対の立場を表明する日米
もちろん、自国の領空を広げて、
東シナ海上空における航空の自由をすべての国々から奪おうとする
この覇権主義的暴挙は、一番の当事者である日本はもとより、
アジア地域の秩序維持に多大な関心を持つアメリカも許すわけにはいかない。
実際、中国の設定した防空識別圏には
戦闘機訓練のために日本政府が在日米軍に提供している
沖縄北部訓練区域の一部が含まれているから、
中国の要求する通りなら、米軍機の日常的飛行訓練も
いちいち中国に通告して許可をもらわなければならない。
それは当然、米国が受け入れられるものではない。
案の定、防空識別圏設定直後から、日本政府は中国に猛抗議して
それをいっさい認めない立場を強く表明したのと同時に、
アメリカ政府も間髪を容れず反対の立場を表明した。
中国側の防空識別圏設定発表当日、米政府はまずこの一件に関し、
地域の緊張を高めるとして「強い懸念」を中国側に伝えた。
そしてケリー米国国務長官と、ヘーゲル米国国防長官は
相次いで中国の防空識別圏設定を批判する声明を出した。
ヘーゲル長官は声明の中で、中国側の一方的な行動を強く非難した上で、
防空識別圏の設定でも
「この地域における米軍の軍事作戦の遂行に一切変更はない」と宣した。
中国の挑発を受けて立つ米国の毅然とした姿勢が明確に示された。
米国防総省のウォレン報道部長も25日、中国が設定した防空識別圏を認めず、
中国側の要求には応じないとの方針を強調した。
ウォレン氏は中国側が、米軍などの航空機が飛行する際、
経路の通報など4点を要求していると指摘したうえで、
「われわれは識別圏を飛行する際、(中国に)飛行計画を提出せず、
無線周波数などを認識させることもしない。
米軍機は(中国が求める)措置を一切とることなく飛行できる」と語った。
さらに「米軍は(日本などの)同盟国との軍事行動も含め、
行動を変更するつもりはない。われわれは常に、自衛能力を保持している」
と警告した。
( その2へつづく )
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これを聴かずにチャイナのことを語るなかれ。
以下のURLより詳細を。
http://www.realist.jp/china.html
のバックナンバーはこちら
⇒ http://archive.mag2.com/0000267856/index.html